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「やぶさかではない」の正しい意味とビジネスでの使い方や「まんざらでもない」の違い

シンカキャリア編集部

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更新日:2024/07/11

「やぶさかではない」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?ビジネスシーンで「やぶさかではない」という言葉を使うには正しい意味を理解しておくことが重要です。今回は「やぶさかではない」の意味や使い方、誤用例、言い換え・類語表現をまとめています。ビジネスシーンでの円滑なコミュニケーションのための参考にしてください。

目次

「やぶさかではない」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?ビジネスシーンで「やぶさかではない」という言葉を使うには正しい意味を理解しておくことが重要です。

今回は「やぶさかではない」の意味や使い方、誤用例、言い換え・類語表現をまとめています。ビジネスシーンでの円滑なコミュニケーションのための参考にしてください。

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「やぶさかではない」の意味は?

  • 「やぶさかではない」には以下の意味があります。
  • 喜んで〜する
  • 努力を惜しまない
  • 積極的に〜する
  • 前向きに〜する

また、「やってもよい」「やることに肯定的である」という意味も含みます。「やぶさかではない」は消極的な意味を待つ「やぶさか」に打ち消しの「ない」をつけた表現です。

「やぶさか」の意味

  • 「やぶさか」は漢字では「吝か」と書き、以下のような消極的な意味の言葉です。
  • 物惜しみをする
  • 気が進まない
  • ケチ
  • ためらう

「やぶさか」は平安時代の言葉で、「ケチである」という意味の形容詞「やふさし」や「物惜しみする」という意味の動詞「やふさがる」と起源が同じと考えられています。

鎌倉中期以降「やふさし」「やふさがる」は使われなくなり、「やふさ」に接尾後の「か」をつけた「やふさか」や「やっさか」という言葉が生まれました。その後、「やっさか」は消滅し、「やふさか」の二音節が濁音化され、「やぶさか」という物惜しみをするさまをいう言葉として定着しました。

誤用してしまうケース

「やぶさかではない」の正しい意味を理解している人は少なく、誤用されるケースも多い言葉です。

誤用としてよくある使い方は、「やぶさかではない」を「しぶしぶ〜する」「仕方なく〜する」という意味で使うケースです。「やぶさか」という消極的な言葉が先行し、「積極的に物事に取り組む」という本来の意味とは逆の意味で捉えられてしまうことがあります。

また、「まんざらではない」との誤用もあります。

「まんざらではない」とは、「かなり良い」や「それほど悪くない」という意味です。「やぶさかではない」と言葉の並びが似ているため、誤用されることがありますが、全く別の意味です。

「やぶさかではない」の使い方

「やぶさかではない」はビジネスシーンにおいて、積極的で前向きな気持ちを表したり、意欲をアピールしたいときに使うと効果的です。「喜んでお引き受けします」と同じ意味で使えるため、目上の人に使用しても失礼ではありません。

「ない」という言葉が入っているため、否定的な使い方をしたり、「やぶさかではある」というと、反対の意味になるので使い方には注意しましょう。

主な使い方は「○○にやぶさかではない」

「やぶさかではない」の主な使い方は、「○○にやぶさかでない」と表現します。しかし「○○にやぶさかではない」のみで使用すると、消極的な印象に捉えられることがあります。正しい意味で伝えるためには、前後の文脈を工夫するのがいいでしょう。

例えば、以下のような文脈にすると、正しい意味で相手に伝えられます。

  • 「○○さんのためならば、協力するにやぶさかではありません」
  • 「お世話になっている○○さんの依頼であれば、この件をお引き受けするにやぶさかではありません」

このように、「○○にやぶさかでない」の前に相手を思う気持ちを伝える文脈を追加すると、相手により正しい意味で伝えられます。

目上の人に使うケース

「やぶさかではない」は「喜んで〜する」という意思を相手に控えめに伝えられる言葉のため、上から目線の言葉ではありません。

「喜んでお引き受けします」という表現と「お引き受けするのはやぶさかではありません」は同じ意味です。ただし、「やぶさかではない」を使うことで、控えめでありながら積極的な姿勢であると伝わるため、若干ニュアンスが変わります。

頼まれごとなどをした際に、カドを立てず遠回しにやる気を表現するには便利な言葉です。自己主張をしすぎず、前向きな気持ちが伝わるでしょう。

「やぶさかではない」は、若干まわりくどい言い方ですが、上司や取引先など、目上の人にも問題なく使える言葉です。

積極的・前向きな気持ちを表現するケース

「やぶさかではない」は「積極的に〜する」「快く〜する」という意味もあります。ビジネスシーンでは「積極的に参加したい」「喜んで参加したい」という前向きな気持ちを表現する際に最適です。対等な立場の人や、部下、後輩に対しても使用できる言葉です。

ビジネスシーンでは、積極的・前向きな気持ちを伝える例として、以下のような使用方法があります。

  • 新たなプロジェクトへの参加は、やぶさかではありません。
  • 取引先の新規開拓は、やぶさかではありません。

また、取引先に対しても、「長年のお付き合いがある御社からの依頼であれば、ご協力するのはやぶさかではありません」という使い方もできます。

遠回しに伝えるケース

「やぶさかではない」は前向きな気持ちや喜びの気持ちを表す言葉ですが、遠回しに気持ちを伝える際にも最適な言葉です。

ビジネスシーンで、遠回しに気持ちを伝える例として、以下のような使用方法があります。

  • ご協力させていただくのはやぶさかではありませんが、今回に限りということでご理解ください。
  • 状況が良くなれば、この案件の採用はやぶさかではありません。

「努力を惜しまず〜したい」「積極的に〜したい」というと、ストレートな印象です。しかし、「やぶさかではない」は、遠回しに気持ちを伝えられる日本語特有の表現と言えます。

「やぶさかでない」の類語・言い換え表現と例文

「やぶさかではない」は、正しい意味を知っていれば使い勝手のいい言葉ですが、やや古典的で遠回しな表現でもあります。間違った意味で受け取られることもあるため、場合によっては違う言葉で言い換えた方がいいケースもあります。

ここではビジネスシーンで使える「やぶもありまさかではない」の類語や言い換えについて、例文とともに紹介します。

喜んでお引き受けします

「喜んでお引き受けします」は依頼されたことを気持ちよく引き受ける、または依頼されたことを嫌がることなく自分が責任を負いますという意味を持ちます。「やぶさかではない」と同様に、積極的なニュアンスを表現できます。

「やぶさかではない」には「喜んで〜する」という意味があり、嬉しいという気持ちや、行為を惜しまないという様子を含む言葉のため、類語と言えます。「やぶさかでない」よりはストレートな表現です。

ビジネスシーンでは、メールや会話などのコミュニケーションとして使われることが多く、以下のような使用方法があります。

  • ご依頼いただいた件に関して、喜んでお引き受けします。
  • 次回の会議進行も、喜んでお引き受けします。

願ってもないお話です

「願ってもないお話です」とは、願っても叶いそうにないことが運よく実現する状況を表す言葉です

ビジネスシーンでは、自分が望んでいた以上の嬉しい仕事や依頼を受けたときに使える表現です。「願ってもないお話しです」というと、「望んでいた以上の嬉しい依頼なので、積極的に取り組みたい」という気持ちを表わせるでしょう。

「やぶさかではない」の言い換え表現として、下記のような使用方法があります。

  • まさかこんなにも早く昇進が決まるなんて、願ってもないことです。
  • 今回ご提案いただいた件は大変ありがたく、願ってもないことです。

快諾する

「快諾する」とは、「快く依頼や申し入れを受け入れることや、喜んで承知するという意味です。「やぶさかではない」と言い換えとして使う場合、自分が依頼や申し入れを受け入れるときには使いません。ただし「幸いにも快諾してもらえました」と状況説明をする際に使うことはあります。

ビジネスシーンでは、相手からこちらの依頼を快く受け入れてもらえたときのお礼として、以下のように使用できます。

  • 急な日程変更にも関わらず、快諾していただきありがとうございます。
  • 先方との打合せで、突然のお願いでしたが、快諾してもらえました。

異存はない

「異存はない」とは、反対意見や不服がないという意味で、異なる考えはなく賛成しますという表現に使います。「異存」とは意見の相違を表す言葉で、それを否定する形で表すと、簡単に言えば「賛成です」ということです。

「やぶさかではない」にはその事柄に対して反対意見はないという意味があるため、「異存はない」は類語にあたります。相手からの提案や申し出に対して、そのことに賛成するという意思表示ができます。

ビジネスシーンでは、下記のように使用できます。

  • 異存はないが、この件については再検討してもらいたい。
  • 来週のイベントに向けて、うちの部署で休日出勤をして準備することに異存はない。

お安いご用です

「お安いご用です」とは相手の依頼や申し出に対して、「全然苦ではない」「気軽に受け入れられる」という意味です。面倒なことに対して、相手の恐縮を和らげられる表現です。

前向きに受け入れることを特に強調した言い換え表現と言えます。チャンスがあれば、まだまだ引き受けることができるという、余裕が見られる表現です。

ビジネスシーンでは、相手が恐縮しながら依頼したことに対して、以下のように使用できます。

  • いつもお世話になっているので、これくらいはお安いご用です。
  • 先日もサポートしてもらった部長からのお願いなので、お安いご用です。

「まんざらでもない(満更でもない)」とは別の意味

「まんざらでもない」と「やぶさかではない」は混同されやすい表現です。どちらも「まんざら」と「やぶさか」に打ち消しの「ない」が付くため、似ている意味と捉えられがちですが、それぞれ異なる意味があります。

「まんざらでもない」は全くダメなわけではなく、むしろ良いという意味があり、一見嫌がっているように見えるが、実際には喜んでいるときに使用します。

一方、「やぶさかではない」は「喜んで〜する」や「快く〜する」という、積極的に行動する気持ちを表す言葉です。

「まんざらでもない」と「やぶさかではない」は意味も使い方も異なるため、混同しないように注意しましょう。「まんざらでもない」の方が「やぶさかではない」よりも積極性においては低い表現です。

「やぶさかではない」の正しい使い方をマスターしてビジネスシーンで役立てましょう

「やぶさかではない」はビジネスシーンで積極的で前向きな気持ちを表したり、意欲をアピールしたいときに使うと効果的な言葉です。ストレートというよりは少し控えめな表現でもあるため、ビジネスシーンで目上の人に対しても使用できます。

正しい使い方をマスターすることで、使い方の幅は広がります。この記事を参考に、「やぶさかでない」を正しく使って、ビジネスシーンで役立ててください。

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