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総務部門の役割は、単なる事務処理や社内サポートにとどまらず、企業の成長を支える重要な要素へと進化しつつあります。その新たな考え方として注目されているのが「戦略総務」です。従来の総務業務を遂行しながら、経営戦略と連携し、組織全体の最適化を図ることが求められています。
この記事では、「戦略総務」の必要性や実現方法について解説し、企業価値向上に向けた実践的なアプローチを紹介します。自社の課題解決や今後の事業展開の参考にしてみてください。
戦略総務の定義と重要性
まずは、戦略総務の定義について紹介します。戦略総務の基本から確認していきましょう。
戦略総務とは何か
戦略総務とは、単なる管理業務にとどまらず、企業の経営戦略に積極的に関与する総務部門のあり方を指します。従来の総務は、備品管理やオフィス環境の維持、社内イベントの運営など、バックオフィス業務を担うことが中心でした。しかし、近年では企業の成長を支える戦略的な役割を求められるケースが増えています。
戦略総務では、以下のような取り組みが求められます。
- 業務の効率化と生産性向上
- 働き方改革の推進
- DX(デジタル・トランスフォーメーション)の導入
- 経営層へのデータ提供と意思決定の支援
このように、総務は組織全体の最適化を担う「企業運営の中枢」へと進化しているのです。また、戦略総務の導入は、企業の長期的な競争力を向上させるための重要な要素となります。経営視点を持つことで、より企業価値を高める部門へと変革できるでしょう。
なぜ今、戦略総務が注目されているのか
戦略総務が注目を集める背景には、企業環境の変化やデジタル技術の発展があります。特に、次の3つの要因が大きく影響しているといえるでしょう。
- 企業環境の変化
- DXの加速による業務変革
- 働き方改革の推進
人材不足や生産性向上への対応が求められ、クラウドツールやAIを活用した業務の効率化が進んでいます。また、リモートワークやフレックスタイム制の導入支援に加え、従業員が働きやすい環境を整えることも総務に求められる重要な役割です。これらの要因から、総務は「単なる管理部門」から「経営戦略を支える部門」へと変化を求められています。
戦略総務が実現する3つの経営価値
戦略総務を導入することで、企業には具体的な経営価値が生まれます。ここでは、代表的な3つのメリットを確認していきましょう。
業務効率化による競争力向上
戦略総務は、業務プロセスを最適化し、企業全体の生産性向上を促進します。たとえば、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入すれば、手作業で行っていた事務作業を自動化できるようになるでしょう。これにより、総務部門の負担を減らし、経営戦略に関わる重要な業務へリソースを振り向けることが可能になります。
また、以下のような取り組みも有効です。
- クラウドツールの活用によるデータ管理の効率化
- 契約書管理の電子化による業務負担の軽減
- 会議室予約や備品管理の自動化で社内の時間ロスを削減
このように、業務の効率化が企業の競争力向上につながるでしょう。
従業員エンゲージメントの向上
総務部門は、働きやすい環境を整えることで従業員の満足度を高め、企業へのエンゲージメントを強化できます。たとえば、フリーアドレス制の導入や、オフィスのレイアウト改善によって、社員同士のコミュニケーションが活性化されるでしょう。
さらに、以下の施策が効果的です。
- 社内イベントや研修の企画・運営
- 福利厚生の充実(リモートワーク支援、健康増進施策など)
- 社内コミュニケーションの活性化(社内SNSの活用)
こうした取り組みは、社員の働くモチベーションを向上させ、結果的に企業全体の成長へとつながります。
経営判断の質の向上
戦略総務は、企業のデータを集約・分析し、経営層の意思決定を支援する役割も担います。たとえば、社内の業務フローを可視化し、どの部門がどれだけのコストをかけているのかを数値化することで、経営戦略の精度を向上させることができるでしょう。
具体的な取り組み例としては、以下のとおりです。
- 社員の勤務データを分析し、生産性向上の施策を提案
- オフィスコストの見直しを行い、経費削減を支援
- ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みをデータ化し、経営レポートを作成
経営層に対して定量的なデータをもとにした提案を行うことで、総務部門が戦略的な意思決定のサポートを担うことができるでしょう。
戦略総務の具体的な活動領域
ここからは、具体的な活動について3つの領域に分けて紹介します。自社で導入する際の参考にしてみてください。
働き方改革の推進
戦略総務は、企業の働き方改革を推進します。たとえば、リモートワーク環境の整備やフレックスタイム制の導入、オフィスのレイアウト変更などを通じて、社員の働きやすさと生産性を向上させる役割を担うでしょう。また、健康経営の観点から、ストレスチェックの実施やリフレッシュスペースの設置、ワークライフバランスの向上を目指した施策を実施することも、総務の重要な役割です。
経営戦略への参画
戦略総務は、経営層と連携し、組織全体の生産性向上や業務効率化を支援します。オフィスコストの最適化、業務のアウトソーシング戦略、従業員満足度調査を活用した人材定着施策など、総務主導で推進できる取り組みは多岐にわたるでしょう。また、経営会議に参加し、組織の運営方針をデータに基づいて提案することで、総務部門の価値を高めることが可能です。
▼戦略の立て方について詳しくはこちら
人事戦略で成功するためのやり方とは?フレームワークや戦略の立て方を解説
社内DXの推進
DXの推進は、企業の競争力向上に不可欠です。戦略総務では、デジタルツールを活用し、業務の効率化とデータの可視化を進めます。
具体的な施策例は以下のとおりです。
- 契約書や稟議の電子化によるペーパーレス化
- クラウド型勤怠管理システム の導入による業務の簡素化
- データ分析ツールの活用による経営情報のリアルタイム共有
これらの施策を通じて、総務部門が企業のデジタル変革を支援し、全社的な生産性向上を促進します。
事例から学ぶ戦略総務の実践
実際に戦略総務を導入し、成果を上げた企業の事例を2つ紹介します。どのような取り組みを行い、どのような成果を得たのかを知り、自社の戦略総務導入の参考にしてみてください。
A社の事例
自動車メーカーA社では、業務の可視化・標準化が進んでおらず、担当者の異動によって業務品質や生産性が低下する課題を抱えていました。そこで、生産性向上と総務部門のコア業務への集中を目的に、外部委託サービスを導入。従来の受け身の総務体制から、経営戦略を支える部門へと変革を図りました。その結果、工数の制約で困難だったマニュアル整備を達成し、自社社員がより高度な業務に専念できる環境を整えることに成功しました。
B社の事例
製造・販売を展開するB社では、総務業務の効率化を目的にアウトソーシングを導入しました。従来は各部門に総務担当者を配置していましたが、業務内容や品質にばらつきがあったため、「総務コンシェルジュ窓口」を設置し、一元的に対応できる体制を構築。これにより、定型業務を外部に委託し、総務担当者は部門の中核業務に集中できるようになりました。その結果、属人化の解消や労働時間の削減にも成功しています。
戦略総務実現のためのロードマップ
戦略総務を実現するためには、段階的なアプローチが必要です。ここでは、3つのフェーズに分けて解説します。
フェーズ1:現状分析と戦略的課題の特定
まずは、現状の総務業務を把握し、戦略総務への転換に必要な課題を特定します。
- 業務プロセスの可視化と課題の洗い出し
- コスト構造の分析と最適化ポイントの特定
- 従業員満足度調査を通じた現場の声の収集
この段階で明確になった課題をもとに、総務の役割を再定義し、戦略的な方向性を決めることが重要です。
フェーズ2:基盤整備と業務効率化の推進
戦略総務を実現するためには、業務の効率化と基盤の整備が不可欠です。
- クラウドツールやRPAを活用した業務自動化
- 契約書や経費精算の電子化によるペーパーレス化
- アウトソーシング活用による業務負担の軽減
これにより、総務部門の負担を軽減し、戦略的業務に注力できる環境を整えます。
フェーズ3:戦略的イニシアチブの展開
基盤が整ったら、企業の経営戦略と連携した施策を実行します。
- オフィス戦略の見直しと最適な働き方の提案
- データ活用による経営層へのレポート提供
- 従業員エンゲージメント向上施策の実施
このフェーズでは、総務部門が積極的に経営に関与し、企業価値向上に貢献することが求められるでしょう。
戦略総務への転換に必要な4つの要素
戦略総務を成功させるためには、総務部門の意識改革とスキルアップが不可欠でしょう。従来の管理業務から一歩踏み出し、経営戦略と結びついた業務を遂行できる体制を構築することが重要です。以下で、戦略総務への転換に必要な要素を4つ紹介します。
経営視点の獲得とビジネス感覚の醸成
戦略総務を実現するには、総務部門が経営視点を持つことが不可欠です。企業の経営課題を理解し、ビジネス目線での施策提案が求められます。総務の枠を超えて、事業部門と密に連携し、経営層の意図を反映した総務施策を企画することが重要です。また、財務やマーケティングといった経営知識を身につけることで、より実践的な提案が可能になるでしょう。
データ分析力と定量的アプローチの強化
データドリブンな意思決定ができるよう、業務データの可視化と分析力の強化が必要です。BIツールの活用やKPI管理を通じて、経営に有益な情報を提供できる体制を整えます。具体的には、総務業務の生産性指標を設定し、定量的な評価をもとに改善策を講じることが求められるでしょう。さらに、これらのデータをもとに、長期的な組織改善や業務最適化の戦略を立てることも重要です。
部門間連携と社内影響力の構築
総務部門が組織横断的に機能するためには、各部門との連携が不可欠です。経営層や他部署と協力し、企業全体の最適化を図るためのコミュニケーション力を強化することが求められます。とくに、人事やIT部門との連携を強化し、企業全体の業務効率化を推進することが重要です。また、経営層に対して総務部門の価値を的確に伝える力を持つことで、より戦略的な意思決定に関与できるようになるでしょう。
テクノロジーリテラシーと先進ツールの活用力
RPAやAI、クラウドツールの活用により、業務の効率化を進める必要があります。最新技術のトレンドを把握し、適切なツールを選定・導入できるスキルを身につけることが重要です。加えて、新しいツールの導入効果を測定し、継続的な改善につなげることも求められます。さらに、これらのテクノロジーを活用して、単なる業務効率化にとどまらず、組織のイノベーションを促進することも戦略総務の重要な役割になるでしょう。
戦略総務の内容を理解し業務改革の第一歩を踏み出そう
戦略総務は、単なるバックオフィス業務ではなく、企業の成長を支える重要な役割を担っています。業務の効率化、データ活用、働き方改革などを推進し、経営戦略と連携することで、企業全体の競争力を強化していけるでしょう。総務部門のあり方を見直し、より戦略的な役割を果たすための第一歩を踏み出してみてください。
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