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「敬称略」はビジネスシーンだけでなく、冠婚葬祭でも使われるポピュラーな言葉です。たくさんの方が集まる場面でよく使われますが、正しい意味や付ける位置を知らないまま使っている方がたくさんいます。
この記事では「敬称略」の意味から、使用するシーン・実際に使う際の注意点・敬語表現まで紹介するので、正しく知りたい方はぜひ参考にしてください。
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敬称略の意味
「敬称略」は、大勢が集まる会議等で様・先生・殿などの敬称を省略するのに使う言葉です。目上の方や取引先などへの敬意を払いながら、敬称を省略する失礼を詫びる意味も含んでいます。個人・企業など集団のどちらにも使える便利な表現です。
「敬称略」は会議や式典のスピーチだけでなく、名簿や議事録などの文面にも使えます。名簿や議事録で「敬称略」を使うと、文面がすっきりして参加者の名前が読みやすくなるので非常に便利です。
敬称の種類
敬称には個人・複数人の集団・相手の職業や立場ごとにさまざまな言葉があります。以下に、よく使われるものを表にまとめるので参考にしてください。
敬称を使う相手 | 敬称 | 使用例 |
---|---|---|
個人 | 様・殿 | ○○××様・○○××殿 |
複数の個人 | 各位 | ○○部担当者各位 |
組織・団体 | 御中 | ○○会社○○部御中 |
医師・弁護士・教員など | 先生 | 弁護士 ○○先生 |
敬称は名前の後ろに付けましょう。失礼に当たらないよう、相手に合わせて適切な表現を使うのが大切です。
敬称略を活用するシーン
「敬称略」が活用されるシーンは、主にビジネスシーンと冠婚葬祭の2つです。話し言葉より文章の中でよく使われます。多くの方が集まる場で「敬称略」を使うと、物事がスムーズに進むのでぜひ覚えておきましょう。シーンごとの適切な使い方は、以下に解説する通りです。
ビジネスシーン
ビジネスシーンで「敬称略」は、会議の出席名簿・会議の議事録・イベントなどの協賛企業や団体一覧・取引先の企業一覧等のリストを作成するのに便利です。人数や団体数が多いリストを作る場合も、相手に敬意を払いながら書面をすっきりと見せられます。
また、「敬称略」はリストの件名直下あたりに記載するのがマナーです。
冠婚葬祭
「敬称略」は冠婚葬祭の場でもよく使われます。参加者や参列者の名簿リストや配布資料に記載されていたり、祝電や香典を読み上げる際に宣言されたりするので、一般的によく知られているでしょう。
スピーチでは、あらかじめ「敬称略」と宣言してから名前を読み上げるのがマナーです。
敬称略を使う際の注意点
「敬称略」はどのようなシーンで使う場合でも注意したい点がいくつかあります。少人数の集まりには妻わない・二重敬語にならないようにする・メールでは使わない等、言葉そのものの使い方と、使った氏名や団体名のリスト作成や読み上げの際にも守るべきマナーを一緒に解説するので参考にしてください。
少人数の場合は使用しない
「敬称略」を少人数の集まりで使うと失礼に当たります。集まる方が10人以下の場合は、1人ずつ敬称を付けましょう。「敬称略」を使えるようになる人数に特別決まりはないので、資料作成やスピーチ担当者の判断に委ねられます。しかし、物事をスムーズに進めるには11人以上の集まりから使うのがオススメです。
二重敬語に気を付ける
「敬称略」と記載・宣言をしたら、氏名や団体名の後に敬称を付けないようにしましょう。「敬称略」にはすでに相手を敬う意味が含まれています。二重敬語になってしまい、非常に失礼です。
「敬称略」を使わない場合、社長や部長など役職名を持つ方には「部長様」など後ろに敬称を付けないようにしてください。「敬称略」を使わない場合、社内の方には社長・部長などの役職名で、社外の方には基本的に様で記載・呼名するのがオススメです。
敬称略の記載漏れに注意する
「敬称略」を使うときは、「敬称略」の記載や宣言を絶対に忘れないようにしてください。記載や宣言を忘れると、相手を呼び捨てしているのと同じになります。失礼に当たるのはもちろん、場合によっては来客に不快な思いをさせてしまうかもしれません。
社外の方から先に記載する
社外と社内の方が一緒に参加する会議などの名簿を「敬称略」で作成する場合は、社外の方を先に、社内の方を後に記載します。社外の方の氏名を書いたら、すぐ後ろに所属している企業・団体名などを書きましょう。
「敬称略」を使えば役職名の省略も可能ですが、どうしても抵抗がある場合は役職を持つ方だけ役職名を添え、一般社員の方を「敬称略」とするのがオススメです。
役職順に並べる
「敬称略」で名簿などの作成をする場合は、参加する方を役職順にリストアップしましょう。「敬称略」を使うと敬称を付けずに氏名だけが並ぶ形になるので、参加する方の立場が分からなくなります。
役職順に並べない場合は、冒頭に「敬称略・順不同」と付けてください。「敬称略・順不同」は社内の方しか参加しない会議などの出席者リストにも使えます。ビジネスシーンでは非常に役立つので、ぜひ覚えてください。
メールでは使わないようにする
メールは1対1のコミュニケーションなので、「敬称略」と書いて送るのは失礼です。相手の氏名の後にきちんと敬称を付けて送ってください。「敬称略」は議事録・式典・冠婚葬祭など大勢の方が集まる場面だけで使うものと覚えておきましょう。
敬称略の適切な使い方と例文
「敬称略」の正しい使い方は、社内文書と社外文書で異なります。それぞれ例文と一緒に解説するので、
社内文書の正しい例文
社内文書で「敬称略」を使った氏名リストを作る場合は、文書の冒頭に「敬称略」と書いた後、敬称や役職を付けずに氏名だけを書きましょう。氏名は上の役職にある方から書きます。社内会議出席者名簿であれば、以下のような体裁にしてください。
例文
○○会議出席者一覧(敬称略)
* 佐藤 花子
* 田中 隆
* 伊藤 明子
* 山田 一郎
個人の役職があいまい、分からない等の理由で氏名を役職順に書けない場合は、失礼にならないよう冒頭に「敬称略・順不同」と書きます。社内の集まりであってもビジネスマナーを守って作成してください。
社外文書の正しい例文
社外文書で「敬称略」を使った氏名リストを作る場合は、冒頭に「敬称略」と書いた後、氏名に会社名・所属団体名を添えて書きます。社外と社内の方が一緒に参加する会議などのリストを作る場合は、社内の方にも自社の名称を添えます。社外・社内合同会議の出席者名簿の作成には以下の例文を参考にしてください。
例文
○○会議出席者一覧(敬称略)
* 青木 花子 □□株式会社 部長
* 鈴木 和彦 株式会社△△△ グループ長
* 伊藤 明子 ○○株式会社
* 山田 一郎 ○○株式会社
社外文書でも役職順に書くのが難しい場合は、冒頭を「敬称略・順不同」にします。
「敬称略」は大勢の方が集まるビジネスシーンで大活躍する言葉
「敬称略」は会議・式典・イベント・冠婚葬祭など、たくさんの方が集まるシーンで大活躍する言葉です。文書の見た目をすっきりさせられるだけでなく、相手への敬意と敬称を省略する失礼を詫びる気持ちも伝えられます。
実際に「敬称略」を使った氏名リストを作るときは、社外の方を先に書く・役職順に書く・「様」などの敬称を付けない等、この記事で解説したマナーを守って作成するようにしてください。また、実務では相手の役職が分からない、名前を役職順に書けない等の事態も発生しうるので、「敬称略・順不同」とセットで覚えておくのがオススメです。