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「恣意的」の意味をきちんと理解できていますか?「恣意的」は意味を誤って解釈している人も多い言葉の一つです。たとえば、「意図的」と同じように使われることがありますが、両者の意味合いは異なります。そこでこの記事では、「恣意的」の意味や使い方、同義語と対義語などを解説していきます。ぜひ最後までお読みください。
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恣意的(しいてき)とは?
「恣意的」とは、「しいてき」と読みます。「恣」は訓読みで「ほしいまま」と読み、勝手気ままな様子を意味しています。それに人の気持ちや考えを表す「意」という漢字を合わせた言葉です。 大きく2つの意味があり、一つが「勝手気まま」という意味合い。もう一つは、「偶発的」という論理的につながっていない様子を表す言葉として使われます。
「意図的」との違い
近年、「恣意的」を「意図的」と同じような意味で使う人も多く見受けられますが、両者の意味は異なります。この違いは、「はっきりとした目的があるかないか」です。
「恣意的」には、はっきりとした目的がなく「思いつきや気分で判断したり行動したりする様子」を表しています。計画などがなく短絡的な思考に近い状態です。
一方、「意図的」は「はっきりとした目的や思惑を持って行動する様子」という意味を持ち、計画に従って、ある一定の結果を目指している状態を表します。
「恣意的」と「意図的」の違いを端的にまとめると下記のようになります。
恣意的:勝手気まま。目的がない。
意図的:目的のために意志を持って行動している。
「恣意的に」は
「恣意的」という言葉は、「恣意的に解釈する」や「恣意的に選ぶ」などのように、副詞的な使い方をする言葉です。ビジネスシーンに限らず、新聞記事やビジネス書などで「恣意的」という言葉を目にする機会があるでしょう。「恣意的」は「ルールに従わず、気分や思いつきで行動する様子」を表すため、まずルールが決まっている状況でなければ使えない言葉です。「論理的な行動が求められる状況」や「自分勝手に行動してはいけない状況」であるにもかかわらず「自分の思うように行動」をした場合に使います。そのため、「今日は休みだから恣意的に午後まで寝ていた」などという使い方は誤りです。
<例文>
- 「恣意的なデータの選択は、研究結果の信頼性を損ねる。」
ビジネスシーンでの使い方
ビジネスシーンにおいては、たとえば以下のような場面で「恣意的」という言葉を使います。この場合、批判したり指摘したりといったニュアンスで使われることが多いです。
- 意思決定や情報収集の際に、論理的ではない方法で進めていることを指摘する場合
- 特定の管理職の勝手な意向が影響した人事異動や人事考課を批判するとき
- 重要なデータや文書、会計情報などを勝手に書き換えた疑いが生じたとき
以下に例文を紹介します。
<例文>
- 彼の恣意的な議論の進め方は問題だ。
- 彼女は商品を恣意的に選んでいるとしか思えない。
- 部長の恣意的な判断で企画が変わった。
このように、ビジネスシーンでは、「恣意的」という言葉がネガティブな意味で使われるのが一般的です。
「恣意的」の類語・類義語は?
では、「恣意的」と似たような表現にはどのようなものがあるのでしょうか。独断や自分に都合のいい行動や、個人の判断で物事を進めることを表す言葉に、次のようなものが挙げられます。言い換えが可能なものから、ニュアンスの違いがあるものまで、それぞれの意味を正しく理解し、咄嗟の場面でも使えるようにしておきましょう。
「場当たり的」
「場当たり的」は「計画性がなく、何かに直面した時に、その場の思いつき行動するさま」を表す言葉です。目的がないという点で、「恣意的」の言い換え表現としてそのまま使えます。元々「場当たり」とは、その場で機転をきかせて面白おかしくして、その場を盛り上げるという意味の言葉だったのです。それが転じて、その場の思い付きで行動する様子を批判する意味で使われるようになりました。
<例文>
- 「部長の場当たり的な指示で、部下が振り回されています。」
「自由気まま、気の向くまま」
「自由気まま」や「気の向くまま」も「ルールに従わない」という意味合いが含まれるので「恣意的に」の類語になります。自由気ままをわかりやすく言うと、他人や物事に縛られずに、思った通りにのびのびと行動するという意味です。何かの行動を取ることによって周りに影響が出ないかを考えないという点で、しばしば批判の意味あいを持つことがあります。
<例文>
- 「彼女は自由気ままな人だ。」
- 「元上司は退職してから自由気ままに過ごしているそうだ。」
「任意」
「任意」は「ルールなどによらず、その人の自由な判断に任せること」を意味する言葉です。「自分の思うまま」という意味合いが含まれるので「恣意」の類語として使えます。ただし、「恣意的」はネガティブなイメージで使われることが多い一方、「任意」は「個人に委ねる」というプラスでもマイナスでもないイメージで使われる点が異なっています。
<例文>
- 「今回のセミナーは、任意参加です。」
- 「アンケート用紙の提出は、任意でお願いします。」
「独断的」
「独断的」は、「正しい根拠に基づくのではなく、自分だけの考えで厳密に吟味せずに勝手に物事を決めること」を意味する言葉です。特定の人の意向を強く反映した決定などに対して「独断的」という言葉で批判するときなどに使います。批判のニュアンスがつく点で「恣意的」と似ている言葉です。
<例文>
- 「このプロジェクトは、彼の独断的な見解で進められている。」
- 「彼は独断的に仕事を進めていく傾向があるので、周囲のサポートが必要だ。」
「無作為」
「無作為」とは、クジ引きのように、すべての人が一定の同じ確率で選び出される状態のことです。統計や確率の分野で頻出する言葉の一つで、「ランダム」という言い方でも使われます。「恣意的」と比べると、偶然性のニュアンスがより強調された言葉です。批判的な意味合いで使われるわけではない点が「恣意的」と異なっています。
<例文>
- 「袋から無作為に1つを取り出して調査する。」
- 「調査のため、対象を無作為に10名選出した。」
「利己的」
「利己的」とは、己が得するように計画し、行動している様子を表す言葉です。「利己」とは、「自分の利益だけを考えること」を指します。そのため、他人のことを顧みず、自分にメリットがあるかないかの損得勘定で行動する人を「利己的な人」と表現することがあります。わがままや欲深いなど、悪い意味で使われることが多い言葉です。
<例文>
- 「あの人は利己的な人だから気をつけて接さないといけない。」
- 「そんな利己的なやり方は認められない。」
「自分本位」
「自分本位」の意味とは、「自分を中心にして物事を考える」という様子を指します。考え方や行動を指すのに用いられ、他人の気持ちや立場を考えずに自分の欲求のみに従って考える場合に使われます。一般的に、「わがまま」や「頑固」、「他人に興味がない」などの特徴が当てはまる人のことを「自分本位な人」と表現することがあります。
<例文>
- 「A社長は仕事ができる人だが、自分本位な性格なのが玉に瑕だ。」
- 「彼は自分本位なので他人の面倒を見ない。
「恣意的」の対義語は?
ここまで、似た意味の言葉を紹介してきました。では、「恣意的」の対義語としてはどんな言葉があるのでしょうか。「恣意的でない」という表現の仕方もありますが、ここでは、「気まま」や「自分勝手に振る舞う」という意味の「恣意的」とは反対の意味を持つ言葉を、例文とともに紹介します。類義語と合わせて押さえておきましょう。
「機械的」
「機械的」は「意思や感情を持たずに決まった動作を行う様子」や、「個々の状況や私情を考慮せず、一律に物事に当たる様子」を指す言葉です。意思を持たない決まった動作を行うさまを表します。そのため、個人の思うままに動くという意味がある「恣意的に」と反対のニュアンスを持つ対義語として使えます。
<例文>
- 「彼は淡々と、機械的に経費書類を処理していた。」
- 「彼女は機械的にページをめくりながら資料を読んでいた。」
「規則的」
「規則的」は「一定の決まりに従っているさま」「規則正しく秩序通りであるさま」を意味する言葉です。規則はルールとも言い換えられる、人の従うべき規則を指しています。そのため、「恣意的」の「ルールに従わず気ままな行動する」とは真逆になるため、対義語として使えます。
<例文>
- 「メトロノームは規則的に拍子を刻んでいる。」
- 「規則的に運動をすれば、彼はもっと健康になるに違いない。」
- 「彼女は、規則的な行動で無駄を省いている。」
「一貫」
「一貫」は「始めから終わりまで、一つの方針や考え方を曲げないこと」を意味する言葉です。たとえば、一貫した行動をするとは、自分の信念や原則に基づいて行動を続けることを示しており、「勝手気ままに振る舞う」という意味を持つ「恣意的」の対義語になります。
<例文>
- 「彼のプレゼンテーションが採用されたのは、目指すものが一貫していてブレなかったからだろう。」
- 「彼女の考え方は終始一貫している。」
「恣意的」を正しく理解して、表現に差をつけましょう
「恣意的」は、はっきりとした目的がなく「思いつきや気分で判断したり行動したりする様子」を表しており、どちらかというと否定のニュアンスの強い言葉です。同様の言葉に「場当たり的」や「自由気まま」などが挙げられることからも、そのイメージが伝わるでしょう。きちんと意味を理解して正しい場面で使うことが大切です。
このほかにも、さまざまな言葉を紹介しているので、ぜひ他の記事も参考に、ビジネススキルの向上に役立ててください。