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「とんでもないです」というフレーズ、日本のビジネスシーンでは頻繁に耳にしますが、正確な意味と使い方を理解して使っている人は少ないでしょう。「とんでもないです」は褒め言葉や感謝、謝罪の返答として重宝されますが、誤用すると相手を不快にさせる恐れもある言葉です。
この記事では、ビジネスシーンにおける「とんでもないです」の適切な使用法を、具体的な例文と共に解説します。さらに、言い換え表現や英語での相当フレーズも紹介。この記事を読めば、適切なコミュニケーションが取れる様になります。
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「とんでもないです」の正しい意味は?
「とんでもないです」という言葉は、ビジネスシーンでよく使われますが、その意味は状況によって異なります。
「とんでもないです」の意味
* 思いがけない・意外である:予想外の出来事や提案に対して驚き
* もってのほかである・けしからん:許容できない行動や提案に対する強い否定
* 決してそうではない・滅相もない:謙遜の表現として用いられる
ビジネスシーンでは相手に対する敬意を表すため、状況に応じて使うことが大切です。
「いえいえ、とんでもないです」という表現は、主に謙遜の意味合いで使われます。ビジネスメールや対面での会話など、さまざまな場面で活用できる便利な言葉です。
「とんでもないです」の語源とは?
「とんでもないです」という言葉の語源は「途でもないです」という表現から派生したと言われています。「途(みち)」は「道のり」や「手段」を意味し、否定の「ない」が結びついて「途でもない」という形が生まれました。
これが「道理を外れている」または「筋道がない」といった意味合いを持つようになります。「途でもない」が変化し、「とんでもない」という現代の形が生まれました。この変化は言葉の読みやすさや発音のしやすさから自然に生じたと考えられています。
「とんでもないです」は、古くから使われている日本語の中で、意味や用法が時間とともに変化してきた言葉の一つです。ビジネスシーンでこの言葉を使う際は、背景を理解することで、より適切な使い方ができるようになります。
「とんでもないです」は誤用と注意されることも
「とんでもないです」という表現は、文法的な観点から見ると誤用とされる場合があります。形容詞「とんでもない」に「です」を加えた形で、通常の形容詞に対する「です・ます」調の使い方に照らし合わせると、誤用とみなされることがあるのです。
「とんでもない」自体が一つの形容詞であるため、「とんでもないです」という表現は基本的に誤用とされます。正しくは「とんでもないことです」や「とんでもないことでございます」が適切な表現です。
ビジネスシーンでは、文書やメールでの正しい表現が求められるため、細かな言葉の使い分けが重要になります。
「とんでもないです」を使えるビジネスシーンと例文
「とんでもないです」はビジネスの会話でもよく使う言葉です。本来、謙遜の意味で使いますが、ビジネスシーンで使う場合は相手によっては表現を変える必要も。
「とんでもないです」の使えるシーンをパターン別で解説します。
上司に褒められた時に使用するケース
「とんでもないです」という表現は、ビジネスシーンにおいて上司からの褒め言葉に対する謙遜の返答として使用されます。
上司が資料の品質を評価した際には「とんでもないです。お役に立てて光栄です」と返答することで、謙虚な姿勢を示せるでしょう。営業成績について褒められた際も「とんでもございません。これからも精進します」といった返答が適切です。
ただし、謙遜表現ばかりを使用すると、自分の成果や努力を過小評価してしまう恐れがあります。時には「ありがとうございます」と素直に感謝の意を表現することも大切です。
先輩から感謝された時に使用するケース
「とんでもないです」という表現は、先輩から感謝された際に謙遜の返答として使用できます。
先輩がプロジェクトの協力に対して感謝の意を示した時、自分は「とんでもないです。お役に立てて光栄です」と返すことで、謙虚な姿勢を保ちながらも感謝の意を示せます。
緊急の仕事を手伝った後に先輩から「あなたがいてくれて本当に助かった」と感謝された場合、「とんでもないです、いつでもお手伝いします」と応じることが可能です。
「とんでもないです」という表現は、感謝された際に自分の貢献を控えめに表すために役立ちます。
取引先から謝罪された時に使用するケース
ビジネスシーンで「とんでもないです」という表現を使う適切なケースの一つは、取引先からの謝罪を受けたときです。この表現は謝罪をやんわりと否定し、相手を気遣う際に活用できます。
例として、取引先が納期の遅れについて謝罪した場合、以下のように返答できます。
> 取引先:「納期の遅れでご迷惑をおかけしました」
> 自分:「とんでもないです、状況をご説明いただき感謝しています。今後の計画についてもよろしくお願いします」
「とんでもないです」という表現で相手の謝罪を受け入れつつ、今後の協力を求める姿勢を示しています。
また、相手が何らかの不都合に対して謝罪した際にも適切な表現です。
>取引先:「突然の変更でご面倒をおかけして申し訳ありません」
>自分:「とんでもございません、こちらも柔軟に対応いたします」
この応答では、「とんでもございません」という表現で相手の謝罪を受け流し、同時に自分の協力的な態度を示しています。
「とんでもないです」を使用する上での注意点
「とんでもないです」はビジネスの日常でよく使われる言葉ですが、相手や使う頻度に注意が必要です。具体的な例を用いて解説します。
上司や目上の人に使用する場合は、使い方に注意する
「とんでもないです」という表現を上司や目上の人に使用する際は、誤解を招かないよう注意が必要です。基本的には謙遜や謝罪の否定を意味しますが、一部では誤用とされることもあります。
ビジネスシーンでは、言葉の選び方によって相手に与える印象が大きく変わるため、慎重な対応が必要です。
例として、上司がプロジェクトの成功を褒めた時に「とんでもないです」と答える場合は、謙遜の意を示しつつも相手を尊重する言葉を使いましょう。
「そう言っていただけて光栄ですが、チームのみんなのおかげです」というように、感謝の意を込めた言い回しを取り入れると、よりコミュニケーションが取れます。
また、目上の人からの感謝や謝罪に対しては「とんでもないです、私の役目ですから」といった具合に自分の役割を強調しつつ、相手の気持ちを配慮した応答が効果的です。
「とんでもないです」を使う際は、文脈や相手の立場を考慮し、適切な言い換えを心がけるようにしましょう。
相手の言葉の否定や謙遜しすぎにならないように注意する
「とんでもないです」という表現を使う際、特に上司や目上の人とのコミュニケーションでは注意が必要です。謙遜の意を表す際に使われますが、相手の褒め言葉を否定する形になることがあり、相手を不快にさせる可能性があります。
例として、上司があなたの成果を褒めた際に「とんでもないです」と応じると、謙虚さを示す一方で、褒め言葉を否定しているようにも受け取られかねません。「とんでもないです」と答える際は、続けて感謝の言葉を添えると良いでしょう。「とんでもないことです、ただ皆さんのサポートのおかげで達成できました」といった表現です。自分の成果を控えめに評価しつつ、チームへの感謝も伝えられます。
ビジネスシーンでは、直接的な感謝の表現を使うことも大切です。「ありがとうございます」や「光栄です」などの言葉を織り交ぜることで、相手の褒め言葉をより積極的に受け止め、ポジティブな印象を与えられます。
「とんでもないです」の類義語は?
「とんでもないです」には多くの類義語があります。ビジネスシーンで使える「とんでもないです」の類義語と例文を紹介するので、参考にしてください。
①恐縮です
「恐縮です」という表現は、ビジネスシーンにおいて重宝される謙虚な言葉遣いです。このフレーズは、相手の親切や褒め言葉に対し、深い感謝の気持ちと謙遜を示す際に使われます。「恐縮」という言葉自体は、もともとは「恐れて身がすくむ」という意味でしたが、現代では感謝やありがたさを伝える際に用いられることが一般的です。
例として、上司が「あなたの努力には感謝している」と言った場合、「恐縮です、これからも頑張ります」と返すことで謙虚さを保ちつつ、上司の言葉に敬意を表せます。
さらに、感謝の意をよりはっきり伝えたい場合は、「ありがとうございます」というフレーズを加えると良いでしょう。「お褒めの言葉をいただき恐縮です。ありがとうございます」と言うことで、相手への敬意と感謝の気持ちが伝わります。
②滅相もないです
「滅相もないです」は、ビジネスコミュニケーションにおいて謙虚さを示す際に有用な表現です。相手の褒め言葉や好意を謙遜して否定する際、提案や依頼を丁寧に断る際に用いられます。
例として、上司から「このプロジェクトはあなたのおかげで成功した」と言われたとき、「滅相もないです、チーム全員の努力の結果です」と返すことで、自身を控えめに表現し、他のチームメンバーへの敬意も示せます。
また、「滅相もないです」という表現は、断る際にも活用できます。取引先からの過大な要望に対し、「その提案は滅相もございません。しかし、別のアプローチを検討させていただきます」と返答することで、柔らかく断りつつ、代替案への意欲を示せます。
「滅相もないです」は、謙遜や断りの言葉として、ビジネスシーンで幅広く使われる便利な表現です。
③恐れ入ります
「恐れ入ります」という表現は、ビジネスシーンにおいて感謝や申し訳ない気持ちを表す際に使用できます。上司や取引先など、目上の人に対して使われることが一般的です。
例として、上司から「あなたのプレゼンテーションは素晴らしかった」と褒められた際に、「恐れ入ります、お褒めの言葉をいただき光栄です」と返答することで、謙虚さを示しつつ感謝の気持ちを表現できます。
しかし、「恐れ入ります」はより敬語的なニュアンスを持つため、場面に応じて適切に使い分けることが大切です。感謝の意味を強調したい場合は「ありがとうございます」と併用することで、より丁寧な印象を与えられます。
④光栄です
「光栄です」という表現は、感謝や名誉を思う気持ちを示すときに適した言葉です。目上の人に限らず、同僚や部下に対しても使えるため、ビジネスシーンで幅広く活用できます。
例として、上司から特定のプロジェクトでの貢献を認められたときに「光栄です、今後もチームのために全力を尽くします」と返答することで、謙虚ながらも貢献への自負を示せるでしょう。
取引先から特別な依頼を受けた際には「このような大切な任務をお任せいただき光栄です。精一杯努めさせていただきます」と述べることで、信頼への感謝と責任を全うする決意を表現できます。
「光栄です」は、相手からの褒め言葉や重要な役割を任された際の感謝と尊敬を示すのに適した表現です。
⑤もったいないお言葉です
「もったいないお言葉です」は、ビジネスシーンにおいて、目上の人や同僚からの高い評価や、褒め言葉を受けた際に用いられる謙虚な表現です。相手からの賛辞を素直に受け止めつつ、自身がそれに値しないという謙遜の気持ちを示します。
例として、上司が「先月は本当によく頑張ったね、みんな褒めていたよ」と評価した場合、返答として「私にはもったいないお言葉ですが、大変光栄です。これからも良い結果が出せるよう、精進いたします」と言うえます。
「もったいないお言葉です」は、特に評価や労いの言葉を受けた際に使うことで、相手に対する敬意を示しつつ、さらなる努力を誓う姿勢を表現できる言葉です。
⑥幸甚に存じます
「幸甚に存じます」は、「大変うれしく思う」という感情を表す敬語表現です。ビジネスシーンにおいて、目上の人からの提案や評価に対して、感謝と尊敬の念を示す際に適しています。
例として、上司や取引先からプレゼンテーションの担当を依頼された場合、「このような貴重な機会をいただき、幸甚に存じます」と返答が可能です。
しかし、この表現は比較的堅い言い回しであるため、主にビジネスメールで使用します。口頭での使用は、場の雰囲気や相手の立場を考慮して慎重に行いましょう。
「とんでもないです」の英語表現は?
「とんでもないです」という表現に直接的な英語の対応はありませんが、以下のフレーズを活用することで同様のニュアンスを伝えることが可能です。
褒められたときには「Thank you」(ありがとうございます)や「I'm glad to hear that」(そう言っていただけてうれしいです)という表現が使えます。
また、感謝されたときには、「Don't mention it」(どういたしまして/感謝するほどのことではありません)や「Not at all」(とんでもないです、お礼を言うほどのことではありません)などの表現がおすすめです。相手の感謝を受け入れつつも、謙虚さを示します。
謝られたときには、「No problem」(大丈夫です、問題ありません)や「Don't worry about it」(気にしないでください)、「That's okay」(大丈夫ですよ)などの表現が適切です。相手の謝罪を受け入れつつ、問題がないことを伝えるのに役立ちます。
正しく使い、コミュニケーションの幅を広げる
「とんでもないです」とは、相手の言動に対して謙虚に応答する日本語の表現です。ビジネスシーンでは、謙遜や敬意を示す際に広く用いられます。この表現は、褒められた時、感謝された時、謝罪された時など、さまざまな状況で活用できるでしょう。褒められた際には、「恐縮です」や「もったいないお言葉です」などの表現が似たニュアンスを持ちます。
また、感謝された時や謝罪された時には「恐れ入ります」や「幸甚に存じます」といった言い回しもおすすめです。これらの表現は相手に敬意を示し、自身の謙虚さを伝えるために役立ちます。適切なタイミングで「とんでもないです」を使用したり、類義語を組み合わせることでコミュニケーションの幅が今まで以上に広がるでしょう。