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企業の資金管理や財務戦略の立案・実行、財務報告書の作成や分析など、企業の財務全般を担当する財務担当者を採用したい企業は多いのではないでしょうか。
財務担当は、企業経営を円滑に進めていくうえで欠かせないポジションです。しかし、労働人口不足の現在、多くの企業が想い通りに財務担当者の採用ができず苦戦しているはず。
そこで、今回は財務担当者の採用を成功させるコツについて解説します。財務担当者が現職を辞めて転職しようと思う原因についての解説や、転職先の会社に期待している環境や魅力について解説しているので、参考にしながら採用活動を進めてみてください。
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財務に転職希望の理由は?
財務担当者が転職をする理由について大きく2つに分けて解説をします。これから解説をする2つのポイントを理解することで、転職先を探している財務担当者にアピールすべきポイントが見えてくると思います。
財務への転職を考えている求職者に対して、的確なアプローチや魅力を訴求することは、採用活動において成功につながる確率が一気に上がるといわれています。
求職者にまったく関係ない魅力やポイントを訴求しても意味がないので、財務担当者が転職しようと思う理由をしっかり理解し、採用活動に活かしてください。
環境や処遇で転職希望
現職の労働環境に不満があり、転職を決める人は多いです。
転職市場で「転職理由は?」と聞くと、ほとんどの求職者が会社の待遇や給料に不満を感じ転職を決める人が多いです。同様に、財務担当者も会社の将来に不安を感じたり、自身の評価や会社の評価制度、なかなか上がらない給与形態に不満を感じる人が多いです。
特に財務の仕事は、自らが会社の利益を作る営業などの職種とは違い、企業のバックオフィスとして、企業経営を「支える」ことに重きを置いた業務です。そのため、営業のように自身の成果が可視化しづらく、インセンティブやボーナスに反映されないと感じる人が多いのが特徴です。
そのため、財務担当を採用したい企業は、自社の評価制度は目に見える成果だけでなく、日頃の勤務態度や上長との面談、システムを用いた公平な評価制度があるなど、評価制度が整っていることをアピールしましょう。
スキルや能力向上を目指し転職希望
自身のスキルアップを目指して転職をする人が多いです。
財務担当者は、同じ企業にいると毎日同じような業務が繰り返され、なかなか違う業務を体験しづらいというのが課題です。
もちろん企業によって財務担当者に任せる仕事の幅は異なってきますが、ずっと同じ企業にいると業務の幅に限りが出てきてしまうという点で、キャリアアップのために転職を考える人が多いです。
また、新たな業務に挑戦できる環境や、後輩教育などのマネジメントに挑戦できる環境を求める財務担当者が多いのも特徴です。
これらの点を踏まえて、財務担当者を採用する際は、求職者がこれからどのような業務をやりたいか、しっかり面談や面接の中で確認をしたうえで、自社では何を財務担当者に任せたいかを伝えるようにしましょう。
選考のうちから任せる業務内容や期待していることを伝えておくことで、入社後にギャップがあったというトラブルを防ぐことができます。
人間関係で転職希望
その他、転職理由で多いのが人間関係のトラブルです。
財務担当者に限らず、社会人が転職をする際にあげる理由でトップにくるのが「人間関係」です。企業に属していると、どうしても自分とは合わない人物と仕事をしなくてはいけない機会が多いです。
部署の人数がもともと少ない財務担当者だと、部署内での人間関係のトラブルがあった際業務に支障をきたしたり、他部署との連携の際別部署の人とうまくコミュニケーションが取れず、転職を考える人が多いです。
そのため、財務担当者は次の転職先に社内の雰囲気の良さや人間関係が自分に合うかを重視する人が多いです。
社内の雰囲気については、面接で面接官から伝えることはできますが、その企業でどういった人がはたらいているかは実際に会ってみないとわからないものです。なので、選考の中で、できるだけ現場メンバーと求職者がかかわれる座談会のような機会を作るようにするのがおすすめです。
採用活動の進め方1:アピールポイント
上記で解説した、財務担当者が転職を考える理由を把握したうえで、自社ではどのようなアピールポイントを作ることができるか考えてみましょう。
そのためには、まず自社が求める人物像を決める必要があります。これは、採用活動において「ペルソナ」といい、求める人物像の性別や趣味、経歴、生活の過ごし方や思考まで、一人の人物を仮想しながら、ターゲットとなる求職者をイメージします。
その結果、だんだんと求職者が求めていること、なぜ転職をしたのか、何が嫌だったのか、次の会社には何を望んでいてどんな環境が合う人なのかが見えてくるはずです。そこで見えてきたものをもとに、自社のアピールポイントを考えると、おのずと求めているターゲットに魅力的な訴求をすることができるようになります。
採用活動において、ペルソナ作成は最も重要と言われているので、時間をかけてしっかりと作成してみてください。
環境・処遇について自社のアピールポイントを数字で表す
求職者が会社選びの際に、重点的にみているのが仕事内容や給与、さらに会社の業績やその会社が何を主軸にビジネスを進めているのかです。
せっかく転職をしたのに、転職先の業績が悪く倒産をしたという結果は、求職者が1番避けたい事態です。そのため、求職者は企業が公開している経営状況や業績をしっかり確認し、取扱商品が今後市場で伸びるのか、どのような売上推移で伸びているのかを知りたがっています。
そのため、財務担当者を採用する際には、会社の業績やビジネスモデルに対して、しっかりと数字で表すようにしましょう。
よく「伸びています!」「市場No.1」のような記載を見ますが、これらは求職者にとって抽象的かつ曖昧な情報のため、信頼性に欠けるので注意してください。
スキルや能力向上について自社のアピールポイントをまとめる
任せる業務内容やキャリアステップ、部署内でのポジションについて明確に表記するようにしましょう。
キャリアアップを目指して転職をする求職者は多いです。そういった求職者には、自社に入社すればどのようなスキルが身につけられるか、どういったキャリアステップがあるのかをモデル事例を用意して、明確に表すようにしましょう。
また、配属部署の中でどのような役割になるのか表記するのがおすすめです。経験者であればリーダーやマネージャーを目指せることや、未経験者であれば数年後にはリーダーになれるなど記載することで、求職者が数年後まではたらいた時のイメージを持ちやすいです。
求職者の中には、マネジメントに携わりたいという思考の方もいるので、ポジションを明確にすることはアピールにもつながります。
キャリアパスや期待する役割を示す
求人票や自社のホームページに、既存メンバーのキャリアステップを事例として記載するだけでなく、求職者の希望のキャリアも確認するようにしましょう。
確認方法は、面接の際です。「3年後のイメージしているキャリアは?」「5年後どんな役職につきたいか?」など、具体的な数字でイメージをしてもらうことで、求職者の希望のキャリアを知ることができます。
求職者の希望キャリアを聞くことができれば、それに対して自社ではどのようなアプローチやスキルが身につけられるかを説明し、求職者が目指すものが叶う環境だということをアピールしましょう。
その際に、入社してもらってからやってほしいこと、期待していることも伝えることで、求職者がイメージしているキャリアに対して、モチベーションが上がる可能性があります。
モチベーションが上がれば、自社への志望度も上がり採用につながるので、まずは求職者のキャリアプランをしっかり確認してみてください。
職場環境を把握しておく
求職者がもし入社した際、配属される部署について事前に把握しておきましょう。
はたらく環境を重視する求職者は多いです。特に財務は、少数精鋭で行っている企業が多いため、人間関係が良好なのか、どういった年代の人がいるのか、経験者や自分に業務を教えてくれる人はいるのかなど、求職者が知りたいことが多いです。
面接の逆質問で、配属部署について採用担当者は質問をされる機会が多いと思うので、事前に部署について理解をふかめておくことで、求職者が知りたい情報を瞬時に開示できるように準備しておいてください。
男女比や年齢層についてはデータで出しておくこともおすすめです。「〇〇くらい」などの曖昧な表現は、入社後違ったという事態を招きかねません。求職者にとってベストな情報提供の仕方をすることで、この会社は信頼できると思ってもらえるため、準備はしっかり行うようにしましょう。
採用活動の進め方2:求める人材
次は、どのような人物を求めているかです。
財務担当者だからと言って、誰でもいいというわけではありません。どのような経験やスキルを持っている人なのか、どのような人柄なのか、自社の社風にマッチするのかなど、求職者によってさまざまです。
財務担当者を採用する際は、スキルや人柄などをある程度定めておくようにしてください。その結果、多数の候補者が出た時最終的に事前に定めた求める人物像に合う求職者を採用することができます。
数字の強さや会計に関する知識の有無
財務担当者の業務には、お金回りなどの数字関係が必要不可欠です。
そのため、求める人物像として、数字や会計関係の知識がある人、数字に強い人を探すようにしましょう。
全く数字が苦手、人と話しながら業務を行いたい、じっとしているのではなくお客様先に出向いて行動しながら業務を行いたいという人には、財務の仕事は向いていません。数字など、細かな計算を地道に、正確に、且つ素早く行うことが財務担当者には必要です。そのため、これらのスキルを要する人や好んでできる人を見つけるようにしてください。
一般的に財務経験者であれば、数字関係の業務を経験している人がほとんどですが、未経験で財務担当者になりたいという求職者は実務経験のイメージがついていない可能性があるので、その点を面接の際しっかりと見定められるようにしてください。
将来の計画を立てて複雑な問題を解決・対策できる
財務担当者は、企業経営を行う上で企業のお金周りやお金の動きを把握する必要があります。
そのため、計画的に考えながら業務ができる人を採用するようにしてください。単発的な目標や計画を立てる人だと、お金関係の仕事には向いていません。財務担当者のような企業のバックオフィスで経営を支える人は、中長期的な計画をたてられる人が向いています。
また、客観的に自社の経営や状況を判断し、論理的に考えて行動ができる人も向いています。市場や競合他社のデータを用いながら、何が自社に一番適しているかなど判断できる人、そういった難しい状況の中で自身で考え行動できる責任感がある人は、財務担当者に向いているので、見つけたら採用をするようにしてください。
コミュニケーション能力が高い人
財務担当者は、他部署との連携が多い部署への配属になるため、コミュニケーション能力が高い人を採用するようにしましょう。
業務を行う上でコミュニケーションは欠かせません。その中でも、財務担当者は他部署からの依頼を多く受ける部署です。人とのコミュニケーションが苦手だったり、コミュニケーション能力がない方だと、業務がうまく進まずミスが起こってしまいます。
また、他部署のメンバーからは業務を頼みにくく、社内で部署間の壁が出来てしまう可能性もあります。その結果、会社の雰囲気が悪くなり人間関係や会社環境を理由に退職するメンバーが出てくる可能性があります。
そうならないためにも、他部署との連携をうまく取れるレベルのコミュニケーション能力をもつ人材を採用するようにしてください。
取得している資格
経験やスキルも大切ですが、どんな資格を取得しているかも大切です。なぜなら、資格取得のためには求職者が数か月勉強をする必要があるからです。
経験やスキルに関しては、面接で話を盛ることもできます。しかし、資格を取得していることは、嘘をつくことは履歴書上不可能です。また、資格取得のためには数か月、専門知識を身につけるための勉強をしたことがわかるため、知識がある人だと判断することができます。
取得している資格によって、どの程度のスキルや知識があるかは変わってくるので、社内で資格のボーダーラインを決めておくといいでしょう。社内で定めた資格を持ってい取得している人は書類審査合格で面接を実施するなど、選考の際の基準を決めておくことでスムーズに選考をすすめられるのでおすすめです。
日商簿記2級以上
簿記は帳簿をつけるために必要なスキルのため、財務担当者に必要なスキルだといえます。
事務職や経理などの職種でも、簿記を持っていると企業会計において活かせるスキルのため、多くの企業が高く評価します。また求職者も、企業から評価が得られることや、会計スキルを身につけられるという点で、簿記の資格を取得している人が多いです。
採用をするなら、簿記の中でも日商簿記2級以上を取得している人を採用するのがおすすめです。日商簿記2級2級は、簿記検定の中でも実戦で使えるスキルと言われています。
そのため、日商簿記2級以上を取得している人であれば、即戦力になってくれる可能性が高いため、期待して採用していいといえます。
公認会計士
公認会計士は、資金の流れから企業を評価するスキルを身につけているといわれています。
この公認会計士の資格を持っている求職者は、そのスキルや知識を持っていると判断していいため、積極的に採用したい人材です。
また、公認会計士は日商簿記2級より難易度が高いといわれています。日商簿記を持っていなくても、公認会計士の資格を持っている求職者であれば、企業のお金周りや財務についての知識は一定値備わっていると考えて問題ありません。
公認会計士の中には、国内だけでなくアメリカにおける公認会計士資格USCPAを所持している求職者もいます。USCPAの資格を持っている求職者は、日系企業だけでなく外資系企業からの注目も高いため、非常に競争力の高い人材だということを認識しておいてください。
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーは、お客さまの目標や夢に向かって目標達成のための資産形成やライフプランをアドバイスする仕事です。
ファイナンシャルプランナーの資格には、FP技能士検定があり、この資格を取得している人は、資産形成や投資など幅広いお金の知識があると考えて問題ありません。
特に、FP2級技能士検定資格を取得している人は、実際にファイナンシャルプランナーとして仕事をし、活躍するためのスキルや知識を身につけている人が多いのでおすすめです。2級以上になると、1級やそれ以外の難易度が高い資格もあるため、ファイナンシャルプランナーにかかわる資格を持っている人には、どの程度スキルや知識があるか、目指している級を聞いてみるのもいいでしょう。
まずは2級以上を取得している求職者をターゲットに採用活動をしてみてください。
FASS
FASSとは、日本CFO協会が認定している資格です。
FASSは、経理・財務スキル検定とも呼ばれており、実務レベルのスキルをAからEの5段階で評価するものです。内容は、資産・決算・税務・資金の4分野で構成されているため、FASS受験者経験があり、高いレベルの結果が出ている求職者は、財務担当者に必要なスキルが身についていると判断して大丈夫です。
FASSを受ける求職者の中には、自身のスキルレベルを図るだけでなく、将来経営じにゃ幹部候補を目指すために受験したという人も多いため、受験経験がある求職者には受験理由等を聞いてみるといいでしょう。
求職者のキャリアイメージや実力を確認することができるのでおすすめです。
採用活動の進め方3:採用情報をまとめる
採用情報は、社内のメンバーだけでなく、社外の人にまでしっかりと伝わる内容で明記するようにしましょう。
注意していただきたいのが、無意識に社内で使われている言葉を使うことです。社内のメンバーには通用する言葉でも、求職者にとっては理解できない場合があります。また、専門用語などは、求職者のレベルによっては理解できず、「この仕事は自分には難しすぎる」と求職者が感じ、応募が集まりづらくなります。
どのような人に入ってきてほしいか、どのような業務を任せるか、さらには入社後の待遇など、社内で検討した結果、求職者にわかりやすいようにまとめるようにしてください。
公開できる範囲で経営に関する数字をまとめる
財務担当者であっても、所属する企業が属している業界によって仕事の仕方や仕事の幅、さらには会社全体の経営方針が全く異なります。
求職者は、これから自分が入社するかもしれない会社の経営や業界について、知識が浅く不安を抱えている可能性があります。その不安を解消するために、自社の経営状態や業界動向について、できる限り正しい数値データで公開をするようにしましょう。
これらの情報が、求職者に対してわかりやすいように明確に公開されている企業や求人票は、求職者からの信頼を得やすいです。
信頼される企業は、求職者が「この会社ではたらきたい!」と思うきっかけになります。そういった信頼を作っていくことで、求職者が集まり採用成功につながるので、数字でまとめることに妥協せず、細かなデータまで出せるように準備してください。
就業環境に関する情報について整理する
転職を考えている人の中には、現職のはたらく環境や就業規則に不満を抱えている人が多いです。
これらの不満を抱えている求職者には、しっかりはたらく環境について説明をするようにしましょう。
具体的には、終業時間や残業時間、残業した場合の手当や有給消化についてです。残業時間分の給与はみなしなのか、別途支給されるのかなど詳細を説明していない企業は多いです。また、「有給が〇〇日ある!」と謳う企業は多いですが、有給取得率がどのくらいなのか数値がわからない企業が多いです。
具体がわからないままだと、求職者は不安を感じたまま就職することになるか、選考を途中で辞退してしまう可能性があります。そうならないためにも、先に求職者にはたらく環境について説明をしておき、理解を得るようにしましょう。
募集する人材に求めるスキル・経験を明確にする
財務担当者を採用する際は、特に求めるスキルや経験スキルで何が必須かを明確にするようにしましょう。
財務担当は、専門知識が必要不可欠です。自社で0から教育をしていくつもりならば必須スキルはそこまで多くありませんが、入社後から後輩教育や一人称で動いてほしい場合、どの程度のスキルを身につけている求職者ならば採用するのかを事前に決めておくようにしましょう。
これは、採用担当だけで決めるのではなく、財務部署のメンバーや会社の経営層と話し合って決める必要があります。そこで決まったレベル感をもとに、求人票に必須スキルや尚可スキルを記載することで、求職者は自分が活躍できる場所かを判断し、応募をしてくれます。
このスキルが曖昧なままだと、求職者もはたらくイメージが持てないので注意してください。
計画的に財務担当者を採用しよう
財務担当者を採用したいからといって、ただやみくもに採用活動を行ってもうまくいきません。
今回説明した通り、まずは財務担当者はなぜ転職をするのかその理由をはっきりさせることで、ターゲットに訴求できる自社の魅力を考えてください。その結果、魅力を伝えるために必要な準備や、求職者からの応募が集まりやすい条件などを決めていくことができます。
最初のうちはなかなか成果につながらないことも多いかもしれませんが、地道に続けていくことで必ず採用は成功します。あきらめずに着実に採用の準備をしていってみてください。