さまざまな職種の中でも花形といわれる経営企画。20代の方の中には「いつかは経営企画にいきたい」「経営企画に入るのに必要なスキルは？」などと考えることも多いと思います。

大企業では、将来の幹部候補を経営企画で育てる部署でもあります。

経営企画に異動したい、転職先として経営企画部署を考えたい、と考えている20代の方に、経営企画の仕事内容と、転職を成功させる道筋を説明していきます。

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経営企画の仕事内容とは

まず、経営企画の業務について説明します。経営企画は、経営者に近いところで全社的な計画と、事業、営業の業績の管理・分析を担う部署です。経営者の意思を実際の事業につなぐ重要な部署でもあります。

経営戦略の立案

経営戦略を立案することは、経営企画担当者の重要な仕事です。3〜5年先の成長を見据え、企業の「ヒト、モノ、カネ」のリソースを投じる戦略を立てます。企業の根幹にかかわるビジョンと方針を具体化に方向づけしますので重要な業務です。

外部環境要因の変化などで戦略の見直しが必要になる場合は、迅速な対応が求められます。ですので、目標の見直し、業務改善のために、事業部の現場との調整が必要な業務でもあります。机上の戦略立案ではなく、企業の内実の反映が必要だからこそ、冷静な分析と円滑なコミュニケーションが求められます。

事業計画の策定

経営戦略をもとに、新規参入も含めた企業が取り組む事業の計画を策定します。事業企画という仕事もありますが、こちらは担当する単独の事業の計画・推進を担当します。経営戦略では中長期的に計画を策定しますが、目標の達成が客観的に検証可能なところまで具体的に策定します。具体的には、外部環境と内部環境の分析、目標設定、目標達成のための課題抽出、解決策とアクションプランを具体的に作成する業務です。事業計画は、計画通りに進捗することはありません。その都度修正や改善をする必要があります。計画策定だけでなく、数値による進捗や状況の把握、軌道修正なども経営企画の仕事です。

業績管理

事業計画をもとに、各事業部が取り組む事業の進捗、業績の管理と分析するのも経営企画の役割です。定期的に、売上、コスト、利益、付加価値生産性などを算出し計画が目標達成に向けて進んでいるかどうかを検証します。企業活動を中長期的にベンチマークし、課題を抽出することも業績管理では重要です。

目標達成が困難な場合は、担当者にヒアリングし、事業部と協力して改善策を考えます。計画を立てた責任者として、現場の担当者の意見や改善へのアイデアを聞き社員全体で計画遂行を目指す旗振り役を務めます。

課題解決

プラン通りに進捗していない場合や、計画の実施に問題が生じた際、その原因を抽出・分析し、改善策や解決策を講じるのも経営企画の任務です。

課題解決は、ときには段階的に考える必要があります。売上に対し付加価値生産性が低ければ、業務効率向上のために計画の細部を調整する必要もあります。社内システムの改善で、大幅に好転する場合もありますので、最新の営業支援システムやDXの知見も必要です。

解決策を修正計画として立案・展開し、その進捗管理をすることも経営企画の仕事です。

新規事業の立ち上げ

企業成長のためには事業ポートフォリオ強化の一環として、新規事業への参入も重要な戦略です。

新規事業の立ち上げには、参入する市場の情報収集と分析が必須。前提となる分析が緻密でないと、事業が空転することもありますので、責任は重大です。新規事業を経営会議に提案し、承認されれば事業計画を策定します。

自社のリソースを新規に振り分けるため、組織の見直しやメンバーの選出も重要。採用を行うのであれば人事との連携、社内リソースの調整は事業部と行います。計画を随時修正しながら柔軟に対応するリーダーの資質が問われます。

20代の経営企画担当者に求められること

20代の経営企画は、30代以上の仕事のサポート役を務めることが多いです。ビジネスでの経験やスキルも重要ですが、経営企画に適した能力がポテンシャルとして求められます。

積極性と責任感

20代は、サポート業務が多くなります。具体的には経営会議の資料作成、事前の確認と修正、業績分析データの入力と評価など。計画策定の際もアイデアや方針より、基礎となるデータや数値を扱うことが多いです。

サポートとはいえ、数値の扱いや分析は経営の根幹を成す重要なもので、正確性が求められます。経験を積めば自社の経営上の課題や事業の改善策がわかるようになります。進んで多種多様な業務のサポートを引き受ける積極性と、現在、任されている業務に責任感を持つ資質が求められます。

学習意欲と能動性

経営企画では、経営戦略、経営計画、事業計画など多くの業務を担当します。業務には多様な知識が必要となり、仕事をしながら学習することになります。わからないことや知らないことを学習する意欲と、自ら学ぶ能動性が求められます。

例えば、業務の参考となる書籍を先輩に尋ねる、ビジネスニュースなどを日々チェックし、経営分野の情報を積極的に収集するなどを継続できるか、などです。

分析力と論理的思考力

財務諸表や経営指標、各事業部の業績など、経営計画の進捗確認から評価まで、経営企画の仕事は、数値分析が必須です。

また、環境分析が稚拙だと経営計画に支障が生じます。経営企画担当者は、市場動向や環境分析に必要な統計データや、売上や利益などの業績データを正確に読み解き、分析する力が求められます。

そのため、主観や思いつきではなく、論理的に考える癖をつけることも重要。結論から説明する帰納法、状況分析から積み上げて説得する演繹法、漏れやダブりをなくすMECE（ミーシー）といったフレームワークの活用も効果的でしょう。フレームワークを使いこなすために、日頃から身近な事象を当てはめて訓練しておくのも効果的です。

コミュニケーションスキル

事業計画立案や業績確認の際、ヒアリングするのは経験豊富な営業社員や事業部幹部です。また、報告する相手は30代から50代の上司たち。経営陣の前でプレゼンテーションすることも求められます。

実際に動く現場の優秀な人材や経営陣の限られた時間で、必要な内容を聞き出し、わかりやすく説明するには、高度なコミュニケーション能力が必要です。要点を絞り、誤解なく伝える技術は必須といえるでしょう。

クリエイティブ思考力

ビジネスイノベーションを起こすためには、論理的思考だけでは足りません。それまでにない発想やアイデアが活路となることもあります。

クリエイティブ思考とは、過去の事例や慣習、常識にとらわれない独自の発想のことです。企画会議の最初にブレストや雑談を行うのは、自由な発想が生まれる可能性があるからです。

資質に左右されるクリエイティブ思考ですが、訓練で身に着けることも可能です。例えば、散歩しながらの思考、意欲的に新しい体験をする、まったく違うものを結びつける思考を重ねる、などが挙げられます。

AIの時代、似たような戦略での競争に消耗しないためにも、イノベティブなアイデアが重要になっていきます。20代の担当者には、それまで会社になかったアイデアの提案が期待されているのです。

プロジェクトマネジメントスキル

経営企画では、全社の事業計画を管理しますので、複数のプロジェクトが同時進行します。それらを効率的に管理できる能力が、推進役である経営管理担当者には求められます。

特に20代のうちは、先輩の担当プロジェクトをサポートする機会が多いため、日々の進捗確認やデータの収集・分析などの業務が重なることもあります。自己管理も含めたプロジェクト管理が求められるのです。

ガントチャートの扱いなど基本スキルとともに、各担当者との密な連絡、遅延・未達の確認などを迅速に行い解決策を策定することが必要です。事業の流れをスムーズにし、担当者の負荷を減らす役割を担うのも経営企画です。

20代で経営企画への転職を成功させるため身につけておくこと

20代で経営企画への転職を成功させるためには、基本的な経営戦略と、深くビジネスについて理解していることが重要です。古典とされているものから最新のものまでマネジメント、マーケティングのビジネス書などで学習するようにしましょう。

経営戦略に関する知識の習得

経営企画では、企業全体の会計を把握することが重要です。財務や会計の知識は基本として習得しておきましょう。

過去の企業の経営戦略の知識も必要です。経営の基本、古典とされる経営者の著書や、新しい経営者の考え方などからは、学ぶべきことが多いです。また、企業経営についての基本的な知識も必要。会計、組織、人事についても勉強しておきましょう。

環境変化の早い時代だからこそ、経営も最新の情報と知識、技術トレンドへの敏感さが求められます。書籍だけでなくネットニュースやセミナー、他業界の方に話を聞くなど、常に知識をアップデートしておきましょう。

ビジネスの基礎知識の確認

ビジネスの常識的な知識を保持しているかどうかも、きちんと確認しておきましょう。筆記試験や面接の際、基礎的な言葉や概念を知らないのは致命的です。ビジネス書、ビジネスセミナーやオンライン講座などを活用し、基礎知識を習得しているかどうかを確認しておくと安心です。

また、経営企画にまつわる部分だけでなく、営業や製造に関する基礎的な知識も深める必要があります。経営企画の対象は全社の活動です。広範な分野に対する知識が求められます。

データ分析能力の向上

統計から数値を取得して分析、グラフ加工するなどは経営企画の業務で日々発生するものです。Excelやデータ分析ツールの扱いを習得する必要があります。

また、経営企画のデータ分析に求められるのは、現状の数値を分析し、経営者に対し「因果」と「ネクストアクション」を説明することです。「因果」は、現状分析の際に、目標達成ができていない原因は何か、どう作用しているかの仮説。「ネクストアクション」は、勝率が高い次の手です。

Excelやデータ解析ツールを活用してデータ分析する能力はもちろん、会社を俯瞰する視点で分析結果を活用することを意識しましょう。

20代で経営企画へ転職した後のキャリアパス

経営企画でキャリアを積むことで、会社経営に必要な基本的な知識とノウハウを蓄積可能。経営指標や経営計画に必要な財務管理を身に付けることができるので、会社の中枢に近い部署で活躍できます。

経営企画のスペシャリストとしてキャリアを積む

経営企画は、企業全体を俯瞰できる部署です。会社の進路を決定する重要な経営計画を立案し、各事業の計画を策定・管理します。

キャリアパスとして、経営企画部署で経験を積み経営者や事業部の信頼を獲得し、ポジションを上げるという選択があります。経営企画部署の管理職は、経営者の懐刀として有用です。将来的には、取締役や執行役員などボードメンバーとして会社の意思決定をする立場に進む可能性もあります。

経営企画を経て、マネジメントのキャリアを目指す

大手企業では、経営企画を経験した幹部候補を、事業部門に管理職として配置することが多いです。事業で実績を上げてから、経営陣に引き上げるという人事です。

経営企画を経験することで、全社的な視点が身につき、事業部門の運営にも経営視点が付加されるため貴重な人材として扱われます。ビジネスモデルや経営戦略に対する深い理解が育まれることも、有利です。財務や会計に明るいため、財務、経理、会計などの部署で管理職を目指す人もいます。

事業部門や海外拠点などへのキャリアチェンジ

経営企画からは、希望して事業部や海外拠点に異動する人も多いです。経営企画では海外拠点のヒアリングも盛んで、会社全体のグローバル戦略にも理解が深いため、海外拠点への異動も多いといわれています。

また、事業部門への異動も多く、直接事業部門にいかないまでも、事業企画のポストに着任する場合もあります。経営企画での経験を積むにつれ、計画を立案、遂行する立場から、日々の営業で利益を上げる部署を率いてみたいという希望を持つ人もいます。

海外拠点などでの経験を積み、経営企画に管理職として戻ることもありますし、経営メンバーとして任命される人もいます。

転職や起業など自己実現の道を模索する

転職の場合、経営企画経験があると、大企業やスタートアップ企業の経営陣やコンサルティングファーム、監査法人などに行くのも有利になります。

会社全体を俯瞰する視点を持つ経営企画の経験を活かし、コンサルタントとして起業する人や事業で起業する人も多いです。スタートアップは、会社の将来を見通す力と、市場分析力、意思決定の迅速さが求められますので、経営企画での経験は大きな力になります。

必要なスキルを身につけて20代で経営企画への転職を成功させよう

経営企画は、企業活動の根幹である中長期経営企画や新規事業立ち上げ、経営会議や株主総会のサポートなどを行う部署。経営陣に近いところで、そのビジョンや方針を実現すべく事業部を動かす旗振り役です。

業務は、20代のうちはサポートが中心で、資料作成や数値分析が主になります。経営企画は、経営陣への入口ですから、無理をしてでも転職を成功させる価値のあるポジションです。そのため優秀な人たちが目指しており競争も激しいです。

経営、ビジネス、財務、データ分析の知識とスキルを習得するとともに、全体を俯瞰して客観的に考える能力を磨き、目指しましょう。

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