目次
公認会計士試験を受けるなら、受験資格や試験免除などの条件を確認しておきたいところです。この記事では、「高卒だけど公認会計の受験資格はあるの?」「公認会計士の試験を受けたいけど、受験資格があるのか不安」と悩んでいる人に向けて、公認会計士試験について解説します。
公認会計士試験合格に向けた学習スケジュールや試験免除の条件についても解説しているので、これから受験を考えている人は、最後まで読んで参考にしてください。
公認会計士の受験資格とは?
結論、公認会計士試験には受験資格はありません。学歴や年齢、性別や国籍に関係なく誰でも受験できます。多くの国家資格に受験資格が定められているのに対し、公認会計士のような受験資格がない国家資格はめずらしいです。
公認会計士の試験には、幅広い人が受験しやすいよう充実した免除制度が備わってます。多くの人が利用する免除制度は、短答式試験に合格した後の2年間は、短答式試験が免除される制度です。多くの人がこの免除制度を利用しながら、公認会計士試験合格を目指しています。
昔は受験資格があった
実は、公認会計士にも昔は受験資格がありました。比較的、国家試験は受験資格が必要なものが多いです。税理士や弁護士、社会保険労務士なども受験資格を定めているため、条件に当てはまる人しか受験することはできません。
公認会計士も2005年以前は、大学もしくは短大卒の人のみが受験を認められていました。しかし、2005年以降導入した新制度で誰でも挑戦できる試験となり、多くの人が受験できるようになりました。
そのため、公認会計士に興味がある方は、学歴や年齢、文学部や理工学部など専攻や学歴問わず誰でも受験できるので、積極的に挑戦してみましょう。
新試験制度では、受験資格の廃止に加えて試験免除制度が拡充
公認会計士の試験は、新制度導入により試験免除制度が拡充されました。短答式試験に合格した翌年と翌々年の2年間は試験免除される制度のほか、さまざまな免除制度があります。
以下が試験免除条件と免除科目例の一部です。
【1】
条件:商学の教授または准教授の職歴3年以上、もしくは商学の研究で博士の学位を授与された者
免除科目:短答式試験全部、論文式試験(会計学、経営学)
【2】
条件:法律学の教授または准教授の職歴3年以上、もしくは法律学の研究で博士の学位を授与された者
免除科目:短答式試験全部、論文式試験(企業法、民法)
【3】
条件:司法試験合格者および旧司法試験第2次試験合格者
免除科目:短答式試験全部、論文式試験(企業法、民法)※司法試験合格者
このほかにも、会計分野の取得単位や提出論文によって科目の一部、または全部が免除される制度があります。
公認会計士試験が難しい理由
公認会計士の試験は難しいといわれています。理由は、試験範囲が広い上に深い理解が必要だからです。
一般的に、容易に合格できる試験は「広く浅く」勉強すれば、合格できます。しかし、公認会計士は、専門的な知識を「広く深く」学ぶ必要があるため、内容を深く理解しなくては合格できない試験内容になっています。
また、科目別で合格ができる制度は公認会計士にはありません。すべての科目にごうっかうをしなくてはいけないため、多くの人が効率的に勉強時間を確保するために、免除制度を活用しながら合格を目指しています。
公認会計士の資格試験の難易度
公認会計士の試験合格率は、10%(※1)です。
合格までに費やす勉強時間は、3,000時間以上と言われており、2〜4年間かけて目指す人が多いです。一般的には、受験1年目で短答式試験合格を目指し、受験2年目で論文式試験合格を目指す傾向があります。
理由は、短答式試験の合格率が10%に対し、論文式試験の合格率は35%(※2)前後のため、先に短答式試験に合格したほうが論文式試験の勉強に集中できるからです。公認会計士の専門学校や予備校コースを調べてみると、2年コースの学校が多いのも、上記の理由だと考えられるでしょう。
もちろん、中には1年間で合格を目指す人もいます。しかし、割合としては非常に少ないです。1年間で合格を目指すと、勉強時間のほかにも、出題傾向の情報収集や分析、試験対策など、勉強以外にも莫大な時間がかかるので、かなりハードになります。
(※1)参考:公認会計士・監査審査会「過去の試験結果等」
(※2)参考:公認会計士・監査審査会「過去の試験結果等」
試験は短答式と論文式の2段階
公認会計士の試験は、短答式試験と論文式試験の2段階で実施されます。以下では、それぞれの勉強時間や難易度について解説をするので参考にしてください。
短答式
短答式試験の内容には、次の4科目があります。
- 財務会計論
- 管理会計論
- 監査論
- 企業法
短答式試験は、これらの4科目を1日で行われます。合格率は10%前後で、回答方法はマークシートです。
試験に合格するには、短答式試験と論文式試験の2つに合格しなければいけません。短答式試験に合格した場合は、2年間は論文式試験のみ受験すればいいため、先に短答式試験の合格を目指す人が多いです。
論文式
論文式試験の内容は、次の科目があります。
- 会計学
- 監査論
- 企業法
- 租税法
- 選択科目(経営学、経済学、民法、統計学のうち受験者があらかじめ選択する1科目)
3日間で、これら5科目の試験を実施します。
論文式試験は、短答式試験に合格していないと受験できません。過去2年以内に短答式試験の合格実績があれば、事前申請で短答式試験を免除できます。
多くの受験者が、1年目に短答式試験に合格し、2年目以降は論文式試験に集中して取り組む勉強方法を取り入れています。実際に、2年間に分けて勉強したほうが論文試験に集中できるので、効率的に合格を目指せるでしょう。
論文式試験までの合格率は約10%
論文式試験までの合格率は10%とかなり低いです。試験の勉強時間は3,000時間以上必要といわれており、1年間では勉強しきれない人が多いです。そのため、多くの受験者が2年〜4年計画で合格を目指します。
一般的には、先に短答式試験の合格を目指す受験者が多いです。短答式試験に合格をすれば、免除制度を利用し2年間は論文式試験のみに集中して勉強できます。この勉強方法は、勉強時間をなかなか確保できないけど、効率的に合格を目指したいという人にオススメです。
公認会計士試験に合格する方法
難易度が高いといわれている公認会計士に合格する方法を解説します。効率的に勉強をすればスムーズに合格できる可能性があります。以下で解説されている内容を参考に、勉強計画を考えてみましょう。
勉強時間を確保する
公認会計士に合格するためには、莫大な勉強時間が必要です。そのため、毎日少しでも時間を確保しながらコツコツと勉強し、合格を目指しましょう。
公認会計士に必要な勉強時間は、3,000時間以上です。これは、1日5時間〜10時間の勉強が必要であり、毎日5時間以上の勉強を1年〜3年は続ける必要があります。難易度が高い公認会計士に合格するためには、これくらいの勉強時間を確保しなくては難しいと考えておきましょう。
しかし、社会人だとなかなか勉強時間が確保できないです。そのため社会人は、3年かけて合格することを目標にした勉強計画を立ててみましょう。
合格目標年数をあらかじめ決めておくと、計画的に勉強ができます。その結果、焦らず時間を確保しながら勉強に取り組めるようになります。
予備校や通信講座を利用して効率よく勉強する
公認会計士試験は、独学でも挑戦できます。
しかし、独学だと自力で出題傾向の分析や情報収集を行わなくてはいけないため、勉強以外の時間も必要です。また、独学だと自分では理解できない専門用語に悩んだ際、質問する相手がいないので、理解するまでに時間がかかります。勉強の時間を確保するためにも、できる限り予備校や通信講座を利用しながら、効率的に勉強しましょう。
予備校や通信講座を利用する場合、充実した教材を利用しながら短期合格を狙うことができます。また、教材には過去問や出題傾向を分析した内容が詰め込まれています。そのため、実際の試験に近い答案練習で試験対策を行えます。
さらに、予備校に通うと自分以外にも公認会計士を目指す人に出会えるので、勉強のモチベーションも上がるのでオススメです。
周りに一緒に頑張る人がいれば、自分も頑張れるという人は、まずは予備校に通ってみましょう。
試験勉強のアウトプットも重要
公認会計士試験に合格するためには、知識のアウトプットが大切です。知識は、インプットだけでは理解が深まりません。得た知識を頭の中で整理してからアウトプットすることで、より理解を深められます。
アウトプットにオススメなのが、答案練習会です。答案練習会に参加すれば、アウトプットをしながら勉強して得た知識を深められます。難しい公認会計士の勉強には、インプットもアウトプットも欠かさず行いたいため、オススメの勉強方法です。
また、模試は定期的に受けるようにしましょう。模試は、客観的に自分の知識レベルを確かめられる機会です。模試の結果で自分の弱点や強化すべき点を認識し、効率的に学習を進めていきましょう。
公認会計士受験資格に関してよくある質問
以下では、公認会計士受験資格に対してよくある質問に回答します。これから公認会計士を目指す人は参考にしてください。
公認会計士になるためにはどんな資格が必要ですか?
公認会計士試験には、受験資格が定められていません。そのため、年齢・性別・学齢・国籍問わず受験できる「誰でも挑戦しやすい試験」といえます。
さらに、公認会計士試験には免除制度が導入されています。
たとえば、税理士の資格を保有している受験者であれば、短答式試験の財務会計論と論文試験の租税法が免除になる制度です。ほかにも司法試験合格者、不動産試験合格者や会計専門職大学院修了者等は一部の科目が免除になるなど、さまざまな免除制度があります。
免除制度を利用すればダブルライセンスを目指しやすいので、条件に当てはまる人は挑戦してみましょう。
公認会計士は誰でも受けられますか?
公認会計士は誰でも受験可能です。
2005年以前の旧制度では、大学卒業や旧一次試験合格などの受験資格が必要でした。しかし、2006年度以降試験制度が変更されたため、新試験制度からは誰でも試験を受験できるようになりました。
新試験制度導入後は、免除制度も定められています。免除制度には、短答式試験に合格すれば、その後2年間は論文式試験のみの受験が可能な「短答式試験免除制度」があります。
ほかにも、論文式試験では一定の成績要件を満たした科目は2年間免除される「論文式試験一部科目免除制度」など、さまざまな免除制度が導入され、比較受験がしやすくなりました。
公認会計士を目指している人は、免除制度を上手に活用しながら合格を目指しましょう。
公認会計士になるには簿記は何級必要ですか?
公認会計士試験には、簿記の資格は必要ではありません。しかし、公認会計士試験合格には、日商簿記1級程度の知識が必要といわれています。
公認会計士試験には受験資格が定められていません。そのため、公認会計士受験前に日商簿記検定に合格しておく必要はありません。また、公認会計士試験の免除制度には、簿記資格に対する科目免除はないです。
しかし、公認会計士試験を受験する際、事前に日商簿記を学習しておくと公認会計士試験の勉強はしやすくなります。
もし時間に余裕がある方は、公認会計士の勉強を効率的に行うためにも日商簿記の勉強に挑戦してみてもいいでしょう。
公認会計士 何年で合格?
公認会計士試験に合格するには、平均2〜4年程度必要です。そのため、2年間は学習期間として認識しておきましょう。
公認会計士試験に合格するためには、少なくとも3,000時間の勉強時間が必要です。これを1年に換算すると、1日10時間勉強しなくてはいけません。1年間で合格を狙う人は、1日10時間の勉強時間が必要です。
一般的には、2〜4年かけて合格を狙う人が多く、4,000時間以上勉強をしている場合がほとんどです。1日5〜10時間程度勉強を毎日していけば、2年目あたりで合格が狙える計画です。ただし、これは一般論であり、さらに時間がかかる受験者もいるので注意してください。
あくまで、3,000時間以上の勉強、合格まで2年間を目安を認識しておきましょう。
誰もが公認会計士を目指せる
公認会計士試験には受験資格がありません。そのため、誰でも挑戦できる試験です。 学歴、経歴、性別、年齢問わず「公認会計士になりたい!」と考えている人は、公認会計士試験に積極的に挑戦をしてみましょう。
3,000時間以上勉強時間を確保する必要はありますが、毎日コツコツと勉強を積み重ねていけば必ず合格できます。公認会計士試験に合格し、スキルアップやキャリアアップを目指しましょう。