目次
最難関の資格の1つとして不動の地位を誇る公認会計士。公認会計士なってからはよくても、なるまでが大変なのでは?とあきらめがちかもしれません。しかし難関資格ながら、あらゆる人に広く門戸が開かれた数少ない資格の1つでもあります。
この記事では、公認会計士の仕事内容や年収・やりがい、公認会計士になる方法についてまとめます。資格取得を検討中の方はぜひお読みください。
※時間がない方へ・・記事を読む時間が無い方でバックオフィス系の転職を検討中の方は、まずは「WARCエージェント」に無料登録してみましょう!
公認会計士とは
公認会計士とは、国家資格を有し企業の監査や会計を専門的に行う職種です。
公認会計「士」とあるように、「士業」と呼ばれる職種の1つです。士業にはさまざまな職種がありますが、代表的なものとして「8士業」と呼ばれる8つの職種があります。次の通りです。
- 弁護士
- 弁理士
- 司法書士
- 行政書士
- 税理士
- 社会保険労務士
- 土地家屋調査士
- 海事代理士
その他の代表的な士業としては次の職種があります。
- 公認会計士
- 一級建築士
- 不動産鑑定士
- 中小企業診断士
公認会計士は、3大資格とも言われる国家資格の1つともなっている士業です。公認会計士を名乗れるようになれば独立開業も可能です。
よく比較される職種に税理士がありますが、両者の間には仕事の内容の違いがあります。税理士が税務諸表の作成・税務代理・税務相談などの税務を独占的に行うのに対し、公認会計士は上場企業などに開示が義務付けられた財務諸表の監査を行います。
※時間がない方へ・・記事が読む時間が無い方でバックオフィス関連(経理・人事・法務など)の転職を検討中の方は、まずは「SYNCA(シンカ)」に無料登録してみましょう!
公認会計士の仕事内容
公認会計士の具体的な仕事内容は、監査・税務・コンサルティングの3つに大きく分けることができます。厚生労働省のサイト「職業情報提供サイト」で紹介されている公認会計士の業務のうち、主なものは次の通りです。
【公認会計士の仕事内容】
- 財務書類の作成や会計処理に関する指導をする
- 会計処理について公正ではないと判断した場合は指導をする
- 監査報告書を作成して、財務諸表などの会計書類が適正に作成されているか意見表明を行う
- 企業から受け取った帳簿、伝票などの経理についての書類のチェックや銀行預金の確認などをする
- 主に財務面から経営に関するコンサルティングをする
中でも財務諸表の監査は、法律で公認会計士だけに独占的に許されている業務です。
公認会計士の年収
公認会計士の年収を見てみましょう。年齢別に見た大まかな年収の相場は次の通りです。
- 20代…600~700万円
- 30代…800~900万円
- 40代…1,000万円
年齢・業種を総合した一般的な会社員の平均年収は約450万円です。公認会計士は20代からそれを超えた収入を得ることができ、30代でほぼ平均年収の2倍の収入が得られるようになります。その後も含め、歳を重ねるごとにさらに収入が増していくことがわかります。このように収入面で公認会計士は年齢を問わず非常に高い水準にあります。
公認会計士のやりがい
公認会計士は、試験は難しいですがチャレンジに値するやりがいのある仕事です。人によってやりがいを感じるポイントは違うかもしれませんが、多くの人にとって次のような点はやりがいを感じられることでしょう。
- 企業にとって重要なお金を扱う責任のある仕事であること
- 若いうちから第一線で活躍できること
- 企業の経営をサポートできること
企業が適正な経営を行う助けを監査という形で担うほか、コンサルティングという形でも企業のサポートを行います。結果的には日本経済の健全な発展に寄与することにつながります。そしてそういう責任ある仕事に、年齢に関係なく関わることができます。
公認会計士の将来性
公認会計士は、現在の収入ややりがいだけでなく将来的にも安定している仕事だと考えられます。
そもそもの前提として、監査業務が厳格化の方向にあるため公認会計士の存在感が増しています。また企業のグローバル化やM&Aの活性化によって、公認会計士の活躍の場が増えています。さらに試験の難易度が上がっているため、合格者が絞られています。つまり需要が高まっているのに対し供給が多くなりにくい状況にあります。
「AIに取って代わられるのでは?」という意見もありますが、その可能性も低いと考えられます。確かに一部の業務ではAIを活用できますが、すべてを代替することは不可能だからです。つまりAIによる衰退の心配も少ないと言えます。
上記の内容を考え合わせると、公認会計士の将来性は明るいと言って差し支えないでしょう。
公認会計士になる方法
公認会計士になるためには、いくつかのステップを踏む必要があります。具体的には以下の通りです。
1. 公認会計士試験に合格する
2. 就職先を見つける
3. 公認会計士として登録する
上記のステップの中で最難関となるのが、初めの試験合格です。もちろん合格後も努力は必要です。しかし就職先を見つけるために活用できるサービスもありますし、登録も合格することに比べれば難易度は大きく下がります。試験を突破することが最も大きなハードルと言えます。個々のステップについて、詳細を確認していきましょう。
1.公認会計士試験に合格する
まず大前提として、公認会計士試験に合格しなければなりません。そしてこれが最大の難関です。
試験は短答式と論文式試験に分かれています。短答式に合格した人のみ論文式試験を受験することができます。もちろん両者に合格しなくてはなりません。短答式は12月と5月の年2回、論文式試験は8月に行われます。
なお短答式に合格すると、2年間は短答式試験が免除となります。直後の論文試験を受けなかったり不合格だったりしても、2年間は短答式を受験せず論文試験に合格さえすれば次のステップに進むことができます。また論文試験も科目合格が2年間認められています。試験については後ほど詳しくまとめます。
難易度
公認会計士は三大資格の1つとされ、弁護士・医師に続いて難易度が高いと言われています。合格率や勉強時間・偏差値などの難易度について、ほかの資格と比較してみましょう。
資格の種類 | 合格率 | 勉強時間 | 偏差値 |
---|---|---|---|
公認会計士 | 10%前後 | 4,000時間 | 74 |
簿記1級※1 | 10%前後 | 500~1,000時間 | 64~67 |
宅建士 | 15~18% | 300~400時間 | 57 |
税理士 | 15~20% | 3,000~4,000時間 | 72 |
医師免許 | 約90% | 5,000時間※2 | 74 |
弁護士 | 20~40% | 6,000~8,000時間 | 75 |
※1簿記2級の場合、合格率15~30%弱・勉強時間300~500時間・偏差値58
※2 大学の医学部入学に要する時間
勉強時間や偏差値など、公認会計士の難易度が高いことが理解できることでしょう。なおほかの三大資格の医師と弁護士の合格率は公認会計士よりも高くなっていますが、これには理由があります。合格率には受験資格が関わっています。詳しくは次に述べます。
受験資格
公認会計士の試験は上記のように難易度が高いのですが、受験資格には年齢・国籍などの条件がありません。誰でも挑戦することができます。またロースクールや医学部など、大学の学部の指定など学歴の条件もありません。独学や資格の専門学校で学んで受験することも可能となっています。
弁護士・医師は受験資格があるため、公認会計士は三大資格の中では唯一受験資格なしに広く門戸が開かれた資格となっています。またこのことは前述の合格率に影響しています。弁護士や医師の試験はすべての受験者が必要な知識を一定以上身に付けているため、公認会計士より合格率が高くなっています。
試験内容
試験は12月・5月に行われる「短答式試験」と8月の「論文式試験」の2段階となっています。短答式に合格した人のみ論文式試験を受験することができます。短答式に合格すると、論文試験が不合格の場合も2年間は短答式試験が免除されます。また論文試験も2年有効の科目合格制度があり、期間内は合格科目が免除されます。
短答式は、基本的な専門知識を幅広く理解しているかを確認するマークシートの択一式の試験です。論文は、専門的知識の体系的な理解に加えて思考力・判断力・応用能力・論述力などを判定する試験です。形式は記述式で科目によって問題の形式が異なります。
試験科目と時間は次の通りです。
◆短答式
- 財務会計論(120分・40問)
- 管理会計論(60分、20問)
- 監査論(60分、20問)
- 企業法(60分、20問)
◆論文式(各科目120分)
- 会計学
- 監査論
- 企業法
- 租税法
- 選択科目
論文式の選択科目は、経営学、経済学、民法、統計学の中から選択します。
勉強方法
必要な勉強時間は4,000時間と言われています。週末・夏休みや冬休みなどの休日が年間100日として、どのぐらいの期間が必要か計算してみましょう。休みの日は8時間、平日は2時間1年365日毎日勉強した場合、ほぼ3年かかります。休日は同じ条件で平日3時間勉強すると2.5年、平日4時間で2.1年強という計算になります。実際は体調や用事などでこれ以上かかるでしょう。
このように長期間かかる難関資格のため、資格の専門学校に通う人が多くいます。しかし中には独学で合格する人もいます。
勉強については、丸暗記では太刀打ちできない面もあるので内容を理解することが大切です。また苦手科目を作らないこと、時期ごとに勉強する内容のスケジュールを立てることも重要です。反復・復習をスケジュールに組み込んで、抜けを作らず弱点をフォローできるようにしましょう。それが効果的な方法です。
2.就職先を見つける
公認会計士を目指す場合、試験に合格するとほとんどが監査法人に就職します。公認会計士として登録するためには試験合格に加えて実務経験が必要で、監査法人では必要な経験を積むことができるからです。
監査法人の採用は公認会計士試験の論文合格者を対象としており、一般の就職活動とはスケジュールが異なります。論文試験の合格発表は11月中旬です。そこから募集が開始され、就職活動は約2週間の短期決戦です。12月初旬~中旬までには内定が出ます。
新卒という概念がなく、あくまで試験合格が基準となります。そのため大学3年生で合格して監査法人に採用された場合、大学4年はサークルや留学など自由に過ごすことも可能です。実際は内定をもらった監査法人で、空き時間に非常勤のアルバイトとして働く人が多いようです。合格した年には就職活動を行わずに留学したりして、翌年に就職活動する人もいます。
監査法人への求人探しはSYNCAがおすすめ
就職先として監査法人を探しているのであれば、転職サイト「SYNCA」がおすすめです。掲載企業が幅広いため、自分の探している条件の就職先が見つかりやすくなっています。監査法人の求人も随時追加されているので、まめにチェックしていると希望の求人を見つけられる可能性がアップします。
また上場経験のあるCFOがアドバイザーとして在籍しているのも強みです。精度の高いスキル分析によって、自分のスキルが可視化されます。
以下のリンクからサイトをチェックすることができます。
まずは上記リンクよりぜひサイトをご確認してみてください。
3.公認会計士として登録する
公認会計士の試験に合格して監査法人や会計事務所などに就職したとしても、すぐに公認会計士を名乗れるわけではありません。公認会計士を名乗るためには、合格後に課せられた要件を達成する必要があります。要件は次の3つあります。
【公認会計士に登録するための要件】
- 業務補助
- 実務補修
- 修了考査
試験合格から2~3年かけて上記の要件をクリアする必要があります。とは言え、上記の要件は試験合格に比べれば難易度は大きく下がります。それぞれ具体的に見ていきましょう。
業務補助
まず、監査法人などで実務経験を積む必要があります。ここで言う「実務経験」は、より具体的には2種類あります。「業務補助」と「実務従事」です。
「業務補助」は、監査業務について公認会計士または監査法人を補助することです。「実務従事」は、財務に関する監査・分析などの実務に従事することです。どちらか、あるいは合算で2年以上の経験が必要です。
非常勤などの場合は、勤務時間や日数を常勤と比較して考慮されます。なお経験の時期は合格の前後を問いませんが、多くは合格後に達成しています。
実務補習
「実務補習」は、合格者が受講する技能研修です。東京・東海・近畿・九州の全国4か所にある補習所で受講します。期間は3年間で、講義は平日夜間と土日に週1~2回のペースで実施されます。業務補助と同時にこなしていくことになります。科目は次の5科目です。
- 監査
- 会計
- 税務
- 経営・IT
- 法規・職業倫理
10回の考査・6回の課題提出があり、必要単位を取得しなくてはなりません。なお、要件を満たしていれば最短1年間まで短縮されることもあります。
修了考査
「終了考査」は実務補習で学んだ内容の試験です。科目は実務補習で学ぶ5科目です。12月第2週目の土日に、2日にわたって行われます。
合格率は近年下がっている傾向があり、50%前後となっています。仮に不合格だったとしても、その後何回でも受験することができます。ただし不合格だった場合はさらに1年間実務補習を受ける必要があります。
上記の「業務補助」「実務補習」「終了考査」の3つの要件を満たすと、公認会計士として登録して公認会計士を名乗ることができます。登録は必要書類を準備して、公認会計士開業登録申請書類を日本公認会計士協会に提出します。書類に不備がないか審査され、問題なければ登録となります。
書類は17種類と数が多く、申請から発行まで時間がかかる書類もあります。早めに準備・登録した方がよいでしょう。
公認会計士にぜひチャレンジを!
公認会計士は企業の監査を行うことができる唯一の国家資格です。最難関の1つではありますが、やりがいも将来性もあり興味があればチャレンジするに値します。受験資格がないので、あらゆる人に広く開かれた資格でもあります。
資格取得を目指す場合、2段階の試験合格・実務経験・実務補習・終了考査のステップを踏む必要があります。公認会計士として登録後は、経験を積んで独立開業することも可能です。
資格取得に必須となる実務経験のためには、監査法人などへの就職をクリアしなくてはなりません。また就職後もよりよい条件を求めて転職する場合があるかもしれません。
監査法人への就職・転職には、ぜひSYNCAをご活用ください。