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企業の監査業務を担う公認会計士は、会計・経理分野の中でも非常に人気の高い職種です。公認会計士として監査業務を手掛けられるようになるには、難関の公認会計士試験への合格や実務補修などのステップをクリアしなければいけません。公認会計士試験の日程や難易度、合格のためのコツや、合格後に公認会計士として登録されるまでのステップをご紹介します。
公認会計士になる方法
公認会計士は監査・会計の専門家として、財務書類や情報の信頼性を確保するための監査業務を行います。公認会計士になるためには、以下のステップを踏む必要があります。
1. 公認会計士試験に合格する
2. 実務経験を積める就職先を見つける
3. 公認会計士として登録する
この中で、最も難関となるのが公認会計士試験への合格になります。
公認会計士試験に合格する
公認会計士になるには、まず公認会計士試験に合格する必要があります。
試験は12月・5月・8月と、年に3回あります。令和5(2023)年と令和6(2024)年の試験日・出願期限は、以下の通りです。
【2023年公認会計士試験日程】
- 第1回短答式試験:2022年12月11日(出願期限9月9日、インターネット出願期限:9月15日)
- 第2回短答式試験:2023年5月28日(出願期限2月17日、インターネット出願期限:2月27日)
- 論文式試験:2023年8月18日〜8月20日
【2024年公認会計士試験日程】
- 第1回短答式試験:2023年12月10日(出願期限9月8日、インターネット出願期限:9月14日)
- 第2回短答式試験:2024年5月26日(出願期限2月中旬、インターネット出願期限:2月下旬)
- 論文式試験:2024年8月16日~8月18日
公認会計士試験の内容
公認会計士試験はマークシート式の短答式試験と思考力・応用力などを審査する論文式試験があります。それぞれの出題範囲は以下の通りです。
【短答式試験】
財務会計論、管理会計論、監査論、企業法
【論文式試験】
会計学、監査論、企業法、租税法と選択科目(経営学、経済学、民放、統計学の中から1科目)
公認会計士試験の難易度
公認会計士試験は司法試験・医師免許に続いて難関な国家資格と言われています。公認会計士・司法試験・医師免許を示す「三大資格」を含む各資格取得に対する難易度、合格率や勉強時間は以下の通りです。
資格の種類 | 合格率 | 勉強時間 |
---|---|---|
公認会計士 | 7.7% | 4000時間 |
簿記2級 | 20.9% | 300~400時間 |
宅建士 | 17.0% | 300~400時間 |
税理士 | 19.5% | 3000~4000時間 |
医師免許 | 91.7% | 5000時間 |
弁護士 | 45.5% | 6000~8000時間 |
ほかの資格と比較しても合格率が非常に低く、狭き門であることがうかがえます。同じ会計の分野に関わる税理士と比べても難関と言えます。
受験資格
公認会計士試験は三大資格の中で唯一、受験するのに年齢や国籍などの条件がなく誰でも受験することができます。ロースクールや医学部など学歴の条件もないため、資格の専門学校で勉強するほか独学で受験することも可能です。
勉強方法
前述した通り、公認会計士試験合格に必要な勉強時間の目安は4000時間とされています。1日8時間勉強するとしても500日かかる時間になります。仮に1年のうち100日を8時間、残りの日を2時間勉強にあてて過ごしたとしても合格までに3年かかる計算となり、膨大な学習量を要します。
資格の専門学校に通って勉強するケースも多いですが、なかには独学で合格を果たす人もいます。例えば社会人の場合は、仕事のある日は休憩や通勤などのすきま時間を使って知識や情報の暗記・吸収に取り組み、休日などまとまって勉強時間を確保できる機会に過去問を解いたりして応用力や理解力を培うーといった勉強法が効率的です。
実務経験を積める就職先を見つける
公認会計士として登録されるには、前述した通り実務経験を積むことも条件に含まれます。一般的には監査法人に就職して実務経験を身につけるケースが多いです。
監査法人への就職は公認会計士試験の論文合格者を対象にしているため、一般企業とは採用スケジュールが異なります。11月中旬の論文合格者発表直後から採用活動が始まり、2週間程度で内定者が決まります。
また監査法人の場合は採用にあたり「新卒」という概念がなく、大学在学中に公認会計士試験に合格していればそのまま就職活動をして採用されるケースもあり得ます。例えば大学3年生の時点で公認会計士試験に合格して監査法人に採用された場合、大学卒業までは法人で非常勤勤務しながらサークルや留学を楽しむなど、比較的自由に学生生活を過ごすことも可能です。
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公認会計士として登録する
試験に合格して公認会計士の資格を取得し、監査法人や会計事務所などに就職してもすぐに公認会計士を名乗れるわけではありません。公認会計士として登録するには、以下のステップを踏む必要があります。
【公認会計士に登録するための要件】
- 業務補助
- 実務補修
- 修了考査
業務補助
公認会計士試験に合格したら、監査法人などで実務経験を2年以上積む必要があります。
実務経験の対象としては、
- 業務補助
- 実務従事
が当てはまります。
業務補助は1年につき2以上の法人の監査証明業務を補助し、監査業務の流れや手続き、実務を習得した証として、法人代表者からの証明書を受け取る必要があります。財務に関する監査・分析などに従事する実務従事は国税局の税務調査、地方公共団体の財務諸表分析、銀行の法人融資の業務なども対象に含みます。
実務補修
公認会計士試験合格者は、一般財団法人会計教育研修機構の実施する実務補修も受ける必要があります。具体的には東京・東海・近畿・九州の補修所や支所で会計・監査・税務・経営・法規などの科目の講義を受けることになります。
通常の講義は平日夜間や土日日中に開かれるほか、eラーニング講義や宿泊研修、ディスカッションもあります。実務補修の修業年限は3年で、受講生は6回の課題研究や10回の考査にも臨みます。修業年限は入所時などの実務経験年数に応じて短縮も可能です。
修了考査
実務補修を修了したら、日本公認会計士協会修了考査運営委員会が実施する修了考査に合格する必要があります。試験科目は会計、監査、税、経営の理論と実務、公認会計士の業務に関する法規と職業倫理で、12月に2日間かけて実施されます。令和3(2021)年度の合格率は64・6%で、修了考査は合格するまで何度でも受験することができます。
このように実務補修・修了考査と実務経験をクリアしてようやく公認会計士に登録されます。具体的な流れとしては日本公認会計士協会に開業登録申請書類を提出し、審査をパスすれば公認会計士名簿に登録されます。申請に必要な書類は17種類あり、不備があると登録までに時間がかかることもあるので準備を万端にして申し込みましょう。
公認会計士試験に合格するためのコツ
公認会計士の試験に合格するためには、効率的に勉強を進めることが重要です。前述した通り専門学校に通うケースも多いですが、独学で計画的に学習し合格を勝ち取ることも可能です。
【公認会計士の試験に合格するためのコツ】
- スケジュール管理と勉強時間の確保
- 模擬試験へ参加する
- 何度も繰り返し学習する
スケジュール管理と勉強時間の確保
公認会計士試験は出題科目が多く膨大な知識を身につける時間が要されるため、まず計画的に勉強を進められるようにスケジュールを立てることが重要です。
具体的には週間ごとに進める勉強内容や勉強時間を細かく確認するほか、月間・年間のようにより長いスパンでのスケジュールも重ねて作成しておくと見通しが立ちやすくなります。いずれも学習内容の進捗や勉強時間の確保などの状況に合わせて適宜調整し、継続的に学習が進むように心掛けましょう。
模擬試験へ参加する
予備校などが公認会計士試験の模擬試験(答案練習会)を実施していますが、早いうちから参加して試験に慣れておくことも重要です。模擬試験に対しては「もう少し知識を固めてから」「全体の学習内容を網羅してから」参加する気持ちになりがちですが、早期に参加するメリットも高いです。
模擬試験への挑戦を通して場数を踏むだけでなく、理解できていない部分を把握し攻略するきっかけにもつながります。理解力を深め学習を円滑に進める手段としても、模擬試験を積極的に活用しましょう。
何度も繰り返し学習する
前述した通り膨大な知識をインプットする必要があるため、分からない問題には繰り返しチャレンジすること、情報を覚えるために反復して学習することがカギとなります。何度も目に触れるうちに内容を覚え、分かりにくかった問題への理解も深まってきます。
あいまいに覚えていたり忘れてしまっている情報や苦手な問題を掘り起こし、正確にきちんと理解できるようになるまで復習しましょう。参考書や自作ノート、カードなど、自分のやり方に合うツールを見つけることが大切です。
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難関を乗り越え、公認会計士としての充実したキャリアを
難関の国家試験をパスし、その後も実務経験の習得や補修、考査といった過程を経なければいけないという条件から公認会計士への道のりは長いと言えるかもしれません。ですが、監査・会計の専門家として企業活動が正常に営まれるサポートができる職務はやりがいも大きいです。試験勉強や実務経験は大変なことも多いかもしれませんが、モチベーションをキープして公認会計士として活躍する将来を引き寄せましょう。