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特定社会保険労務士とは?仕事内容と必要な資格・ステップを紹介

シンカキャリア編集部

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更新日:2025/04/16

特定社会保険労務士の仕事内容や一般社労士との違い、資格取得の流れをわかりやすく解説します。ステップアップを目指す社会保険労務士の方は参考にしてみてください。

目次

「特定社労士って、普通の社労士と何が違うの?」そのような疑問をお持ちではありませんか?特定社会保険労務士とは、労働トラブルに関する交渉や手続きを代理人として担える、より高度な専門性をもつ社労士のことです。訴訟に発展する前の「あっせん」など現場での解決力が問われるため、さらに知識や経験が求められるでしょう。

この記事では特定社労士の仕事内容や求められるスキル、資格取得までの道のりを丁寧に解説します。さらに、現場で役立つ実践的なヒントも盛り込みました。将来のキャリアを見据えたい方は、ぜひ参考にしてください。

特定社会保険労務士とは?

特定社会保険労務士とは、社会保険労務士の業務に加えて、労働紛争の代理ができる専門資格です。労働問題やトラブルの解決に特化した専門家として、企業と労働者の間に立ち、裁判を通さずにスムーズな解決を図る役割を果たしています。

一般的な社会保険労務士との違い

一般的な社労士は、主に手続き代行や相談業務が中心で、労使間のトラブルにおいては中立的な立場を守る必要があります。これに対し、特定社労士は、依頼者の代理人として、個別労働紛争の場に出て意見を述べたり、和解条件を交渉したりすることが認められているのです。

とくに注目すべきは、労働局の「あっせん」手続きにおいて、労働者側・企業側いずれの立場でも代理人になれる点です。この代理権を得るには、「紛争解決手続代理業務試験(特定社労士試験)」に合格する必要があります。

以下の表で、両者の違いを整理してみましょう。

比較項目

一般社労士

特定社労士

資格取得方法

社会保険労務士試験に合格

社労士登録後、特定社労士試験に合格

労働紛争への関与

相談対応のみ(代理は不可)

労働局のあっせん等で代理人として対応可

対応できる業務範囲

手続き・書類作成・相談業務まで

上記+交渉・代理など実務対応が可能

企業ニーズとの親和性

一般的な人事労務対応

トラブル解決力が重視される場面で活躍

このように、特定社労士は、従来の枠を超えて当事者の声を代弁できる存在です。労使関係の安定を図るうえでも、その役割は年々大きくなっています。

▼社会保険労務士について詳しくはこちら

社労士の年収や仕事内容|社労士がキャリアアップして年収を上げる方法とは?

特定社会保険労務士の仕事内容

特定社会保険労務士の仕事は、通常の社労士業務に加え、紛争解決や現場での交渉対応といった実務的な支援を含みます。以下で特定社労士の業務内容について詳しく見ていきましょう。

労働紛争解決の代理業務

特定社労士の業務として、労働紛争における「代理人」としての対応が挙げられます

たとえば、労働者と企業間で賃金未払いや解雇トラブルが発生した際、労働局が実施する「あっせん」制度において、特定社労士は依頼者の代弁者として出席し、交渉や意見表明ができます。これは通常の社労士では対応できない専門業務です。

また、トラブルが深刻化する前に円満解決を図る支援も求められているでしょう。話し合いによる解決(非訴訟型)の重要性が高まる今、当事者に寄り添いながら事態を調整するスキルが重視されています。

労働契約書や就業規則の作成・見直し

労働契約書や就業規則の整備は、企業と従業員のトラブルを未然に防ぐ第一歩です。特定社労士は、紛争を未然に防ぐ視点から、契約書や規則に潜む曖昧な表現やリスク要因を見直し、法的にも実務的にも有効な内容へとブラッシュアップします。労使トラブルが起こりやすい「懲戒」「解雇」「賃金」などの条文には細心の注意が必要です。

また、企業ごとの業種や規模、労働環境を踏まえた「実態に合った規定作成」も得意としています。この業務により、労働トラブルの予防を可能にするのが特定社労士の強みです。

労働基準監督署や労働裁判所への対応

特定社労士は企業の行政機関への対応をサポートします。たとえば、従業員から労働基準監督署に通報があった場合や是正勧告が出された際、適切な是正報告書の作成や対応策の提案を行うことが可能です。特定社労士は、行政手続きの知識に加え、実務での折衝経験があるため、企業側の立場を守りながら対応できます。

また、労働審判や訴訟に至る前段階での調整・助言を行うことで、よりスムーズな解決を図る役割も担っています。

社会保険関連の手続きとアドバイス

特定社労士も、一般の社労士と同様に、社会保険や労働保険の各種手続きに対応します。

たとえば、従業員の入退社時に必要な保険加入・喪失手続き、産休・育休中の保険料免除申請、労災保険の給付手続きなどが代表的です。さらに、近年では「働き方改革」や「同一労働同一賃金」に関する制度変更が相次ぎ、企業からの実務的な相談も増加傾向にあります。

特定社労士は、こうした制度変更にいち早く対応し、企業に対し分かりやすく実行可能な助言ができる点で高く評価されています。

労使関係の改善・労働環境の整備

労使関係の改善や労働環境の整備も重要な業務です。特定社労士は、単なる制度設計だけでなく、職場の「見えにくい課題」にも目を向けます。

たとえば、社員同士のコミュニケーション不足、ハラスメント対策、過重労働の是正といった現場の空気に根ざした課題に対しても、実効性のある改善提案を行います。また、従業員満足度の向上や離職率の低下に向けた人事制度の見直し、柔軟な働き方の導入支援なども、特定社労士の重要な役割です。単なる制度対応にとどまらず、「人と組織の橋渡し」ができるのが、特定社労士の真価といえるでしょう。

特定社会保険労務士になるための3ステップ

特定社会保険労務士になるには、決して一足飛びではたどり着けません。段階的に知識と経験を積み、最後に国家レベルの認定を受ける必要があります。以下で特定社労士になるためのステップを確認していきましょう。

1、社労士に登録する

特定社労士になるには、まず「社会保険労務士」としての登録が必須です。

社会保険労務士試験に合格しただけでは、業務を行う資格はありません。全国社会保険労務士会連合会に登録し、各都道府県の社労士会へ入会することで、初めて正式に社労士業務が可能になります。「資格を得る」ことと「業務を開始できる」ことは別であるため注意しましょう。

登録には、実務経験の証明や登録料の支払いが必要となるため、あらかじめ要件や必要書類を確認しておくことが大切です。

2、労働紛争解決に関する専門知識を習得する

特定社労士を目指すには、労働紛争に対応するための「理論」と「実務」の両面を学ぶ必要があります。

そのため、全国社会保険労務士会連合会が実施する「特別研修(約60時間)」を受講し、個別労働紛争の対応方法や交渉技術、法的知識などを体系的に学ぶことが求められます。研修は講義と演習(ロールプレイ)で構成され、実務に即した内容です。

この研修を修了しなければ、試験の受験資格が得られないため、内容をしっかり理解し、着実に力をつけることが求められます。

3、:紛争解決手続代理業務試験(特定社労士試験)を受ける

特定社労士になる最終ステップが、「紛争解決手続代理業務試験」に合格することです。この試験は年1回、特別研修の修了者のみが受験可能で、個別労働紛争に関する代理業務を行うための適性を判定。記述式で出題され、実際の交渉場面を想定した応答や法的判断が求められます。

形式は「論述(約120分)」の1科目ですが、出題範囲が広く、事前準備が不可欠です。日頃から労働法や判例、交渉術に触れておくことで、合格の可能性が高まるでしょう。

特定社会保険労務士(特定社労士)試験の受験者数と合格率

この試験は合格率が高くはないため、しっかりとした対策が必要です。令和6年度の受験者数は856名で、そのうち合格者は398名、合格率は46.5%でした。

合格率は毎年40〜50%程度で推移しています。社労士本試験と比べると高いものの、特別研修を終えた人だけが受けられることを考慮すると、決して簡単な試験とは言えません。出題傾向を踏まえた記述対策と、事例への応用力がポイントです。実務経験を重ねながら、時事問題や労働判例にも触れておくと有利になるでしょう。

引用:厚生労働省「第20回(令和6年度)紛争解決手続 代理業務試験の合格者について」

特定社会保険労務士を目指すために必要なポイント

特定社労士になるには、試験の合格だけでなく、実務を通じて信頼される力を身につけることが重要です。知識と経験をどう活かすかが、資格取得後の活躍を大きく左右します。

実務経験を積んで知識を深める

特定社労士として信頼されるためには、実務経験の積み重ねが欠かせません。理論だけでなく、実際の労使トラブルの現場を知っていることが、依頼者からの信頼につながります。たとえば、勤務先の社労士事務所での相談対応や、企業の人事部門での就業規則の作成経験などは、大きな強みになるでしょう。

また、労働法や判例、行政解釈は頻繁に変わるため、最新情報を継続的に学び続ける姿勢も重要です。勉強会や実務セミナーなどを活用し、知識と経験を日々ブラッシュアップしていきましょう。

企業との関係を築く

特定社労士として安定的に仕事を得るためには、「信頼される人間関係」が最大の武器になります。

企業側の依頼は、トラブル対応だけでなく、日常的な労務相談や制度設計にも広がっています。こうしたニーズに応えるには、形式的なアドバイスだけでなく、その企業の事情を踏まえた現場感覚が求められるでしょう。そのため、経営者や人事担当者との継続的な信頼関係づくりが不可欠です。丁寧なヒアリング、迅速な対応、そして分かりやすい説明を積み重ねることで、「何かあったら頼りたい」と思ってもらえる存在を目指しましょう

特定社会保険労務士になるために必要な準備を確認しよう

特定社会保険労務士として活躍するには、知識・経験・信頼の3つが欠かせません。制度や試験の仕組みを正しく理解し、日々の実務を通じてスキルを磨くことが、確かな一歩につながります。今こそ準備を整え、次のステージを目指しましょう。

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