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近頃、職場で在宅勤務を導入しようと考える情シス担当者は、珍しくありません。テレワークにできる業務や在宅勤務化で問題になりやすい部分がわかると、自社での導入方法が見えてくるでしょう。
この記事では、情シスの在宅勤務が可能な業務を踏まえたうえで、メリットや問題点を解説します。
情シスは在宅勤務ができる?
情シスは在宅勤務が可能な部門の一つですが、中には対応が難しい業務もあるようです。在宅勤務ができる業務と、できない仕事の理由を理解しましょう。
在宅勤務で対応できる業務
情シスにはテレワーク化できる業務が多く、遠隔でもコミュニケーションをとれる環境があれば在宅勤務は可能です。以下のような業務は、情シスでも在宅勤務ができます。
- システムの企画・開発
- サーバーの保守管理・セキュリティ対策
- IT資産管理
上記のような業務は、パソコンと社内の管理システムがあればテレワーク化が可能です。万が一トラブルが発生しても、管理システムへアクセスすればわざわざ出社する必要はありません。
在宅勤務で対応ができない業務
一方、情シスであっても、物理的な対応が求められる業務では在宅勤務はできません。情シスで在宅勤務化できない業務は、以下の通りです。
- 社内サーバー・ネットワーク機器などの構築・管理
- オンプレミス型システムの構築や開発、メンテナンス
- 社員のデバイスにおける物理的管理やメンテナンス、トラブル対応
- 郵送業務
上記のような業務は、テレワーク化がスタートしても別途で出社が必要となります。情シスの業務は幅広く、すべての仕事の完全なテレワーク化は難しいのが現状です。
情シスが在宅勤務するメリット
情シスが在宅勤務するメリットを知り、テレワーク導入へのモチベーションにつなげたい担当者は多そうです。情シスに在宅勤務を導入すると業務が効率化され、今よりもさらに質の高い企業運営を目指せるでしょう。
自宅でトラブル対応ができる
情シスをテレワーク化すると、万が一トラブルが起きても自宅にいながら対処できます。情シス部門におけるトラブルは勤務中に起きるとは限らず、夜中や休日に発生するケースもあるでしょう。トラブルが起きるたびに会社に出社していては、移動時間がかかるうえ体力消耗にもつながります。情シスにテレワークを導入すれば、トラブル発生時でも自宅で対応できるため、わざわざ会社に駆けつける必要がありません。
生産性が向上する
テレワーク化による生産性向上を期待し、導入を考える企業は少なくありません。前節で述べたとおり、今までの情シスにはトラブル発生時の突発的な出社が避けられませんでした。テレワークを導入するとトラブル時の対応コストを最小限に減らせるため、生産性向上を期待できます。トラブル対応時だけでなく、会議時間短縮や連絡対応のスムーズ化など、さまざまな業務効率アップに効果的でしょう。
柔軟な社員サポートができる
情シスが企業全体にテレワークを導入すると、社員への柔軟なサポートが可能です。テレワークを導入する企業では、情シスだけでなくほかの部門でも同時進行的に在宅勤務化を進めていると考えられます。情シス以外の従業員の中には、パソコン操作や急なトラブル対応に自信のない人も少なくありません。仮に在宅勤務中の社員にトラブルが発生しても、テレワークなら遠隔操作でスムーズに対応できるでしょう。
優秀な人材が確保できる
情シスがテレワークを導入すると、企業全体に優秀な人材が集まる可能性があります。就活や転職において、就職したい企業があるものの勤務地が遠くて応募に踏み切れないという人は少なくありません。ワークスタイルの柔軟性が求められるなか、テレワークは通勤距離で仕事を諦めていた人にとってチャンスとなる働き方です。今までは企業に応募できずにいた、優秀な人材を確保できる可能性が高まるでしょう。
事業継続対策になる
情シスのテレワーク化は、事故や災害のようなトラブルに陥っても事業を継続する「IT-BCP」の取り組みとして注目されています。IT-BCPとは、災害やサイバー攻撃といった不測の事態でも、ITシステムを稼働し続けようとする考え方です。実際に、新型コロナウイルス蔓延による緊急事態宣言の際、テレワークがIT-BCPとして機能しました。テレワーク化を進めておくと、今後の予測不可能なトラブルにも柔軟に対応できます。
コスト削減できる
情シスにテレワークを導入すると、企業運営におけるコスト削減につながります。テレワーク化により削減できるコストの例は、以下の通りです。
- オフィスの賃料
- 水道光熱費
- 社員の通勤手当
出社の必要がなくなるので、デスクやイスを置くスペースや水道光熱費が最小限となります。また、社員の出社回数が減るため、通勤手当やガソリン代などの支出も減少するでしょう。ほかにも、社員の視点では自宅で食事をとれるため、外食での昼食代がかからなくてよいという声も多いようです。
情シスが在宅勤務を始める際の問題点
情シスに在宅勤務を導入するにあたり、いい部分だけでなく問題点にも目を向けたいところです。テレワーク導入には一時的なコストがかかり、情シス部門に負担が押し寄せる点を理解しましょう。
サポート対応が多忙になる
一般的に、テレワーク化は特定部門だけでなく企業全体で行うため、サポート対応が多忙になります。在宅勤務導入にあたり、情シスが行うべき事項は以下の通りです。
- 通信環境の整備
- ツールやシステムの導入
- セキュリティ対策
- 新しい業務フロー・業務体制の構築
情シスは、上記の流れを自部門だけでなく企業全体で行わなければならず、導入し運用が安定するまでは負担がかかります。いくら入念に準備しても計画通りにいかない場合もあるため、余裕を持ったスケジュール設定が必要です。
一時的にコスト負担が大きくなる
在宅勤務をスタートしようとすると、一時的なコスト負担の増大は避けられないでしょう。前節でも解説したとおり、テレワークには環境設定やシステム導入などの準備が必要です。テレワーク化のために新たなツールやセキュリティソフトなどを取り入れると、まとまったコストがかかります。長期的な視点での在宅勤務化はコスト削減に繋がりますが、導入時は支出が大きくなることを覚悟しておくべきです。
セキュリティに一層注意が必要
情シスがテレワークを導入する際、より一層セキュリティ対策に力を入れる必要があります。在宅勤務には、社内ネットワークではなく外部からでもアクセスできる仕組みが必要です。外部からアクセスできるようになると非常に便利ですが、一方でウイルス感染やシステムへの不正侵入リスクが高まります。今までのセキュリティ対策に加えて、暗号化システムの導入や社員に対する公共Wi-Fi使用の禁止を周知する必要があるでしょう。
業務が停滞する
情シス部員が少ない企業では、在宅勤務化により部門の業務が停滞する可能性があります。情シスを少数先鋭で構成する企業は珍しくなく、中には一人で部門を任されるケースもあるようです。もともと人数の少ない情シスに在宅勤務化を任せると、本来の業務がとどこおり運営に影響が出る恐れがあります。生産性が低下し、経営に影響が出る可能性があるため、情シス部員の増員やアウトシーシング化を検討する企業も多いようです。
情シスのテレワーク化を進める方法
情シスがテレワーク化するにあたり、なるべくトラブルを回避しながら進めたいところです。一部業務の外部委託や、負担の少ない切り替え方を導入する方法を解説します。
業務をアウトソーシングする
情シスが在宅勤務を導入するなら、一部業務のアウトソーシング化が有効です。企業のテレワーク導入にあたり、情シス部員の一時的な業務負担の増大は避けられません。テレワーク化の準備から運用が安定するまでの間は、重要度の低い業務のみ外部に委託すると負担軽減につながります。テレワークに慣れない社員からの問い合わせ対応やパソコン設定など、一時的にニーズが増える部分をアウトソーシングするのがおすすめです。
クラウドツールを使用する
管理システムやコミュニケーション手段をクラウドツールで揃えると、スムーズな在宅勤務化につながります。オンプレミスとは異なり、インターネットさえ完備できればどこにいても作業を行えるため利用を検討する企業は少なくありません。情シスのテレワーク化におすすめなクラウドツールは、以下の通りです。
- チャットや通話などのコミュニケーションツール
- 勤怠管理システム
- 問い合わせ管理システム
- クラウドストレージ
- ナレッジ共有ツール
既存システムをクラウドツールに切り替えられる場合もあるため、使い慣れたソフトの継続利用もできます。
部分的に導入を進める
テレワークの土台がある程度整ったら、部分的に導入を進めていくのも方法の一つです。社内全体で一気にテレワークを開始すると、トラブルがあった際の対処が複雑になります。最初のうちは在宅勤務に「一部の部門のみ」「月に4回」など条件を決めると、業務やコミュニケーション方法を検証しながら進めていけます。在宅勤務導入時はスモールスタートで進めると、各部門や情シスの負担を最小限にとどめられるでしょう。
ポイントを押さえて情シスの在宅勤務化を進めよう
情シス部門は、企業の中でも工夫次第で在宅勤務化を実現できるパートです。ただし、テレワーク導入にあたり、情シス部門に負担が押し寄せないような対策を取る必要があります。情シスでトラブルが起きやすい部分を理解し、自社に必要な対策を行いながら在宅勤務化を進めましょう。