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社内のITを支える存在であるにもかかわらず、なぜか敬遠されがちな情報システム部門。その背景には、思わぬ誤解やすれ違いが隠れているかもしれません。
この記事では、情シス部門が「嫌われる理由」を具体的に掘り下げたうえで、職場全体の信頼を得るための改善策を徹底解説します。IT担当者の立場を理解しつつ、実践可能なポイントを整理しました。社内の「見えない壁」を取り払うヒントを、ぜひ掴んでください。
情シス(情報システム部門)の役割
情シスとは、企業内のITに関する業務を一手に担う部門です。業務の効率化からセキュリティ対策まで、企業活動を陰で支える存在といえます。
【情シスの主な業務】
- 社内システムの管理・保守
- 情報セキュリティの確保
- ヘルプデスクやトラブル対応
- 新しいITツールやソフトウェアの導入・選定
- 他部署へのITサポートや教育
日々の業務が滞りなく進むのは、こうした情シスの支援があってこそです。
▼情シスについて詳しくはこちら
情シス(情報システム)とは?仕事内容から必要とされるスキルや役割を解説
情シスが嫌われる理由とは?
一見、縁の下の力持ちに見える情シスですが、現場社員との間に壁ができやすいのも事実です。その背景には、以下のような「すれ違い」があります。詳しくみていきましょう。
柔軟性の欠如
情シスは「業務に融通が利かない」と感じられやすいでしょう。理由は、システムやセキュリティの安定性を重視するがゆえに、新しい提案や変更要求に慎重になる傾向があるためです。その結果、「とりあえずやってみよう」といった現場のスピード感とズレが生まれます。
たとえば、急ぎで共有フォルダを増やしたいという依頼に対し、情シスがセキュリティチェックや承認手続きを優先すると、「面倒だ」「融通が利かない」といった印象を与えがちです。
ただし、これは慎重さの裏返しでもあり、リスク回避のための姿勢でもあります。現場との連携が不足すると、こうしたすれ違いが起きやすくなるのです。
ユーザビリティを無視したシステム選定
導入されたシステムが使いにくいというだけで、情シスへの不満は急激に高まるでしょう。システムの機能性やコストばかりに目を向け、実際の現場ニーズを取り入れないまま選定されると、「使いづらい」「前の方が良かった」といった声が上がります。
たとえば、操作画面が複雑な勤怠管理システムを導入してしまった場合、現場は毎日ストレスを感じることになります。
情シスとしては技術面やセキュリティ面で最適と考えた選択でも、利用者視点が欠けていれば本末転倒です。現場の声を早い段階から取り入れることが信頼構築の第一歩となります。
専門用語の多さ
情シスが嫌われる理由の一つに「説明が難しくて分からない」という声があります。これは、IT専門用語を多用するあまり、他部署の社員にとっては理解が追いつかず、コミュニケーションがかみ合わなくなるためです。
「VPNが…」「DNSの設定が…」といった用語をそのまま話すと、非IT職の社員は混乱してしまいます。伝えたい内容を例え話や具体例でかみ砕くことが重要です。
「VPNは、安全な通路をつくってデータをやりとりするイメージです」といった説明に変えるだけで、印象は大きく変わります。専門性が高いからこそ、相手に合わせた伝え方が必要です。
監視役のように感じられる
情シスの業務内容が「見張られている」と感じさせることがあります。情シスはセキュリティ上、アクセスログやファイルの操作履歴を監視することも多く、これが「社内スパイ」のような印象を与えてしまうのです。
とくに、明確な説明がないまま監視体制が導入されると、「信用されていないのでは?」という不信感につながります。
監視の目的は、個人の行動を制限するためではなく、企業全体の安全を守るためであることを丁寧に伝えることが求められます。透明性のある運用が、誤解を防ぐカギとなるでしょう。
IT知識のギャップ
ITに詳しい情シスと、日常業務に追われる他部署社員との間には、大きな知識の差があります。このギャップがあると、たとえば情シスが親切に設定方法を案内しても、相手には「ややこしい」「自分には無理だ」と感じられてしまうのです。
また、「わからないのが悪い」といった空気があると、社員はますます質問しにくくなります。情シス側が知識の前提を下げ、わからないのは当然という姿勢でサポートすることが、信頼関係を築くポイントです。
情シスが嫌われないためにできること
情シス部門が社内で信頼され、円滑に業務を進めるには、技術力だけでなく「関係構築力」が求められます。以下のポイントを押さえることで、他部門とのギャップを埋め、部門の価値を高められるでしょう。それぞれ詳しく解説していきます。
他部門とのコミュニケーションを強化する
「対話」が信頼関係を築く最も基本的な手段です。他部門と距離ができてしまう原因の多くは、情報の一方通行にあります。
情シスが「こうすべき」と押し付ける形ではなく、現場の悩みや課題に耳を傾ける姿勢が大切です。たとえば、システム改修前にユーザー部門とのヒアリングや事前テストを実施することで、ニーズとのズレを減らせます。
定期的な情報共有の場(ミーティングやワークショップなど)を持つことも効果的です。「話を聞いてくれる情シス」という印象は、後の協力関係にもつながります。
セキュリティ管理とユーザーの利便性のバランスを取る
理解される情シスになるためには、セキュリティと利便性のバランスを取ることが必要でしょう。たとえば、厳重なパスワードポリシーを導入すると、社員からは「面倒で覚えきれない」と不満が出がちです。一方で、セキュリティを軽視すれば、情報漏えいやウイルス感染といったリスクが高まります。
大切なのは、利用者の業務フローを理解したうえで、「現場にとって現実的なセキュリティ設計」を行うことです。多要素認証やシングルサインオン(SSO)など、利便性と安全性の両立を図れるツールの導入も検討しましょう。
「守るだけ」ではなく、「使いやすさ」も含めて考える姿勢が評価につながります。
トラブル対応のスピードと透明性を高める
トラブル対応のスピードや透明性を高めることが信頼感に大きく影響します。
「何の連絡もない」「今どうなっているか分からない」といった不安を抱かせることが、情シスへの不満につながります。まずは、問い合わせがあった段階で「いつ、どう対応するか」の見通しを伝えることが重要です。また、状況の進捗をこまめに報告することで、相手の不安はかなり軽減されるでしょう。
「完全な復旧」に時間がかかる場合でも、「状況を共有してくれる情シス」は安心感を持ってもらいやすくなります。スピードと説明力の両方を意識することが、信頼構築のカギといえるでしょう。
業務の改善点を把握し、柔軟な対応を心掛ける
現場の声を取り入れてシステム改善を図ることが、情シスの価値を最も高めるアプローチです。
ユーザーから寄せられる不満や要望は、単なるクレームではなく、業務改善のヒントです。「変化に応じて柔軟に動ける情シス」は、現場にとって頼もしいパートナーとして認識されるでしょう。
たとえば、PCの初期設定手順が煩雑だという声を受け、マニュアルを動画化したり自動化ツールを導入したりすれば、大きな成果に繋がります。現場と定期的に接点を持ち、「気づき」を逃さず形にしていく姿勢こそが、好印象を築く最大の要因です。
情シスが評価されるためのポイント
情シス部門が組織内で正当に評価されるためには、「日常の業務支援」だけでなく、「プラスαの価値」を提供する必要があります。以下で評価されるためのポイントを具体的にみていきましょう。
サポート体制の充実
困ったときにすぐ頼れる体制があるかどうかが、情シスの評価を左右します。とくに、システムトラブルやPCの不具合が起きた際、「どこに問い合わせればよいか分からない」「返事が遅い」となると、ストレスは一気に高まるでしょう。
そこで効果的なのが、以下のような体制づくりです。
- 問い合わせ窓口の一元化(例:専用チャット・フォームの設置)
- よくある質問へのマニュアル整備
- 対応履歴の共有による情報の見える化
こうした仕組みを整えることで、社員は「情シスに聞けば安心」という信頼感を持てるようになります。サポートの質が部門の評価に直結するのです。
ユーザー教育の推進
情シスが積極的にユーザー教育を行うことで、全社のITリテラシー向上につながります。
業務効率を高めたりトラブルを未然に防いだりするには、社員一人ひとりがITツールを正しく理解・活用できることが不可欠です。
効果的なユーザー教育には、次のような工夫が役立ちます。
- 新人向けのIT研修マニュアルの作成
- 定期的なオンラインセミナーの実施
- 社員のレベルに応じたFAQや操作ガイドの配布
クラウドサービスやセキュリティ対策など、業務に直結するテーマを選ぶと、実践的な効果が得られやすくなります。「教えてくれる情シス」は、「頼れる存在」として評価されるようになるでしょう。
情シスが嫌われる原因と対策を見直そう
情シスが社内で敬遠される背景には、誤解や情報の断絶が多くあります。他部門との対話を重ね、現場に寄り添った柔軟な対応を心がけることで、信頼と評価は確実に高まるでしょう。今こそ業務を見直し、「伝わるIT」の実現に向けて一歩を踏み出してみてください。
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