目次
情シスへの転職を考える中で、まずは給与や年収相場を知りたいと感じる人は多そうです。企業が情シスに価値を置く理由や収入アップの方法がわかると、転職へのさらなる意欲に繋がるでしょう。
この記事では、情報シス(情報システム・コーポレートエンジニア)の年収相場や、収入アップ方法について解説します。
※時間がない方へ・・記事を読む時間が無い方でバックオフィス系の転職を検討中の方は、まずは「WARCエージェント」に無料登録してみましょう!
情報シス(情報システム・コーポレートエンジニア)の年収相場は?
厚生労働省の賃金構造基本統計調査(※1)によると、2019年のシステムエンジニアの平均年収は男性で373.9万円、女性で322.6万円でした。5年前である2014年の同統計と比較すると、男女共に10%年収がアップしたことがわかります。
年 | 男性の平均年収 | 女性の平均年収 |
---|---|---|
2014年 | 333.7万円 | 288.0万円 |
2019年 | 373.9万円 | 322.6万円 |
企業規模や経験年数によっても異なりますが、多くの会社で情シスの年収がアップしていると考えられるでしょう。
(※1)参考:厚生労働省 「賃金構造基本統計調査(職種第3表DB)」
年収相場が上昇している理由
情シスの年収相場は数年前と比べると上昇しており、理由が気になる人も多そうです。世の中の急速なIT化や、企業での情シスの業務が広がっていることを理解しましょう。
情報シス(情報システム・コーポレートエンジニア)の業務内容が多様化
企業がコーポレートエンジニアのポジションを置くようになってから、コーポレートエンジニア部員の業務内容は多様化しています。社内システムの使い方やネットワーク不良など、日々の問い合わせ対応は比重の大きい仕事です。
ほかにも、従業員から要望があった場合のシステム構築やサーバの設置など、企業によって求められる役割はさまざまあります。日本全体でコーポレートエンジニアの価値が高まったことが、年収上昇の一因と考えられるでしょう。
5G時代を見据えた取り組み
5G(第5世代移動通信システム)時代の到来を見据えて、情シスへ価値を置く企業が増えていると考えられます。5Gとは、リアルタイムコミュニケーションや情報セキュリティ分野がさらに便利になると言われているシステムです。5G到来に備え、企業でデジタル化できる部分の選定や導入プロセスなどを整理しておく必要があります。多くの企業はデジタル化の加速に対応できる人材として、情シスに高い価値を置いているのでしょう。
RPA、DXなどIT化により専門人材が必要
RPAやDXなど、急速なIT化により対応できる専門人材の需要が増えています。RPAとはパソコン業務の自動化のことで、キーボードやマウス操作の高速化を実現できる技術です。
また、DXを行うとこれまで以上に質の高いサービス提供に繋がります。どちらも高度で新しい技術力を求められるため、対応できるスキルを持った人材が必要です。コーポレートエンジニアは、新たな情報技術への対応力が期待されています。
リモートワークの本格化
近頃のリモートワークの本格化から、基盤構築のため情シスの需要が高まっています。新型コロナウイルスの蔓延により、テレワークを推進する動きが数年で急速に拡大しました。
遠隔ツールで仕事は便利になったものの、テレワークを支える情シス部門には大きな負荷がかかっています。テレワーク基盤の構築やセキュリティ対策などに対応するため、情シス部員の補充が急がれているのも年収アップの要因の一つでしょう。
情報シス(情報システム・コーポレートエンジニア)が年収を上げるコツ
情シスの需要について理解したところで、実際に年収を上げるコツを知りたい人も多そうです。情シスが年収アップするための、堅実的な方法を理解しましょう。
大規模な社内システム保有の大手企業に転職
情シスが年収を上げるための方法として、大規模な社内システムを持つ大手企業への転職が挙げられます。大きい社内システムを持つ企業は業務量や求められる知識が多く、年収が高めに設定されるケースが多いものです。
転職活動では、実力の指標として学歴や実務経歴などを見られることに留意しましょう。また、大手企業の採用情報は公にされないケースが多いため、転職エージェントで非公開求人を見つけて応募する方法が一般的です。
企業内のシステムを企画できる会社に転職
情シスの中でも、企業内のシステムを企画できる場合は年収アップの可能性が高まります。システム企画は上流工程の仕事であり、企業への貢献度が高いため重要視されているポジションです。
入社後すぐに企画に携われなくても、努力次第でポジションに就ける可能性があります。ただし、企画ポジションがそもそもない企業もあるため、転職先の情シスの業務内容をあらかじめ確認しましょう。
資格を身につけ応募者と差別化
応募者の学歴や経歴が同等である場合、資格を身につけると他者との差別化に繋がります。情シスで求められる実務スキルは複雑であり、転職活動での証明が難しいものです。資格は個人のスキルを示す一つの指標であり、転職の際に履歴書に記載できます。
ほかの応募者が自身と同レベルの場合、資格の有無が採用の決め手となる可能性もあるでしょう。情シスとして年収アップを目指すなら、資格取得によるスキルのアピールも得策です。
情報シス(情報システム・コーポレートエンジニア)で収入を上げるために取っておきたい資格
情シスの年収を上げるコツとして、資格取得は有効な手段となります。ここでは、情シスの年収アップにおすすめな資格を11個紹介するので、詳しい試験内容を理解しましょう。
ネットワークスペシャリスト試験
ネットワークスペシャリスト試験とは、大きく強固なシステムを構築し運用するスキルを問われる検定です。具体的には、情報システム基盤の全体をリーダーとして支えるための内容が出題されます。企業のネットワークを作成するには、組織からの要望を理解し要求に沿ったシステムの開発が必要です。必要な要件を理解した上でネットワークを構築すると、縁の下の力持ちとして組織に貢献できるでしょう。
PMP(プロジェクトマネジメントプロフェッショナル)
PMPとは、プロジェクトマネジメントの専門家であることの証明に役立つ国際資格です。情シスがプロジェクトの進行役となる場合、計画立案から集結までトータルの管理が求められます。情シス部員全体の動きをチェックし、目標達成に導くために必要なスキルについて問われる試験です。取得すると、プロジェクトのマネジメント層として活躍できる可能性があるでしょう。取得後は3年ごとの資格更新があるため、忘れずに行う必要があります。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験とは、ICTや情報処理分野の知識を証明できる国家資格のことです。プログラミングの基礎知識が問われ、要求された作業を自力で遂行できるレベルが求められます。業界ではITエンジニアの登竜門とも呼ばれるほど、情シスで求められる基礎スキルが出題される試験です。IT業界の基本的な知識に自信があり、一歩踏み込んだ内容を学びたい人に向いています。
システム監査技術者試験
システム監査技術者試験とは、独立的かつ客観的な立場でシステム評価を行うための知識を問う検定です。情報システムの発展で人々の生活は便利になっているものの、ネットワークの脆弱性や運用ミスは後を絶ちません。情報システムの安全性を高めるため、評価や報告を行うスキルについて出題されます。組織に対してプロ目線のアドバイスを行えると、健全な企業活動に貢献できるでしょう。
システムアーキテクト
システムアーキテクト試験とは、情報システム戦略を立てる立場として必要な知識を問われる検定です。システムを戦略通りに実現するための分析から、情報を整理し開発を行う流れについて出題されます。システムアーキテクト試験の取得で証明できるのは、上流工程からの開発技術です。形のない段階から構想を練り、システムを実現できる力があることの証明に役立ちます。
ITサービスマネージャー
ITサービスマネージャ試験とは、SEの中でもシステムの運用管理責任者を対象とした検定のことです。運用管理やオペレーション、サービスデスクなどIT現場のリーダーとしての知識を習得できます。試験ではITに関する内容だけでなく、リスクやコスト管理などのビジネススキルまでが出題範囲です。コンサルやマネージャーなど、裁量権の大きいポジションを目指す人に向いています。
データベーススペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験とは、データ管理者としてのスキルを証明できる資格です。企業において膨大な情報を管理するには、データベースの設計から運用まで幅広い知識が求められます。企業に最適なデータベースを提供し、セキュリティ対策を行うための知識が出題範囲です。情シス関連では難易度の高い資格ですが、マネージャークラスのスキル証明に繋がり年収アップが期待できます。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験
エンベデッドシステムスペシャリスト試験とは、システムエンジニアやマネジメントにおける知識を問う試験です。loTなどの組み込みシステムの構築力や、設計から評価までの内容が問われます。実際にシステムを構築するスキルだけでなく、プロジェクト全体を指揮するマネジメントへの理解も必要です。loTなどの組み込みエンジニアや、プロジェクトを指導する立場となり収入アップを目指したい人に向いています。
ITストラテジスト試験
ITストラテジスト試験とは、企業内でITを活用するために必要な知識を問う検定です。エンジニアの中でもマネジメント層に向けた内容ですが、プロジェクト遂行のための実務範囲も出題されます。ITを導入する環境の分析や、事業のフィードバック方法など技術者としての知識の出題も多いようです。プロジェクトを率いるリーダーとして、現場に携わりたい人に向いています。
オラクルマスター
オラクルマスターとは、日本オラクル社製品についての技術力を証明する資格です。データベースの管理から運用、情報取得に利用されるSQLへの習熟度などについて出題されます。オラクルは世界トップシェアのデータベースと言われており、資格取得すると汎用性の高い知識の習得が可能です。大手企業や官公庁ではオラクルが採用されているケースが多いため、転職希望のある人に向いています。
シスコ技術者認定資格
シスコ技術者認定資格とは、Ciscoシステムズ社の製品に関するスキルを問う検定です。シスコ製品に関する技術力はもちろん、ネットワークの基本について学ぶことができます。シスコ製品は世界的なシェアを誇るため、資格を取得すると日本国外においてもスキルの証明が可能です。試験は入門レベルから上級者向けまで用意されているため、段階的に受験するとシスコ製品の専門家となれるでしょう。
情報シス(情報システム・コーポレートエンジニア)に必要な能力・スキルは?
情シス関連資格がわかったところで、実際に現場で求められるスキルを知りたくなった人も多そうです。IT知識以外にも、企業の情シス担当として求められるスキルがあることを理解しましょう。
企業の業務についての知識や理解
情シスとして働くには、IT知識のみならず企業全体についての知識や理解が必要です。企業のIT担当である情シスには、日々各部署から多くの問い合わせが寄せられます。情シスとしてスムーズに対応するには、トラブル内容の聞き取りだけでなく各部署が行う業務の把握が必要です。各部署の動きを理解していると問い合わせへの解像度が高まり、より良い提案のできる情シスとして重宝されるでしょう。
マネジメント能力
情シス全体を統括する立場の場合、マネジメントスキルは重要視されます。従業員から業務の質を上げるためのシステムを要望された場合、設計の前に計画立案が必要です。システムを構築し効果的に運用するために、情シス全体への指示を行うマネジメントスキルが求められます。特に、IT戦略やシステム企画のような、上流工程ポジションで必須とされるスキルです。
コミュニケーション能力
情シスにはPCやITへの知識だけでなく、コミュニケーションが求められます。情シスには日常的に他部署からの問い合わせがありますが、従業員が何を求めているかを理解できなければ解決に繋がりません。従業員はITに詳しい人ばかりではないため、相手の話を聞きながらわかりやすい言葉で説明するスキルが必要です。日頃から従業員とのやり取りを大事にしていると、自身が困った時の助けにも繋がるでしょう。
業務改善の提案力
情シスには急速化するIT化の先駆者として、業務改善における提案力も求められます。従業員の中には、日々の業務に困りごとを抱え解決方法がわからないと感じる人も少なくありません。情シスは困っている従業員に対してITを用いた改善策を提案できる、企業で唯一の立場です。改善プランに取り組み、従業員の感触をチェックするというルーティンをスムーズに行う能力が求められるでしょう。
情シス転職のコツを押さえて年収アップを目指そう
世の中のIT化が急速に進み、企業における情シスの価値は年々高まっています。年収アップできる情シス転職には、企業選びやスキル習得などあらかじめの準備が必要です。
情シス転職のコツを一つずつ押さえ、今よりも年収アップできる企業選びを目指しましょう。