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情報システム部門は会社のITを支える重要な部門です。しかし、その重要性にもかかわらず、社内では「評価されない」「理解されない」と感じている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、情シスが低評価を受けやすい7つの理由と、それを払拭するための具体的な対策をわかりやすく解説します。ぜひ参考にしてみてください。
情シスが「無能」と思われる理由7選
情報システム部門が「無能」と見なされる背景には、単なる誤解や構造的な問題が潜んでいます。主な7つの理由をみていきましょう。
1、情シス業務の内容が他部門に理解されにくい
情シスの仕事は、他部署から理解されにくいことがあります。システムの保守やセキュリティ対策など、日常的に発生するトラブルを未然に防ぐ活動は目に見えにくく、他部署からは「何をしているのかわからない」と感じられがちです。
たとえば、セキュリティ強化のためのシステム更新も、「トラブルがないなら必要ない」と判断されるケースがあります。また、パソコンの初期設定やネットワークの構築といった一見地味な作業も、現場では不可欠な業務です。
こうした業務の背景や重要性を丁寧に説明しない限り、誤解は解消されません。情報の見える化が、第一歩となります。
2、ひとり情シスや兼任情シスの増加
中小企業や地方支社では、IT専任者が1人きりという状況が珍しくありません。さらに、総務や経理などほかの業務と兼任しているケースもあり、結果としてタスクが集中し、対応が後手に回ることになります。こうした背景を知らない他部署から見れば、「対応が遅い=無能」と見なされがちです。人的リソースの適正配置と、社内への実態共有がカギになります。
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3、膨大な業務量に対してリソースが不足している
情シス部門は、社内インフラの整備からシステム運用、ヘルプデスク対応まで幅広い業務を担っています。しかし、現実には限られた人員で全てをカバーしている企業が多く、対応の質やスピードにどうしても限界が出てしまうこともあるでしょう。
たとえば、1人がPC管理・アカウント発行・セキュリティ対策・システムトラブル対応をすべて行う場合、どれか一つでもトラブルが起きると、業務全体が滞ります。その遅れが「対応が遅い」「仕事が雑」といった誤解につながるのです。適切な人員配置と予算投資を経営層に提案することが、長期的な解決策になります。
4、コスト削減だけに注目される
情シス部門が経営層から「コスト削減の手段」としてしか見られていないケースは少なくありません。このような視点に偏ると、システムの安定運用や業務効率化への貢献といった、本来の価値が正当に評価されにくくなります。結果として、提案や改善活動が理解されず、部門全体の存在意義が軽視される可能性があるでしょう。「コストではなく投資」という視点を共有し、業務の成果を数字で示す工夫が、誤解の払拭につながります。
5、経営層がITに無知で理解が不足している
ITの知識を持たない経営層との意識のズレも大きな壁になります。クラウドやセキュリティといったキーワードが飛び交うなか、それらの本質を理解していない経営層に説明をするのは至難の業です。結果として、「よくわからないが高い」「それ、本当に必要?」といった反応になる可能性もあるでしょう。
このような場面では、リスク発生時の損害額や復旧にかかるコストを示し、「予防投資」の意義を明確に伝える必要があります。経営との橋渡し役になる意識が求められますが、情シス部門が適切に対応できなかった場合に、経営陣から「無能」と思われてしまうこともあるでしょう。
6、システム障害やトラブル対応が遅れる
トラブル対応のスピードが遅いと、それだけで「評価ダウン」につながります。
たとえば、業務中に突然ネットワークがダウンした場合、対応が10分遅れるだけでも「なんでまだ復旧しないのか」と不満が噴出します。その背景に、前述した人手不足やタスク過多があることは、現場以外ではほとんど共有されていません。
このような誤解を防ぐには、日頃から「トラブル時の対応フロー」「発生から復旧までの平均時間」などを数値化して共有しておくことが有効です。また、緊急時に備えたマニュアルや体制を整えておくことで、実際の対応スピードと評価のギャップを埋められるでしょう。
7、「ITの雑用」扱いされる
情シス部門が担当する業務の多くが、営業やマーケティングなどの直接的な成果に結びつかないため、「雑用」として見なされることが多いでしょう。その結果情シスの仕事が評価されず、「無能」と思われてしまうことがあります。
プリンタのトラブル対応や、パスワードの初期化、アカウントの発行といった業務は、たしかに「技術的には単純」に見えるかもしれません。しかし、それらの業務が止まれば、現場の業務全体がストップしてしまいます。
「雑用」ではなく「現場の業務継続を支える基盤業務」であることを、社内に対して意識的にアピールしていく必要があります。業務内容と成果を見せる化することが信頼への第一歩です。
情シスの主な業務内容
情シス部門の評価を正しく得るためには、まずその業務内容を正確に把握する必要があります。情シスの役割は「システムトラブルの対応」だけに留まりません。おもな業務は以下のとおりです。
- 社内ITインフラの整備・保守
ネットワーク環境やサーバーの構築・保守を行い、安定稼働を支えます。
- ヘルプデスク業務
社員からのPCトラブルやソフトの操作に関する問い合わせに対応します。
- 情報セキュリティの管理
不正アクセスや情報漏えいを防ぐためのセキュリティ対策を企画・実施します。
- システム導入・運用管理
業務効率化に向けた新システムの導入支援や、その後の運用を担います。
- IT資産管理
パソコンやソフトウェアの台帳管理、ライセンス契約の更新なども重要な業務です。
日々の業務は裏方に見えがちですが、実際は企業のデジタル基盤を支える存在です。
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「情シス無能」の評価を払拭するための改善策
誤解や不満を受けがちな情シス部門ですが、いくつかの工夫で信頼される存在へと変わることができます。ここでは、部門全体の見え方とパフォーマンスを高める3つの改善策をみていきましょう。
業務の効率化と優先順位の適切な設定
「何を最優先に行うか」を明確にすることが、情シスの信頼回復のカギになります。タスク管理ツールやRPA(業務自動化)などの活用によって、繰り返し業務の手間を減らし、本来注力すべき仕事にリソースを振り分けるべきです。
たとえば、以下のようにタスクを分類することで、対応の優先順位を可視化できます。
優先度 | タスク例 | 対応方針 |
---|---|---|
高 | サーバー障害、セキュリティ対応 | 即時対応、上長報告 |
中 | アカウント発行、設定変更 | 自動化、定期処理化 |
低 | 備品の貸し出し、資料作成 | 他部署に委任、FAQ整備 |
このように業務を「見える化」し、的確に振り分ける体制を整えることが重要です。
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部門間の信頼を築くためのコミュニケーション強化
誤解の大半は「情報不足」から生まれています。情シス部門がどれだけ努力していても、その内容が他部署に伝わっていなければ、評価されません。大切なのは、社内への情報発信です。「何をしたか」「なぜ遅れたのか」などを、誰にでもわかる言葉で定期的に伝えることが信頼の第一歩になります。
たとえば、以下のような工夫が有効です。
- 月次で業務報告を行う(メールや社内ポータルで共有)
- トラブル対応時は、進捗をリアルタイムで伝える
- 改善提案を資料化して説明し、経営層と対話する機会を持つ
また、社内勉強会やITリテラシー向上施策を行うことで、部門の役割を理解してもらう取り組みも有効です。
トラブル対応の体制強化と迅速な対応
「トラブル対応力」は部門の信頼度に直結します。何か問題が起きたときに、誰が・どのように対応するのかが曖昧な状態では、対応が遅れやすくなり、不満も高まる可能性があるでしょう。そこで重要なのが「インシデント対応マニュアル」の整備と、定期的な訓練の実施です。具体的には、以下の対応が考えられます。
- システムトラブル発生時の対応フローを明文化する
- 役割分担(初期対応者・調査担当・報告者など)を明確にする
- 想定トラブルごとの対応訓練を実施する
また、ログ管理や障害発生履歴を蓄積しておくことで、同様の問題が起きた際に迅速な対応が可能になります。スピードと的確さを両立させる体制が、部門の信頼回復につながるでしょう。
「情シス 無能」とは言わせない!トラブル対応体制を整えよう
「情シスは無能」と言われないためには、日々の業務改善に加え、トラブル対応体制の強化が不可欠です。予防・対応・報告の3ステップを整備し、迅速かつ的確に動ける体制を築くことで、信頼される情シスへと変わっていけるでしょう。
それでも評価が上がらず、仕事への満足度が得られない場合は、転職を視野に入れるのも一つの選択肢です。転職エージェントを利用すれば、スキルや希望に合ったより良い職場環境と出会える可能性が高まります。ぜひSYNCAまでご相談ください。
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