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人事職の採用はもともと人材自体が少ないこともあり、なかなか思うようにいかない、とお悩みの企業や人事担当の方も少なくないと思います。
近年注目されている新しい採用の方法のひとつに「ダイレクトリクルーティング」という手法があります。ここではダイレクトリクルーティングとはどういうものなのか、その方法やメリットを解説していきます。
人事人材の最新方法「ダイレクトリクルーティング」とは?
ダイレクトリクルーティングとは、従来のような求人媒体や人材紹介会社を利用する「待ち」の採用方法ではなく、求職者に対して企業側から直接、積極的な採用活動を行う方法です。基本的にすべての採用工程を自社で行うことになります。
ダイレクトリクルーティングは和製英語であり、海外では「Direct(直接)Sourcing(調達)」と言われています。ダイレクトリクルーティングは求職者に直接アプローチするやり方なので、自社に最適な人材を採用できる可能性が非常に高い手法であり、「攻めの採用手法」と言われています。
ではここからダイレクトリクルーティングの特徴を解説していきます。
ダイレクトリクルーティングの4つの手法
ダイレクトリクルーティングには大きく分けて4つの手法があります。
①求職者のデータベースを持つプラットフォーム事業者を利用する。
求職者が履歴書や職務経歴書を登録しているプラットフォーム事業者を利用する手法です。新卒向けサービスや、中途採用向けのサービスがあり、年々市場が広がりつつあります。
②FacebookやX(旧Twitter)などのSNSを活用して自社で行うソーシャルリクルーティング
FacebookやX(旧Twitter)、またInstagram、YouTubeなどのSNSを通じて、文字どおり直接求職者にコンタクトを取る手法です。
たとえば、SNSにアカウントを開設し、随時投稿、更新を行って求職者にアプローチや情報提供をするやり方などです。
③社員の紹介を活用するリファラル・リクルーティング
自社の社員からの紹介や、縁故採用のことです。
④自社HPを活用する採用活動
転職希望者は転職したい企業のHPは必ずと言っていいほど閲覧します。ですから、求人媒体などでざっと眺めて応募してくる応募者よりも、自社のHPを見て応募してくる人材のほうが自社に興味を持っており、マッチする応募者を獲得できる可能性が高いです。
ダイレクトリクルーティングが広がっている背景
ダイレクトリクルーティングの市場規模は年々拡大しています。その理由は、少子高齢化と、それに伴い労働人口が減少していることです。
労働人口の減少によって企業は人手不足となり、採用競争が熾烈になっています。労働人口が多い時代には企業が求職者を選んでいましたが、今は求職者が企業を選ぶ時代になってきています。
求人媒体を介して応募者を募る手法は、もともと企業が理想とする人材に巡り合いにくい、企業が発信できる情報が少ない、というデメリットもありました。
そのため、従来型の「待ち」の手法では人材の確保が難しくなってきており、企業が直接求職者にアプローチできる「攻め」の手法としてダイレクトリクルーティングが広まっています。
ダイレクトリクルーティングの特徴
ダイレクトリクルーティングの特徴は、なんといっても企業が求める人材に対して直接アプローチすることです。
直接アプローチすることによって、業務内容、事業戦略、社風など自社の魅力を直接アピールできます。それによって双方の理解が深まり、企業が求める最適な人材を採用できる可能性が非常に高くなります。
また、直接コンタクトを取ることによって、応募者の志向や希望条件に合わせたきめ細かい対応を取ることができるので、採用できる確率を高めることができます。
従来の採用手法では応募者全員に対応する必要がありましたが、ダイレクトリクルーティングでは企業側が欲しいと思う人材だけにアプローチすることができるので、採用活動が非常に効率的になります。
自社にあった人事職の人材をスカウトする流れは?
ダイレクトリクルーティングは自社が希望する人事職の人材を採用しやすい手法ですが、そのためにはもちろん準備が必要です。ダイレクトリクルーティングの場合、採用活動に関する業務は基本的に自社で行うことになります。
まず、求人票に載せる内容を決定し、求人票を作成します。次に自社が求める経験職種やスキルで人材データベースを検索。データベースで希望する人材がヒットしたら、スカウトメールを送ってコンタクトを取る、というのが大まかな流れになります。
次に準備すべき内容を項目別に解説していきます。
求人票の作成
まず求人票の作成です。これは企業の人事、もしくは採用担当者が自分で作成します。手間ひまはかかってしまいますが、これをきっかけに自社が求めている人材の採用基準を明確にすることができるでしょう。
順序としては、まず自社が求める人材の要件を明確にします。そして募集人数、募集方法、採用基準、選考方法などを決めておきます。
自社の希望を羅列するだけでなく、応募者が求めている情報を記載することが重要になります。
求める人材像(人物像)を明確にしておく
次に、自社が求める人材像を明確にしておく必要があります。つまりターゲット像を設定するということです。
希望する経験値やスキル、必要であれば資格などを明確にしておき、面接担当者や採用担当者などの意見を一致させておきます。経営陣の望む人物像も把握しておきましょう。
また、「必須条件」「希望条件」など条件に階層をつけておけば、採点基準が明確になります。
選考にあたっては、経歴、スキル、経験値だけを重要視しすぎると、自社の社風や方向性と合わない可能性もありますので、注意が必要です。
スペックだけではなく、転職理由、働き方についての考え方、ライフスタイル、趣味なども考慮した人物像を想定しておくと、ミスマッチを避けることが可能になります。
自社のメリット、強みや価値を明確(言語化)
応募者が「この会社で働いてみたい」と魅力を感じる求人票にするためには、人材像の他に、自社のメリット、また、強みや価値を明確に言語化しておく必要があります。
自社の強みを明確にしておくことで、ターゲットに自社の魅力をきちんと伝えることができます。
まずは業界内での自社の強み、弱みを把握して、魅力のあるポイントをアピールします。転職希望者は企業規模だけにこだわっている人は少ないので、たとえば業界でのシェアが低くても、自社にしかない製品を持っているなど、ナンバーワンでなくてもオンリーワンの強みなどをアピールするとよいでしょう。
また、顧客にアンケートを取るなどして顧客の声をヒアリングすると、自分たちでは気がつかない良さや弱点を知ることができるでしょう。
経験職種やスキルで人材データベースを検索
求める人物像が明確になったら、使用する人材データベースを選定し、採用候補者を検索します。経験職種や必要なスキルで検索し、自社に最適な人材を探します。
人材データベースはサービス会社ごとに検索条件が異なる場合がありますが、可能な限り条件がぶれないように検索しましょう。
また、スキルや経験だけでなく、希望職種や希望勤務地など、いろいろな角度で検索してみると、より最適な採用候補者がヒットする可能性がアップします。
スカウトメールを送る
採用候補者を選定したら、候補者に送るスカウトメールを作成して送付します。
スカウトメールは候補者の経験値や転職理由に合わせて個別に作成しますが、すべて個別に作成するのは大変な作業です。ですから、まずスカウトメールのテンプレートを作成し、候補者によって書き換えるようにすると作業が楽になります。
次にスカウトメールを作成するためのポイントを解説します。応募率が上がり、マッチ度が高い採用に繋げるためのポイントは4つあります。
・特別感を出すこと:ありきたりの文面ではなく、自社ならではの文章で、「あなたを特別にスカウトしたい」というスペシャル感を出す個別性の高いメッセージを送ることが重要です。
・文面は相手に寄り添う内容にする:候補者のプロフィールを確認し、「プロフィールに魅力を感じました」など、相手に寄り添う文面を入れるとよいでしょう。
・会社紹介は分かりやすく端的に伝える:長々と書くよりも簡潔にまとめたほうが好感を持たれます。
・希望職種が一致している事をアピールする:候補者と自社が求めている希望職種が一致していることをアピールし、候補者に興味を持ってもらうことで応募率が上がる可能性があります。
ダイレクトリクルーティングを利用するメリット・デメリット
ダイレクトリクルーティングは新しい採用手法として非常に注目を集めている手法ですが、やはりメリットとデメリットの両方があります。ダイレクトリクルーティングを始める前に、メリットとデメリットを理解しておきましょう。
ここでは既存の採用手法と比較しながら、メリットとデメリットを解説していきます。
メリット1:自社にマッチした人材に出会える可能性が高い
従来の採用手法である求人媒体や人材紹介は、企業は優秀な人材が応募してくるのを「待つ」採用方法です。
対してダイレクトリクルーティングは自社が希望する経験やスキルを持った優秀な人材に自分からアプローチする「攻め」の採用手法です。ですから人材紹介では見つからない人材にダイレクトにアピールすることができます。
従来の手法では実際に転職活動を行っている転職希望者しか応募してきませんが、ダイレクトリクルーティングでは、求人媒体を見ても応募しなかった候補者や、転職潜在層にもアプローチすることが可能です。
また、自社から候補者に個別にアプローチしてコミュニケーションを深めることができるため、自社にマッチした人材を採用できる可能性が高くなります。
メリット2:費用を抑える事ができる
ダイレクトリクルーティングの場合、従来の求人媒体や人材紹介よりも採用に関わる費用を抑えることができます。ダイレクトリクルーティングの費用は、基本的に人材データベース利用料+成功報酬費のみとなります。
SNSなどを利用してアプローチすれば、従来の手法よりもローコストで採用でき、採用コストを削減することが可能です。
求人広告では広告を作成する費用や、情報を広めるのにも費用が掛かります。またWEB媒体の場合は「基本掲載料+優良オプション」になっている場合が多いです。人材紹介を利用する場合も成功報酬など一定の金額を人材紹介会社に支払わねばなりません。
ダイレクトリクルーティングの場合、ほとんどのサービスが人材紹介費用よりもローコストで済みます。
メリット3:転職の顕在層だけではなく潜在層へアピールできる
求人媒体や人材紹介で人材を探す場合、既に転職活動を始めている顕在層の転職希望者は探せますが、それ以外の人材は探すことができません。
ダイレクトリクルーティングの場合は、現在仕事に就いているけれども、将来的には転職も視野に入れているという転職潜在層へアプローチすることが可能です。
その理由は、ダイレクトリクルーティングの人材データベースには、
- 今よりいい会社があれば転職も考える
- 今すぐには転職は考えていないが、先を考えて情報収集しておきたい
という潜在層が登録しているケースが多いからです。
メリット4:自社の採用ノウハウを溜めていける
ダイレクトリクルーティングの場合、候補者の検索、選定、アプローチから入社までの採用プロセスをすべて自社で行います。直接、候補者に自社をアピールしなければならないので、スカウトメール、スカウトメッセージも自社で作成することになります。
自社の魅力をどう伝えるか、優秀な人材を惹きつけるにはどうしたらいいのか、などを自前で考えなければなりません。
そういった業務を繰り返し行うことで、採用のノウハウが自社に蓄積されていきます。そうすると自社に合った人材を採用する確率も高くなりますし、問題が起こっても自社で対応することができるようになります。
デメリット1:採用担当者の業務が増える
ではデメリットについて解説していきましょう。
ダイレクトリクルーティングでは、採用に関する業務のほとんどを自社で行うため、必然的に採用担当者の業務が増えてしまいます。
求人票の作成やスカウトメールの作成、送付、またSNSを利用した情報発信なども自社で行う必要があります。さらに反応があった候補者とのコミュニケーションも取らなければなりませんし、面接するまで選定したら面接日の設定や段取りも組まねばなりません。
今までの採用過程とは違ってくるため新たな業務が増え、新しいプロジェクトチームを立ち上げる必要がある場合も出てきます。
デメリット2:転職意欲や志望していない人材の場合がある
従来型の採用手法は、転職を希望している人材が応募してくるため、当然転職の意志を持っています。ですがダイレクトリクルーティングの場合、きっかけが企業側から候補者に対するアプローチのため、転職意欲や自社を志望していない人材である可能性もあります。
候補者が自社の求める優秀な人材だった際には、コンタクトが取れた時点で自社に興味を持ってもらい、入社意欲を高める工夫をしていくことが大切です。
現在は別の企業で働いていて、すぐに転職するつもりではなかったという場合もあります。そのような場合にはスカウトするのに時間をかけてコミュニケーションを深めるなどの労力がかかりますし、退職するまで待つ必要もあり、採用まで時間がかかることもあります。
デメリット3:潜在層へのアプローチの場合は長期的な対応が必要になる
ダイレクトリクルーティングでは、転職顕在層だけでなく、潜在層にアプローチできることも利点の一つです。ですが潜在層へのアプローチは長期的な対応が必要になってきます。
まずダイレクトリクルーティングを初めて導入する場合、全くノウハウがないため、当面は試行錯誤の状態が続きます。ノウハウを溜めて採用力がつくまでは、結果が出にくいことも考えられますので、長期的な視野でノウハウを蓄積していく必要があります。
また、転職潜在層にアプローチする場合、転職意欲が低いことも少なくなく、即入社には繋がりにくいこともあります。
自社への興味を高めてもらい、入社の意志を固めてもらうまでには長期的にアプローチすることが必要になるケースもあります。
企業の人事採用活動を支援するサービスは?
人材の採用は、まず社内で採用計画を立てておくことが重要になります。また、面接や採用するに当たっては採用選考ルールや配慮すべき事項など、厚生労働省のルールなどを把握しておいてください。
最後に、人事の人材採用活動を支援するサービスをご紹介します。特徴や使い勝手はサービスによってさまざまですから、目的や予算などを考慮し、自社に合ったサービスを選定してください。
WARC AGENT|人材紹介の『負』の解消を目指す、新しい転職エージェント
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特に「一人一人に」徹底的に向き合うスタイルを自社のバリューとしており、人に徹底的に寄り添う主義の人材紹介会社です。
リクルートエージェント|採用人事のリソースの確保、優秀層へのアプローチ
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