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プロジェクトマネージャ試験とは?難易度や勉強方法について解説

シンカキャリア編集部

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更新日:2024/07/11

IT開発プロジェクトの全体管理を行うプロジェクトマネージャを目指す方には、キャリアアップのために資格取得を考えている方も多いのではないでしょうか。プロジェクトマネジメントに関する能力を認定する資格に「プロジェクトマネージャ(PM)試験」があります。プロジェクトマネージャ試験は、IPA(情報処理推進機構)が実施する国家資格試験です。国家資格のため国内での認知度も非常に高く、取得することでキャリアの選択肢も広がります。この記事ではプロジェクトマネージャ試験の概要や難易度、勉強方法を解説します。

目次

IT開発プロジェクトの全体管理を行うプロジェクトマネージャを目指す方には、キャリアアップのために資格取得を考えている方も多いのではないでしょうか。

プロジェクトマネジメントに関する能力を認定する資格に「プロジェクトマネージャ(PM)試験」があります。プロジェクトマネージャ試験は、IPA(情報処理推進機構)が実施する国家資格試験です。国家資格のため国内での認知度も非常に高く、取得することでキャリアの選択肢も広がります。

この記事ではプロジェクトマネージャ試験の概要や難易度、勉強方法を解説します。資格取得を目指している方はぜひ参考にしてください。

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プロジェクトマネージャ試験とは

プロジェクトマネージャー試験とは「システム開発のプロジェクトを管理する責任者」としてのスキルを有することを認定する資格試験です。

プロジェクトマネージャ試験に合格することで、「プロジェクトを成功に導くために、多様な要求に柔軟に対応できる」という、プロジェクトの責任者には不可欠な能力があることを証明できます。

参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「プロジェクトマネージャ試験」

IPA(情報処理推進機構)が実施する国家資格

プロジェクトマネージャー試験はIPA(情報処理推進機構)が実施する国家資格の一つです。IPAはIT社会の実現に関連するいくつかの試験を実施している独立行政法人であり、プロジェクトマネージャー試験は「情報処理技術者試験」の中で、特にプロジェクトマネジメントに特化した公的資格試験となっています。

プロジェクトマネージャーの能力を評価する試験には、プロジェクトマネージャ試験のほかにもPMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)試験やP2M(プロジェクト&プログラムマネジメント)資格試験が存在します。これらのうち、国家資格なのはプロジェクトマネージャ試験国家試験のみです。

さらにPMPとP2Mは受講料が3~6万円と高額かつ、PMPは3年ごとの資格更新が必要なのに対し、プロジェクトマネージャ試験は受験料が

7,500円かつ一度取得すれば資格は永遠に有効です。

受験資格はない

プロジェクトマネージャ試験には、年齢や国籍、学歴などといった特別な受験制限はありません。さらにIT業界での実務経験はおろか、プロジェクトマネージャとしての経験も問われません。そのため、受験準備が整えば誰でも受験することが可能です。これからプロジェクトマネージャを目指したいと考えている未経験の方でも受験することができます。

IPAでは「高度IT人材として確立した専門分野をもち、組織の戦略の実現に寄与することを目的とするシステム開発プロジェクトにおいて、プロジェクトの目的の実現に向けて責任をもってプロジェクトマネジメント業務を単独で又はチームの一員として担う者」を試験対象者として掲げていますが、これは受験条件ではありません。もちろんプロジェクトマネージャとして実務経験があるほうが有利であることは間違いありませんが、必須ではありません。

試験日程

プロジェクトマネージャ試験は4部構成になっており、それぞれ出題内容や試験方法が異なります。午前中に2部、午後に2部の試験が設定されており、1日で終了する試験です。

午前Ⅰは四肢択一の選択問題となっており、試験時間は50分です。内容はITに関する基礎知識ですが、かなり幅広い範囲から出題されるためしっかりと対策したほうが安心でしょう。

午前Ⅱは同じく四肢択一の選択問題であり、試験時間は40分です。ここではシステム開発、ソフトウェア開発、マネジメント、セキュリティなどのプロジェクトマネジメントに必要とされる専門性の高い知識が問われます。

午後Ⅰは記述式試験であり、試験時間は90分です。プロジェクトに関する文章を読み、記述に関した設問に短文記述で回答します。3問のうち2問を選択して回答しますが、文章が問題用紙3~4枚分とかなりの長文のため、まず内容を理解するのに時間がかかる傾向にあります。

午後Ⅱは論述式で、プロジェクトマネジメント業務に関する専門性の高い文章を読み、経験と考えに基づいて論述することが求められます。3つの設問に対し、それぞれ600~1600文字で回答します。

プロジェクトマネージャ試験の難易度と合格率

プロジェクトマネージャ試験は国家資格のひとつであり、ITプロジェクトを実施・管理するマネージャとして必須とされる幅広い知識が問われる試験です。求められる知識は非常に多く、設問の難易度も高いため、決して簡単な試験でないことは明白です。

ここでは、プロジェクトマネージャ試験の難易度と合格率を詳しくご紹介します。

難易度

プロジェクトマネージャー試験は、IPAの主催している情報処理技術者試験のレベル区分でも最高難易度のスキルレベル4に位置付けられています。合格ラインは午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後Ⅰ試験でそれぞれ100点満点中60点であり、午後Ⅱ試験ではランクA(合格水準)です。

プロジェクトマネージャ試験で求められる能力は幅広く、かつそのすべてが必須内容です。

システムの技術的な知識はもちろん、人員や予算についてのマネジメント知識も重要です。スケジュールの立案においては、日程調整のみならずそのスケジュールに対して必要な人員や物資の調達などの周辺要因についても具体的な計画が必要です。そして計画を立てるためには、その分野における知識や人脈などが必要になるため、多くの人と密接な関係を構築していかないといけません。

また、想定していなかった不測の事態に臨機応変に対応する能力もなくてはなりません。これらすべてを包括的に問われるため、最高難易度であることは間違いないでしょう。

合格率

合格率は例年12~15%程度であり、非常に難しい試験であると言えます。2022年度は受験者7,382人、合格者1,042人、合格率14.1%でした。難易度が高い理由としては、IT関連の知識以外にも戦略体系や法律などといったIT以外の知識も必要であり、論述形式の問題に対して要点を絞り、筋道を立てて文章を記すスキルも求められることが挙げられます。ただしすでにプロジェクトマネージャーとしての実務に関わっている人の場合は、他業種からの受験よりも合格率は高くなるでしょう。

他の情報技術者試験と比較すると、基本情報技術者試験や応用情報技術者試験が30%程度の合格率のため、プロジェクトマネージャ試験の合格率の低さが際立ちます。合格するためには、プロジェクトマネージャーとしての十分な能力を身につけるとともに、実際の試験で実力を十分に発揮するために、しっかりとした試験対策が必要です。

プロジェクトマネージャ試験の勉強方法

プロジェクトマネージャ試験は4部構成の試験ですが、午前は基礎知識を問う問題、午後は記述・論述試験となっています。いずれの場合も幅広い範囲の知識と実務経験に基づく考え方が問われており、何も勉強せずに合格できることはまれな高レベル試験であることは明白です。以上のことから、しっかりとした試験対策は必須になります。ここではプロジェクトマネージャ試験合格のための勉強方法をご紹介します。

午前・午後対策をする

午前の試験は両方とも四肢択一のマークシート方式であるため、1問1問に対して時間をかけずに回答することが重要です。試験勉強の際は参考書で知識をしっかりと習得することはもちろん、公式サイトでは過去問が公開されていますので、実際の問題を繰り返し解くことでテスト形式に慣れておくといいでしょう。1問に対して掛けられる時間を実際に解くことで判断し、時間配分の感覚を身に着けることができます。また、択一式のため、答えがわからない場合でも無回答は必ず避けましょう。

午後は両方とも記述・論述形式試験であり、専門性の高い長文を読んで内容を理解し、設問に回答することが求められます。ここでは、先に設問を読むようにしましょう。「何について問われるのか」を先に把握しておくことで、本文を読む際にも重要なポイントの理解が用意になります。また自分の言葉で論ずる必要があるため、実践的な知識が乏しいと合格は難しいでしょう。さらに手書きで論述することにも慣れておく必要があります。書き始めた内容を途中で書き直したり、論の展開を変更してしまっては時間切れになる可能性もあります。自分の考えや経験を論理的かつ適切に表現する練習を積むことが必要です。

オンライン講座を活用する

未経験からプロジェクトマネージャ試験の合格を目指すのであれば、学習に時間がかかることを覚悟する必要があります。実務経験が重要な問題が多いため、暗記だけでは全てを対処しきることは難しいでしょう。その場合、独学のみで合格を目指すよりもオンライン講座を活用するほうが格段に効率的です。お金はかかりますが、参考書やスマートフォンアプリを使った学習にも多少の費用は必須のため、講師のサポートを受けてより効率よく学習することをおすすめします。

オンライン講座のメリットとしては、学習中の疑問点を質問できるため、すみやかに理解を深められることが挙げられます。また学習期間や学習計画があらかじめ用意されているため、自分で計画を管理するのが苦手な人に適しているでしょう。多くのオンライン講座では模擬試験も受験することができるので、自分の知識レベルを確認したり、試験形式に慣れることができるのも嬉しい点です。

プロジェクトマネージャ試験の勉強時間の目安

プロジェクトマネージャー試験は実務経験や知識の有無によって必要な勉強量に差が出るため、自分に合った学習計画を立てるとよいでしょう。実際にプロジェクトマネージャーとしてプロジェクトを運営している人なら、スケジュールや予算の立て方などといった基本的な業務のポイントや知識はすでに習得している可能性があります。ここではオンライン講座を利用する場合、独学の場合のそれぞれの勉強時間をご紹介します。

オンライン講座を活用する場合の勉強時間

プロジェクトマネージャ試験合格のための勉強時間は、実務経験の有無に左右されます。 実務の経験が豊富な人でおおよそ100時間以内、経験が少ない人では250〜300時間程度が目安と言われています。日々の勉強時間を考慮して、4か月ほどを見込むと良いでしょう。オンライン講座の場合は受講期間が2~4か月、サポート期間が12か月とされている場合が多いです。講座によって異なるため、複数の講座を比較することをおすすめします。

なお、プロジェクトマネージャ試験は年に1回だけ行われます。そのため、プロジェクトマネージャ試験のためのオンライン講座には通年受講することができず、開講期間が決められているものもあるので注意しましょう。講座によって教材の発送予定日や講座の開始日が異なるため、自分の学習スケジュールを確認した上で受講を開始する必要があります。

独学の場合の勉強時間

独学の場合も、勉強期間は4ヶ月程度見ておきたいところです。もちろん毎日何時間も勉強時間を確保できるのであればより短期間でも十分かもしれませんが、プロジェクトマネージャ試験を受験する方の多くはすでに仕事をしている社会人の方が多く、なかなかまとまった勉強時間を捻出することが難しいのではないでしょうか。

日々の勉強時間としては、勉強時間を週末にまとめて一気に行うのではなく、毎日少しずつでも勉強を進めることが理想的です。休日は何かと予定が入ってくることも多いと考えられるため、当初想定していた通りに勉強できなくなり、結局受験を諦めざるを得なくなるというのは避けるべきパターンです。短時間でも毎日プロジェクトマネージャ試験の勉強をすることを習慣化することができれば、本試験当日までに必要な勉強量を確保することができるでしょう。

プロジェクトマネージャ試験は独学は難しい?

未経験からプロジェクトマネージャ試験を目指すのは困難と言わざるを得ませんが、決して不可能ではありません。合格すれば大きなアピールポイントになり、キャリアアップにもプラスに働くでしょう。プロジェクトマネージャーを育てたいという企業もあるため、やる気や基本知識の習得をアピールできれば転職も可能です。ただし、実務経験がないと好待遇での転職は難しいかもしれませんので、その点は注意が必要です。

未経験者は不利になる

プロジェクトマネージャ試験ではITの基礎知識やマネジメントに関する知識はもちろんのこと、データベース・セキュリティ・ネットワークなどの専門性の高い知識や文系的知識など、非常に幅広い知識が問われます。特に午後の記述・論述試験では実務に基づく知識を問われることが多いため、未経験者はどうしても不利になります。知識を暗記したとしても、合格ラインに到達するのは簡単ではないと言わざるを得ません。

未経験からプロジェクトマネージャーを目指す場合は、将来的にプロジェクトマネージャーにキャリアアップできるように段階を踏んでいくのが一般的なルートでしょう。まずはプログラマやシステムエンジニアとしてITの現場経験を積むところから始まり、開発プロジェクトに参加しながらプロジェクトそのものの流れを理解したうえで試験勉強を進めるのがおすすめです。

とはいえ、合格は不可能ではありません。取得済であるという事実が高く評価される国家資格のため、オンライン講座などを活用しながら根気強く学習を続けるのも一つの手です。

プロジェクトマネージャ試験には対策が必須

プロジェクトマネージャ試験は高難易度ではありますが、非常に人気の資格です。簡単には取得できませんが、継続的な勉強を続けることで必ず合格できますし、試験勉強で獲得できる勉強習慣は実際の業務でも大きく役立つことでしょう。働きながら勉強を続けるには、毎日の勉強を習慣にしてしまうことが大切です。短い時間でも良いので毎日勉強を続けていきましょう。また、試験は4つの項目で行われるため、1日を通して4種類の試験を受け続けるための体調や体力を整えておくことも重要です。

オンライン講座などを利用して知識を固め、万全の態勢で挑戦すれば、未経験者であっても合格が不可能なことはありません。プロジェクトマネージャは不可能かと思えるような問題をも乗り越えることすら仕事のうちであるため、この試験に合格することをひとつのプロジェクトと考えれば、この難易度も乗り越えられるはずです。

プロジェクトマネージャ試験はその難易度や人気が知られている資格だからこそ、取得をきっかけにプロジェクトマネージャーを任されることもあるでしょう。キャリアアップにも転職にも非常に有利な資格であるため、ぜひしっかりと対策を行ったうえで合格を目指してください。

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