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中小企業診断士とは?試験の難易度や仕事内容、将来性まで解説

シンカキャリア編集部

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更新日:2024/07/11

経営や経済に興味がある人の中には中小企業診断士資格が気になるという人もいるのではないでしょうか。中小企業診断士の仕事内容やメリットを知っておくと、取得すべきかの判断もしやすくなります。この記事では中小企業診断士の仕事内容や取得方法、メリット、将来性などについて解説しています。中小企業診断士資格はキャリアアップに大変有利な資格ですので、ぜひ取得を検討してみてください。

目次

経営や経済に興味がある人の中には中小企業診断士資格が気になるという人もいるのではないでしょうか。中小企業診断士の仕事内容やメリットを知っておくと、取得すべきかの判断もしやすくなります。

この記事では中小企業診断士の仕事内容や取得方法、メリット、将来性などについて解説しています。中小企業診断士資格はキャリアアップに大変有利な資格ですので、ぜひ取得を検討してみてください。

中小企業診断士とは

中小企業診断士は、中小企業の経営面の悩みについて相談にのり、助言を行う専門家です。

経営実態を調査し、それぞれの企業が抱える問題を分析して、幅広い専門知識で課題解決に導くのが主な業務です。

企業勤務と独立の2パターンがあり、平均年収は約700〜800万円(※1)と一般会社員より高い水準になっています。経営コンサルタントの一種であり、唯一の国家資格ですので、コンサルタント業務でキャリアを積みたいなら、チャレンジしてほしい資格です。

(※1)参考:職業情報提供サイト(日本版O-NET)「中小企業診断士」

中小企業診断士の仕事内容

中小企業診断士の具体的な仕事内容は次のようになっています。

経営コンサルティング

中小企業診断士の主な仕事は、依頼された企業の希望に沿ってコンサルティング業務を行うことです。中小企業の抱える経営面の悩みをヒアリングし、経営状況について調査・分析し、課題を把握します。

課題に対し、生産性の向上やコスト削減のための改善策をまとめアドバイスするなど、経営戦略や必要な知識、情報を的確に伝えていきます。経営者と協力して企業の成長を目指していく、専門的でやりがいのある仕事です。

経営改善書や経営診断書の作成

申請書類の作成も中小企業診断士の仕事です。主な書類は経営改善計画書や経営診断書になります。

経営改善計画書は金融機関から融資を受ける際に必要な書類で、経営上の課題を見つけて改善するための計画書です。経営診断書は産業廃棄物許可申請の際に提出する書類で、企業の現状分析や課題・問題点、解決策をまとめたものになります。

この2つの書類は中小企業診断士にしか作成できず、それらを作成するのも中小企業診断士の大切な役割です。

公的業務

経産省に中小企業診断士として登録すると、商工会議所や都道府県からの仕事を受注できます。また、中小企業基盤整備機構や商工会議所で働く人もいます。

仕事内容は、経営指導者として巡回指導や窓口指導を行ったりすることで、公的機関の窓口に訪れた企業に対して相談に乗ることも重要な仕事の一つです。セミナー等に派遣され、経営の専門家として情報や知識を提供し、中小企業のサポートもします。

経営に関する専門知識の発信

経営に関する専門知識の発信も中小企業診断士の仕事です。企業経営に関する幅広い知識をもとに講演を行ったり、執筆活動を通じ経営知識を発信します。

最近ではSNSで経営に関する発信をすることも多く、得意とする業界に関しての経営を説明する特化型の中小企業診断士も増えています。対象者も経営者だけでなく、起業家や学生など、自ら情報を求める人に幅広く積極的に提供していきます。

中小企業診断士になるには

中小企業診断士になるためのルートを紹介します。まずは中小企業診断士試験の合格が目標です。

①中小企業診断士試験に合格する

中小企業診断士になるには中小企業診断士協会が主催する試験に合格しなくてはなりません。試験はマークシート形式の1次試験と、筆記・口述試験の2次試験、2段階選抜で実施されます。

1次試験合格後は2次試験に合格するか、中小企業診断士養成課程を修了するか、どちらかが必要です。試験は年齢・学歴・経験を問わず誰でも受験できますが、経営・経済に関する幅広い分野から出題されるため、大学で学んだことがあるなど基礎知識があると有利です。

中小企業診断士1次試験の概要

1次試験のスケジュールや内容は以下のようになっています。

試験日

8月上旬の土日2日間

受験資格

年齢・学歴・経験を問わず誰でも可

申し込み方法

4月下旬から5月末頃に中小企業診断士協会に願書を郵送

試験内容

経済学・経済政策、財務・会計、企業経営理論、運営管理、
経営法務、経営情報システム、中小企業経営・中小企業政策

試験地

札幌、仙台、東京、名古屋、金沢、大阪、広島、四国、福岡、那覇

受験手数料

14,500円

(令和5年度の中小企業庁の案内(※2)よりまとめています。日時等詳細は変更になることがありますのでご確認ください)

1次試験はマークシート方式で行われます。受験科目は7つあり、広範囲な知識が必要です。合格基準は「総点数の60%得点」かつ「1科目も40%得点未満でない」こととされています。

公認会計士や税理士、不動産鑑定士、そしてシステムアナリストなど11種類の情報処理技術試験合格者などは1部科目が免除されます。また、1度に合格できなくても3年以内にそれぞれの科目に合格すれば2次試験受験が可能です。合格率は20~25%程度で、難易度が高めの試験といえるでしょう。

(※2)参考:中小企業庁:令和5年度の中小企業診断士試験について (meti.go.jp)

中小企業診断士2次試験の概要

2次試験のスケジュールや内容は以下をご覧ください。

試験日

筆記:10月下旬の日曜日、口述:1月中旬の日曜日

受験資格

1次試験合格者など

申し込み方法

8月下旬から9月中旬に願書を郵送

試験内容

筆記:中小企業の診断及び助言に関する実務の事例について
口述:筆記試験の出題範囲の中からランダムに

試験地

札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡

受験手数料

17,800円

(令和5年度の中小企業庁の案内よりまとめています。日時等詳細は変更になることがありますのでご確認ください)

筆記試験の合格基準は1次試験と同じ「総点数の60%得点」かつ「1科目も40%得点未満でない」こととされています。筆記試験をクリアすると口述試験が受けられます。口述試験は約10分間の個人面接で、評定が60%に達していれば合格です。

2次試験ではなく養成課程を受ける場合は、審査により選考されます。一定期間の通学が必要で、フルタイムや夜間・週末のみなどのコースが選べます。フルタイムの場合でも約半年は就学が必要であることや、費用が高額になることを考慮して検討しましょう。

②実務補習を受ける

無事試験に合格したら、次のステップに進みます。中小企業診断士として登録するには、実務補習を受けるか、診断実務に従事するかのいずれかが義務付けられています。実務補習は2次試験合格後3年以内に受講を定められており、期間は15日間です。

実務補習では実際の経営コンサルティングの場で先輩から実践的な指導を受けます。グループで取り組むため、仲間と共に研鑽し合っていくことができます。

2次試験ではなく養成課程修了の場合、実務の要件は不要です。

③中小企業診断士として登録

実務補習が終了したら、必要書類を経済産業大臣に提出します。提出書類には登録申請書の他合格証明書、実務補習終了証書などが必要です。養成課程を修了した場合は養成課程の修了証明書が必要になります。

その後登録の通知が来たら、晴れて中小企業診断士として名乗ることが可能になります。

中小企業診断士の登録は5年間有効で、更新するには満たさねばならない要件がありますので、注意しましょう。

中小企業診断士試験の難易度

次に、中小企業診断士試験の難易度についても見ていきましょう。中小企業診断士試験の難易度は高く、決してたやすい道のりではありません。

合格率

中小企業診断士試験は1次試験、2次試験とも合格率は約20〜25%、2次試験まで突破した最終合格率は4〜6%程度となっています。これは3000時間の勉強が必要といわれる公認会計士よりも低い割合になっています。

同程度の合格率となっている資格には社会保険労務士、司法書士などがあり、難関資格の一つといえるでしょう。

勉強時間

中小企業診断士試験合格までに必要といわれている勉強時間は、1次試験800時間、2次試験200時間、合計1000時間です。これは社会保険労務士や行政書士と同程度であり、長期にわたる学びが必要になります。

独学でも合格は目指せますが、働きながらであればスクールや通信講座を活用するのがおすすめです。計画性をもって効率的に学べるため、合格までの道のりも短縮できることが多くなります。わからない点は講師に質問もできますし、モチベーションの維持にも役立ちます。

中小企業診断士になる5つのメリット

中小企業診断士になると大きなメリットが期待できます。主なメリットには以下の5つがあげられます。

①経営に関する知識が身につく

中小企業診断士試験の学習中には、経営や経済に関する体系的な知識が身につけられます。

中小企業の経営状態をさまざまな角度から把握できるようになり、専門的な知識を活用して経営の診断・改善が行えます。

質の高いアウトプットが可能になるため、目の前の業務改善だけでなく、組織全体の課題に取り組むような大きな仕事にも携わることができるでしょう。将来独立するときにも身につけた知識は必ず役に立ちます。

②人脈を築くことができる

試験に合格後、中小企業診断士として登録し業務を行う前に、実務補習を受けることになります。実務補習はグループで行われるため、社外のいろいろな人と出会い、新しい人脈を築くことができます。

正式に中小企業診断士となってからも診断士協会などに入り、社外人脈を拡大していけます。また、中小企業診断士は他の診断士や職種の人と連携して仕事をすることが多く、社外の人脈が築きやすいでしょう。

会社員を続けるにしても、独立するにしても、社外人脈はビジネスの役に立ってくれるはずです。

③社会的評価を得られる

中小企業診断士は経営コンサルティングに関する唯一の国家資格です。難関を突破して資格取得した人は、経営に関する幅広い知識がある証明とみなされ、社内外からの社会的評価も高くなります。

中小企業診断士として名乗れるため、肩書のない経営コンサルタントよりも信頼されるのは間違いないでしょう。

④キャリアの幅が広がる

中小企業診断士になるとキャリアの幅が広がります。中小企業診断士試験の出題範囲は幅広く、合格までには膨大な知識が身についています。身につけたスキルや知識はあらゆる業種・職種で役立てることができます。

専門知識が活かせる部署への異動や、昇進して経営に関わる仕事に携わることも可能かもしれません。独立して事務所を構えることもできるので、未来のキャリアプランの選択肢が広がります。

⑤就職・転職に有利

中小企業診断士資格は就職・転職にも有利です。コンサルティング会社だけでなく、多くの企業が自社の経営改善を求めているからです。国家資格である中小企業診断士は経営のプロとして認められやすく、良い条件で転職できる可能性があります。

また、難易度の高い資格なので成長意欲や学習能力があることも評価の対象になるでしょう。より良い待遇や、やりがいある仕事を求めて転職を検討しているなら、中小企業診断士資格を取得するのがおすすめです。

中小企業診断士の活躍の場

中小企業診断士は「企業内診断士」と「独立診断士」に大きく分けられます。他にも多彩な活躍の場が用意されています。

企業内で活躍

企業内で診断士として働く場合は、他の会社員と同じく企業に勤めて自社の経営診断を行います。中小企業診断士の半数以上が企業内診断士といわれています。資格を取得するのは企業に長く勤めている人が大半で、取得後もそのまま勤め続けるのが一般的です。

資格を取得することで、総務部や管理部などにおいて経営的な視点を持って活躍できるようになり、異動や昇進・昇給することが多くなるようです。

会計事務所・税理士事務所で活躍

会計事務所や税理士事務所などの「仕業」に就職する中小企業診断士も多くいます。試験の出題範囲には財務・会計が含まれており、業務も会計士や税理士と非常に近いからです。

経営と深い関連があるので、税務相談から経営に関するアドバイスまで広い範囲で行え、中小企業診断士としての力が発揮できます。中小企業診断士にしか作成できない書類もあるため、経営者から重宝される存在になるでしょう。

経営コンサルタントとして活躍

経営コンサルタントとして活躍する人もいます。コンサルティング業界に就職したり、独立して自分の事務所を開設する場合もあります。一般的にはコンサルタント業務の経験を積んだのち独立する人が多いようです。

独立した場合は複数の企業とコンサルタント契約を結び、経営診断を行ったり、必要に応じて経営面のアドバイスを行います。中小企業の経営者とともに企業を動かす仕事は大きな達成感をもたらしてくれるでしょう。

講師や執筆家として活躍

企業や団体から依頼を受けて経営者向けのセミナーを行うなど、講師としても活躍できます。主に独立していて人気のある中小企業診断士に依頼が舞い込む傾向があります。

また、執筆活動を行う中小企業診断士もいます。自身の持つ専門知識と中小企業診断士の経験を活かして、ビジネスに役立つ本を出版するパターンが多いです。書籍を出すことで知名度が上がり、コンサルティング依頼や講演依頼が増えることも期待できます。

中小企業診断士の将来性

最後に中小企業診断士の将来性についても解説します。以下の理由から中小企業診断士の将来は有望だといわれています。

AIに仕事を奪われる可能性が低い

将来性を考えるうえで、AIの存在はまず考慮しなくてはならない問題です。しかし、中小企業診断士の仕事はAIには代替えしづらい業務だと考えられます。中小企業診断士は数字には表れないブランド力などを読み取る能力や、説得力、コミュニケーション能力が必要だからです。

また、時代や状況に応じた柔軟な経営戦略を求められる中小企業診断士の仕事はAIには不向きで、業務を奪われる可能性は低いといえるでしょう。

日本企業のほとんどは中小企業

日本企業全体の99.7%が中小企業であり、その数は約380万社にのぼります。中小企業診断士の対象企業は幅広く、さまざまな分野で必要とされています。

また、景気が減退している日本経済の現状では経営に苦しむ中小企業がたいへん多く、経営課題は山積みです。経営者の高齢化や労働力の確保など、中小企業の抱える問題は絶えることがなく、中小企業診断士の需要はさらに高まる見込みです。

将来性の高い中小企業診断士にぜひチャレンジしよう

中小企業診断士は中小企業の抱える経営課題を解決に導く専門家です。中小企業の抱える問題は多岐にわたり、今後さらに中小企業診断士は必要とされるでしょう。

中小企業診断士資格はキャリアアップに大変有利で、企業に残った場合も社会的な評価が高まります。資格試験は難関ですが、学習したことは一生身につき、やり遂げた後は大きな成果が待っています。この機会にぜひ取得を検討してみてください。

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