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システムアーキテクト試験とは?取得のメリットや試験概要、難易度を解説

シンカキャリア編集部

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更新日:2024/07/11

システムアーキテクトは「ITシステムの設計者」という意味があり、開発プロジェクトの初期から中心メンバーとして参加する上級エンジニアを指します。システムアーキテクトとしての知識やスキルの証明にはシステムアーキテクト試験が有効です。この記事ではシステムアーキテクト試験の概要と難易度、取得するメリットや取得後のキャリアパスなどを解説しています。IT業界での転職やキャリアアップを考えている人はぜひチャレンジしてみてください。

目次

システムアーキテクトは「ITシステムの設計者」という意味があり、開発プロジェクトの初期から中心メンバーとして参加する上級エンジニアを指します。システムアーキテクトとしての知識やスキルの証明にはシステムアーキテクト試験が有効です。

この記事ではシステムアーキテクト試験の概要と難易度、取得するメリットや取得後のキャリアパスなどを解説しています。IT業界での転職やキャリアアップを考えている人はぜひチャレンジしてみてください。

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システムアーキテクト試験とは?

システムアーキテクト試験は、国家資格である情報処理技術者試験の中でも高度区分試験に当てはまる、専門性の高い試験です。情報システムの設計や構築に関する知識とスキルが評価されます

この章ではIPA(情報処理推進機構)公式サイトの見解をもとに、システムアーキテクト試験に最適な対象者や試験について解説します。資格試験に合格した後のキャリアパスについても紹介しますので、概要を理解したうえで試験に臨んでください。

参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「システムアーキテクト試験」

システムアーキテクトとは設計の基礎となる部分を作る人

システムアーキテクトとは、システム開発の現場において上流工程を担い、設計の基礎部分を作る上級エンジニアのことです。システム化の対象となる業務内容の分析や、基本設計、要件の定義、システムの開発、プロジェクトの管理、品質保証などが主な業務になります。

システムの詳細作りを行うSEらの足並みが揃うような設計のルール作りもシステムアーキテクトの業務です。チームや他の部門と協力してシステム開発を進めるため、コミュニケーション能力やリーダーシップも欠かせない要素といえるでしょう。

システムアーキテクトという呼び名は、システムを構築する者ということから「ITシステムの設計者」の意味が込められています。

システムアーキテクト試験

システムアーキテクト試験は、情報システムの設計や構築に関する知識やスキルだけでなく、マネジメント能力などビジネスに必要な知識も問われる難関試験です。

高度なIT人材として専門分野を確立し、クライアントからの提案を受け情報システムに必要となる要件を定義し、実現すべくシステムアーキテクチャを設計して、開発を指導する者を対象者像としています。

受験者は、ネットワーク、システムアーキテクチャ、データベース、セキュリティ、プロジェクト管理、ソフトウェア開発などの分野における幅広い知識が必要です。

この資格を取得していることで、システムアーキテクトやITコンサルタントなどの職種で、活躍するための基本的な能力があることの証明になります。そのため、受験者層にはIT業界でキャリアアップや、次のステップへ転職したい方がほとんどです。

エンジニアとしての経験を積んだ方が自らの実力の証明のために受けることもあります。

システムアーキテクトのキャリアパス

システムアーキテクトとして働く場合、一般的にはIT企業、ソフトウェア開発会社、コンサルティング業界、金融業界など幅広い業界で活躍できます。

システムアーキテクト試験の合格者は「ITコーディネータ」などIT系の試験で一部科目が免除されます。また、「弁理士」「中小企業診断士」などIT関係以外の試験でも一部科目が免除となるため、資格取得がしやすくなるでしょう。

これらをダブル取得すると「IT業界に強いコンサルタント」など、より専門性の高いキャリアを築くことができます。資格を取得しながらキャリアアップを進め、将来フリーのシステムアーキテクトとして独立することも可能です。

システムアーキテクト試験の実施内容

システムアーキテクト試験の試験範囲や出題形式、受験料、合格ラインについて解説します。

試験は休憩をはさんで午前Ⅰ試験、午前Ⅱ試験、午後Ⅰ試験、午後Ⅱ試験の4つに分けて1日で実施。

試験の難易度は高く、合格率は10〜15%といわれています。試験日までに学習が追いつかず、申し込んだものの受験しなかった人が3割以上いるといわれ、高難度な試験であることを物語っているでしょう。

試験会場、受験料

試験会場や出願時期、試験の日程、合格発表、受験料は以下のようになっています。

試験会場

全国62都市で実施

出願時期

1月中旬から2月上旬まで

試験の日程

毎年4月の第3日曜日に開催予定

合格発表

6月中旬

受験料

7,500円

出題範囲

午前Ⅰ試験は基礎理論やソフトウェア、マネジメント、企業活動などの幅広い分野から30問出題されます。午前Ⅱ試験はⅠ試験の範囲の中から以下の9分野について25問出題され、Ⅰ試験と比較して難易度は高くなっています。

分野

大分類

中分類

テクノロジ系

コンピュータシステム

コンピュータ構成要素システム構成要素

技術要素

データベースネットワークセキュリティ

開発技術

システム開発技術ソフトウェア開発管理技術

ストラテジ系

システム戦略

システム戦略システム企画

午前Ⅰ試験は定番となっている問題もあり、過去問題集(※1)の学習が有効です。

午前Ⅱ試験は専門性が上がるため、深い知識が必要になります。出題範囲の中でも「システム開発技術」「情報セキュリティ」「システム企画」の3分野からは出題数も多く、難易度の高い問題が出題されています。重点的に学習しておきましょう。

午後Ⅰ試験、午後Ⅱ試験ともに、出題されるうちの1題が組み込みシステムの問題になっています。Ⅰ試験は、組み込みシステムに関する領域で、AI、ビッグデータなどの活用についての内容の出題が強化。Ⅱ試験は長文の論述試験で豊富な経験と高い文章力が問われます。

(※1)参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「過去問題」

出題形式

出題形式は午前Ⅰ試験・午前Ⅱ試験とも多肢選択式(四肢択一)で、Ⅰ試験は30問、Ⅱ試験は25問出題されます。すべてに解答しなければなりません。

午後Ⅰ試験は、記述式です。4問出題される中から2問選び、解答します。午後Ⅱ試験は、論述式になります。出題される2問から1問を選び、解答します。

試験時間

試験時間は以下のようになっています。

  • 午前Ⅰ試験:50分(9:30~10:20)
  • 午前Ⅱ試験:40分(10:50~11:30)
  • 午後Ⅰ試験:90分(12:30~14:00)
  • 午後Ⅱ試験:120分(14:30~16:30)

午後の記述式、論述式問題に多くの時間が取られており、合否を分ける大きなポイントになっています。

午後Ⅰ試験では大問4つの出題から2問を選び、十数文字から数十文字で答えます。長い説明文を読んだあと問題文を選択、解答に取り掛かるため、内容の把握を含め時間を効率的に使わなくてはなりません。

午後Ⅱ試験は論述式で、大問3つの出題から1問を選んで解答しますが、解答分に必要な文字数が指定されています。最低でも1400字以上で、3600字以内に収めて記述しなくてはなりません。手書きで120分の試験時間以内に書き上げねばならず、長文に慣れていない人にはかなりハードルが高いといえます。

合格基準(合格ライン)

午前Ⅰ・Ⅱ、午後Ⅰ試験はそれぞれ100点満点中、60点が合格基準です。午後Ⅱ試験はランクA~Dのうち、Aランクが合格となります。合格するためには高度なIT知識とスキルが必要になります。

免除科目

午前Ⅰ試験については以下の特定の条件を満たすと免除されます。

  • 応用情報技術者試験に合格後、2年以内であること
  • その他の高度区分試験に合格後、2年以内であること(情報処理安全確保支援士を含む)

システムアーキテクト試験のメリット

システムアーキテクト試験を受けることで、システムアーキテクトとしての実力を証明したいという方は多いようです。システム開発のスキルを証明できるだけでなく、ほかにもさまざまなメリットがあります。この章ではシステムアーキテクト試験合格によるメリットを紹介します。

スキルや知識を持ち合わせていることを客観的に証明

ITの知識やスキルがどの程度あるのか、経験や実績以外で証明することは難しいものです。その点、システムアーキテクトを取得すると、業界知識やマネジメント能力などIPA(情報処理推進機構)で定義されたスキルを持っていることが、客観的に証明されます。

難関の国家資格であるため他のT関連資格よりも信頼度は高く、社内外から高い評価が受けられるでしょう。システムアーキテクト業務を自信を持って行えるようになるとともに、大きな案件を任せてもらえるようになります。

市場価値を高められる

システムアーキテクト資格を持っていることで、エンジニアとしての市場価値も高められます。担当できる案件の幅も広がり、社内外でも評価されることが期待できます。

社内での地位や人的価値の向上によりキャリアアップにもつながるでしょう。資格取得者には特別手当を支給しているところも多いので、既存の職場であっても給与アップが見込めます。

また、難関の国家資格であるシステムアーキテクトを保持していることは転職の際にも有利です。情報社会である現代ではITエンジニアの存在価値は高く、その中でも上級エンジニアの証であるシステムアーキテクトは非常に貴重な存在で、高い評価を受けられるでしょう。

システム企画業務に関われる

システムアーキテクトは、まだアイディアのまとまっていない初期の段階からシステム企画担当者として業務に関わることができます。超上流工程からシステム開発に携われるエンジニアはまだまだ数少なく、一目置かれる存在になることは想像に難くありません。

自身のやりがいも非常に高くなり、システム開発の構想段階から参画できることで、大きな充実感を得られるでしょう。

転職で有利となる

システムアーキテクトは幅広いスキル・知識を保有しているため、転職にも有利です。システム開発の知識だけでなくマネジメントやビジネスに関する知識など、豊富な経験を持つシステムアーキテクトはまだまだ少なく、大きなアピールポイントになります。

キャリアパスの章でも紹介したようにシステムアーキテクト試験合格者は「ITコーディネータ」や「中小企業診断士」などの試験で一部科目が免除されるため、ダブル取得がしやすくなります。ITビジネスに強い中小企業診断士など、コンサルタントとしてキャリアプランを描くことも可能になるでしょう。

上級エンジニアの証明であるシステムアーキテクト試験にチャレンジしよう

システムアーキテクトは上級エンジニアを目指す人にとって必須の資格です。システムアーキテクト資格を得ることにより知識・スキルがあることの証明になり、市場価値は高くなります。社内でシステム企画に参画できたり、転職の際も有利になります。

国家資格であるシステムアーキテクト試験は、難易度が高い分、合格後に得られるメリットは大きいといえるでしょう。自分の経験や知識・スキルの証明となるシステムアーキテクト試験にチャレンジし、転職やキャリアアップに役立てましょう。

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