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臨床法務とは?予防法務・戦略法務との違いと実務ポイントを徹底解説

シンカキャリア編集部

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更新日:2025/06/27

臨床法務とは何か、具体的な業務内容や予防法務・戦略法務との違い、さらに担当者に求められる対応力やスキルをわかりやすく解説します。実際どのような案件を扱うのか具体例も紹介するので、参考にしてみてください。

目次

「臨床法務の業務は?予防法務や戦略法務と何が違うの?」企業法務に携わると、トラブルにどう対処するかが重要になりますが、普段なじみがないと具体例をイメージしにくいものです。

そこで今回は、トラブル対処の現場で頼りにされる臨床法務について、他分野との違いや実務上のポイントをわかりやすく解説します。現場で役立つスキルやノウハウも紹介するので、法務として成長するためにぜひ参考にしてみてください。

臨床法務とは何か

臨床法務とは、企業で実際に発生した法的トラブルに対して迅速かつ適切に対応する法務活動です。予防法務や戦略法務が事前準備や将来を見据えた支援に重点を置くのに対し、臨床法務は「今起きている問題」に真正面から向き合い、被害を最小限に抑えます。

以下で、臨床法務について詳しくみていきましょう。

臨床法務の定義と目的

臨床法務とは、すでに発生した法的紛争・トラブルに対し、迅速かつ適切に対応して会社の損害を最小限に抑えることを目的とした法務活動です。契約違反や債権回収、行政対応といった「今まさに発生している法的課題」に素早く向き合い、できるだけリスクを低減させる役割を担っています。

また、臨床法務は単なる対応にとどまらず、再発防止策を導き出す点も重要です。これにより、次回以降に同じトラブルが起きる可能性を減らせるという点で、会社にとっては非常に頼もしい存在となります。

予防法務・戦略法務との違い

予防法務と戦略法務は「先手」に特化する一方、臨床法務は「後手」に専念する点が大きな違いです。

それぞれの役割は以下のとおりです。

法務の種類

主な役割

予防法務

リスクが発生する前に体制を整え、契約書チェックや規程策定でトラブルを防ぐ

戦略法務

経営戦略や企業価値向上を目的とした法的サポート

臨床法務

実際に生じた法的紛争に対応し、会社へのダメージを最小化する

このように、臨床法務は発生した課題にフォーカスする点で特化しており、実務現場では法務担当者にとって欠かせないスキルとなっています。
そのため、どのような状況でも冷静に対処する力と、法的手続きを迅速に進める能力が求められるでしょう。



▼予防法務と戦略法務の違いについて詳しくはこちら

予防法務とは?戦略法務と臨床法務との違い

臨床法務で扱う主なトラブルと対応例

臨床法務が取り扱う業務は、企業にとって緊急性が高く影響が大きい法的トラブルです。現場では訴訟やクレームなど複雑な課題が次々に舞い込み、迅速な対応と慎重な判断が同時に求められます。具体的なケースをみていきましょう。

臨床法務が対応する具体的なケース

臨床法務が扱う代表的な案件には次のようなものがあります。

  • 訴訟対応や損害賠償請求、和解交渉
  • 債権回収や財産保全(仮差押えや仮処分などの法的手続き)
  • 顧客や取引先からのクレーム対応
  • 社員や役員による不祥事対応
  • 監督官庁との折衝や行政処分への対応

債権回収では、相手が支払に応じない場合に法的手続きを迅速に進める必要があります。このとき、時機を逸さないように証拠をきちんと整理し、外部弁護士と協力することが成功のカギとなるでしょう。

また、クレーム対応では、冷静に事実を確認し、感情的な応対を避けることが重要です。一度対話がこじれると和解への道が遠のいてしまうため、法務と現場が一体となって対応策を練ることが求められます。

さらに、監督官庁との折衝では、法令や規制に則った根拠ある説明が不可欠です。日頃から関係部署と法令順守の体制を整えておくことで、緊急時にスムーズに対応できる体制が築かれます。

このようにさまざまなケースがありますが、いずれも会社の経済的損失を最小化し、被害が広がらないよう迅速に行動することが重要です。また、法的トラブルによるレピュテーション(評判)低下を防ぐため、ステークホルダーへの影響や報道リスクに十分配慮しなければなりません。加えて、対応が長期化することで会社の負担が増すため、状況に応じた妥協も含め、できる限り早期解決を目指すべきです。

臨床法務担当者に求められる資質・スキル

臨床法務担当者には、トラブル現場で頼られる実務能力と冷静さが不可欠です。臨床法務は、法的リスクや予期せぬトラブルに迅速に対応し、再発防止策を導き出す重要な役割を担っています。

以下で、求められる資質やスキルを詳しくみていきましょう。

迅速かつ柔軟な対応力

状況の変化に即応し、的確な判断と行動ができる力が求められます。なぜなら、トラブルは予告なしに発生し、状況は刻一刻と変わるからです。

たとえば、債権回収や監督官庁からの指摘といった事態に対しては、即座に事実関係を確認し、複数の対応策を並行して検討する必要があります。現場にヒアリングを行い、証拠となる資料を整理して、短時間で経営層に判断材料を提供する能力は重宝されるでしょう。

スピードと柔軟性を身につけることで、トラブル解決にかかる時間とリスクを最小限に抑えられます。

法務部と外部弁護士の連携

法務部だけで抱え込まず、外部弁護士と円滑に協力するスキルも必須です。複雑な紛争や専門性の高い法領域(たとえば国際取引や知的財産など)は、外部の専門家に相談する方が効果的な場合もあるでしょう。

実際には、法務部がまず事案を整理し、外部弁護士が法的リスクや対応策を法令に沿って助言する流れがよくあります。その際には、弁護士に背景や事実関係をわかりやすく伝え、現場のニーズを踏まえたアドバイスを引き出すことが重要です。

外部専門家との協働がスムーズに進めば、臨床法務の質は格段に向上するでしょう。

リスクマネジメントと再発防止策の提案

トラブル対応後は、社内体制や業務フローの見直し、再発防止策の提案・指導を行うことも臨床法務の重要な役割です。トラブル対応はゴールではなく、その後に業務プロセスやルールを見直すことこそが企業の成長につながります。

社員不祥事が起きた場合には、ヒアリングや原因分析を通じてリスクを洗い出し、再発防止策(研修実施や規程整備など)を提案する流れになります。企業文化を改善することにつながり、法務部門に対する現場からの信頼も高まるでしょう。

臨床法務を味方につけて、トラブルに強い会社を目指そう

臨床法務は企業が緊急事態に強い体質をつくるための要です。入念に予防法務や戦略法務に力を注いでも、思いがけない法的課題は必ずやってきます。そのときに頼れる臨床法務がしっかり機能することで、現場は混乱せず、会社は一丸となって対応できるのです。

普段からスキルを磨き、外部とのつながりを活かし、再発防止策を積み上げることで、会社はトラブルにも冷静に対応できる強さを手に入れるはずです。その積み重ねが、法務部門だけでなく企業全体にとっての安心となり、成長の土台となるでしょう。

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