シンカキャリア
SYNCA

法務

国際法務とは?弁護士の役割・仕事内容・キャリアパスを徹底解説

シンカキャリア編集部

シンカキャリア編集部

更新日:2025/05/20

国際法務の仕事内容や国内法務との違いをわかりやすく解説します。必要なスキルや英語力、年収相場も紹介。キャリア形成や転職を考える方に役立つ情報をまとめました。

目次

国際法務の仕事は、単なる翻訳や契約書作成にとどまりません。多国籍企業の交渉やM&A、国際訴訟対応など、スケールの大きな実務が日常です。その分、求められる知識やスキルも高く、キャリア形成に悩む方も少なくありません。

この記事では、国際法務の全体像から具体的な業務内容、キャリアパスまでを網羅的に解説します。転職やスキルアップを検討している方に向けて、グローバルな舞台で活躍するためのヒントをお届けするので、ぜひ参考にしてみてください。

国際法務とは?

国際法務とは、企業が海外展開や国際取引を行う際に直面する法的課題に対応する業務全般を指します。国内法務と比較して対応範囲が広く、かつ専門性の高い知識と判断力が求められる分野です。

国際法務の基本的役割

企業が海外に進出する際には、各国の法律、税制、会計基準、さらに現地の商習慣に対応する必要があります。たとえば、契約条件一つ取っても、ある国では通用する条項が他国では無効とされるケースもあるでしょう。

こうしたリスクを未然に防ぎ、企業活動を円滑に進めるために、国際法務担当者は現地法規や国際規範をもとに法的助言を提供します。そのため、単なる翻訳ではなく、文化・制度の差を理解したうえでの判断が必要です。

国内法務との違いと国際法務弁護士の専門性

国内法務と国際法務では求められるスキルや視点が大きく異なります。

国内法務がおもに日本国内の法令や労務・取引に対応するのに対し、国際法務は複数国の法律を比較・検討しながら、クロスボーダーな契約や取引、紛争を処理するのが異なる点です。とくに、国際法務弁護士は契約書作成にとどまらず、国際仲裁・訴訟・コンプライアンス対応まで幅広い業務に関与します。

また、現地政府や海外の法律事務所との協業も日常的に発生し、高度な英語力と調整力が不可欠です。結果として、より戦略的・実務的な判断力が求められるのが国際法務弁護士の特徴といえるでしょう。

国際法務の主な業務内容

国際法務の現場では、多岐にわたる業務を日常的にこなす必要があります。ここでは、それぞれの業務内容について具体的にみていきましょう。

契約書作成・国際取引交渉

契約書の作成と国際交渉は、国際法務の中核業務です。国や地域によって法体系や契約実務が異なるため、現地法や国際ルールを踏まえた契約条項の設計が必要になります。たとえば、準拠法や紛争解決条項の選定ミスは、大きな損害リスクにつながるでしょう。

また、交渉では自社に有利な条件を確保しつつ、取引先との関係維持も考慮しなければなりません。単に翻訳するのではなく、法的な意味合いやリスクを正確に理解したうえで文章化する力が求められます。

M&A・子会社設立・事業再編

クロスボーダーM&Aや海外子会社の設立といった戦略的な動きにも、国際法務は深く関与します。

具体的には、買収対象企業の法務デューデリジェンス(調査)、契約書のドラフト・レビュー、各国当局への申請対応など、複数国にまたがる実務を統合的に進める必要があります。

子会社設立においては、現地法に則った会社形態やガバナンス体制の設計が重要です。さらに、グループ全体の再編では税制や持株比率、労務対応など、他部門との連携も必要でしょう。

これらの業務を通じて、企業のグローバル展開を支える役割を担います。

紛争解決・コンプライアンス・リスク管理

紛争解決やコンプライアンス(法令順守)の管理、リスク管理も国際法務の業務です。

国際取引における紛争は、訴訟だけでなく仲裁や調停など複数の手段があります。とくに、異なる法制度下での争いは複雑化しやすく、迅速かつ的確な対応が必要です。

また、海外事業では各国の法規制や経済制裁、贈収賄防止規定などへの対応も欠かせません。リスクの洗い出しから、社内規定の整備、現地社員への教育まで、幅広い対応が求められます。

単なる問題解決にとどまらず、事前のリスク回避も含めた総合的なマネジメントを行います。

国際法務で求められるスキル・資格・経験

国際法務で活躍するためには、法律知識だけではなく以下のスキルが必要です。ここでは、国際法務で実際に求められるスキルや資格について詳しく紹介します。

高い英語力と異文化コミュニケーション力

国際法務においては高い英語力が必要です。英文契約書の読解・作成はもちろん、交渉や会議、海外当局とのやり取りまで、英語での対応が日常的に求められます。TOEICスコアの目安は800点以上とされているほか、実務で使える「交渉英語」「法律英語」の習得が重要です。

さらに、異文化理解も不可欠です。宗教観や価値観の違いが交渉に影響する場面もあり、相手の文化背景を踏まえた配慮あるコミュニケーションが信頼関係を築きます。

幅広い法律知識と実務経験

国際法務では、一国の法律だけでなく、複数国にまたがる法制度への理解が求められます。

たとえば、EUのGDPR(一般データ保護規則)や米国の輸出規制、ASEAN諸国の現地法人設立要件など、地域ごとの法的ルールに対応する必要があります。

また、理論だけでなく実務経験も重視されます。国際契約の締結経験や、クロスボーダー案件での調整力、複数ステークホルダーとの交渉実績などがキャリアの武器になるでしょう

海外弁護士資格・関連資格の取得と活用

国際法務の専門性を証明するうえで、海外の弁護士資格や関連資格の取得は非常に有効です。

たとえば、ニューヨーク州やカリフォルニア州の弁護士資格は、日本国内でも高く評価されるでしょう。英文契約のチェックや国際訴訟対応の信頼性が高まります。

また、司法書士、行政書士、弁理士などの資格や、法務以外のITや会計の資格を持つことで、より幅広い案件に対応できる人材として評価されやすくなります。国家資格以外にも、ビジネス実務法務検定はコンプライアンスについて専門知識を持っているとして評価されやすいでしょう。

国際法務弁護士のキャリアパス・年収・働き方

国際法務弁護士としてのキャリアは、国内法務とは異なる成長ルートと報酬体系が特徴です。企業内や法律事務所での経験を積みながら、海外資格や留学などを経て高度な案件を扱う弁護士へとステップアップする流れが一般的でしょう。

国際法務弁護士の代表的なキャリアパス

国際法務弁護士のキャリアは「国内で基礎を固め、国際案件に拡張する」流れが一般的です。

初期は企業や事務所で国内法務を担当しながら、英文契約や簡単な国際案件に携わることで、国際法務の基礎を習得します。その後、海外留学や現地資格の取得を経て、より高度な国際案件へとシフトしていくケースが多く見られます。

最終的には、法務部門のマネージャーやCLO(最高法務責任者)としてグローバル戦略に関与するなど、経営視点での活躍も期待されるポジションを目指せるでしょう。

年収相場と働き方の多様性

国際法務弁護士の年収は、経験・所属・地域により大きな幅があります。国内の法律事務所では年収600〜1,000万円が一般的ですが、外資系や国際法律事務所では1,500万円を超える場合もあるでしょう。とくに米国・英国などでは報酬体系が完全に成果主義であり、高度なスキルを持つ人材にとっては非常に魅力的な市場です。

また、働き方にも多様性があり、リモートワーク、フリーランス弁護士、プロジェクト単位での参画など、柔軟なスタイルで働くプロフェッショナルも増えています。

転職市場の動向と今後の将来性

国際法務分野は、今後も拡大が見込まれる成長領域といえます。企業の海外進出や海外企業とのM&Aが活発になり、海外とのやり取りや契約を交わす場面が増加しているからです。

国内にとどまらず、グローバルにキャリアを展開したい人にとって、今は好機とも言えるタイミングです。語学力と専門性を掛け合わせることで、将来性のあるキャリアを切り拓くことができます。

国際法務分野での転職を成功させるには

国際法務分野への転職では、専門知識だけでなく、語学力や国際感覚、そして戦略的な自己PRが必要です。以下で、転職成功のための具体的なコツを紹介します。

国際法務転職で評価される経験・スキル

企業は即戦力を求めており、英文契約のレビュー経験やクロスボーダー案件での法務対応、現地法の確認・調整などの具体的な業務実績があると強みになるでしょう。

加えて、TOEIC900点以上のスコアやビジネス英語での会議・交渉の経験も高く評価されます。英語力と実務経験のバランスが重要です。

応募書類・面接でアピールすべきポイント

転職活動で差がつくのは、応募書類と面接での伝え方です。

英文レジュメや職務経歴書では、国際案件の内容や成果を数字やプロセスを交えて具体的に記載しましょう。「契約交渉を担当」よりも「海外取引先3社と英文契約の交渉・締結を担当、契約金額は総額2億円」など、定量的な実績があると説得力が増します。

面接では、語学力・専門性に加え、文化的な適応力やトラブル対応力もアピールポイントです。過去の失敗や学びを自分の成長にどう活かしたかまで語れると好印象でしょう。

転職サイト・エージェントの活用

国際法務分野での転職には、専門性の高いエージェントの活用が不可欠です。一般的な転職サイトでは国際案件の情報が限られるため、法務や弁護士領域に強い人材紹介会社を選びましょう

非公開求人や外資系ポジションの情報を得られるだけでなく、英文書類の添削や模擬面接などのサポートも受けられます。担当コンサルタントとの相性を見極めながら活用するのがおすすめです。

国際法務でグローバルキャリアを切り拓く

国際法務の仕事は、グローバルに活躍したい法務人材にとって大きな可能性を秘めています。多国籍な取引を支える実務力と、異文化を理解する柔軟性があれば、国内外問わず高く評価されるキャリアが築けるでしょう。求められるスキルは多岐にわたりますが、その分、やりがいや報酬も大きく、成長の舞台は世界に広がっています。今こそ、国際法務という専門性を武器に、次のステージへ一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

法務に関する記事一覧

アソシエイト弁護士とは?

イソ弁とは?

パラリーガルの仕事内容や年収

ビジネス実務法務検定の難易度

渉外弁護士とは?

第二新卒からでも法務になれる?

弁理士とは

法務で優秀な人を採用するコツ

法務に強いおすすめ転職エージェント8選

法務の採用が難しい理由

法務の採用方法

法務の年収

法務転職を成功させる5つのポイント

法務経験者を採用するには

法務向けのおすすめ転職サイト・エージェント10選

法務採用のサポートとは

法務人材を検索するには

法務専門の人材紹介サービスのメリットと選び方

企業の法務担当におすすめの資格

法務部の企業での役割と仕事内容

法務部に向いている人の特徴

法務部の仕事内容

予防法務とは

企業法務の役割と求められるスキル

ビジネス実務法務検定2級のメリット

ビジネス実務法務検定は意味がないと言われる理由と転職での活かし方

ビジネス実務法務検定3級とは

法務DD(デューデリジェンス)とは?

法務の志望動機作成法

経営法務とは?

法務部の仕事が「きつい」理由と乗り越え方

IT法務とは?

スタートアップ法務でキャリアを切り拓く

金融法務の仕事と将来性

国際法務とは?

商事法務とは?


[PR]"好条件"の管理部門転職なら

管理部門・バックオフィスで転職するならSYNCA(シンカ)。

経理、総務、法務、労務、情シスなどの職種や細やかなスキル設定により 採用企業から一人ひとりに合ったスカウト求人が直接届きます。

まずはスキルに応じたあなたの適切な年収を無料で診断しましょう。

無料で市場価値を診断する

シンカキャリア編集部

シンカキャリア編集部

SYNCAはミスマッチのない採用を目指す、管理部門に特化したメンバー~マネージャー採用向けのダイレクトリクルーティングサービスです。シンカキャリア編集部は、転職活動をする方にとって役立つ情報を発信し、個々のキャリア形成をサポートしていきます。

SYNCAトップ/法務/国際法務とは?弁護士の役割・仕事内容・キャリアパスを徹底解説
icon
スキル実力がわかる!市場価値診断を試す
>