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法務DD(デューデリジェンス)とは?効率的な進め方と必要なツールの活用法

シンカキャリア編集部

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更新日:2025/04/03

M&Aや出資で不可欠な「法務DD(デューデリジェンス)」とは?調査項目や進め方、必要なスキルから便利なツールまで、実務に役立つ情報を丁寧に解説。法的リスクを見逃さず、安心できる取引を実現するための基礎知識が身につきます。ぜひ最後までご覧ください。

目次

「法務DDって、実際にはどのようなことを調べるのだろう?そもそも自分にできるのかな……」M&Aや出資に関わる場面で対象企業の法的リスクを調査する法務DD(デューデリジェンス)。その中身や自分の役割について不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、法務DDの基本や効率的な進め方を丁寧に解説していきます。現場で求められるスキルや、知っておきたいチェックリスト、ツールの活用法もご紹介。スムーズなキャリアアップの一歩として、ぜひ参考にしてみてください。

法務DD(デューデリジェンス)とは?

M&Aにおける法務DDは、取引相手となる企業に法的リスクがないかを徹底的に調査することです。以下で、その内容と重要性を詳しく見ていきましょう。

法務DDの基本的な意味と役割

法務DDとは「買収対象企業の法的な安全性を確認する調査」です。法務DDは、企業の組織体制・契約関係・許認可などに問題がないかを洗い出すために実施されます。

M&Aにおいては、買収後に予期せぬ訴訟や違法行為が発覚すると、企業価値が大きく損なわれるリスクがあります。そのため、法務DDは「問題の事前発見」と「取引条件の最適化」のために不可欠です。調査結果は、価格交渉や契約条件の見直し、場合によっては取引中止の判断材料にもなります。つまり、法務DDは企業の命運を左右する非常に重要なプロセスなのです。

法務DDの具体的な業務内容

法務DDの業務内容は多岐にわたります。主な作業は、書類の収集・精査とヒアリングです。担当者は、定款や株主名簿、契約書、訴訟資料、社内規程などを精査し、違法性や不備がないかをチェックします。また、経営陣へのインタビューを通じて、内部の運営体制や法令遵守状況の確認も必要です。

とくに注意が必要なのは、過去の訴訟歴や重要な契約の解除条件などです。調査結果は報告書にまとめられ、リスクの程度や対応策が示されます。法務DDは、調査だけでなく「分析・助言」までが求められるため、専門性の高い業務です。

法務デューデリジェンスの主なチェックリスト

法務DDでは、以下の8つの項目がチェックされるのが一般的です。

  • 組織・株主
  • 契約内容
  • 債権・債務
  • 許認可・法令遵守
  • 人事労務
  • 訴訟・その他紛争
  • 知的財産権
  • 環境問題

チェックリストに沿って調査を行うことで、見落としを防ぎ、M&Aを安全に進めるための基盤が整います。

法務DDの重要性と企業経営への影響

法務DDは、単なる書類チェックではありません。M&Aや出資判断に直結する、企業の将来を左右するプロセスです。ここでは、法務DDが経営に与える影響について紹介します。

法務DDがM&Aに与える影響

法務DDはM&Aの成否を左右するといえるでしょう。買収側企業にとって、法務DDは相手企業のリスクを洗い出し、安心して買収できるかを判断する材料になります。未払い残業代や独占禁止法違反などがあれば、買収後に巨額の損失につながることもあるでしょう。調査によってリスクが発覚した場合、買収価格の引き下げや契約条件の修正、場合によっては取引中止という判断も現実的です。

一方で、売却側企業にとっても、法務DDに備えて社内の法務体制を整えることは、企業価値を高める要因になります。つまり、法務DDは買い手・売り手双方にとって「交渉の基盤」となる、極めて重要な調査です。

取引における法務リスクを発見する手段としての法務DD

法務DDはリスクの可視化だけでなく、「見えない火種」を見つけ出す機能も持ちます。たとえば、過去の契約書に曖昧な条文が含まれていた場合、将来的に解釈の違いからトラブルに発展する可能性があるでしょう。社内規程が整備されていないことも、コンプライアンス違反につながりかねません。法務DDでは、そうした「今は問題になっていないが、将来的にリスクになる可能性がある事項」を早期に把握できます。調査結果をもとにリスクの程度を評価し、回避策や補償条項の設定といった対策を講じることができるでしょう。このように、法務DDは「リスクの発見とコントロール」を可能にする、実務において極めて実用性の高いツールです。

法務DDを実施するために必要なスキルと知識

法務DDは、高度な専門性を必要とする業務です。正確に調査を進め、実務で信頼される人材となるために必要なスキルや知識を紹介します。

法務DD担当者に求められるスキル

法務DDを任されるには、法律の知識だけでは不十分です。M&Aの流れを理解していること、そして企業全体の戦略を読み取る視点が欠かせません。なかでも大切なのは、契約書を正しく読み解く力です。たとえば、何気ない条文の中に、将来の経営に大きな影響を与えるリスクが潜んでいることもあります。そんなポイントを見逃さない「契約書解釈能力」は基本中の基本です。

さらに、リスクの重大さを見極める「評価力」、相手と信頼関係を築きながら事実確認や調整を進める「交渉力」も求められるでしょう。法務DDは「書類を読む仕事」ではなく、「企業の本質を読み解く仕事」といえます。幅広い視点と丁寧な対話が、その精度を支えているのです。

M&Aの法的知識と実務経験の重要性

実務においては、M&Aに関する基礎的な法知識に加え、現場での経験が極めて重要です。法務DDでは、会社法、民法、独占禁止法、労働法、知的財産法など多岐にわたる法分野を扱います。どの法律がどの場面に関わるかを即座に判断できる知識が不可欠です。

また、書面だけではわからないリスクや問題点は、過去の実務経験があってこそ気づけるものでしょう。経験の蓄積が、リスクの深掘りや調査の正確さに直結します。このため、法務DDに関わる人材は、書籍や講義で得られる知識だけでなく、現場の生きた経験を通してスキルを磨く必要があるでしょう。

法務DDを効率的に進めるためのツールとプロセス

法務DDは調査項目が多く、関係者も多岐にわたるため、効率的に進める工夫が欠かせません。ここからは、実務の質とスピードを両立するための具体的な方法を紹介します。

法務DDを支援するツールやシステム

法務DDでは、数百〜数千の文書を扱うため、紙ベースでは限界があります。Virtual Data Room(VDR)と呼ばれる安全なクラウド上の保管スペースを活用すれば、効率的かつ安全に資料共有ができるでしょう。また、AIを活用した契約書レビューシステムも活躍しています。定型契約のリスク検出や条文の抜け漏れチェックなど、作業の標準化・高速化に役立つでしょう。加えて、タスク管理や進捗管理のために、プロジェクト管理ツールを併用することで、関係者間の連携もスムーズになります。

法務DDのプロセスとステップ

法務DDにはある程度の「型」があり、それに沿って進めることが成功のカギです。基本的な流れは以下のとおりです。

  1. 初期打ち合わせ・スコーピング
     どこまで調査するか、調査対象企業の特性や取引規模に応じて調整します。

  2. 資料収集
     対象企業に対して、契約書や登記簿、労務書類などの提出を依頼します。

  3. 書類レビュー・ヒアリング調査
     収集した資料をもとに法的リスクを洗い出します。必要に応じて現場の担当者へヒアリングも実施。

  4. リスク評価と助言
     発見されたリスクに対して、重要度を評価し、リスク回避のための提案や対応策を提示します。

  5. レポート作成・報告
     調査内容と結論をレポートにまとめ、M&Aチームや経営陣に説明します。

このように、プロセスを体系的に整えることで、抜け漏れを防ぎ、迅速かつ確実に調査を進めることができるでしょう。

法務DDに関するよくある質問

法務DDは専門性が高く、初めて携わる方にとっては疑問も多いものです。ここでは実務でよく寄せられる2つの質問について、具体的かつ実践的に解説します。

法務DDの実施にはどれくらいの時間がかかるのか?

規模や調査範囲によって異なりますが、1週間〜1か月程度が一般的でしょう。たとえば、中小企業のM&Aであれば、必要書類も限られているため、1〜2週間程度で完了することがあります。一方、上場企業やグループ企業など、調査範囲が広い場合には、1か月以上かかるケースも珍しくありません。

スケジュールを左右する主な要因は、以下の3点です。

  • 対象会社の資料整備状況(紙かデジタルか、社内規程が揃っているか)
  • 調査の範囲や深度(コンプライアンス、海外拠点など)
  • 関係者の協力体制(資料提供・ヒアリングへの対応)

事前に無理のない計画を立て、相手企業との情報共有を密にすることが、時間短縮のポイントです。

法務DDを行う際の最も重要なポイントは?

最も大切なのは「リスクの見逃しを防ぐ視点」を持つことです。チェックリスト通りに進めるだけでは、表面に出てこないリスクを見落とす可能性があります。そのため、以下のような見えにくいポイントも意識してみましょう。

  • 過去に結んだ古い契約書に、今の法律では問題になる内容が含まれていないか
  • 社内規程や実態が、法改正に対応して運用されているか
  • 一見スムーズな取引に見えて、実は独占禁止法や下請法に抵触していないか

また、ヒアリングの際には「空気を読む」力も重要です。担当者の話す言葉だけでなく、言い淀みや表情からも情報を読み取り、潜在的な問題を掘り下げていく力が求められます。書類に表れない「実務のリアル」まで把握できるかが、法務DDの質を大きく左右するでしょう。

法務DD担当者としてのスキルを高め、キャリアを築こう

法務DDの経験は、法務職としてのキャリアにとって非常に価値があります。複数の法律分野にまたがる実務経験はもちろん、交渉力や分析力も同時に磨かれるため、キャリアアップにつながるでしょう。

また、法務DDは他部署との連携が多いため、「法務は社内の壁ではなく、橋渡し役である」という意識を持つことが、次のステップに進むカギになります。実務を通じて法務DDのスキルを積み重ねることで、社内外から信頼される法務パーソンへと成長できるでしょう。

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