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「毎日の業務、もっと効率的にできる方法はないのかな?」総務の仕事は、社内の円滑な運営を支える重要な役割です。しかし、その多くが手作業や属人化により、非効率になりがちという課題を抱えています。変化の激しい時代に対応するには、業務効率の見直しが欠かせません。
この記事では総務部門の業務を効率化するための7つのステップと成功のポイントを詳しくご紹介します。総務部の価値を高め、組織全体に好影響をもたらすヒントが満載です。ぜひ最後までご覧ください。
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総務業務を効率化する重要性
総務部門の効率化は、単なる作業時間の短縮だけでなく、企業全体のパフォーマンスを左右する重要な取り組みです。まずは、総務部門の業務効率化が企業全体にもたらすメリットを多角的に解説します。
総務部門の業務効率化がなぜ必要なのか
総務の業務効率化は、企業全体の生産性を底上げし、働き方改革を実現するための基盤づくりです。
総務は、社員の勤怠管理、備品調達、契約書の管理、オフィス環境の整備など、企業運営の裏方業務を一手に担う存在です。しかし、これらの業務が非効率なままでは、作業時間がかさみ、本来注力すべき業務に人的資源を割けなくなってしまいます。
総務部門の効率化は、裏方の最適化ではなく、企業価値そのものを高める一手です。これからの時代、総務こそが変革の旗手となるべきポジションといえるでしょう。
総務業務効率化の7つのステップ
総務業務の効率化を進めるには、いきなり改善策を導入するのではなく、段階的なアプローチが重要です。それぞれのステップについて、順を追って詳しく解説していきます。
1、現状分析と課題の洗い出し
業務効率化の第一歩は「自分たちの今の仕事を正しく知ること」です。総務業務は、表面的には毎日同じ作業に見えても、内容や手順が複雑化・属人化しているケースが多くあります。そのため、まずは業務フローを「見える化」することが不可欠です。
代表的な分析手法は以下のとおりです。
- 業務棚卸しシートを使って、担当業務・頻度・所要時間を記録する
- 作業時間の計測により、ムダに時間がかかっている業務を特定する
- 従業員アンケートで、現場が感じている非効率や改善ポイントを集める
こうした情報をもとに、業務全体の流れや重複箇所、ボトルネックを洗い出すことが可能になります。
たとえば、同じ内容の書類を複数の部署で管理していたり、承認に3段階以上かかっていたりすることが判明すれば、それは大きな改善余地です。正確な現状把握は、効率化施策の出発点といえるでしょう。
2、優先順位の設定
業務改善には大小さまざまなテーマがありますが、リソースは限られているため、すべてを一度に改善するのは現実的ではありません。そこで有効なのが、ペイオフマトリクス分析の活用です。これは、改善案を以下の2軸で分類し、優先的に着手すべき領域を明確にするフレームワークのことをいいます。
効果/実現のしやすさ | 高い | 低い |
---|---|---|
高い | 最優先で実施 | 実現可能性を再検討 |
低い | 実行タイミング調整 | 基本的には後回し |
たとえば、紙の稟議書をクラウド化する施策は、効果も高く導入も比較的容易なため「最優先」に分類できます。一方、全社の業務再設計などは実現性に課題があるため、段階的に進める必要があるでしょう。
また、短期・中期・長期の目標に分けて施策を整理することで、関係者の理解も得やすくなります。優先順位を見誤らないことが、効率化のスピードと成果を大きく左右するでしょう。
3、業務マニュアルの整備と標準化
業務の属人化を防ぐため、業務内容を「誰でも理解・再現できる」形でマニュアル化しましょう。誰が担当しても安定したパフォーマンスを発揮できます。
属人化とは、特定の人にしかできない業務が存在する状態のことです。担当者が休んだり退職したりした際に、業務が止まる・品質が下がるといったリスクを引き起こす可能性があります。
マニュアル整備のポイントは以下のとおりです。
- 手順だけでなく「目的」「背景」も明記する
- 画面キャプチャや写真を用いて視覚的に分かりやすくする
- 実際の担当者が見直して改善点を随時アップデートする
標準化されたマニュアルは、教育コストの削減や業務品質の均一化にもつながり、組織全体の効率化に寄与します。
4、適切なツール・サービスの選定
業務効率化をスムーズに進めるためには、課題にあった適切なツール・サービスを選びましょう。
近年、総務の業務を支援するITツールは非常に多様化しています。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、クラウドサービス、AIチャットボットなど、選択肢は豊富ですが、自社の業務や規模に合ったものを選ばなければ、導入後に使いこなせず、逆に非効率を招く恐れもあります。導入時にチェックすべきおもな基準は次のとおりです。
- コストパフォーマンス(初期費用+運用コスト)
- 操作性と導入のしやすさ(非IT人材でも使いやすいか)
- 拡張性とサポート体制(将来のニーズに対応できるか)
たとえば、クラウド型グループウェアは、スケジュール管理・書類共有・チャットなどが一元化でき、業務全体の見える化と効率化に貢献します。また、RPAを使えば、勤怠データの集計や帳票出力など繰り返し作業を自動化できるため、月次業務の工数削減にもつながるでしょう。
「便利そうだから」ではなく、「解決したい課題に合っているかどうか」で判断することが、後悔しないツール選定のコツです。
5、業務プロセスの再設計
効率化を実現するには、既存業務をそのままデジタル化するのではなく、「プロセスそのものを見直す」視点が不可欠です。
多くの企業では、紙ベースや手作業の運用をそのままITツールに置き換えるだけで満足してしまいがちです。しかし、これでは業務の本質的なムダは解消されません。むしろ、非効率なフローが「デジタル化された非効率」として温存されてしまいます。
- ムダな承認ステップや手作業の見直し
- ペーパーレス化による業務スピード向上
- 部署間での役割重複の排除
などの点を意識して再設計を行いましょう。
6、アウトソーシングの活用
効率化を進める際にはアウトソーシングの活用も検討しましょう。アウトソーシングは「人手不足」や「専門性不足」を補いながら、総務部門の生産性を飛躍的に高める手段です。
総務の中には、年末調整や福利厚生、郵送・印刷業務など、定型的でノンコアな作業が多く存在します。これらは社内で抱え込むよりも、外部の専門業者に任せたほうが効率的かつ確実なケースも少なくありません。
アウトソーシングのメリットは以下のとおりです。
- 業務負荷の軽減とリソースの再分配
- 専門知識やノウハウの活用による業務品質の向上
- 急な人員変動への柔軟な対応が可能
業務委託先の選定では、信頼性・情報セキュリティ対策・費用対効果などを総合的に判断する必要があります。また、依頼内容の明確化や定期的な品質チェックも不可欠です。「自社にとって本当に必要か」「任せることでどんな効果があるか」を見極めたうえで、戦略的に活用しましょう。
7、段階的な導入と従業員教育
新しいツールや業務フローを一斉に導入すると、現場が混乱し、思うように浸透しないケースが多々あります。そこで重要なのが「段階的な導入」と「丁寧な教育」です。
まずは、特定の部署や業務を対象とした「パイロット導入(試験運用)」を行い、実際の運用課題や現場の声を収集しましょう。その結果をもとに改善を加えてから、本格的に展開すると、スムーズに定着しやすくなります。
さらに、ツールや新ルールを定着させるには、従業員への教育が欠かせません。
- 操作マニュアルや動画を使った分かりやすい教材の提供
- 実務に即したハンズオン研修の実施
- 不明点や不安を相談できるフォロー体制の整備
導入と教育をセットで考えることで、効率化施策はより確実に成果につながります。
8、効果測定とKPIの設定
効率化施策は「測定して、初めて評価できる」ものです。どれだけ手応えがあっても、定量的な数値がなければ成功か失敗かの判断はできません。そこで重要なのが、事前にKPI(重要業績評価指標)を設定し、定期的に効果を測定することです。
おもなKPIの例としては、次のようなものがあります。
- 書類処理にかかる平均時間(◯時間→◯時間へ短縮)
- 承認プロセスの完了までの平均日数
- ミスやエラーの件数・発生率の変化
- 委託業務やツール導入によるコスト削減額
また、定期的なアンケートやヒアリングを通じて、現場の使い勝手や負担感を確認することも重要です。数値と現場の声を組み合わせて評価することで、より実態に即した改善方針が見えてきます。
KPIは一度決めたら終わりではなく、状況や目的の変化に応じて見直す柔軟さも求められます。PDCAを正しく回すうえで、数値的な裏付けは必須のステップといえるでしょう。
9、継続的な改善と最適化
たとえ大幅な改善が実現できたとしても、業務内容や組織の状況は常に変化します。法律の改正や社内ルールの更新、システム環境の変更などにより、数か月後には再び「非効率」が顔を出すこともあるでしょう。
そのため、定期的に改善状況を振り返り、必要に応じて調整・見直しを行う「PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)」の徹底が不可欠です。
また、改善提案を積極的に出す文化や、「失敗しても挑戦を評価する」空気を醸成することも大切です。継続的な改善活動を根付かせることで、総務部門は単なるサポート部門ではなく、組織の変革をけん引する存在へと進化していくでしょう。
総務の効率化を成功させるためのポイント
総務業務の効率化を着実に成果へとつなげるには、単に施策を実行するだけでなく、「組織としての土台づくり」も欠かせません。以下で、効率化を成功させるためのポイントを順にみていきましょう。
経営層のコミットメントの重要性
経営層が本気で取り組む姿勢を示さなければ、効率化の取組みは現場に浸透しません。
効率化は単なる「業務改善」ではなく、企業文化や働き方に関わる変革です。現場の担当者が工夫しても、経営層が関心を示さず支援もしない状態では、部門間の協力も得られず、改革が途中で頓挫するリスクが高くなります。そのため経営側が明確なメッセージを発信し、「この取り組みは会社として推進する」と表明することが重要でしょう。
さらに、効率化の目的を「コスト削減」だけでなく、「社員の働きやすさ向上」や「企業価値の強化」といったビジョンに紐づけることで、全社的な巻き込みが可能になります。
従業員の理解と協力を得る方法
新しいツールやルールに対して、「使いづらそう」「仕事が増えそう」といった不安や疑念を持つ従業員は少なくありません。そのため、導入の目的やメリットを分かりやすく伝える必要があります。
理解と協力を得るためには、以下の3つの工夫が有効です。
- 初期段階から現場を巻き込み、意見を反映させる(共創型アプローチ)
- 成果が見えやすい「小さな成功体験」を早期に提示する
- 現場に寄り添ったサポート体制(Q&A対応、相談窓口の設置など)を用意する
たとえば、書類管理のクラウド化を行う場合、使い方を動画で解説したり、実際に便利になった事例を紹介したりすることで、導入後のイメージが湧きやすくなります。「やらされる施策」ではなく、「自分たちのための変化」として納得してもらうことが、成功への近道です。
段階的な導入と柔軟な対応の必要性
業務効率化には、ツールの使い方に慣れる時間、業務フローの調整、社内文化とのすり合わせなど、想定外の要素がつきものです。そのため、段階的な導入と「試してから判断する」柔軟な姿勢が求められます。段階的な導入の一例は以下のとおりです。
- まずは特定の部署でパイロット運用を実施
- 実際に得られた成果や課題を整理
- 社内で共有し、改善策を講じたうえで全社展開
さらに、状況によっては「元の方法に一部戻す」「並行運用を一時的に続ける」といった柔軟な対応も重要です。変化に対する抵抗感を減らし、関係者全員が安心して改革に参加できるよう配慮しましょう。「100点満点の改革」ではなく、「現場が動きやすい仕組みづくり」こそが、実践的な効率化のカギです。
効率化で総務部門の価値を高めよう
総務業務の効率化は、業務の見える化や標準化、適切なツールの導入を通じて属人化を解消し、生産性と品質を同時に向上させることができます。また、効率化の取り組みは従業員の負担軽減や働きやすさの向上にもつながり、企業全体の成長に貢献できるでしょう。
重要なのは、改善を一過性の施策で終わらせず、組織文化として根づかせることです。経営層のリーダーシップと現場の協力を得ながら、継続的な改善を進めていくことで、総務の価値はより一層高まります。効率化を通じて、総務部門を「変化に強く、信頼される組織」へと育てていきましょう。
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