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経理は、専門職で募集も多いですが競争も激しい職種です。応募時に重視されるのが職務経歴書です。職務経歴書は、その人が経験した業務レベルや経験年数とともに、習得したスキル、資格を把握できる書類で、応募者の経理としての実力を推し量る鍵となります。ポイントを押さえ、わかりやすい職務経歴書を作成し、転職を成功させましょう。
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経理の職務経歴書の各項目を解説
職務経歴書は、採用担当者が最初に触れる書類です。多数の応募者の中で、面接してみたいと思ってもらえることが重要になります。応募者が戦力になるかを、担当者が判断する材料となりますので、経験とスキルをしっかり記載しましょう。
職務要約
職務経歴書の導入で、担当者の興味を引くために重要な部分ですので、すべて書き終わってから書くと良いでしょう。要点をまとめ、重要な経験が伝わるように、よく考え時間をかけて作成したい部分です。
採用担当者は、多数の応募者の職務経歴書に目を通しますので、「職務要約」で注目させる必要があります。単なる要約ではなく、具体的な経歴の内容と、採用担当者との橋渡しをする部分だと考えましょう。
経歴を3〜4行程度にまとめ、これまで積み重ねてきた実績、スキル、自分の長所をプレゼンテーションしましょう。担当した日常業務の具体的な内容と、業務の改善など特色のある実績、マネジメント能力やリーダーシップを示せる具体例などを端的に表現すると効果的です。
職務経歴
経験した職務の流れを示す重要な部分です。経歴は、履歴書とは逆に、直近のものから順に書くものですので注意しましょう。
勤務していた会社は、正式社名、事業内容・売上高とともに、従業員数、上場か非上場かを記しましょう。会社の規模により経験した業務の難易度が伝わります。経歴は、所属した部署、課や係を具体的に記し、ポジション、役割、従事した業務を説明してください。
最終経歴がマネージャーの場合は、部署のメンバー数と主要な業務を記しましょう。そこから下に向けて順に、職責と業務の内容を書いていけば経歴がもれなく記載できます。
日次、月次、年次の業務は、その業務内容と自分が関与した内容がわかるように書いてください。また、単独決算、連結決算、有価証券報告書作成や短信作成などの決算業務でも、担当した業務を具体的に記しましょう。
特筆すべき業務の記述も大切です。「IPOの準備で決算書作成、監査法人、取引所への説明資料の作成を担当」など、どの業務でどういう何を担当したかをしっかりと伝えてください。
会計システムの変更、開示資料作成システムの開発に携わったなど、システム改善や業務効率化の経験も、ポジションと役割、関与した業務範囲を書きましょう。入社時まで、順に遡ることで、経理経験でのこれまでの蓄積を伝えることができます。
活かせる経験・知識・技術
この目的は、担当可能な業務内容によるスキルセットを提示し、転職先の企業で活かせる熟練度を示すことです。職務経歴で箇条書きにした内容から、自分の強みとして強調できる部分を抜き出し、自分が経理パーソンとしてどこまで役立つかをまとめます。
どんな業務の仕事を担当したかを記述することで、即戦力としてどこまで使えるかを知らせることができるのです。ここでは、英語力(直近のTOEICの点数と、その点数を取得した年・月)とともに海外支社への確認業務の経験なども、書くことができます。
知識面では、業務で身につけた会計基準の知識や、法令、税制についてまとめましょう。経理担当者として、習得した技術と知識とともに現在挑戦中の企画や知識習得の状況も相手に伝わるように端的にまとめてください。
資格・スキル
資格とスキルを箇条書きで示します。資格は取得した年と月も正確に併記してください。経理に直接関係しないがビジネスで活用できる資格、たとえば、普通自動車第一種運転免許なども記します。
経理関連の資格には、日商簿記検定やFASS検定、給与計算実技能力検定、公認会計士、税理士などがありますが、資格名を正確に記すことも重要です。PCのスキルでは、どんな業務ができるレベルで使えるかが評価のポイントになります。
また、前職までに活用した会計ソフトや勘定系基幹システム種類も、それぞれ使えるレベルがわかるように書くことが重要になります。
参考:FASS検定(経理・財務スキル検定)とは?概要やメリット、転職での活かし方
自己PR
自己PRは自分の「強み」をアピールしましょう。 「上場企業基準の会計処理をしてきた」「IPOの準備を経験した」「マネージャーとしてチームの業務効率を向上した」などの経験により、どういう役割を果たしたか、結果はどうだったかを、根拠を示しながら書きます。
特に、自分の強みだと考える内容は、見出しと本文という形式でアピールすることもできます。たとえば、「チームの業務の効率化・工数削減を実現」という見出しに対し、「チームメンバーの工数をすべて洗い出し、本来業務と関わらない書類作成を削減。報告と相互チェックに振り分けることでミスを大きく削減しました。結果、残業時間を10%削減しました」など、具体的な施策と成果を記載するのです。
特色ある経験をアピールし、どういう能力を発揮したかが伝わるように書くことで、会社に貢献できることをアピールしましょう。
特記事項
転職回数が多い場合や、一つの企業への在籍期間が1年以内の場合、半年を超える離職期間がある場合には、その理由と事情を特記事項として付加することができます。職務経歴としてマイナスの印象を与えてしまうからです。特にそのような事情がない場合は必要ありません。
退職理由は、あまり書き込まずにシンプルに1行程度で書きましょう。注意するべき点は、具体的内容を記すことです。「一身上の都合」など曖昧な表現は避けたほうが良いでしょう。離職期間についても「闘病の親の介助のため、半年あまり実家に滞在する必要があった」のように具体的な記述ならば、納得してもらえます。もちろん事実でないことを記述すると、必ず問題になりますので良い印象を与えるために嘘は書かないようにしましょう。
経理の職務経歴書を書く際の5つのポイント
専門的な職種である経理では、応募書類の情報の正確さと客観性が重視されます。実績やスキルの表記も、今後の実務にどのように役立つかを示すためのものだと考えましょう。
経理の選考では望んでいる人材のレベルに達しているかどうか、初心者ならば向学心や粘り強さがあるかどうかが判断されますので、それを伝えられる書き方が必要です。
①経験を明確に示す
経験した業務内容については、伝票の入力や出納業務のような日常的な業務も含め「経験したことすべて」を記してください。書かれていない業務は、経験していないと見做され、不利に働くこともあります。経理職に就いたときから経験した業務を書き出し、自分の関与度と業務レベルがわかる書き方を心得ましょう。
また、決算書や有価証券報告書の作成では、企業の規模、経験した会計基準を明確に記すとともに、補助として業務に加わったのかリーダーとしてまとめたのかがわかるようにしましょう。補助での関与の場合は、具体的にどの部分を担当したかがわかると良いです。
採用担当者は、その人が入れば日常業務で何を任せられるか、決算や各種報告書の何を任せることができるかを知りたいと思っています。経験内容が一瞥できるように、明確に整理して書いてください。
②成果や実績を数値で示す
日常業務では、自分のスキルの熟達が業務効率の点でどのように関与したかをわかりやすく記述してください。日次、月次の記帳でどの程度の量をこなすことができたかというようにです。決算業務に参加した方は、決算書や財務諸表の作成でどの範囲を担当したかを正確に記述しましょう。
業務の効率化や、他部署からの情報集約をシステムにより自動化したという経験を記す場合は、効率化により削減された工数も具体的な数値で示しましょう。
③分かりやすさを意識する
採用担当者は多くの応募者の職務経歴書に目を通しますので、不明な点や理解しづらい点があると記憶に残りづらくなります。わかりやすい文章を書くように注意してください。文章で記述する部分は、5W1H(いつ、どこで、だれが、なにを、なんのために、どう、やったか)を意識して情報を整理すると内容が伝わりやすいです。
経歴や業務の内容は、携わった期間、業務項目、身につけたスキルを順番や強調記号、括弧の使い方を統一し、箇条書きにしましょう。
情報の整理では、自分流の癖がついてしまい、伝わりにくくなることもあります。誰かに読んでもらい、経歴やスキルが伝わるかどうかを確認するのも良い方法です。
④ITスキルをアピールする
経理は数値を扱う専門職ですので、パソコンのビジネスソフトや会計ソフトのスキルについての記述は必須です。PCやシステムについてのスキルは、誰が見てもレベルがわかるように客観的な基準で書くことをおすすめします。
Excelなら、ピポットテーブルを扱える、VLOOKUP関数、IF関数が使える、マクロが組めるなど、Word、PowerPointについても、どいう書類を作成できるかをしっかり書きましょうMOSスペシャリストやエキスパートの資格もスキルを明らかにする根拠として有効です。
使用していた会計ソフト、勘定系基幹システムをどの程度使いこなしていたかも、明記しましょう。
⑤帳票やレポートの作成経験を示す
日常業務の正確性と適切さが重要な経理だからこそ、高いレベルの書類作成経験などは加点ポイントになります。日常業務での帳票データ入力業務から、財務諸表や有価証券報告書、株主への説明資料の作成経験まで、しっかりと記述してください。
情報を整理するために、大きく日常業務、単独決算業務、連結決算業務、開示関連業務などの項目を設け、それぞれの項目ごとに、日次、月次、年次で担当した業務や作成した書類をリストアップすると良いでしょう。書類作成の経験は、採用担当者に、任せられる領域とレベルを理解してもらうためのものです。自分自身の強みとしてアピールできる内容ですので、取りこぼしのないように気をつけましょう。
経理の職務経歴書は見た目も重要な理由
職務経歴書の作成では、読み手のことをよく考えて全体が伝わりやすいように工夫することも大切です。単にテキストを並べるのではなく、大見出し、中見出しのフォントの大きさ、箇条書き部分では、文頭に配置する記号や数字はきんと統一しましょう。うるさくない程度の、太字や下線による強調も効果的です。
単なる文書ではなくプレゼン資料という気持ちで、見た目をよくすることは、内容と同じく重要なことです。
相手に情報を正しく伝えられるため
見た目が重要な理由の一つが、採用担当者に内容を正しく伝えるためです。箇条書きで情報を伝えるのは、実は、非常に難しいもので、見出しのフォント、括弧、太字等の使い方にルールを作らないと、内容の誤解を生むことがあります。
職務経歴書作成の最初に、項目を整理し見出しを構成しましょう。見出しを構成し書く内容を整理することで、説明の順番が明確になるとともに、「モレ」「ダブり」を確認することができます。
構成がしっかりしていることで、順を追って大きな項目から小さな項目へと情報が整理でき、職務経歴を正確に伝えることが可能です。
プロフェッショナルな印象を与えられるため
見やすく整理された書類は、プロフェッショナルの仕事という印象を与えることが可能です。Word、Excel、PowerPointいずれのソフトを使って作成するにしても、そのスキルが伺えます。職務経歴書は書類作成のテストとしても有効なものなのです。
PowerPointを活用し、見やすくスマートな文書で表現するなどは、仕事に対する創造性と高度な書類作成能力をアピールすることができるでしょう。せっかくアピールする機会ですので、凝ったレイアウトをするのも良いでしょう。プラスになることはあってもマイナスになることはないでしょう。
経理職では、定型文書の作成がほとんどですが、業務改善の提案書や報告書では、見やすく工夫されたスマートな仕上がりが求められることもあります。自分の価値をプレゼンテーションする職務経歴書ですので、書類作成のプロとしての技能を発揮してみてはいかがでしょう。
誤字脱字を避けられるため
転職活動で提出する書類に誤字脱字があるのは致命的です。特に経理には、正確性と注意力が求められますので、数値に限らず誤字脱字があるとそれだけで評価が下がります。文書の見た目を工夫するという作業は、一度書いた文章を幾度か読み返すことになりますので、誤字脱字の発見につながるのです。
特に箇条書きが多い部分では、年数などの数値が重要になります。急いで作成した文書の場合、数値をミスすることが多いです。時間をかけて文書の完成度を高める際には、最初に構成と書く内容を考え、その後、文章や箇条書きを作成します。構成の段階で、書き方や記号の使用ルールを決定しますので、内容を記述する際はその正確性に集中できるでしょう。文書の見た目を良くすることは、誤字脱字をなくすことにつながるのです。
経理の職務経歴書のセルフチェックポイント
職務経歴書が完成したら、提出するまでの間は余裕を持ってきちんと読み直しましょう。時間に余裕があれば完成してから1日経った後に見返すのが良いです。書いているときには気づかないミスが発見できたり、より良い表記の方法に気づいたりすることが多いからです。
最後に、でき上がった職務経歴書を見直す際の3つのポイントを説明します。
①相手が読みやすいように配慮されているか?
最初に、全体を読み直して、文章や箇条書き部分が、自分本位の記述になっていないかを確認してください。採用担当者が欲しい情報が整理されて書かれているか、読みやすい文章になっているかに気をつけてください。
どんなに内容が素晴らしくても、読者である採用担当者の身になって書かれたものでないと読もうという気持ちを削がれます。多くの応募書類を処理しなければならない担当者の気持ちになって、必要な情報が整理され読みやすく書かれているかどうかをチェックしましょう。ご家族や友人に読んでもらい、わかりづらい箇所を指摘してもらうのも効果的です。
②自分をアピールできる情報は盛り込まれているか?
経験した業務を一つひとつ見直し、漏れているものがないかを確認してください。一度、最初に就職してからの職歴と職歴、経験した業務を年表にしてまとめておくと、転職活動の際に役立ちます。
自分のビジネスパーソンとしての歴史を振り返ることで、長所や特色的な経験を確認することもできますので年表作成は有効です。特色のあるプロジェクトで活躍した経験、業務改善のリーダーとして提案し採用された件など、具体的な関与度と成果によりアピールできるトピックは特に慎重に選択し文章や箇条書きにして持っておきましょう。
完成した職務経歴書を見直す際には、担当業務のレベルがわかる書き方になっているか、書き忘れているトピックはないか、重要なスキルを書き忘れていないかをしっかりチェックし、アピールするポイントを押さえているかも確認してください。強調する部分と便宜的に羅列する部分にメリハリをつけることで、「強み」が目立つ良い経歴書になります。
③誤字脱字やデータに誤りはないか?
最後に、読み直して誤字脱字のチェックと、数値とデータがないかを確認してください。チェックには、音読が有効です。
声に出して読むことで間違いに気づきやすくなります。作成するソフトに「音読機能」があれば、それを活用し、文面を見ながら注意深く聞くのも有効です。
数値やデータに関しては、チェックの際に、もう一度ソースを確認してください。資本金額や社員数、年月などは、勘違いや記憶違いによるミスが発生しやすいので注意です。文章で使っている言い回しや慣用句、漢字でもミスをする場合があります。注意深く読み返しをし、自信のない箇所は辞書を参照するなどして正確な言葉遣いに努めましょう。職務経歴書は文字数の多い文書ですので、細心の注意で臨んでください。
見やすい職務経歴書を作成し、経理職へ転職しよう
職務経歴書は、採用担当者への重要なプレゼンテーションです。経理の職務のなかで経験した業務、使ったソフトやシステム、ビジネスソフトのスキルを明確に記述し伝えることが大切になります。
日常業務の経験だけでなく、特長ある実績や業務効率化への取り組みなどを漏れなく書くようにしましょう。自分のこれまでの職歴の総決算です。文書としての見やすさを工夫し、採用担当者に深く検討したいと思わせることを目標に、良い職務経歴書を作成しましょう。
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