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「経理の採用は難易度が高い?」「経理を採用したいけど、注意点はある?」など、経理を採用することを不安に思う方もいるでしょう。
本記事では、経理の採用難易度や良い人材を採用するための求人方法・面接方法などについて解説していきます。記事の内容を参考にしつつ、自社が求めている経理担当者を採用しましょう。
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経理業務の有効求人倍率は?
「厚生労働省の一般職業紹介状況(令和5年3月分及び令和4年度分)について」によると、経理業務の有効求人倍率は0.70倍となっています(※1)。また、厚生労働省の同調査によると、全職種平均の有効求人倍率は1.32倍となっています。
有効求人倍率が1を下回れば求職者の数が多く、1よりも大きければ求人を出している企業が多いです。このことから、全職種平均と比較しても経理業務の有効求人倍率が低く、求職者が多いため採用しやすいといえます。
しかし、求職者の中でも即戦力となる人材を探すのであれば、採用難易度は高くなるでしょう。
(※1)参考:一般職業紹介状況(令和5年3月分及び令和4年度分)について | 厚生労働省
即戦力となる経理の人材を採用する4つのポイント
即戦力となる経理を採用したい場合には、以下の4つのポイントを実践することでスムーズに進められるでしょう。
- スキルに見合った給与を設定する
- 求めるスキルを明確にする
- 採用基準を社内で揃える
- 経理の求人に強い転職サイトを使う
それぞれのポイントについて解説していきます。
スキルに見合った給与を設定する
求めるスキル・人材に見合った給与を設定することで、採用をスムーズに行えます。
求めるスキルが低ければ、給与がそれほど高くなくても採用できる可能性は高いでしょう。しかし、高度な業務内容を求めたり、将来的に活躍してくれるような意欲の高い人材を求める場合には、それに見合った高めの給与を設定する必要があります。
もし初心者でもよい場合には低めの給与設定でも求職者が集まりますが、教育して一人前になるまでに時間とコストがかかります。給与と育成コスト、現場の要望などのバランスも考えつつ、給与などの採用条件を定めましょう。
求めるスキルを明確にする
求めるスキルを明確にしておくことで、求職者とのミスマッチを減らせます。
まずは任せる業務内容に必要なスキルをリストアップし、求める人物像をはっきりとさせます。経理の仕事内容は多岐にわたるため「どんな業務内容を任せたいか」「必要な資格はなにか」など、具体的な内容を求人に記載しておきましょう。
任せる予定の業務が、求職者のレベルに合っていなければ離職につながる恐れがあります。離職者が出ると採用コストが増加にもつながるため、どの程度のスキルが欲しいかを明確にしておくことが重要です。
採用基準を社内で揃える
経理の採用をスムーズに進めるためには、採用基準を社内で揃えておくことが大切です。
経営者・人事担当者・現場の従業員の3者で、求めている人物像が異なっている場合には要注意です。「長期的に働いてくれる若い子がよい」「経理のベテランで即戦力になる人が欲しい」など、人物像をわかりやすく言語化しておきましょう。求めるスキル・人物像に関して意見交換し、全員の共通認識となるように採用基準を設定する必要があります。
認識がずれていると、求めていた人材を逃してしまったり、求めている人材と異なる応募者を採用してしまったりする恐れがあります。
経理の求人に強い転職サイトを使う
経理の求人に強い転職サイトを活用することで、採用がスムーズに進みます。
転職サイトには「総合サイト」と「専門サイト」の2つがあります。
総合サイトは、募集する職種を定めずにさまざまな職種の求人があるため、サイトの登録者・利用者が多いことが特徴です。しかし、年齢・職種・スキルなどもバラバラであり、細かい条件で求職者を探すのは難易度が高くなります。
専門サイトは、職種やスキルを限定した求人サイトであり、専門的な知識を持った応募者を探しやすいことが特徴です。
専門サイトでは「専門的なスキルを活用してキャリアアップをしたい」など、意欲の高い優秀な人材を探しやすいでしょう。また、専門サイトであることからサービス担当者も専門的な知識を持っており、求める条件のすり合わせがスムーズに行えます。
経理の人材を採用面接する際の3つのポイント
経理の人材を採用面接する際のポイントには、以下の3つがあります。
- 今までの経験を聞く
- 取得している資格を確認する
- コミュニケーション能力を確認する
これらの内容を面接の際に聞いておくことで、自社と応募者のミスマッチを防ぐことができるでしょう。それぞれのポイントを解説していきます。
今までの経験を聞く
今までの経験やスキルを面接の際に確認しておくことで、採用の失敗を防げます。
採用面接を行うまでは、応募者に関しての情報が少なく、履歴書などで確認することしかできません。履歴書などの内容だけでは、今までの経験やスキルの詳細を確認できません。実際にどのような業務内容を行って、どのような成果が得られたのかなどの実績を聞いておくべきです。
経理の業務内容は多く、大きな区分で以下のように分けられます。
- 決算業務
- 財務
- 管理会計
- 国際業務
- 株式公開準備
- 特殊業務
大きい会社では業務内容が細かく割り振られている場合もあるため、具体的にどのような業務を行っていたかを確認しておきましょう。たとえば「1人で会計をしめれるか」「担当していた業務内容はなにか」「その業務内容は何年続けたか」など、履歴書からは得られない情報を聞き取っておきましょう。
会計をしめる作業は年に1回しか行わないため、応募者の実力を測ることができません。そのため、経験があったとしても、求めている実力に見合っていない恐れがあります。
取得している資格を確認する
取得している資格を確認しておくことで、ある程度までは実力を測るために役立ちます。
経理業務であれば日商簿記が2級以上であったり、公認会計士や税理士などを持っていたりする場合には、即戦力として働いてもらえるでしょう。しかし、資格があれば必ず即戦力となるわけではありません。実務経験が少ない場合、実務内容を指導していく必要があります。
そのため、取得した資格の有無だけではなく、実務経験の年数を尋ねておくことが大切です。また、資格を所有していない場合でも実務経験が豊富ことがあるため、未所有者でも実務経験を確認しておきましょう。
コミュニケーション能力を確認する
コミュニケーション能力が十分にあるかを確認しておくことが大切です。
経理は、パソコンの前で一日中業務を行っているわけではなく、他の部署と関わることが多いです。そのため、他の部署や同じ経理業務を行う人たちとコミュニケーションが円滑に取れなければ、業務をスムーズに進められません。
また、人柄があまりよくない場合、会社の輪を乱されてしまう恐れもあります。ほかの従業員に影響を与えないためにも、人柄や価値観が合っているかを確認しておくことも大切です。
求人応募者の経理のスキルレベルを確認する方法
求人応募者の経理のスキルレベルを確認するための方法として、以下の5つの方法が考えられます。
- 求職者の前職が企業の経理担当者である場合
- 求職者の前職が会計事務所スタッフである場合
- 自社の経理業務を把握している人にも面接に参加してもらうのも重要
- 経理に関する試験でも確認できる
それぞれの方法について紹介していきます。
求職者の前職が企業の経理担当者である場合
求職者の前職が経理担当者であった場合、企業規模・業務範囲・外注の割合を確認することでスキルレベルを測れます。
応募してくる求職者の中では、前職でも経理を担当していたというパターンが最も多いです。
前職の企業規模が、大企業であるか中小企業であるかを確認しておきましょう。大企業であれば、業務範囲が細かく分けられているため、専門性が高いですが幅広い業務が担当できない可能性があります。反対に、中小企業であれば幅広い業務を担当できる場合が多いですが、専門性の高い業務ができない可能性があります。
「会計を1人でしめられるのか」という点や、経理業務は幅広いため、ほかにも具体的な業務内容を聞いておきましょう。また、経理業務を外注している場合もあるため「どの業務をどのくらい外注していたのか」を尋ねておくと役立ちます。
求職者の前職が会計事務所スタッフである場合
求職者の前職が会計事務所スタッフであった場合、詳細な業務経歴を確認することでスキルレベルを測れます。
会計事務所ではあらゆる業種の経営者の会計相談に乗り、サポートを行います。そのため会計に関する幅広い知識を有しており、資格保有者である場合も多いですが、そこで「大丈夫だろう」と確認を怠ると、入社後にミスマッチが起こりやすくなります。
具体的にどのような経験があり、どのように業務を行っていたのか、しっかりと詳細を深堀することがおすすめです。
自社の経理業務を把握している人にも面接してもらうのも重要
面接では、経理担当者に参加してもらうことで専門的な内容を確認することができます。
人事は求職者の人柄や将来性を判断することはできても、会計に関する専門的な内容については的確に判断することができません。
そのため、求職者の経理知識の確認のためにも、経理担当者の参加が必要となります。
人事が一般的な要素を評価して、経理担当者が専門的な知識を評価するという2段構成で面接を行いましょう。
また、経理担当者に必要なのは会計知識だけではありません。数字と向き合う忍耐強さや正確さを求める几帳面さなど、どんな要素を確認するべきかを面接担当者内で共有しておくことで、スムーズに進めることができます。
経理に関する試験でも確認できる
面接や職務経歴書だけで判断できないスキルは、経理に関する試験でも確認することができます。
試験では嘘をつくことができないため、求職者の正確なスキルを把握したいときにも活用できます。特に、即戦力となる経理担当者を求める際は必須です。
試験内容は求めるスキルに応じて作成するのがいいでしょう。有名な日商簿記試験をベースに作成することも多いですが、さらにレベルの高いスタッフを求める場合は「FASS検定」を参考にすることも検討してください。
また、経理試験とあわせて性格診断テストを実施し、適正能力を確認することもおすすめです。
経理の採用を成功に導く重要なポイント
経理の採用を成功に導くために重要なポイントとして、以下の5つが挙げられます。
- 採用したい経理の人物像を明確にする
- 自社の魅力を明確にする
- 社員と求職者との質疑応答を取り入れる
- 求職者の悩みやビジョンを確認する
- 面接結果は可能な限り早く連絡する
それぞれのポイントについて解説していきます。
採用したい経理の人物像を明確にする
経理スタッフである前に共に働く仲間です。そのため、求める人物像を明確にすることは必須項目です。
これを行わないと採用の基準が会計スキルのみとなってしまい、求職者の人柄や経歴を評価・判断する軸が定まりません。会計スキルがとても良いだけで人柄が良くない場合、会社の輪を乱されて、退職者が出るなどの悪影響を及ぼす可能性も考えられます。
このような事態を避けるためにも、スキル以外の人物像について慎重に判断しておく必要があります。
たとえば、採用担当が求める人物像を固めたのち、経理担当者の意見も取り入れながら人物像を明確にしましょう。
自社の魅力を明確にする
採用活動においては、求職者だけではなく自社の分析もかかせません。これは「求人応募を増やすため」「採用のミスマッチを防ぐため」という2つの目的があります。
求人応募を増やすためには、自社の魅力がしっかりと伝わることが大前提です。特に、今は会社が求職者を選ぶのではなく、会社が求職者から選ばれる「売り手市場」となっています。そのためにもまずは採用者が自社の魅力を分析し、求職者に分かりやすく提示できる状態をつくることが必要です。
そして実際の面接では、自社の得手・不得手や今後の展望を丁寧に嚙み砕いて提示します。
具体的な数字やエピソードを積極的に盛り込むことで、入社後をよりリアルにイメージできるよう心がけましょう。
社員と求職者との質疑応答を取り入れる
あらゆる面接に言えることですが、質疑応答は必ず行うべきです。
質疑応答があることで、求職者は「双方向的なコミュニケーションができる会社だ」と判断します。逆に、一方的に質問するだけで終了という会社に対しては「入社後も自分の意見を言える機会がないのではないか?」と不安に感じてしまう恐れがあります。
また、求職者は自社の文化や働き方について理解できることで、採用後のイメージを得やすいでしょう。
面接時間などの懸念点もあるかもしれませんが、不安要素を取り払ってお互いに納得した状態で採用できるよう、質疑応答は必ず行いましょう。
求職者の悩みやビジョンを確認する
求職者とのミスマッチを防ぐためには、求職者の悩みやビジョンを確認することも大切です。今に至るまでに有してきたスキル・経歴・人柄だけではなく、現状に対する悩みや今後考えているビジョンも把握することで、長く良い関係の構築につながります。
求職者にとっても、不安や未来図といったことを共有することで安心して働く事ができ、しっかりと求職者に寄り添ってくれる会社なのだと感じます。
面接結果は可能な限り早く連絡する
面接の結果が決まり次第、可能な限り早く連絡するべきです。決定に時間がかかる場合も、面接後のお礼や挨拶をかねて連絡をしておくことで信頼感を得ることにつながります。
また、採用したい求職者が他の会社の選考を並行して受けている場合、他社よりも先に合否を伝えることでオファーを受けてもらえる可能性も高まります。
経理の人材を採用する際の注意点
経理の人材を採用する際に気を付けておきたい点について解説します。
ポイントとしては以下の3つがあります。
- 年齢にこだわりすぎない
- 未経験者の採用も視野に入れる
- マネジメント能力も把握しておく
年齢にこだわり過ぎない
経理の人材を採用する際は、求職者の年齢に拘り過ぎないようにしましょう。経理は知識だけでなく、向き・不向きも重要であり、年齢は経験や将来性をはかるための指標にしかなりません。
若いからといって未熟だと思い込んだり、歳を重ねているからといって知識・経験ともに申し分ないと思い込むのはもったいないです。募集要項に年齢することはありますが、年齢だけで判断することは避けるべきです。
未経験者の採用も視野に入れる
応募の状況によっては、未経験者の採用も視野に入れるべきです。
経理は他の一般事務職と比較すると専門色が強い業種である一方、どこの会社にも必要なポジションであるため、採用が難航することも十分にありえます。そのため、場合によっては未経験採用を検討することも候補に入れておきましょう。
とはいえ、経理は向き・不向きなどの人物特性の影響が大きい業種です。採用の際は、人柄・性格・やる気といった点を慎重に判断する必要があります。それでもスキルのある人が欲しいという際は、未経験可かつ「簿記○級取得済」などの条件を添えるのもよいでしょう。
マネジメント能力も把握しておく
将来的にマネジメントを任せたいと考えている場合は、マネジメント能力も把握しておくべきです。
経理スタッフはひたすら数字と向き合う仕事ということもあり、職人気質な人が多いと言わ
れます。スペシャリストとしての道を好むがゆえに、部下の育成や組織管理などの能力に欠けている、またはそもそもマネジメントに関心がないこともあります。
求職者本人のやる気とあわせて、マネジメントへの適性や経験も確認するようにしましょう。
経理採用のために自社の魅力の分析を
経理の求人倍率が特別低くないとはいえ、即戦力を求めるとなると難航する可能性も十分に考えられます。
経理で活躍してくれる方を採用するためには、スキルはもちろんコミュニケーション能力や人柄、将来のビジョンなどといった多方面からの評価軸を用意することが必要です。かつ、求職者に魅力的な求人・会社だと思ってもらえるよう、自社の魅力分析もかかせません。
本記事でまとめた採用のポイントをもとに戦略をたて、効率的な採用活動を行いましょう。