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雇用保険の傷病手当とは?支給金額や条件、申請方法など解説

シンカキャリア編集部

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更新日:2024/07/09

失業中に病気やケガをすると、新しい仕事に就くこともできず、生活していけるか不安になったり、心細い思いをするでしょう。そんな時に頼れる制度が雇用保険の傷病手当です。国から支給される給付金ですが、初めて聞いたという人もいるのではないでしょうか。この記事では、雇用保険の傷病手当の概要や受給できる人、支給金額や受給期間などについて解説しています。傷病手当を申請する際の注意点にもふれていますので、知識を身につけて、求職中に病気やケガをしてしまった時に役立ててください。

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失業中に病気やケガをすると、新しい仕事に就くこともできず、生活していけるか不安になったり、心細い思いをするでしょう。そんな時に頼れる制度が雇用保険の傷病手当です。国から支給される給付金ですが、初めて聞いたという人もいるのではないでしょうか。

この記事では、雇用保険の傷病手当の概要や受給できる人、支給金額や受給期間などについて解説しています。傷病手当を申請する際の注意点にもふれていますので、知識を身につけて、求職中に病気やケガをしてしまった時に役立ててください。

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雇用保険の傷病手当とは

雇用保険は社会保険の一つであり、失業した人の生活を支援したり、技能を習得するためのサポートをするなど、労働者の生活や雇用安定のためのさまざまな給付制度が用意されています。

「雇用保険の傷病手当(※1)」は、退職後にハローワークで求職の申し込みをした後に、病気やケガで働けない状態になった人を対象とする、生活支援のための制度です。そのため、離職前から罹っていた病気やケガは対象外になります。

傷病手当は、求職の申し込み後に発症した病気やケガが原因で、15日以上引き続いて職に就けない場合に受給できます。支給される金額や日数は人によりさまざまで、定められた条件に当てはまる人のみが申請可能です。

(※1)参考:ハローワークインターネットサービス「傷病手当支給申請書」

健康保険の傷病手当金との違い

雇用保険の傷病手当とよく似た制度に「健康保険の傷病手当金(※2)」があります健康保険の傷病手当金は、在職中に病気やケガで働けない場合に、勤務先で加入している健康保険組合などから支給される給付金です雇用保険の傷病手当は、勤め先を退職した失業中の人が対象です離職後、求職の申し込みをしてから病気やケガで働けなくなった場合に、ハローワークに申請すると国から給付金が受け取れる仕組みです

両者は受給開始の日数も異なっており、健康保険の傷病手当金は、連続して3日以上病気やケガで働けないときに4日目から支給されます。一方、雇用保険の傷病手当は15日以上求職活動ができない人が対象で、15日目から支給されます。

(※2)参考:全国健康保健協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」

雇用保険の傷病手当が支給される条件

雇用保険の傷病手当を受けるには、次の4つの条件を満たしていることが必要になります。

  1. 基本手当の受給資格があること
  2. 失業中に病気やケガが原因で求職活動できない状態にあること
  3. 病気やケガのため、15日以上仕事に就くことができない状態にあること
  4. 病気やケガは求職後に発生していること

基本手当を受給するためには、離職日以前の2年間に、雇用保険に加入していた期間が12ヶ月以上あることが必要です。通算して12ヶ月あれば良く、同じ勤務先でなくてもかまいません。

さらに、働く意思や能力があるにもかかわらず失業状態であることを示しておくことが重要になります。単に失業しているだけでは傷病手当は受けられませんので、必ずハローワークで求職の申し込みをしておきましょう。

パートやアルバイトであってもこれらの条件に当てはまれば傷病手当を受け取ることが可能です。

雇用保険の傷病手当で対象となるケガや病気は?

雇用保険の傷病手当金は、2週間以上の治療期間が必要なケガや病気が対象です。2週間以内であれば、傷病手当ではなく基本手当の対象となります。病気や手術などで入院し、その後自宅で療養した期間が合わせて2週間以上あれば対象です。

交通事故などで重いケガを負ってしまって、2週間以上の入院が必要であると予想される場合も、傷病手当の対象です。また、うつ病の場合は、就業する意思の有無にかかわらず、働けないほど症状が重い場合は傷病手当を受給できる可能性が高くなります。

雇用保険の傷病手当の支給額は?

自分が対象となった場合に、いくらぐらい受け取れるのか、知っておくと安心です。ここでは、雇用保険の傷病手当の支給金額がどれくらいなのか解説します。

基本手当の額と同じ

雇用保険の傷病手当の金額は、離職前の賃金から算出されます。計算式は基本手当と同じですので、傷病手当と基本手当は同額です。計算の元になるのは、離職する前6ヶ月に支払われた賞与などを除いた賃金で、そこから賃金の日額が計算されて、支給額が決定します。

傷病手当の給付金額計算式

傷病手当の計算式は次のようになっています。まず離職する前6ヶ月に支払われた賃金(賞与を除く)を180で割り、賃金の日額を算出します。賃金日額に所定の給付率を掛けたものが基本手当日額です。

賃金の日額には上限が設定されていますので、上限を超えた分に関しては反映されません。また、給付率は離職時の年齢や賃金日額によって変わり、45%から80%の間になります。給付率は賃金が低いほど高めに設定されています。

年齢による基本手当日額の上限

基本手当日額は離職時の年齢によって上限額が定められています。30歳未満、30歳以上45歳未満、45歳以上60歳未満、60歳以上65歳未満で区分され、それぞれの金額は毎年8月に見直されます。

令和4年の上限額は6,835円から8,355円の間となっています。尚、基本手当日額の下限額は年齢に関係なく2,196円です。傷病手当の受給を検討する際に、支給金額を事前に計算する場合は、厚労省のサイトなどで最新情報をチェックしてから行ってください。

参考:厚生労働省「雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和3 年8 月 1 日から~」

雇用保険の傷病手当の受給期間は?

雇用保険の傷病手当が受給できる期間は、基本手当を受給している間に病気やケガで働けない期間が対象となります。基本手当の所定給付日数から、基本手当を受給した日数を差し引いた日数が上限です。

働けない期間による手当の違い

傷病手当の受給は、働けない期間によって支給対象となる給付金が変わってきます。

働けない期間が15日未満

求職登録をしてからケガや病気で働けない期間が15日未満であった場合は、傷病手当の対象ではありませんので支給は受けられません。この場合は傷病手当ではなく基本手当が支給されます。

受け取っている基本手当をそのまま受け取るだけですので、特に申請などの手続きはありません。

働けない期間が15日以上30日未満

ケガや病気で働けない期間が15日以上30日未満の場合は、基本手当の支給対象外となりますので、代わりに傷病手当が支給されます。この場合は自分で申請しないと受給できませんので、ハローワークに申請をします。

申請には期限がありますので、期限を守って届け出ましょう。期限や届け出る際に必要な書類に関しては、次の章で詳しく説明します。

働けない期間が30日以上

ケガや病気で働けない状態が30日以上続くと予想される場合は、傷病手当を受けるか、もしくは基本手当の受給期間を延長するか、どちらかを選択することになります。

延長措置を選択した場合は、「受給期間延長申請書」と「受給資格者証」を延長後の受給期間の最後の日までにハローワークに申請する必要があります。雇用保険の基本手当の受給期間はケースにより90日から360日と決められていますが、ケガや病気で働けない場合は最大で3年間延長することが可能です。

傷病手当が受け取れない期間

傷病手当を受給できるのは、基本手当の受給期間に限られています。そのため、基本手当が受け取れない待期期間や給付制限期間は、傷病手当も受け取ることはできません。

基本手当の待期期間は、基本手当の受給資格決定日から7日間、給付制限期間は一般的な自己都合退職の場合2〜3ヶ月間です。また、傷病手当は健康保険の傷病手当金や、労災保険の休業給付などを受け取っている期間も受け取ることができません。

雇用保険の傷病手当の申請方法

ここでは雇用保険の傷病手当の申請方法について説明します。

「傷病手当支給申請書」を入手して記入

雇用保険の傷病手当を申請するには、ハローワークの窓口で「傷病手当支給申請書」をもらい、必要事項を記入し、「雇用保険受給資格者証」とともにハローワークに提出します。

傷病手当支給申請書は「ハローワークインターネットサービス 傷病手当支給申請書」のサイトから印刷することもできますし、オンラインでの申請も可能です。

「傷病手当支給申請書」には、自分で記入する項目だけでなく、病気やケガの内容、状態、それにより就労が不可能だったと認められる期間など、医師に記入してもらう証明欄もあります。記入依頼をしてから出来上がるまでに時間がかかることもありますので、早めに主治医に依頼しておきましょう。

申請書を提出する

「傷病手当支給申請書」の記入ができたら「雇用保険受給資格者証」とともにハローワークに提出し、申請します。

窓口に持参するほか郵送や代理人による提出も可能ですし、オンラインでの申請もできます。入院中などで外出できない場合は、家族など身近な人に申請を依頼しましょう。申請を代理人に依頼する場合は委任状が必要になりますので、忘れずに準備しておきましょう。

雇用保険の傷病手当を申請する時の注意点

雇用保険の傷病手当を申請する際には、次のような点に注意が必要です。

求職登録をしていないと受給できない

雇用保険の傷病手当は失業中であれば誰でも受け取れるわけではなく、離職後にハローワークに離職票を提出して、求職の申し込みをし、雇用保険の手続きをしていなければなりません。

雇用保険の手続きは、離職した日の翌日から1年間となっていますので、忘れずに行いましょう。離職前や手続き前に病気やケガをしてしまった場合は対象外ですので、治ってから手続きを行いましょう。

申請には期限がある

傷病手当の申請には期限があります。基本手当を受給中に、病気やケガが治った後、最初の失業認定日までにハローワークに「傷病手当支給申請書」と「雇用保険受給資格者証」を提出して傷病の認定を受けないと受給できません。

該当する失業認定日にハローワークに出向くことができない場合や、書類が揃わない場合は、認定日を変更してもらうために連絡しましょう。

主治医の記入は早めに依頼しておく

傷病手当支給申請書には、「診療担当者の証明」という欄があり、主治医に記載してもらう必要があります。病気やケガをした病院または医院に行って書類の記入を依頼しましょう。

書類の作成に時間がかかることもありますので、申請期限に間に合うように早めに依頼することが肝心です。

雇用保険の傷病手当制度を理解して、もしもの時に役立てよう

雇用保険の傷病手当は、離職後まだ仕事に就いていない人が病気やケガをしてしまった時に受け取ることができる給付金制度です。誰でも受け取れるわけではなく、受給のための条件を満たした人が申請できます。

失業中に病気やケガをして求職活動ができない人にとって、心強い制度ですので、受給の条件や内容・申請方法などを理解して、万が一のときに備えておきましょう。

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