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体調不良や急な用事などで仕事を休むことは誰しも経験したことがあるでしょう。仕事を休むといっても、有給や休職、欠勤などさまざまな表現があります。しかし、それぞれどのような違いがあるのかがよく分からないという方もいるのではないでしょうか。
本記事では欠勤と他の制度との違いや欠勤控除、欠勤時の注意点を解説します。欠勤に関するよくある疑問も解説するため、仕事を休むことへの理解を深めたい方はぜひ参考にしてください。
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欠勤とは?他の制度との違い
仕事を休むことを示す言葉はさまざまにありますが、言葉によって意味が異なります。仕事を休む際の仕組みが異なるため、適切に休むためには違いを理解する事が大切です。まずは、欠勤の定義や他の制度との違いを解説します。
欠勤の定義
欠勤とは、本来働かなければならない労働者が勤務を休むことを指します。欠勤は法律上では定義は明記されていません。しかし、一般的には労働の義務があるにも関わらず、労働者が業務に従事しない場合に使われます。
出勤しなければならない日に労働者の都合で出勤しないことを指し、欠勤するとその日の分の給料は支払われません。つまり、欠勤は減給の対象になる休みということです。欠勤は労働契約違反となるケースが多く、懲戒処分を受けるケースもあるでしょう。
有給との違い
有給とは正式には有給休暇のことであり、労働者義務を免除されて休むことができる休暇です。労働者は事前に労働義務がある日のなかから休暇希望日を選んで会社へ申請します。
有給は労働基準法で取得することが定められている制度です。年に10日以上の有給がある労働者の場合は5日以上取得させることが義務づけられています。
有給は欠勤と同じく労働者の都合で取得する休暇ですが、取得した場合は労働者の権利として労働義務が免除され、給料が支払われる点が欠勤と大きく異なる点です。
公休との違い
公休は労働者ではなく会社の都合による休みのことです。土日祝日や会社の休業日、年末年始などが当てはまり、会社全体あるいは組織の一部が休みとなることを指します。欠勤は労働者の都合の休みですが、公休は会社側の事情による休みである点が大きな違いです。
会社や組織そのものが休みのため、通常は給料の支払いはありません。ただし、公休に出勤をした場合は休日出勤扱いになります。そのため、休日出勤手当や代休などの措置がとられるのが一般的です。
休職との違い
休職とは主に労働者が自身の都合により長期間会社を休むことを指します。病気や怪我によって長期間勤務が難しくなった場合のほか、長期間自己研鑽のために留学する場合などに適用されるケースもあるでしょう。
法律上での定めはないため、休職できる理由や期間などの条件は会社の就業規則で定められているのが一般的です。多くの会社では欠勤が連続することを休職の条件としているケースが少なくありません。また、休職中は給料の支払い義務がない点にも注意しましょう。
休業との違い
休業は雇用契約を維持したままで業務を長期間休むことを指します。労働者側に働く意思はあるものの、何らかの理由で働けない状況にある場合に取得できる休みです。休む理由は、労働者側の都合と会社側の都合の両方が考えられます。
労働者側の都合で代表的なのは、出産・育児のための産前産後休業や育児休業や介護休業です。労働者側の都合による休業の場合、基本的には給料は支払われません。
会社側の都合による休業は、業績不振で休業するケースが考えられます。この場合は平均賃金の60%以上の休業手当が労働者に支払われます。ただし、自然災害などの不可抗力の理由での休業の場合は賃金の支払い義務がない点に注意しましょう。
欠勤控除とは
欠勤控除とは労働者が会社を休んで勤務しなかった分の賃金を給与から差し引くことを指します。欠勤した日数分の賃金を毎月の固定給与から差し引かれるため、欠勤が多いほど給与が減ってしまうのです。
欠勤控除に関する法律上の規定はないため、会社ごとに定められています。一般的に欠勤控除が適用されるのは労働者側の都合で休んだ場合であり、体調不良や遅刻・早退などをしてしまったときなどです。
欠勤控除額は日数ではなく時間数や分数で計算するケースもあるため、会社の就業規則でどのように規定されているか確認しておくとよいでしょう。
ノーワーク・ノーペイの法則
「ノーワーク・ノーペイの法則」とは、労働者が働いていないのであれば給料は発生しないという考え方です。欠勤した場合労働者は業務を行っていないため、会社側は欠勤部分について給料を支払う義務がないと考えられています。
欠勤した分の給与を会社側が差し引くことは違法ではなく、さらに労働者側は欠勤した分の賃金の請求権がありません。つまり、欠勤が多くなればなるほど給料は減ってしまうため労働者が欠勤するメリットがないことを覚えておきましょう。
欠勤控除の計算方法
欠勤控除の計算方法は会社の規定によって異なります。欠勤控除を計算する際には自社の決まりを確認することは大切です。ここでは1日欠勤した場合の計算方法と、遅刻や早退などで数時間欠勤した場合の計算方法を解説します。
欠勤時の計算方法
体調不良や怪我などで1日欠勤した場合は、月の給与を所定の労働日数で割り算し、1日あたりの給与額を算出して控除額を計算します。
例えば月の固定給が25万円、所定の労働日数が20日の場合、1日の欠勤控除額の計算方法は以下のとおりです。
* 25万円÷20日=1万2,500円
1日の欠勤控除額は1万2,500円のため、1日風邪で休めば給与が23万7,500円に減額されます。欠勤した日数が増えれば1万2,500円×欠勤日数分の欠勤控除が行われるため、積み重なると大きな減額につながりかねません。
なお、先述したとおり欠勤控除に関する法律上の規定はないため、フレックス制などの勤務形態や時間給などの給与形態によって欠勤控除の処理方法は異なる点に注意しましょう。
遅刻や早退時の計算方法
遅刻や早退によって1日勤務時間のうち数時間だけ休んだ場合は、1時間あたりの給与額を算出したうえで欠勤控除額を計算します。
先述した月の固定給が25万円、所定の労働日数が20日の場合、1日の欠勤控除額は1万2,500円でした。1時間単位の控除額を算出するには、ここからさらに1日の労働時間数で割ります。
1日8時間勤務とした場合、1時間当たりの控除額の計算は以下のとおりです。
* 1万2,500円÷8時間=1,562.5円
もしも遅刻で2時間遅れて出勤した場合の控除額は以下のようになります。
* 1,562.5円×2=3,125円
1日欠勤する場合と同じく、時間数が多くなればその分欠勤控除額は大きくなります。また、会社によっては10分単位で計算する場合や30分〜1時間の遅刻をすべて1時間とみなす場合もあるため、会社の就業規則をよく確認しておきましょう。
欠勤する時の注意点
欠勤しないように日頃注意をしていても、何らかの理由により欠勤しなければならない状況になる可能性は十分にあります。やむを得ず欠勤する際には、会社に迷惑がかからないよう適切に対応することが大切です。続いて、欠勤する時の注意点を解説します。
事前に欠勤する旨を伝える
欠勤しなければならないことが事前に分かっている場合は、あらかじめ欠勤することを周囲へ伝えておきましょう。何も伝えずに無断欠勤してしまっては周囲に迷惑をかけてしまうだけではなく、周囲からの信用もなくしてしまいかねません。
欠勤届を前日までに提出し、上司や同僚などへ欠勤することを伝える必要があります。また、取引先にも迷惑をかける可能性があるため、事前に連絡をするのがマナーです。もしも欠勤日に周囲へ対応を依頼しなければならない業務があれば、引継ぎも行っておきましょう。
欠勤理由は明確に
欠勤をする場合、欠勤理由を明確に伝えましょう。体調不良や冠婚葬祭への出席など、欠勤する理由はさまざまに考えられます。欠勤する理由を明確に伝えることで、周囲からの信用や協力も得やすくなるでしょう。
有給休暇とは異なり本来は働かなければならない日に休むため、明確な理由もなく欠勤した場合は会社からの信用を失ってしまう可能性もあります。どのような理由であっても、社会人のマナーとして欠勤理由を明確に伝えるようにしましょう。
欠勤の連絡はメールより電話で
欠勤の連絡はメールよりも電話で行いましょう。メール連絡の場合、相手がメールを確認したかどうかが分かりません。自分ではメールで連絡したと思っていても、相手が確認していなかったりメール自体が届いていなかったりして欠勤が会社側に伝わっていない可能性もあります。
電話であれば欠勤することを確実に会社側へ伝えられ、会社側も欠勤への対応がしやすくなります。電話で欠勤の連絡をする場合は始業の10分前までに上司へ連絡するようにしましょう。
欠勤についてのよくある疑問
最後に、欠勤についてのよくある6つの疑問をそれぞれ解説します。欠勤に関する疑問を解消し理解を深めれば、会社を休む際に役立つでしょう。欠勤や仕事を休むことに関する知識を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。
有給に振り返られる?
一般的に、有給は事前申請が必要と定めているケースが多いため、体調不良などの理由による欠勤であれば有給に振り替えられない可能性があります。ただし、会社側との交渉次第では有給扱いが認められる可能性もあるため、有給に振り替えたい場合は相談してみましょう。
有給への振り替えが認められる可能性があるのが、取得できる有給休暇日数が残っている場合です。有給への振り替えが認められた場合は、事後に有給申請を行います。有給を使い切っている場合は振り替えができない点に注意しましょう。
欠勤と残業(時間外労働)の相殺は可能?
月給制の仕事の場合、欠勤を残業(時間外労働)で相殺することは難しいのが実情です。労働基準法では、1日8時間以上労働させる場合は割増賃金を支払うことが定められています。
例えば、1日欠勤した後に8日間毎日1時間残業をした場合、会社側は1日分欠勤控除を適用して8時間分の割増賃金を支払わなくてはならないのです。残業時間分は割増賃金で支払うため、結果的に会社側は多く支払うことになります。
そのため、欠勤を残業で相殺したい場合は事前に会社への相談が必要になるでしょう。ただし、時給制の仕事の場合は欠勤と残業の相殺は可能と考えられています。
無断欠勤するとどうなる?
無断欠勤をした場合、周囲からの信頼を失うだけではなく、場合によっては減給や損害賠償請求などにつながる恐れがあります。無断欠勤の場合、本来は出勤するはずの労働者が来ない状態になるため、上司や同僚、取引先へ迷惑がかかってしまいます。
仕事への支障もでてしまい、信用を落とすことになってしまうでしょう。欠勤により損害が発生した場合は、会社から損害賠償を請求される事態にもなってしまいかねません。
また、無断欠勤が続けば減給処分になる場合があります。無断欠勤は労働者にとってメリットが何もないといえるため、欠勤する際には必ず連絡しましょう。
インフルエンザに罹った場合は?
季節性インフルエンザに罹って休む場合は、風邪などの場合と同じく労働者側の事情による休みとして欠勤扱いが一般的です。ただし、インフルエンザに罹った労働者に対し会社側が出社は控えるよう命令した場合は会社都合による休みとして扱われ「休業手当」の支払い義務が生じます。
ただし、新型インフルエンザの場合は対応が異なる点に注意が必要です。新型インフルエンザは「感染症予防法」で就業が制限されています。会社都合ではなく法律上の規定による出勤停止扱いになるため、休業手当は支給されません。
裁判員制度による休みは?
裁判員制度による休みの場合、欠勤扱いとするか有給休暇として扱うかは会社の判断に委ねられています。裁判員に選ばれた場合の休みは公的な職務を行うための休みです。ただし、裁判員制度に関する休暇制度の設定は義務づけられていません。
裁判員になると日当が支給されることをふまえて欠勤としているケースや、裁判員制度に対応した特別な有給休暇制度を導入しているケースもあります。就業規則によって定められているため、もしも裁判員に選ばれた場合は会社に相談しましょう。
欠勤が理由で解雇されることはある?
状況によっては、欠勤が理由で解雇される可能性があります。本来解雇は会社と労働者間で締結した労働契約を、会社側の意思により解消するために行われるものです。一定のルールのもとで行われる必要があり、正当な理由がなければ解雇はできません。
ただし、例えば注意や指導を行っても勤務状況が改善されず欠勤が続く場合は、解雇される可能性があります。欠勤による解雇については就業規則に明記されているケースが多いため、あらかじめ確認しておきましょう。
欠勤の制度や対応方法を理解しておこう
欠勤は本来出勤しなければならない日に休むことであり、欠勤控除が適用される可能性もあります。また、欠勤する回数が増えると仕事にも支障が出て周囲へ負担をかけてしまい、信頼関係に影響を及ぼしかねないため注意が必要です。
体調不良などのやむを得ない理由により欠勤することは誰しも起こり得ます。欠勤する際には早めに周囲へ連絡するなど周囲へ配慮した対応が大切です。欠勤により不利益を被ることのないよう、あらかじめ欠勤の制度や対応の仕方を正しく理解しておきましょう。