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横領とは?横領罪の種類、予防法や発覚後の対処法について解説

シンカキャリア編集部

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更新日:2024/07/08

企業に勤めていると、会社の経理業務やお店のレジ、自治体の集金など、仕事上他人のお金を預かる機会が多いのではないでしょうか。多くの人は預かったお金に対して責任をもって管理しますが、中には自分のものにしてしまう人もいます。この行為は犯罪であり、「横領」に値する行為です。今回は、犯罪行為でもある「横領」について解説します。

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企業に勤めていると、会社の経理業務やお店のレジ、自治体の集金など、仕事上他人のお金を預かる機会が多いのではないでしょうか。多くの人は預かったお金に対して責任をもって管理しますが、中には自分のものにしてしまう人もいます。この行為は犯罪であり、「横領」に値する行為です。

今回は、犯罪行為でもある「横領」について解説します。横領に似た意味の言葉や横領対策、横領の種類についてもまとめているので「横領はどんな行為が該当するの?」「横領と似た言葉もあるけど何が違うの?」と疑問を感じている方は、今回の記事を参考に横領に対する理解を深めていきましょう。

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横領(横領罪)とは

横領とは、他人の財産が自分の手元にあることを良いことに、あたかも自分の財産であるかのように奪ったり、利用してしまうことです

横領は、刑法第38章に含まれる第252条から第255条(※1)までに規定されている犯罪行為であり、法的に「自分が占有している他人のものを不法に領得する行為」と示されています。ちなみに、ここでいう「占有」とは、事実上の支配であり、自分の手元にある状態です。自分の手元になく、他人の手元から奪う場合は、横領ではなく窃盗に値するので注意しましょう。

(※1)参考:e-Gov「刑法」

横領と類似する言葉

横領と似ている言葉で「着服」「窃盗」「背任」という言葉があります。しかし、これらの意味は横領とは異なるので、それぞれの意味を理解することが大切です。以下では、それぞれの言葉の意味や具体例を紹介するので、参考にしてください。

着服

着服とは、人のものを不正に自分のものとする行為です。人のものを盗む行為とは異なるので、横領とは大体似た意味合いを持っています。

ただし、着服は刑法上の言葉ではありません。一般用語なので注意してください。横領が刑法上の法律用語であるため、横領罪という犯罪に値しますが、着服と呼ばれる行為がすべて横領罪に値するとは限りません。横領罪が成立する場合もあれば、成立しない場合もあります。ちなみに「着服罪」という罪名はないので注意しましょう。

以下は、着服と呼ばれる行為事例です。

  • 知人の結婚祝いの品物を買うために自分を含む仲間5人から3,000円ずつ集金した。しかし、15,000円の品物を買うべきところ、10,000円の品物で済ませ、差額は自分のものにした。

窃盗

窃盗とは、他人の財産を盗み取る行為です。盗む対象は、他人の手元にあるものであり、横領との違いは、奪う行為が発生するか否かの違いになります。横領の場合、自分の手元にある他人の財産をあたかも自分のもののように利用することをいうので、他人から奪う行為は値しません。

窃盗は、刑法に規定されている罪であり「窃盗罪」に該当します。窃盗の例では以下のようなケースがあります。

  • 通行人が抱えているバックを盗んで逃走。※「ひったくり」と呼ばれることが多いです。

ただし、他人からバックを預かり、それを勝手に持って帰る行為は窃盗罪ではなく横領罪になります。ややこしいので、注意しましょう。

参考:e-Gov「刑法」

背任

背任は、横領と同じく刑法に規定されている罪です。ただし、背任は他人のためにその事務処理をする者が、自分または第三者の利益目的や他人に損害を与える目的で、任務に背く行為をいいます。

横領は、財産を奪う行為で他人の期待を裏切りますが、背任の場合、任務を何らかの目的で背き他人の期待を裏切っているのです。ただし、あくまで「自分自身や第三者の利益のため、または損害を与える目的」を持って任務に背くことが背任に該当します。頼まれた任務をしなかった・できなかったというだけでは背任罪にはなりません。

参考:e-Gov「刑法」

横領罪の種類

一言で横領といっても、横領は刑法上3つの罪に分けられているので、その詳細は異なります。それぞれが犯罪として成立する条件や刑罰も違うので注意しましょう。以下では3つについてそれぞれ解説します。参考にしてください。

単純横領罪

単純横領罪は、自己の占有する他人の物を横領した場合に成立する罪です。横領罪の基本的かつ原則的なものになります。法定刑は、5年以下の懲役です。

たとえば、友人から預かったお金を勝手に使う行為や、預かっていた知人の時計を勝手に売却してしまう行為は、単純横領罪になります。また、たとえ自分の財産であっても、公的に補完することが義務付けられていたら、自由に処分してはいけません。裁判所や税務署が差押えするために補完を命じている財産であるため、これらを勝手に処分することは単純横領罪になります。

業務上横領罪

業務上横領罪は、業務上自己保有していた他人・会社のものを横領した際に成立します。横領罪の加重類型であり、法定刑では10年以下の懲役が課せられる重い罪です。

ここでいう業務とは、他人から委託を受けて管理する事務をいいます。たとえば、経理担当者をイメージしてみましょう。会社の経理担当者は、会社のお金を日常的に取り扱っており、自由に引き出しや送金をする機会が多いです。その際、経理担当者が会社のお金を自分の懐に入れてしまうと、業務上横領罪に該当してしまいます。また、会社のお金を第三者に勝手に渡してしまう行為も業務上横領罪です。

業務上横領罪は、特に企業が注意すべき横領であり、他の2種よりも重い罪だと認識しておきましょう。

遺失物等横領罪

遺失物等横領罪は、遺失物・漂流物その他占有を離れた他人の物を横領する行為をいいます。簡単にいうと、落とし物を勝手に自分のものにして利用・売却してしまう行為です。

たとえば、道端に落ちていた財布を警察に届けず、自分のものにしてしまう行為や、誰かが乗り捨てた自転車を勝手に乗り去る行為。これらはすべて、遺失物等横領罪に該当します。仮に遺失物等横領罪として罪が成立した場合は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金が課せられる罪です。

遺失物等横領罪の特徴は、ものの占有が本人の委託に基づかない点であり、仮にものの施入が委託に基づく場合は、単純横領罪または業務上横領罪になるので注意しましょう。

横領を防ぐための予防法

さまざまな横領の種類がありますが、これらを未然に防ぐためにはどのような対策をすべきなのでしょうか。次は、横領を未然に防ぐための方法を5選紹介します。

会社は横領が発覚すれば、企業イメージ低下につながる恐れもあるので、十分な対策と注意が必須です。以下で紹介されている横領対策を参考に、万全の予防に努めてください。

個人に会社資金の管理をさせない

横領対策で大切なのは、会社の資金を安易に従業員に管理させないことです。従業員が簡単に会社の資金に手を出せる状態を作ってしまうと、その分横領のリスクが高まります。

会社の資金を管理するのは、特定の部署や特定の人物だけに限定しましょう。また、日々必要となる小口資金以外は、まとまった会社の資金として従業員が触れられない場所に保管しておくようにしてください。

横領の違法性を周知する

横領が、どれほど重罪なのかを従業員に事前周知しておくことも重要です。

会社の資金に対し、個人が勝手に利用することへの抵抗が低い場合、従業員が横領を軽い気持ちで行ってしまう可能性があります。事前に、会社から横領の違法性や発覚した際の罰について明確化しておけば、従業員は軽い気持ちで横領するような事態が防げるはずです。

重要なことなので、一度ではなく都度横領に対する違法性を周知するようにすれば、社内にも浸透するでしょう。

仕組みを作る

「横領は重い罪」と従業員に伝えるだけでなく、横領が起こりにくい仕組みを作ることも重要な対策です。

横領が起こりやすいケースは、会社資金を出金する際だといわれています。そのため、出金時には複数人で承認をしたり、横領を見つけた従業員が内部告発しやすい窓口を設けるなどのシステム作りが大切です。

各社それぞれ効果的な仕組みは異なるため、自社に合った仕組みを構築するようにしましょう。

定期的な内部監査を実施する

会社資金の入出金履歴を定期的に確認することも、横領対策に効果的です。

経営者が会社の資金に関して、流れや現状を把握していること、定期的に確認をしている姿勢が従業員に伝われば、その分横領抑制力につながるでしょう。企業によっては、内部監査員をたて、定期的な内部監査を実施するケースも多いです。

小口現金の帳簿残高と実額を照合する

横領は、防止することが第一です。しかし、仮に横領が行われてしまった場合、速やかに対処することが求められます。そのためにも、定期的な小口現金と帳簿残高の実額確認は重要です。

可能であれば、毎日実施するようにしましょう。毎日実額の確認を実施していれば、横領にすぐに気づけます。小口現金と記帳担当が分かれている場合は、記帳担当者が実施し、担当が分かれていない場合は、第三者が実施するのが効果的です。

横領が発覚後の対処法

どんなに対策をしても、横領が発生する可能性はあります。仮に、横領が発覚した際は、迅速な対処が求められるでしょう。そこで、次は横領が発生した際の対処法について解説します。横領があった事実に対し焦るのではなく、適切な判断のもと対処すれば事態の悪化を防げるはずです。以下のまとめを参考に横領の対処法を身につけましょう。

事実関係を把握する

まずは、帳簿や銀行口座の入出金履歴、資金の流れを確認しましょう。同時に、横領に関与した従業員に対し事実確認をしてください。

横領が発覚した際は、本当に不適切な行為が行われたのか、本当にその人が関わっていたのかという正確な事実が求められます。根拠や証拠がなくては、横領の罪を指摘することは不可能です。

仮に、関与した従業員に事情聴取をしても、横領行為を否定する可能性があります。嘘をついている場合や、関与した従業員間で口合わせをしている場合も多いです。事前に調査して得られたデータや証拠をもとに、怪しい言動がないか慎重に確認しましょう。

被害届を提出する

前述したとおり、横領は犯罪です。そのため、横領が行われたことを警察に被害届を提出すれば、捜査対象になる場合もあります。横領の金額や関与した従業員の態度、また横領が行われる頻度によっては、被害届を提出することも検討してみましょう。

中には、行為者に再起の機会を与えるとともに、企業イメージ悪化を防ぐ目的から、社内で処理する企業もあります。

対策については企業それぞれで異なるので、自社にとってベストな手段を選択しましょう。

懲戒処分などを行う

一般的に、横領は就業規則に違反するため、懲戒処分の対象です。懲戒処分を実施する際は、懲戒権の濫用に該当しないよう、注意しましょう。

基本的に、横領は犯罪なので最も重い懲戒解雇が認められています。しかし、場合によっては労働契約法に違反する可能性があるため、心配な場合は法務部や弁護士に頼るのがオススメです。

資金の返還を求める

横領された資金は、行為者へ返還を請求することが可能です。裁判外や裁判上の各手段を利用して、返還を求めましょう。

ただし、横領された資金がすでに利用されていた場合は、回収できない可能性もあります。請求し続けても労力がかかるだけの場合もあるので、どこまで追求して請求するか、適切な判断が求められるでしょう。

会社資金の管理方法をより強固にする

横領が発生した場合、対処はもちろん再度同じようなことが起こらないよう対策を強化する必要があります。特に、会社資金の管理方法を見直すようにしましょう。

実際に行われた横領は、どのような不備を利用して行ったのかを十分に理解し、その部分を強化してください。定期的に管理方法を見直し・強化することで横領の再発を防ぐ効果があります。

横領が起こらない環境を作る

横領は、犯罪です。企業は、経営を円滑に進めていくために横領が起こらない環境を整えていく必要があります。ただし、役員や従業員に会社の資金を一切触らせないということは不可能でしょう。その結果、横領が発生してしまうリスクが高くなります。

しかし、社内監査や資金管理の強化、従業員への周知が正しく行われていれば、横領の発生確率を低下させられるはずです。仮に、横領が発生しても、横領に対する理解があれば即時に対処でき、極力経営に悪影響を及ぼさずにすむでしょう。

そのためにも、企業は日ごろから横領に対しての対策と理解を深めておくことが重要です。

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