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所得税とは?所得の種類や計算方法、節税対策も解説

シンカキャリア編集部

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更新日:2024/07/08

「所得税」とは、個人の所得に対して課せられる税金です。日本の税法では、所得が多いほど所得税が高くなる累進課税になっているため、会社員であれば毎月の給与明細を見てその額に驚く人は多いと思います。しかし、所得税は控除などを活用すれば納税額を抑えることが可能です。本記事では所得税について解説していきます。この記事を読めば、所得税に対する理解だけでなく、計算方法や節税の方法についての理解もできるでしょう。

目次

「所得税」とは、個人の所得に対して課せられる税金です。日本の税法では、所得が多いほど所得税が高くなる累進課税になっているため、会社員であれば毎月の給与明細を見てその額に驚く人は多いと思います。しかし、所得税は控除などを活用すれば納税額を抑えることが可能です。

本記事では所得税について解説していきます。この記事を読めば、所得税に対する理解だけでなく、計算方法や節税の方法についての理解もできるでしょう。

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所得税とは

所得税とは、個人が稼いだ所得に対して課せられる税金です。毎年1月1日から12月31日までの給与が基準になります。所得税を課せられる対象は、給与所得がある会社員、事業所得のあるフリーランスなど個人事業主、株式売買などで譲渡所得がある個人を含む、所得があるすべての個人です

基本的に、会社員であれば所得税は毎年の給与から差し引かれ、年末調整で清算されます。個人事業主やフリーランスであれば、確定申告を行い個人で納税するのが一般的です。

参考:国税庁「No.2260 所得税の税率」

源泉所得税との違い

所得税とよく混合されるのが、源泉所得税です。源泉所得税とは源泉徴収をもとに納付する所得税をいいます。

源泉徴収制度とは、給与や報酬を支払う場合、支払元である企業や事業主が、所得税を給与から天引きし、納税者(会社員)の代わりに収める制度です。収入に課せられる税金の仕組みのことです。

つまり、源泉所得税とは「企業が給与から天引きした税金を個人の代わりに国に納税する制度」と認識しておけば問題ないでしょう。

参考:国税庁「給与所得の源泉徴収税額表」

住民税との違い

住民税は、都道府県や市町村などの地方自治体に納める「地方税」です。一方、所得税は国に納める「国税」のため、2つの納め先は違うので注意してください。

住民税とは、その地域に住む住民たちが生活をよくするために納める税金ともいえます。具体的には、日々の生活の中で利用する公共施設、上下水道、ごみ処理、学校教育などさまざまな行政サービスを受けていることに対して、地域で費用を負担して維持していく目的です。一方で、所得税は個人の1年間の所得に対する税なので、住んでいる地域は関係ありません。

また、支払時期も異なります。所得税は税額を決めるため、対象の1年が終わるまで支払いはできません。12月末に年末調整、翌年2月中旬から3月中旬までに確定申告が実施されます。しかし、住民税は前年の所得をもとにした住民税決定通知が6月頃交付されるので、会社勤めをしている人は、給与から天引きで会社が代わりに支払らわれているのです。それ以外の場合は6月以降一括、または年4回に分けて納付します。

参考:総務省「地方税制度|個人住民税」

所得の種類

所得とは、1年間で得た収入に対し必要経費などを差し引いた額をいいます。しかし、所得と一概にいっても、その詳細は異なるので注意しましょう。

所得には、実は10種類あり、稼ぎ方や所得の得方によって区分されています。「労働で得た所得と、不動産売却で得た所得は同じ扱いにするのは不公平」という考え方があるためです。所得税の区分によって計算方法が変わり、税率も変わるので注意しましょう。

所得税の種類

  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 退職所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
  • 一時所得
  • 雑所得

次からは、この10種類の所得について解説します。

10種類の所得の種類

以下が10種類の所得です。

所得名

概要

利子所得

公社債や預貯金などの利子などによる所得のこと

配当所得

株式の配当金や証券投資信託の利益分配金など

不動産所得

土地や家屋を貸して得られる違いや家賃収入など

事業所得

農業や漁業、製造業、サービス業などの事業を経営して得る所得

給与所得

会社員が会社から受ける給与やボーナスなどによる所得

退職所得

退職金や退職一時金などによる所得

山林所得

山林の伐採や譲渡によって得られる所得

譲渡所得

不動産や株式またはゴルフ会員権などの資産を売却して得る所得

一時所得

懸賞金などのように継続性のない一次的な所得

雑所得

いずれにも当てはまらない所得

中でも、雑所得は「公的年金等」「業務」「その他」に分類することができます。また、遺族年金や損害賠償金、財形貯蓄の利子などは、一定の要件に該当すれば税金がかからない「非課税所得」になります。

3種類に分かれる雑所得

雑所得は、「公的年金等」「業務」「その他」の3つに区分できます。

雑所得

対象

計算方法

公的年金等

- 厚生年金、国民年金、共済年金- 企業年金

公的年金等の雑所得= 収入金額-公的年金等控除額

業務

- 原稿料・講演料- アフィリエイトの収入- インターネットオークションの売上(生活用動産は非課税)

申告分離課税で税額を計算

その他

- 先物取引やFXなどによる利益- 外貨建て預金の為替差益- 仮想通貨の売却、使用に伴う利益

そのほかの雑所得= 総収入金額-必要経費

総合課税と分離課税

所得税の課税方法は、所得の分類によって異なります。大きく2つに分けられ「総合課税」と「分離課税」があります。

総合課税

分離課税

- 利子所得- 配当所得- 不動産所得- 事業所得- 給与書とky- 一部の譲渡所得- 一時所得- 雑所得

- 利子所得- 配当所得- 退職所得- 山林所得- 不動産譲渡所得- 株式などの譲渡所得- 先物取引の雑所得など

総合所得では、多少となるすべての所得を合算し、その合計金額をもとに税額を計算します。税率は、累進課税で合算した所得が大きければ大きいほど、税率が高いです。一方、分離課税は、所得の種類ごとに分離して税額を計算します。一つひとつの金額が大きいので、すべてを合算して計算すると、税負担が大きすぎてしまうからです。分離課税は、突然起こるときに発生する税負担を緩和するために設けられている制度でもあります。

所得税が発生する金額

所得税は、正社員・アルバイト・パートを含め、年収103万以上となると課税対象になります。1年間の給与所得から、最低55万円の給与所得控除と最大48万円の基礎控除が差し引かれるためです。

仮に給与所得者の年収が103万円を超えると、給与所得控除と基礎控除の合計額を上回ってしまいます。その結果、超過分に対して税金が課されるため、「年収103万円の壁」とも呼ばれています。

所得税の計算方法

実際に所得に対して、所得税はどのような計算で算出されているのでしょうか。以下では、所得税の金額を算出するための計算方法について解説します。「所得があるけど、計算方法がわからない」と悩んでいる人は、以下を参考に計算を実践してみましょう。

①所得の種類と所得の計算方法

最初に、1月1日〜12月31日までの1年間の所得を合算します。合算で出た合計金額から、必要経費を差し引いて所得金額を計算しましょう。

会社員の場合は、給与所得控除が必要経費に該当します。給与所得控除は、給与額に応じて異なるので、以下の表を参考にしてください。

給与などの収入金額

給与所得控除

162万5,000円以下

55万円

162万5,000円超180万円以下

収入金額×40%-10万円

180万円超360万円以下

収入金額×30%+8万円

360万円超660万円以下

収入金額×20%+44万円

660万円超850万円以下

収入金額×10%+110万円

850万円超

195万円(上限)

たとえば、年収400万円の場合、給与所得控除は400万円×20%+ 44万円で124万円になります。

②課税所得金額の計算方法

次に、所得税の課税対象となる課税所得金額の計算をします。課税所得金額は、①で求められた所得金額から各種所得控除を差し引いたものです。

所得控除とは、各納税者の個人的事情を考慮し、税負担を軽減するための仕組みを担っています。そのため、所得控除は多いほど課税所得金額が減り、所得税が軽減されます。

主な所得控除

  • 医療費控除
  • 生命保険料控除
  • 社会保険料控除
  • 配偶者控除
  • 配偶者特別控除
  • 扶養控除
  • 基礎控除

③所得税額の計算方法

課税所得金額が算出できれば、所得税率を掛けて所得税額の計算をします。

以下、所得税額の速算表です。

課税所得金額

税率

控除額

1,000円~194万9,000円

5%

0円

195万円~329万9,000円

10%

9万7,500円

330万円~694万9,000円

20%

42万7,500円

695万円~899万9,000円

23%

63万6,000円

900万円~1,799万9,000円

33%

153万6,000円

1,800万円~3,999万9,000円

40%

279万6,000円

4,000万円~

45%

479万6,000円

たとえば、年収400万円の場合、400万円×20%-42万7,500円で、所得税額は37万2,500円です。

所得税率は5〜45%の7段階に区分されており、年収が増加すれば税率も高くなります。

④基準所得税額の計算方法

所得税額からさらに差し引くことができる控除を「税額控除」といいます。この税額控除を所得税額から差し引いたものを「基準所得税額」といいます。

税額控除は、所得控除とは異なり、所得税から直接引くことが可能です。そのため、最終的な所得税金額に大きな影響を与えます。基本的には、政党や認定NPO法人などに寄付した場合や新築の住宅購入、増築をした場合に控除を受けられます。税額控除には22種類あるので、気になる人は詳しく調べてみましょう。

  • 基準所得税額=所得税額-税額控除

⑤復興特別所得税の計算方法

復興特別所得税とは、2013年1月1日から2037年12月31日までに生じる所得に対して、特別に課せられる税金のことをいいます。

復興特別所得税額を算出するには、基準所得税額に2.1%を掛けて計算します。具体的には、通常所得税率が10%の場合、10.21%を掛けて最終的な源泉徴収の税額になるということです。

  • 復興特別所得税額 = 基準所得税額×2.1%

⑥納税額を計算

最終的に納税する所得税額は、基準所得税額と復興特別所得税額を合算した金額です。

所得税の納付が必要な場合、事業年度の翌年2月16日〜3月15日の間に確定申告書の提出・所得税の納付が必須になるので注意してください。

  • 納税額=基準所得税額+復興特別所得税額

確定申告が必要な人とは

会社勤めであれば、基本的に個人で確定申告をする必要はありません。勤め先の企業で年末に年末調整が実施され納付されるからです。しかし、それ以外の人や会社勤めであっても確定申告をしたほうがいい人もいます。どのような人が個人で確定申告をするべきなのか、以下で解説するので、自分が当てはまるか確認してみましょう。

確定申告しなければならない人

自営業やフリーランス、個人事業主で、所得が48万円を超える人は確定申告をしなくてはいけません。年間所得が2,400万円以下の人は48万円の基礎控除があるため、所得が48万円以下の場合基礎控除の適用で課税額が0になるので、確定申告は必要ありません。

ただし、自営業やフリーランスの場合、事業を行っている事実証明や売上額証明のために確定申告書の控えは必要です。そのため、所得額に関係なく確定申告はしておいたほうがいいでしょう。

また、不動産所得がある人や株式取引の利益などで48万円を超える人も、原則確定申告が必要です。ただし、株や投資信託の取引において源泉徴収のある特定口座で取引をしている場合は、確定申告の必要はないです。

自分が確定申告をしなくてはいけないか判断できない人は、税理士に相談してみましょう。

確定申告した方が得になる人

中には、確定申告をしたほうが得になる人もいます。以下はその例です。

  1. 事業で赤字が出ている
  2. 年末調整を受けずに退職した人
  3. アルバイトや副業などの収入で源泉徴収をされている
  4. 医療費が10万円を超える
  5. 寄付やふるさと納税をした
  6. 住宅ローンを組んだ

1.事業で赤字が出ている

青色申告をする事業者であれば、確定申告をすれば赤字の繰り越しが可能です。赤字を3年間繰り越したり、前年に繰り戻して観付近を受け取れる可能性があります。白色申告者でも、給与所得などの損益通算をすることで、暗殺できる事業所得がある場合もあるので、確定申告をするのがオススメです。

2.年末調整を受けずに退職した人

1年の途中で退職し、次の勤務先で働いている場合、新しい勤務先で年末調整を受けることができません。再就職をしていない場合は、年末調整時に適用できる所得控除についての考慮がされていないため、所得税を納めすぎている可能性もあります。そのため、確定申告をするのがオススメです。

3.アルバイトや副業などの収入で源泉徴収をされている

アルバイトや副業などで収入を得ている場合、源泉徴収は収入額に対して引かれていますが、所得税額は採取的な課税所得に税率が課され算出されるため、過大に徴収されている可能性があります。確定申告をすれば還付される可能性があるので、確定申告をしてみましょう。

4.医療費が10万円を超える

医療費が10万円を超える場合、確定申告をすれば医療費控除が適用され、還付の可能性があるのでオススメです。

5.寄付やふるさと納税をした

特にふるさと納税は、控除額が大きい制度ですが、申告をしなければ控除対象になりません。ただし、確定申告やワンストップ特例制度を利用(確定申告不要)すれば、控除を受けられるのでオススメです。

6.住宅ローンを組んだ

住宅ローンを組んで、一定の要件を満たすマイホームを購入または新築、増改築した場合は、1年目に確定申告をすれば住宅借入金等特別控除が適用されます。

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所得税額を抑えるには

収入を増やしたい一方で、税額も上がってしまうため、悩んでいる人は多いのではないでしょうか。どうにか所得税額を抑えたいと考えている人は多いです。以下では、所得税額を抑えるためのポイントについて紹介します。所得税額を抑え、納税による出費を減らしたい方は参考にしてください。

給与所得者の場合

会社勤めのいわゆるサラリーマンなどが所得税を抑えるには以下の方法があります。

  • ふるさと納税
  • 医療費控除
  • 住宅ローン控除
  • 生命保険控除
  • 地震保険控除
  • iDeCo (個人型確定拠出年金) など

また、サラリーマンは確定申告ではなく「ワンストップ特例制度」の利用ができます。ワンストップ特例制度とは、所得税分の還付ではなく、所得税分も含めた控除額金額が翌年度の住民税から控除される仕組みです。

この仕組みを利用すれば、所得税を抑えられます。

個人事業主の場合

個人事業主の場合、以下のような方法で所得税を抑えることができます。

  • ふるさと納税
  • 医療費控除
  • 住宅ローン控除
  • 生命保険控除
  • 地震保険控除
  • 国民年金基金・iDeco、小規模企業共済
  • 青色申請控除
  • 必要経費の計上 など

青色申告者であれば、青色申告特別控除を受けられるため、最高10万円・55万円・65万円のいずれかの控除が適用されます。また個人事業主であれば、仕事とプライベートで活用しているものを経費計上すれば、所得を抑えることができます。自宅を仕事場としている場合、例として家賃や光熱費がその対象です。

所得税の納税方法

所得税は、会社に属している場合給与から毎月天引きされています。また、年間の所得税額の確定と調整は、年末の年末調整で行われます。そのため、会社員が確定申告や個人で納税する必要はほとんどありません。

一方、個人事業主や副業をしている場合、源泉徴収の対象になっている所得以外で、所得を申告・納税する義務があります。自分で経費を計算し、課税所得の算出、納税額の確定が必須です。会社員であっても、副業などで給与以外の所得がある場合は同様になります。

納税方法には、税務署の窓口で納税する方法や口座振替による納税、e-Taxを利用した電子納税が可能です。

確定申告後の納税方法

  • ダイレクト納付(e-Taxからの口座振替)
  • インターネットバンキング納付
  • クレジットカード納税
  • スマホアプリ納税
  • コンビニ振込
  • 振替納税
  • 窓口納付

所得税の納付期限

会社員の場合は、勤め先企業が毎月給与から所得税を天引きする源泉徴収を行っています。源泉徴収は、毎月給料支払日の翌月10日までです。ただし、従業員人数が10名未満の企業については、納期の特例承認を受ければ以下の納付に変更ができます。

  • 1~6月までの所得税:7月10日
  • 7~12月までの所得税:1月20日

なお、所得税以外の税金についてはそれぞれ納付期限が設けられているので注意してください。

納税期日を過ぎてしまった場合はどうなる?

税期日を過ぎてしまうと、延滞税が発生する可能性があります。

納税期日の翌日から2か月以内であれば「年7.3%」または「延滞税特例基準割合+ 1%」のいずれか低いほうを払ってください。2か月以上であれば「年14.6%」または「延滞税特例基準割合+ 7.3%」の低いほうで延滞税を支払う義務があります。

また、確定申告の期日が過ぎてしまった場合は、50万円まで15%、50万以上であれば20%の加算税がかかるので注意しましょう。

所得税の基礎を理解して、正しく納税しよう

給与など、1年間の所得に対して課せられる税金を所得税といいます。所得税は、国税であり、国民個人個人に対する納税の義務です。所得がある人であれば、所得税の対象となります。自分の1年間で得た所得に対しどのくらいの税金がかかるのか、今回の記事を参考に把握してみましょう。

所得税を抑える方法についても解説しているので、まずは所得税の基礎を理解し自分にとって不利益にならないようにすることが重要です。期日を守って納税すれば、その分還付を受けられる可能性もあります。正しい納税を心がけてください。

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