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「デフォルト」という言葉を、ビジネスシーンや日常生活、ニュースなどで耳にしたことのある方も多いと思います。使用シーンや文脈によって複数の意味があるため、正しく理解していないと誤解を招くこともあるため注意が必要です。
この記事ではデフォルトを大きく5つのシーンに分けてそれぞれの意味や使い方を解説します。
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デフォルトとは?
デフォルト(default)はもともと英語で、「失敗する」という意味を強調した言葉です。そこから、「やるべきことをしない」という意味になっていきました。
デフォルトは使われるシーンなどにより意味が異なりますが、ここでは基本的なでデフォルトの意味について解説します。
defaultの意味
英語の「default」の本来の意味は「怠慢」や「不履行」という意味です。
defaultの語源は古期フランス語で、deとfaultに分けて考えます。前半のdeは「強調」、後半のfaultは「怠る、不足、失敗する」という意味で、このdeとfaultを繋げて「default」です。deの強調は日本語で言うところの「どでかい」や「ど真ん中」の「ど」をイメージするとわかりやすいでしょう。
基本的な意味
デフォルトの基本的な意味は「怠慢」「義務を怠る」「何もしないこと」です。怠慢とは当然しなければいけないことをしないことで、全体的な意味としては、成すべきことが成されないことや、約束が守られないことを言います。
本来のデフォルトは、少しネガティブな意味を持った言葉です。もともとは「大きな失敗」という意味があり、そこから「やるべきことをしない」という意味で捉えられるようになった言葉です。
「デフォルト」の6つの使い方
デフォルトという言葉は、使うシーンや文脈によりさまざまな意味や解釈があります。
ここからは、「デフォルト」が各シーンでどのような意味で使われているのかを解説します。例文も紹介しますので、シーンごとの使い方を把握して、より理解を深めましょう。
パソコンやスマホで使われるデフォルト設定
パソコンやスマホで使われるデフォルト設定とは、「初期設定」「初期値」のことで、「標準設定」と呼ばれることもあります。
たとえば、パソコンの文字入力は日本語のほか、英語、中国語、スペイン語など、さまざまな言語で入力ができます。日本で販売されているパソコンは、メーカーが多くの日本人が使用するであろう「かな入力」にキーボードをデフォルト設定して出荷しているのです。多くの人はそのまま使用しますが、違う言語での入力をしたい場合には、購入者がデフォルト設定から変更して使用します。
例文
* パソコンの設定をデフォルトに戻してください。
* スマホの余分なデフォルトアプリを削除して、容量を軽くした。
経済業界・金融業界で使われるデフォルト
経済や金融業界で使われるデフォルトとは、債務不履行のことです。債務とは借金のことで、支払いの義務を果たすことができないことを意味します。
債務者は債務不履行となると、投資しているお金や貸しているお金の一括返済を求めることができます。実際には一括での返済は難しいことが多く、デフォルトを起こした企業は破綻して、整理をしなくてはいけません。
経済や金融業界で使われるデフォルトは、ほぼ債務不履行のため、日常会話に出て来るデフォルトとは意味がだいぶ異なります。
なお、デフォルトは企業だけでなく、国や自治体が起こすこともあります。
例文
* 財政赤字により、デフォルトの危機が迫っている
* ⚪︎⚪︎国がデフォルトを起こす危険がある。
スポーツ界で使われるデフォルト
スポーツ界では試合や大会などでデフォルトという言葉が使われます。スポーツ界でのデフォルトは「不出場」「欠席」を意味します。怪我などの理由により出場できない場合とは異なり、出場権を放棄した「棄権」に対して使われる表現です。
選手には試合に出場する権利があるとともに、義務でもあるという考え方から、棄権のことをデフォルと呼びます。
また、テニスの試合では、相手選手が悪質なペナルティーやルール違反をして失格となった場合の不戦勝を「デフォルト勝ち」と言います。
例文
* 前回の試合では、対戦チームのデフォルトにより不戦勝となった。
* 今回の試合では⚪︎⚪︎選手がデフォルトするらしい。
日常会話で使われるデフォルト
日常会話で使われるデフォルトは本来の意味を離れて「普通」「標準」「定番」を意味します。パソコンやスマホなどで使われる「初期設定」という意味が「通常の状態」となり、そこから派生して日常用語になっています。
日常会話の中で「デフォルトで〜だ」と言われる場合「通常の状態が〜だ」という意味で使われることがほとんどです。さらにカジュアルな言い方として、デフォルトを略して「デフォ」と言われることもあります。
例文
* ○○さんからの電話は、デフォルトで長い。
* 彼女の誕生日デートは、テーマパークがデフォでしょ。
ビジネス会話で使われるデフォルト
一般的なビジネス会話でも「デフォルト」という言葉が使われるケースがあります。ビジネスシーンでは、おおむね「標準」「既定路線」といった意味で汎用性の高い使われ方をします。
例文
* ○○商事さんでは、オンライン会議がデフォルトみたいですね。
* ○○さんは企画書の提出がギリギリになるのが、もはやデフォルト化している。
マーケティングで使われるデフォルト効果
商品やサービスが売れる仕組みを構築するマーケティングでは、デフォルト効果が使われることがあります。デフォルト効果とは、提供側が期待する選択肢をあらかじめデフォルト設定しておくという手法です。
人はデフォルト設定を一度受け入れると、あえてその設定を手間をかけて変えようとしない傾向にあります。
たとえば、通信販売のサイトでメールマガジンを購入するかを尋ねる項目があります。あらかじめ購読するにチェックを入れておき、必要がない人は「購読しない」にチェックを入れてもらうように設定しているのです。このようにすると、多くの人がチェックを外さないで「購読する」のままにしておくため、メールマガジンの購読数が上がります。
デフォルトとデフォルメの違いは?
「デフォルト」と似た言葉で「デフォルメ」という言葉があります。この二つは異なる文脈で使用される上に、意味が違う言葉です。デフォルトは標準状態を表現するときに使い、デフォルメは変形することを表現するときに使います。
デフォルトとは標準的な設定や状態のことで、システムが通常通り作動することや、規範的な行動のことです。使用例として「このパソコンはデフォルト設定から一度も変えていない」という使い方をします。
一方、デフォルメは本来フランス語で「変形・歪曲させる」という意味です。元の形状や状態から外れて、変化した状態のことで、使用例として「デフォルメされたキャラクターは大きな特徴のみを残す方が良い」という使い方をします。
デフォルトの正しい意味を理解して使いこなしましょう
「デフォルト」という言葉は、怠慢・義務を怠るという意味がありますが、使用されるシーンにより、さまざまな意味へと変化します。何となくしか意味を理解していなかった方も、この記事を参考にそれぞれのシーン別の意味を理解していただけたでしょうか。
正しい意味を理解すると、会話の中で出てくるデフォルトという言葉の捉え方もよりわかりやすくなります。ぜひ正しい意味を理解して使いこなしてください。