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パワハラの定義や類型、判断方法を解説|パワハラ被害にあった時の対策も

シンカキャリア編集部

シンカキャリア編集部

更新日:2024/07/09

パワハラとは、職場内での優位性や立場を利用して、労働者に対し業務の適正範囲を超えた叱責や嫌がらせ行為をいいます。パワハラは、多くの企業で注意深く取り上げられている問題です。しかし、実際にはまだまだ多くの従業員がパワハラを受けています。また、加害者のほとんどが自身の行為をパワハラだと認識できていません。そこで、今回はパワハラの定義や種類、さらにパワハラの対処方法について解説します。自身の行為がパワハラに相当していないか、本記事を参考に確認してみましょう。

目次

組織に所属する労働者にとって、働く環境や人間関係などさまざまなトラブルが懸念されます。その中の一つが「パワハラ」です。パワハラとは、職場内での優位性や立場を利用して、労働者に対し業務の適正範囲を超えた叱責や嫌がらせ行為をいいます。

パワハラは、多くの企業で注意深く取り上げられている問題です。しかし、実際にはまだまだ多くの従業員がパワハラを受けています。また、加害者のほとんどが自身の行為をパワハラだと認識できていません。

そこで、今回はパワハラの定義や種類、さらにパワハラの対処方法について解説します。自身の行為がパワハラに相当していないか、本記事を参考に確認してみましょう。また、職場でパワハラにあっている方は、パワハラに対してどのような対策をすればいいかまとめているので、最後まで読んで適切な対処をしてください。

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パワハラとは

パワハラとは、「パワーハラスメント」の略語です職場での優越的な立場を利用した嫌がらせのことをいいます業務範囲を超えた過度な叱責や嫌がらせで、従業員の心身に悪影響を与える行為です

2020年6月1日に企業に対してパワハラ防止を義務付ける「改正労働施策縫合推進法(パワハラ防止法)」が施行されたことで、近年さらに注目されるようになりました。職場という閉じた環境の中で起こりやすい「いじめ」や「嫌がらせ」は、すべてパワハラです。

パワハラの定義

職場におけるパワハラについて定めた「改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)」では、企業がパワハラに対して講ずべき措置について定義されています。以下では、その定義における3つの要件を紹介します。

参考:厚生労働省「労働施策総合推進法の改正(パワハラ防止対策義務化)について」

『優越的な関係にもとづいて(優位性を背景に)行われること』

「優越的な関係」とは、肩書や職位における上下関係ではなく、専門性や経験、学歴などの要素における関係を指します。職場におけるパワハラで多いのが「地位の優位性」です。職場では、上司や先輩から、部下や後輩に対してのパワハラが多く見られます。

一方、部下が上司に対してパワハラ行為を行うケースもあります。一般的に、パワハラと聞くと、上司が部下に対して圧力をかけていると考える人が多いです。しかし、部下がわざと上司の昇進に響く行為をしようと、嫌がらせを受けているかのように振る舞うケースもあります。これも「自分の地位を利用した行為」であり、相手に対する嫌がらせ行為のパワハラに該当します。

『業務の適正な範囲を超えて行われること』

業務適正の範囲を超えている場合もパワハラに該当します。

少し言い方が厳しくても、その内容が業務内で行われるべきことであれば、パワハラとはいいにくいです。しかし、業務とは関係ない個人的な命令はパワハラに該当します。

たとえば、金銭的な共有や注意指導の際に土下座を強要するなどです。これらはすべて、業務の適正範囲を超えた「命令」であり、パワハラとみなされます。

業務の適正範囲内であるかを判断する際には、以下の項目をもとに考えてみましょう。

  • 言動の目的
  • 言動を受けた労働者の問題行動の有無
  • 言動の内容
  • 言動が行われた経緯
  • 言動の頻度・態様 など

『身体的もしくは精神的な苦痛を与えること、または就業環境を害すること』

労働者に対して精神的・身体的に苦痛を与えるような言動や、労働者の職場環境が不快になるような悪影響を及ぼす行為もパワハラに該当します。

急に大声で怒鳴ったり、必要以上に失敗に対して責める行為がその例です。これらの言動は、パワハラを受けた従業員だけでなく、周囲の従業員も圧力を感じてしまいます。その結果、仕事に影響が出るなど、悪影響を及ぼします。言動を起こした本人に悪気がなくても、周囲が不快に感じればパワハラに該当するのです。

ちなみに、労働者とは、雇用形態を問わないので注意しましょう。正社員だけでなく、パートやアルバイトなどの職場で働くあらゆる雇用形態が対象です。

パワハラの6つの類型と具体例

パワハラと一概にいっても、その詳細はさまざまです。以下では、パワハラに該当するといわれている6つのパワハラとそれぞれの具体例を紹介します。パワハラについての理解を深めるために役立ててください。

①身体的な攻撃

身体的な攻撃のパワハラとは、暴力行為を意味します。「殴る」「蹴る」などがイメージしやすいのではないでしょうか。この他にも、「胸ぐらをつかむ」「たばこの火を近づける」という身体的に対しての暴力行為や、「ゴミ箱を蹴る」などのモノにあたって威嚇する行為も含まれます。

以下は、身体的な攻撃の例です。

  • モノを投げつける
  • 足蹴りをする

また、「立ったまま営業電話をさせる」なども、身体的な攻撃のパワハラに該当します。

②精神的な攻撃

精神的な攻撃のパワハラは、言葉によって相手の心に苦痛を与える行為を指します。「怒鳴る」「侮辱する」さらに「大勢の前で必要以上に叱責する」なども含まれます。言葉の暴力といえるものすべてが、精神的な攻撃に含まれると認識しておきましょう。

以下は、精神的な攻撃の例です。

  • 人格否定をする発言
  • 必要以上に長時間激しい叱責をする
  • 大声で威圧的な叱責を大勢の前でする

このようなパワハラ行為は、労働者を精神障害に追い込む危険性があります。

③人間関係からの切り離し

人間関係からの切り離しでは、「無視」「隔離」「仲間外れ」などが挙げられます。労働者が職場で孤立するように仕向ける行為すべてが、人間関係からの切り離しに該当するパワハラです。

仕事上必要な連絡先をあえて教えなかったり、デスクを対象の労働者だけ離れた場所に設置するなども含まれます。

以下は、人間関係からの切り離しの例です

  • 対象の労働者だけを仕事から外し、長時間別室に隔離する
  • 同僚が集団で無視、職場で孤立させる

④過大な要求

過大な要求とは、対象の労働者が持つ能力を超えた仕事を強要することです。到底終わらないであろう仕事を丸投げする行為や達成不可能なノルマをあえて課したりする行為が含まれます。このようなパワハラによって、従業員は長時間労働や目標未達で評価が下がるなどの悪影響につながります。

以下は、過大な要求の例です。

  • 新入社員に対して必要な研修を実施せず、到底対応できないレベルの業績目標を課す
  • 達成できなかったことに対し、厳しく叱責する

⑤過小な要求

過小な要求もパワハラに該当します。過小な要求とは、能力や経験に見合わない雑用ばかり与える行為です。営業職なのに、1日中掃除をさせる行為や、企画職なのにプロジェクトに参加させないなどが含まれます。本人のやる気を無視して、仕事を与えないケースが該当すると認識しておきましょう。

以下は、過小な要求の例です。

  • 嫌いな労働者に仕事を与えない
  • 管理職に誰でもできる雑務のみをさせる

⑥個の侵害

個の侵害とは、労働者のプライベートに対して過度に干渉する行為を指します。具体的には、交際相手についてや休日の過ごし方について必要以上に聞いたり、相手の意志を無視して退社後に個別連絡を取る行為です。また、対象の従業員に対して性的な意味合いが含まれる行為もパワハラ(セクハラ)に該当します。

以下は、個の侵害の例です。

  • 労働者を職場外でも干渉、監視する
  • 労働者の個人情報や家族関係、交際相手についてしつこく聞く

指導とどう違う?パワハラの判断基準とは

パワハラの種類を理解したところで、「自分の行為はパワハラになっていないか?」と不安を感じた方や、パワハラと指導の区別がいまいち理解できていない人はいるのではないでしょうか。

次は、パワハラかどうかの判断基準を解説します。自分の行為がパワハラになっていないか、自分が職場で与えられている行為はパワハラなのか、現状を判断するために参考にしてください。

どのような目的をもって行われているか

業務に必要な情報や資料を共有してもらえない、無視されるなどは嫌がらせにつながるため、パワハラです。労働者に対し、あからさまに苦痛を与える意志が見られるケースはパワハラだといえるでしょう。

一方で、たとえ労働者がいやな思いをしても、それが業務に必要な適正範囲の叱責だったり、仕事量の管理であればパワハラにはなりません。「嫌がらせ」なのか「業務効率」のためなのか、どのような目的かでパワハラか判断できます。

言動に合理性が認められるか

必要以上に長い叱責や、業務に関係ない詮索などはパワハラの可能性が高いでしょう。なぜならば、これらの行為は業務成績や業務効率向上に直結しないからです。

一方で、労働者のスキルに期待して少し難易度が高い仕事を任せたり、スキル不足だと判断し業務量を減らす行為は合理性が認められるため、パワハラには該当しません。?責の場合も、明らかに労働者側に問題行為があった場合は、パワハラとはいえないでしょう。

業務上必要性があるか

組織には、さまざまな立場や役職があります。これらの役職は、組織を円滑に保つために与えられた権限であり、メンバーへの教育や指導、案件の指揮監督などの役目を担います。

そのため、たとえ労働者が他者からの指導を不快に感じたとしても、それが業務上適正な範囲であれば、これらの行為はパワハラには該当しません。

継続性とタイミング

継続的な行為も、パワハラかの判断基準になります。

「やめてほしい」と伝えているにも関わらず、継続的に続く嫌がらせ行為や嫌がらせ行為を受ける頻度は重要なパワハラの判断基準です。「半年間にわたって毎日暴力・暴言を受け続けた」など、通常では考えられない頻度や期間であればパワハラといえるでしょう。

パワハラ被害にあったときの対策

では、実際にパワハラ被害に遭遇した際、どのような対処をすればいいのでしょうか。以下では、パワハラ被害にあった際にするべき処置について解説します。自分や身の回りでパワハラに悩む人がいれば、この記事を参考にパワハラに対して適切な対応で解決を目指しましょう。

社内や社外の窓口に相談する

社内に相談窓口があれば、まずは相談してみましょう。「労働施策総合推進法」により、企業に相談窓口設置の義務があります。そのため、ほとんどの企業に社内相談窓口があるはずです。社内窓口であれば、相談がしやすく処置も早いでしょう。

一方で、社内相談窓口だと、運用の仕方によっては相談したことが加害者に伝わり、さらにパワハラを受ける可能性を心配する人も多いです。その場合は、社外の相談窓口に相談してみましょう。特に、総合労働相談コーナーは、各都道府県労働局など379か所に設置されている相談窓口です。国が設置しているため、秘密厳守で対応してくれるので安心して相談できるでしょう。

記録や証拠を残す

パワハラにあったと証明するための情報を残すようにしましょう。具体的には、以下のようなものがパワハラ証明に役立ちます。

  • 暴言や人格否定をされた音声データ
  • パワハラにあたるメールやメッセージ履歴
  • 被害内容を記録した日記

これらのデータは、口頭だけでは伝わらないリアルなパワハラ被害を証明できるものです。本当にパワハラにあったということを第三者に正確に伝えることで、適切な対処をしてもらえるようになります。しっかり準備しておきましょう。

病院で診断書を書いてもらう

パワハラを受け続けた結果、精神的に不安定になったり、身体に不調が出た場合は、病院で診断書を書いてもらいましょう。診断理由は、パワハラで問題ないです。暴力を受けた場合も同様の対処をしましょう。

病院の診断書があれば、パワハラによって被害を受けた明確な証拠になります。また、後日治療費を請求できる可能性もあるので、手間はかかりますが診断書を作成するのはオススメです。

退職・転職を考える

どうしてもパワハラに対処できない際は、転職や退職も選択肢に考えてみましょう。

たとえパワハラが収まったとしても、社内にいづらかったり、以前のパワハラを思い出して無意識にストレスを感じてしまう可能性があります。その場合は、一度環境をリセットするのがオススメです。

転職をすれば、新しい環境で一からのびのびと仕事ができます。その結果、自分のスキルアップや活躍につながるはずです。転職をすることは、決して逃げではありません。問題解決をするための大きな一歩だと思い、検討してみましょう。

勇気を出してパワハラを解決しよう

暴言や暴力、労働者に苦痛を与える業務に関係のない行為はすべてパワハラです。パワハラは、労働者の業務成績や効率に悪影響を与える、許されない行為といえます。

もし、パワハラに悩んでいる方や、自分の周りにパワハラに合っている同僚がいれば、今回の記事を参考に適切な対処をとりましょう。周囲に相談してもどうにもならない際は、転職もオススメです。転職は新しい環境で、自分の可能性を広げることができます。一人で転職活動をするのが不安という方は、まずは転職エージェントに相談をしてみましょう。きっと、今よりも良い環境を担当アドバイザーと一緒に見つけることができます。

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