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行政指導と行政処分の違いは?行政指導に従わないとどうなるか?対応方法や行政指導の分類も紹介

シンカキャリア編集部

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更新日:2024/07/08

ビジネスにおいて、新規契約をお客さま先の企業と交わす際、その企業が過去に行政指導や行政処分を受けた経歴がないか確認した経験があるのではははないでしょうか。なんとなく行政指導という言葉を知っていても、その内容や行政処分との違いを理解できていない人は多いです。そこで今回は、行政指導について解説します。行政指導と行政処分の違いや、行政指導への対応方法についてもまとめているので、「行政指導って何?」「行政指導を受けたらどうなるの?」など、行政指導への理解を深めたい人は参考にしてください。

目次

ビジネスにおいて、新規契約をお客さま先の企業と交わす際、その企業が過去に行政指導や行政処分を受けた経歴がないか確認した経験があるのではないでしょうか。なんとなく行政指導という言葉を知っていても、その内容や行政処分との違いを理解できていない人は多いです。

そこで今回は、行政指導について解説します。行政指導と行政処分の違いや、行政指導への対応方法についてもまとめているので「行政指導って何?」「行政指導を受けたらどうなるの?」など、行政指導への理解を深めたい人は参考にしてください。

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行政指導と行政処分の違い

最初に「行政指導」と「行政処分」の違いについて、それぞれ解説します。同じような言葉ですが、行政指導と行政処分では、意味や内容が異なるのでそれぞれの理解を深めましょう。

行政指導

行政指導とは「できればこうしてくれませんか?」というスタンスですお願いをするイメージなので、非権力的であり助言・指導・勧告が主な内容になります

行政指導でいわれている助言・指導・勧告とは以下の意味合いです。

  • 助言:具体的な行為を行うときに必要な事項を進言すること
  • 指導:具体的な目的や方向性を示し教え導くこと。助言よりも強い
  • 勧告:具体的な行動をとるよう説き進めること。指導よりも強い

また、行政指導は助成的行政指導、調整的行政指導、規制的行政指導の3種類で分類可能です。以下では、それぞれの内容について解説するので参考にしてください。

参考:法務省「行政手続法」

助成的行政指導

助成的行政指導は、給付行政の一環として実施される行政指導です。たとえば、農業指導や経営指導、保健指導などが該当します。

調整的行政指導

調整的行政指導とは、私人間の利害対立を調整し、好ましい秩序を作り出す行政指導です。たとえば、建築主と近隣住民との間で発生する紛争の仲介などが該当します。

規制的行政指導

交易現実に障害となる行為を予防し抑制する行政指導のことを、規制的行政指導といいます。たとえば、違法建築物是正の指導や物価の値上げ抑制に対する指導などです。

行政処分

行政処分とは、法律の定めに従い、一方的な判断に基づいて国民の権利や義務に直接の影響を与える行為です行政指導が「こうしてくれませんか?」というお願いスタンスに対し、行政処分は「こうしなさい」という命令スタンスだと認識しておきましょう

たとえば、行政庁が違法建築物を保有する国民に対し、最初に行政指導を実施します。「違法建築物を除去していただけませんか?」のようなイメージです。しかし、指導を受けても国民が改善しなかった際、行政処分として「違法建築物を除去しなさい」と命令します。基本的に行政処分は、行政指導に応じなかった相手への手段です。

参考:法務省「行政手続法」

行政手続法における行政指導

行政指導に関する具体的な手続きについては、行政手続法第四章の第32から第36条の2(※1)で記載されています。以下では、その内容について紹介していきます。

(※1)参考:e-Gov法令検索「行政手続法(平成五年法律第八十八号)」

行政手続法第四章

法令では、行政指導について行政手続法の第四章で、行政指導について明記されています。第32条では行政指導の一般原則について、第34条では「行政指導に従うことを余儀なくさせるようなことをしてはならない」ということが示されています。その他にも、第35条や第36条にも行政指導について明記されているので、それぞれの内容を紹介します。

第32条

第32条では、行政指導の一般原則について明記されています。

▼行政手続法32条:行政指導の一般原則

  • 行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。
  • 行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。

つまり、仮に行政指導に従わなかったとしても、行政庁はそのことを理由に不利益な扱いをしてはいけないということです。相手方の利益を奪ったり、制裁行為は許されていません。

参考:e-Gov法令検索「行政手続法第四章行政指導第三十二条」

第34条

第34条では、行政指導を行う際の注意点が記載されています。

▼行政手続法34条:許認可等に関する行政指導

  • 許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を有する行政機関が、当該権限を行使することができない場合又は行使する意思がない場合においてする行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、当該権限を行使し得る旨を殊更に示すことにより相手方に当該行政指導に従うことを余儀なくさせるようなことをしてはならない。

つまり、行政機関が許認可を行う場合に、相手方に行政指導に従うことを余儀なくさせるようなことをしてはいけないということです。

参考:e-Gov法令検索「行政手続法第四章行政指導第三十四条」

第35条

第35条では、実際に行政指導を実施する際の正しい方法について明記されています。

▼行政手続法35条:行政指導の方式

  • 行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならない。
  • 行政指導に携わる者は、当該行政指導をする際に、行政機関が許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を行使し得る旨を示すときは、その相手方に対して、次に掲げる事項を示さなければならない。
  • 当該権限を行使し得る根拠となる法令の条項
  • 前号の条項に規定する要件
  • 当該権限の行使が前号の要件に適合する理由
  • 行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から前二項に規定する事項を記載した書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならない。
  • 前項の規定は、次に掲げる行政指導については、適用しない。
  • 相手方に対しその場において完了する行為を求めるもの
  • 既に文書(前項の書面を含む。)又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によりその相手方に通知されている事項と同一の内容を求めるもの

行政指導を実施する人は、相手に対し行政指導の趣旨や内容を明確に説明する責任があります。また、権限を行使する場合は、根拠となる法令の条項・権限を行使できる要件・要件に適合する理由を示さなくてはいけません。

さらに、行政指導が口頭で実施された際、相手側から行政指導の内容を記載した書面交付を求められれば、書面を交付する義務があります。

参考:e-Gov法令検索「行政手続法第四章行政指導第三十五条」

第36条

第36条では、事案に応じて行政指導指針を定めて、行政上特別の支障がない限り、公表しなければいけないということが明記されています。

▼行政手続法36条:中止・処分等の求め

(複数の者を対象とする行政指導)

第三十六条

  • 同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときは、行政機関は、あらかじめ、事案に応じ、行政指導指針を定め、かつ、行政上特別の支障がない限り、これを公表しなければならない。

(行政指導の中止等の求め)

第三十六条の二

  • 法令に違反する行為の是正を求める行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)の相手方は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができる。ただし、当該行政指導がその相手方について弁明その他意見陳述のための手続を経てされたものであるときは、この限りでない。
  • 前項の申出は、次に掲げる事項を記載した申出書を提出してしなければならない。
  • 申出をする者の氏名又は名称及び住所又は居所
  • 当該行政指導の内容
  • 当該行政指導がその根拠とする法律の条項
  • 前号の条項に規定する要件
  • 当該行政指導が前号の要件に適合しないと思料する理由
  • その他参考となる事項
  • 当該行政機関は、第一項の規定による申出があったときは、必要な調査を行い、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと認めるときは、当該行政指導の中止その他必要な措置をとらなければならない。

36条の2では、行政指導が法律に規定する要件に満たしていないと判断した場合、その旨を申出、行政指導の中止を求められます。また、36条の3では法令違反を発見した第三者が、行政庁や行政機関に対して「行政指導をしてほしい」と依頼できるという内容です。

参考:e-Gov法令検索「行政手続法第四章行政指導第三十六条」

行政指導指針

行政手続法第36条に規定されているものに「行政指導指針」というものがあります。これは、命令などに含まれるものです。同一の行政目的を実現するために、一定の条件に該当する人物に対し行政指導を実施する際、その行政指導に共通した内容をいいます。

行政指導の対応方法

行政指導を受けた場合、対応方法は大きく分けて2パターンあります。従うか従わないかです。

前述してきたとおり、行政指導には強制力はありません。そのため、行政指導を受けたとしても、従う義務はないのです。ただし、従わないと行政処分になる可能性もあるので、注意しましょう。具体的に、どのような対応が必要かは以下でまとめているので。参考にしてください。

行政指導に従って改善を行う

行政指導を受けたら、素直に従って改善することが最適です。ただし、納得できない行政指導であれば、行政指導に従わないという選択肢もできます。

まずは、なぜ自分が行政指導を受けたのか、その理由や趣旨、根拠となるものを相手に示してもらいましょう。内容を見て行政指導に納得したのであれば、行政指導に従うか判断しましょう。口頭での行政指導がされる場合もあるので、その際は書面で行政指導の内容を明記するよう求めることができます。

行政との交渉を行う

行政指導の中には、法律上一定の法令違反がある場合、行政機関が法令違反の是正を求めることができます。一方、このような行政指導を受けた相手側は、社会的信用を失うリスクが高いです。その結果、不利益につながってしまいます。このようなリスクを防ぐために、相手方が一定の条件を満たしている場合は、行政指導を中止してほしいと交渉することが可能です。

以下は、行政指導の中止を求める際に、記載必須の項目になります。

  1. 申し出をする者の氏名または名称および住所または居所
  2. 法令に違反する事実の内容
  3. 当該処分または行政指導の内容
  4. 当該処分または行政指導の根拠となる法令の条項
  5. 当該処分または行政指導がされるべきであると思料する理由
  6. その他参考となる事項

これらの項目を記載した申出書を、行政機関に提出・交渉をしましょう。

行政処分の対応方法

行政処分とは、行政指導とは異なり「命令」になるため、対象者の意思に関係なく法的な義務や権利に影響を与えられるものです。たとえば、業務停止命令や許認可取消処分、公権力の発動として法的な強制力を有するものがあります。

万が一、行政指導を受けた際は慎重に対応することが大切です。以下を参考に、対応方法を理解してください。

異議申立てや審査請求の手続き

審査請求とは、行政庁の処分や公権力の行使行為に納得がいかない場合、行政庁に対し申出をすることです。行政処分の違法性や不当性を再審査してもらい、行政処分の訂正や取り消しを請求できます。

審査請求の対象は幅広く、違法性のみならず不当性も審査対象になるため注意が必要です。たとえば、医師や歯科医師などの医療職への業務停止命令を下す行政処分も対象になります。

行政処分の取消訴訟

行政処分の取消も求めることができ、これを取消訴訟といいます。取消訴訟は一種の裁判です。訴訟先は裁判所であり、厚生労働省ではないので注意しましょう。

ただし、行政処分を実施した行政庁とは異なる司法機関が判断するので、訴訟がとおらない可能性があります。一方で、審査請求がとおらなくても取消訴訟で判断が変わる可能性もあるので、取消訴訟をしてみる価値はあるでしょう。

行政指導と行政処分の違いを理解しよう

行政指導は、あくまでお願いスタンスで権力を持ちません。一方、行政処分は命令なので対象者の権利や権限に大きな影響を与えます。行政指導の対象になった場合、内容に納得がいかなければ従う必要はありません。ただし、従わなかった場合、行政処分に発展し罰が重くなる可能性があるので注意しましょう。

行政指導を受けた場合、なぜ行政指導を受けたのかその原因を納得いくまで追求してください。書面での理由説明を求めることもできるので、気になる方は交渉してみましょう。

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