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「シンジケートとは?」と疑問をお持ちの方も多いでしょう。シンジケートとは連合や組織などのグループを表す言葉です。シンジケートは企業から個人まで、さまざまな業界や場面で幅広く使われています。
本記事では、シンジケートの意味・似た単語との違い・業界ごとの使い分けについて紹介します。意味を知らない方も多く使いこなすのが難しい単語ですが、例文も紹介していますので、本記事を読んでシンジケートをスマートに使いこなせるようになりましょう。
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シンジケートとは?
シンジケートとは、組合・連合・団体などのグループを指す言葉として使われる言葉です。
グループを組んで、組合全体で独占形態を作る場合に使用されるケースが多いです。具体的には、商品や仕事をグループ内の企業に対して割り当てて、リスクを分散するために独占形態が作られます。ほかにも、仕事や商品の在庫を共有して、特定の企業のみに出回らないようにする目的があります。
シンジケートという言葉が頻繁に使用されるのは銀行などの金融業界・競馬業界ですが、その他の業界で使用されるケースも見られます。
シンジケートの語源
シンジケートという言葉は、フランスから来ています。代表者による会議という意味の「syndicat」と法人の代表者という意味の「syndic」が合わさって「syndicate」という言葉になりました。どちらもフランス語です。
シンジケートは、元は代表者による会議という意味でした。労働者が集まり、労働条件の改善などを求めて作られた団体を指すようになり、現在は組合・連合・団体などのグループという意味に変わっていきました。
業界別で使われる「シンジケート」の意味
シンジケートという言葉は、日本でもさまざまな業界で使われています。例を4つあげて、業界ごとにどのような使われ方をしているのか紹介します。
金融業界のシンジケートローン
シンジケートローンとは、複数の金融機関がグループ(シンジケート団)を作り、お客様が同一条件で複数の金融機関から融資を受けることです。1枚の契約書でやり取りするので金利を一本化でき、複数の金融機関から一度に融資を受けられれば大きな金額も円滑に調達できます。
金融機関側も全額は用意できないが一部なら用意できる、大金を分散して融資することによってリスクを軽減させられるなど、お互いにメリットがあります。たとえば、お客様は億の融資を希望しているが、1社で億は用意できないので5社で20億ずつ融資するというイメージです。
デメリットは複数の金融機関が関わるので時間がかかることと、手数料が高くなることです。シンジケートローンはビルや大きな建物を建設するときなど大規模な事業に使うことが多いですが、最近では地方銀行が地元の中小企業向けにシンジケートローンで融資を行うなど、幅が広がってきています。
競馬業界のシンジケート
競馬でのシンジケートは、種牡馬の共同所有でよく使われます。優秀な競走馬は引退すると優れた身体能力を子に繋ぐための種牡馬となります。種牡馬は数十株に分けて株主をつのり、株主は種付けの権利を得て、繁殖させます。しかし、繁殖させるにはお金がかかります。
また、馬は生き物なので大金を注ぎ込んでもいつ怪我や病気にかかるか分からないため、リスクが高いです。この経済的リスクを分散させるためにシンジケートを利用します。
また、繁殖に成功しても必ず優秀な競走馬になるとは限りません。シンジケートで株主を増やすことによってたくさんの組み合わせができるので、優秀な競走馬が生まれる可能性が高くなります。このような理由でシンジケートが取り入れられています。
映画業界のシンジケート
映画業界でのシンジケートは主に地方都市のミニシアターで取り入れられています。大手業界に顧客を取られ、ミニシアターの減少が続いています。現在も存続しているミニシアターも、いつ閉館してもおかしくないくらいに経営が傾いているのが現状です。
また、ミニシアターでは上映映画がとりづらくなっていることも減少に繋がっています。そんな状況を変えるべく、同じような境遇のミニシアターの経営者達が繋がりを持ち、個々ではとれなかった上映作品をとるという目的でシネマシンジケートがスタートしました。
人気俳優の出演など人気の強い作品に隠れてしまっている作品をミニシアターで上映してもらうことによって、作品側も観てもらえるチャンスが来るというメリットがあります。
飲料業界のシンジケート
飲料業界では、シンジケート58/6という名前のウイスキーがあります。シンジケートはグループや組織、独占という意味ですがなぜこれがウイスキーの名前になったのでしょうか。
それは、1958年、イギリスで1人のウイスキー好きがたくさんのウイスキーが眠った数多くの樽を見つけたことが始まりです。すぐに同じくウイスキー好きの友人5人に連絡をしました。すると、たった6人ですべての樽を買い取り、その後6人だけで楽しむウイスキーを造り始めました。
1958年に6人で独占したウイスキーであるため、シンジケート58/6という名前が付けられました。その後、輸入元の企業であるオザキトレーディングとの繋がりで日本だけで特別に発売されることになりました。
シンジケートを使用した例文
シンジケートを使った例文にはどのようなものがあるのでしょうか。初めにも説明した通り、シンジケートはグループ・団体・組織という意味があります。例文としては、「この事業はシンジケートを組んで進められている」のように表現します。この事業は組織を形成して進められているという意味になります。
「当銀行はシンジケート団のメンバーになった」という例文は、この銀行は新規発行される国債を引き受ける組織のメンバーになったという意味です。
「業界の安定のためにシンジケートを組む」という文章は、業界のリスク分散や資源の共有をするために組織を組むという意味になります。同じようで微妙に違う捉え方になります。この言葉を知っているとビジネスでも会話がスムーズに進みます。
シンジケートの類語・類義語
シンジケートには意味が似ている言葉がいくつかあります。今回紹介するのは、カルテル・トラスト・コンツェルンの3つです。 カタカナばかりで難しそうですが、以下で丁寧にわかりやすく解説していきます。
カルテル
カルテルは、業界の中で商品の価格や数量を決めることです。本来、商品の価格や数量は企業ごとに決めるのですが、業界で決めることでどの店舗でも同じ値段になり、価格競争が無くなるため消費者は安い値段で買う事ができなくなります。この行為は不当な取引制限として禁止されています。
カルテルに加入している企業は利益が得られますが、それ以外の企業は不利益な事が起こったり、新規参入が難しいという問題が起こります。シンジケートは、カルテルをブラッシュアップさせたもので、その業界の企業が組合を組んで共同の会社を作り、販売すること。たとえば農協がそれにあたります。
トラスト
トラストとは、簡単に言うと企業合同です。同業の企業が一つに統合して大きな企業になります。個々の企業の独立性は失いますが、同業種の企業が集まっているので、幅広くシェアを取る事ができます。
しかし、顧客の独占になるので日本では禁止されています。大手企業がトラストで統一されたら、他の中小企業や個人企業は参入できなくなってしまいます。トラストのすべてが禁止されるのではなく、行き過ぎた状態の物は禁止されるというイメージです。
コンツェルン
コンツェルンとは、簡単に言うと企業連携です。資金面で親会社を筆頭に持ち株会社である子会社、孫会社と縦にグループを広げていきます。コンツェルンは一昔前で言う三菱や住友などの財閥です。お金を持った大企業が行っている事が多いので、市場のコントロールが簡単にできてしまいます。
一見独占禁止法で禁止されていそうですが、コンツェルンは今現在禁止されていません。ホールディングスという名前の企業は、コンツェルンにあたります。
身近に存在していたシンジケート
シンジケートは正しく取り入れればリスク分散などメリットがたくさんあります。メリットがあればデメリットもあるので、その時の状況によって判断が必要です。基本的には、企業で使うことが多いですが、競馬だと個人でも関わることが出てくるかと思います。
昔はカルテルやトラストなど、行き過ぎた独占が多く消費者に不利な事もありましたが、現在は法律も変わり消費者に寄り添う形になっています。もしも事業などでシンジケートに関わる際は完全な独占にならないよう、注意してより多くのメリットを生み出していきましょう。