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確定拠出年金とは?企業型と個人型の特徴、メリット・デメリットも解説

シンカキャリア編集部

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更新日:2024/07/11

高齢化社会が到来し、老後の生活を支える年金についての不安や疑問の声がよく聞かれるようになりました。年金にもさまざまな種類がありますが、公的年金の不足を補う目的で導入されるのが確定拠出年金です。この記事では確定拠出年金の意味や種類、企業型と個人型それぞれのメリット・デメリットについて解説しています。確定拠出年金を利用することで、税金の軽減効果と将来受け取れる年金の増額ができますので、制度を理解してうまく活用していきましょう。

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高齢化社会が到来し、老後の生活を支える年金についての不安や疑問の声がよく聞かれるようになりました。年金にもさまざまな種類がありますが、公的年金の不足を補う目的で導入されるのが確定拠出年金です。

この記事では確定拠出年金の意味や種類、企業型と個人型それぞれのメリット・デメリットについて解説しています。確定拠出年金を利用することで、税金の軽減効果と将来受け取れる年金の増額ができますので、制度を理解してうまく活用していきましょう。

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確定拠出年金(かくていきょしゅつねんきん)とは?

確定拠出年金とは、加入者が支払った掛金とその運用益をもとに将来給付される年金額が決定される年金制度のことです。掛金の額(拠出額)が決められていることから確定拠出年金と呼びます。高齢期の所得の確保のために、自主的に努力することを支援するために作られた制度です。

あらかじめ将来給付される年金額が決められている確定給付年金という制度もあります。確定拠出年金と確定給付年金の大きな違いは、運用するのが企業ではなく加入者であるということと、将来貰える年金額がいくらになるのか、60歳以降に受け取るまではっきりとはわからないことです。

確定拠出年金は、加入者自身が積み立てた年金原資を運用するので、いつでも積立額の確認ができ、転職の際も持ち運びが可能です。確定拠出年金には拠出時から運用時、受取時のすべてにおいて税制の優遇が受けられるという大きなメリットがあります。

日本の年金制度をおさらい

日本には公的な年金制度があり、日本に住む20〜60歳のすべての人は年金保険料を納めなくてはなりません。納めた保険料は高齢者など保障が必要な人に、年金として給付されます。公的年金は世代間の支え合いという考えのもと、世代を越えて社会全体を支えていく仕組みです。

公的な年金には国民年金(基礎年金)と厚生年金があり、これに加えて任意で加入できるものを私的年金といいます。確定拠出年金は私的年金の種類の一つであり、他には国民年金基金、確定給付年金などがあります。

公的年金は原則10年以上納付すると、65歳から納付期間に応じた基礎年金が受給可能です。国民年金はすべての人が対象になるのに対し、厚生年金は会社員や公務員が対象になります。

確定拠出年金とNISAの違い

確定拠出年金の中でも個人型は「iDeCo」と呼ばれており、「NISA(少額投資非課税制度)」とともに資産運用のための制度として作られました。

iDeCoは自分で毎月掛け金を積み立てて、将来の年金を作る制度であり、運用商品には定期預金や保険商品、投資信託など低リスクまたはノーリスクなラインアップになっています。年金を目的とした制度ですので、60歳になるまで引き出すことはできません。

一方、NISAは好きな時に引き出すことができ、株式や投資信託など幅広い商品で運用可能です。しかし、中には高リスクなものもあり、自分のリスク許容度や使用する時期によって選択する必要があります。

どちらも運用益は非課税であり、税金の軽減・複利効果がある点が大きな魅力となっています。とくにiDeCoは掛金や給付金も所得税控除が適用されるため、老後の資産形成効果は大きいといえるでしょう。

確定拠出年金の種類

確定拠出年金には、企業が従業員の給与から掛け金を拠出する「企業型DC」と、個人で加入し掛金を支払う「個人型DC(iDeCo)」の2種類があります。それぞれの主な特徴をみていきましょう。

企業型DC

企業が導入する年金には、あらかじめ給付額が決まっている「確定給付年金(企業型DB)」と、拠出する掛金があらかじめ決まっていて、加入者が管理運営を行う「確定拠出年金(企業型DC)」の2種類があります。

企業型DCは、企業が毎月掛金を拠出し、加入者が自らの責任において管理や運用を行う点が特徴です。運営管理会社は企業が選び、手数料も企業が支払います。従業員は金融商品の選択や資産の配分などを行い、積み立てた年金資産は原則60歳以降に年金または一時金として受け取れます。

掛金は全額所得控除の対象となりますので、所得税や住民税が軽減され、他にもさまざまな税制の優遇が受けられます。加入者が掛金を上乗せして老後の資産を増やせる「マッチング拠出」制度もあり、こちらも全額所得控除の対象です。

個人型DC(iDeCo)

個人型DCは、通称「iDeCo」と呼ばれており、加入者が年金資金の運用先を選び、自分の責任で掛金を拠出し、運用を行います。掛金は月額5,000円から1,000円単位で設定ができるので、少額から始められ、運用次第では給付額を増やすことも可能です。

掛金の上限は職業などにより決まっていて、年に一度変更することができます。運用期間は60歳までとなっており、途中で停止したり、再開したりはできますが、原則引き出すことはできません。

企業型DCと同じく掛金は全額所得税控除となりますし、運用益や受取時についても税制優遇が受けられます。iDeCoは自営業や専業主婦、会社員などどんな人でも加入できる、老後の資産形成に役立つ制度です。

企業型確定拠出年金のメリット

企業型確定拠出年金では全期間を通して税制の優遇が受けられます。拠出した金額、運用益、受取の3つの場面で税制優遇を受けられるのは大きなメリットといえるでしょう。

掛金が非課税になる

企業型の年金は、給与の後払いという意味合いがあり、本来は従業員の所得となるものです。しかし、企業型DCとすることで、掛金を事業主が拠出する形となるため個人の所得とはみなされず、非課税となります。

また、従業員自身が掛金を上乗せできるマッチング拠出の掛金に関しても、全額所得控除の対象になりますので、節税効果が期待できます。

運用益も非課税になる

通常、金融商品の運用益には約20%の税金が課税されますが、企業型DCの運用益は非課税になり、受け取る年金がその分多くなります。

自分で行う一般の投資では税金として引かれてしまう金額をそのまま残せ、次の運用に活かせるので、運用期間の長い企業型DCでは大きな複利効果が期待できます。

受取方法に応じて異なる税控除がある

企業型DCで積み立てた年金資産の受取には、年金として受給する方法と、一時金として受給する方法があります。年金として受け取る場合は公的年金控除が受けられ、一時金の場合は退職所得控除が適用されます。

どちらも控除枠が大きいので、所得税がかなり減税され、お得に受け取ることが可能です。

企業型確定拠出年金のデメリット(加入者側)

企業型確定拠出年金にはメリットだけでなくデメリットもあります。デメリットは企業側・加入者側どちらにもありますが、この章では加入者側のデメリットについて解説します。

資産運用のリスクがある

確定拠出年金は将来いくら年金が受け取れるか確定しておらず、受取額は運用結果に左右されます。その点が、はじめから給付額が定められている確定給付年金との大きな違いです。思っていたよりも受取額が少ない場合であっても運用した加入者本人の責任になります。

投資信託など元本保証型でない商品で運用した場合には元本割れのリスクがありますので、注意が必要です。低リスク商品をメインにするなど資産の配分には考慮しましょう。

60歳まで資産を切り崩せない

確定拠出年金は、高齢期に受け取る年金を作る目的で行われるため、原則として中途脱退や解約はできません。

積み立てた資産は加入者個人のものですが、60歳まで切り崩すことができませんので、教育資金や住宅資金などは別に用意する必要があります。自分の人生設計などを考慮して、貯蓄するなど準備しておきましょう。

運営管理機関を選べない

企業型DCでは、年金資金を運営管理する機関は企業が選びます。加入者はその運営管理会社のラインナップから商品を選択しなくてはなりませんが、加入者のニーズに合った運用商品がない可能性があります。

この点は多くの運営管理会社から自分で運用商品を選べる個人型確定拠出年金(iDeCo)との差の一つといえるでしょう。

個人型確定拠出年金(iDeCo)のメリット

次に個人型確定拠出年金(iDeCo)のメリットについてもみていきましょう。iDeCoには企業型DCと重なるメリットが多くあります。

掛金が全額所得控除の対象になる

加入者がiDeCoで拠出した掛金は全額所得控除の対象になりますので、所得税や住民税が軽減されます。

これは企業型DCと同じですが、企業型DCの掛金は加入者の所得には含まれないため、社会保険料の軽減効果もありますが、iDeCoの場合には税金のみが軽減対象になります。

運用益は非課税になる

企業型DCと同じく、iDeCoの運用で得られた配当金や利息、売却益などは全額非課税になります。引かれなかった税金分も次の運用資金として活用できるため、複利効果が見込め、資産を増やすのに有利です。

運用が長期間に渡るほど複利効果は高くなりますので、若い間から運用を始めることで資産形成効果はアップします。

受取方法に応じて異なる税控除の対象になる

iDeCoの場合、給付は年金または一時金、一時金と年金で受け取る方法があります。年金で受け取る場合は公的年金控除の対象ですし、一時金の場合は退職所得控除が適用になります。どちらで受け取っても所得税の軽減にたいへん効果的です。

自分で運用商品を選べる

iDeCoの場合は企業型DCと違って自分で運用商品を選べるのもメリットです。iDeCoの組み入れ商品には、一般の投資信託に比べ販売手数料や信託報酬などのコストが安い商品が多くなっており、費用対効果が高いものを選択できます。

運営機関が厳選した商品の中から選ぶため、数も絞られており、資産運用に慣れていない人であっても、通常の運用と比べて選択しやすくなっています。

個人型確定拠出年金(iDeCo)のデメリット

個人型確定拠出年金(iDeCo)には企業型DCとは違ったデメリットもありますので、よく理解してから加入しましょう。

手数料がかかる

iDeCoに加入するときは、国民年金基金連合会に加入手数料を支払わなければなりません。

また、運用中には管理手数料、受取時には還付手数料がかかります。そのため、元本確保型商品を選択していても手数料がかかる分、元本割れする可能性があります。

投資信託で運用する場合はさらに運用期間を通して信託報酬もかかります。信託報酬が低く設定された商品もありますので、同じタイプの商品の中でもよく比較検討して購入を決めましょう。

60歳まで資産を引き出せない

企業型DCと同じくiDeCoも老後の資産形成のための制度ですので、途中解約はできません。一度運用を始めたら原則60歳まで引き出すことができないため、教育費などそれ以前にかかるお金は別に準備が必要です。

老後の資金の心配だけでなく、ライフサイクルをふまえて適切な掛金を想定しましょう。年に一度掛金の変更ができますので、状況に応じて変更したり、支払いが難しい場合は一旦停止することも視野に入れましょう。

資産運用のリスクが生じる

iDeCoでは運用成績によって将来受け取る年金額が変わります。運用商品の暴落などによっては元本割れする可能性もあります。

できるだけ見込み金額を把握したい、リスクを避けたい場合は、元本保証型商品の比率を多めにしたり、運用中も資産配分のバランスについて考慮が必要です。

確定拠出年金の仕組みを理解して老後の資産形成に役立てよう

確定拠出年金は将来受け取れる年金額を増やすために効果的な制度です。将来だけでなく、現在の収入に対する税金の軽減効果があるのも見逃せません。

しかし、一度加入すると積み立てた年金資金は60歳まで引き出すことができませんので、それまでに必要になる教育費や住宅費は別途準備が必要です。個人的に加入する場合は、自分の年齢や今後見込まれる家族構成、住宅を購入するなど将来の目標をふまえて加入することが必須になります。

税制上はたいへん有利な制度ですので、よく考えた上で老後の資産形成の手段として活用しましょう。

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