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バイアウトとは?4つの手法と各目的、メリット・デメリットも解説

シンカキャリア編集部

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更新日:2024/07/11

企業経営をしている方の中には「バイアウトをしたいがベストな方法がわからない」「バイアウトのメリットとデメリットが知りたい」という方もいるでしょう。本記事ではバイアウトの意味や、バイアウトの4つの手法の特徴と目的、メリットやデメリットについて解説します。バイアウトを成功させるためのコツや注意点についても紹介しています。

目次

企業経営をしている方の中には「バイアウトをしたいがベストな方法がわからない」「バイアウトのメリットとデメリットが知りたい」という方もいるでしょう。

本記事ではバイアウトの意味や、バイアウトの4つの手法の特徴と目的、メリットやデメリットについて解説します。バイアウトを成功させるためのコツや注意点についても紹介しています。

バイアウトとは?

バイアウト(Buy Out)とは、企業の経営権を得るために経営陣が議決権の半分の株式を買収することを言います。企業経営を継続する中で、後継者不足や業績悪化により継続が困難になったときに検討される手法のひとつです。

バイアウトは日本語では買収を意味しますが、その手法は目的によりいくつかに分かれます。経営者や従業員が自社内で株式を買収し事業再建を行う場合や、第三者の買い手企業に株式を売却されるされるケースも一般的になっています。

イグジットとの違い

バイアウトと混同されやすい手段のイグジット(EXIT)は、企業を始める際に投資した資金を回収することです。

イグジットの具体的な手法として、株式を公開して上場するIPOがありますが、実際に上場するまで公開された株式がいくらになるのかわからないのがデメリットです。また、短くても2年以上の時間がかかってしまい、証券取引所や証券会社の厳しい審査もあります。

一方、バイアウトの場合、約半年〜1年以内程度で売却先を見つけることができ、短期間で現金化できます。

M&Aとの違い

バイアウトとM&Aは経営権を取得するという共通点がありますが、実施する目的や買い手が異なります。

バイアウトは経営者や従業員が買い手となることが多く、収益拡大を狙う目的で行われます。一方、M&Aは他社が買い手となり、事業拡大や収益性の向上を狙う目的で行われる手法です。

目的の違いにより結果も変わってくるため、バイアウトとM&Aは似ているように思われがちですが、まったく別物と言えます。

バイアウトの4手法と各目的

バイアウトにはさまざまな種類があり、誰が買い手になるかによって4つの手法に分かれます。ここでは4つの手法の特徴や目的について解説します。

マネジメント・バイアウト(MBO)

マネジメント・バイアウトは、経営陣が後継者となり、既存株主から株式を買い取って、企業や事業の買収を行い経営権を得る方法です。

株式を買い取るためには資金調達の必要があり、「特別目的会社」を設立して、金融機関から資金などを受けるのが一般的です。最終的に、特別目的会社と譲渡企業が合併し、後継者となる経営陣が対象企業の株主となって経営権を得ます。

上場企業においては、経営者自身が株主から株式を買い戻し、上場を廃止するためにマネジメント・バイアウトが用いられることが多いです。上場を廃止することで、株主からの意見や方針に左右されることなく、ゆっくり時間をかけて経営を立て直したい場合に活用されます。

エンプロイー・バイアウト(EBO)

エンプロイー・バイアウトは従業員が企業の株式を買収して、経営権を得る方法です。

オーナー企業や中小企業の場合、親族内継承が一般的です。しかし、親族内に後継者がいない場合、廃業か存続かという選択を迫られます。存続を選択した際、自社の従業員に事業を継承するために活用されるのがエンプロイー・バイアウトです。

社内事情に詳しい自社の従業員が継承することで、経営者交代による大きな混乱を回避できます。ただし、従業員が買収資金を調達しなければいけないため、どれだけ確保できるかという問題もあります。

レバレッジ・バイアウト(LBO)

レバレッジ・バイアウトとは、買収の対象となる企業の資産や今後期待されるキャッシュフローを担保にして、金融機関や投資ファンドなどから資金を調達する方法です。

レバレッジ・バイアウトを行う側の資産力や信用力が不足していても資産調達ができるのが特徴です。レバレッジには「テコの原理」という意味があり、小さな力で大きな効果を生み出すことから、レバレッジ・バイアウトと言われています。

借入金の返済は、最終的に買収の対象となる企業に移るため、事業の改善などを行うことで増加させたキャッシュフローで返済をしていきます。

マネジメント・バイアウトやエンプロイー・バイアウトは社内の人が買収を行うのに対し、レバレッジ・バイアウトは社外の人が株式の買収を行うという点が大きな違いです。

マネジメント・エンプロイー・バイアウト(MEBO)

マネジメント・エンプロイー・バイアウトは経営者と従業員がファンドや金融機関からの支援を受け、自社の株式を買収する方法です。

マネジメント・エンプロイー・バイアウトはマネジメント・バイアウトト同様に、株主からの意見や方針に左右されることなく、企業の立て直しができるのが特徴です。この手法は親会社から子会社を独立させたい目的で使われることも多くあります。

買収に従業員が加わっていることが最大のポイントで、従業員の参加意思がない場合には、マネジメント・バイアウトとみなされます。

【手法別】バイアウトのメリット・デメリット

バイアウトの4つの手法の目的と特徴についてみてきましたが、ここからはそれぞれの手法のメリットとデメリットについて解説します。

マネジメント・バイアウトのメリット・デメリット

マネジメント・バイアウトのメリットは、外部の株主からの意見や方針に左右されることがないことです。短期的な利益を追うのではなく、中長期的に経営戦略を立てて大きな経営改革を行いたい場合に最適な手法と言えます。

一方、上場を廃止しなければいけないため、株式が非公開となり、資金調達が困難になるケースがあります。マネジメント・バイアウトを検討する際には、資金調達の方法について事前に決定しておくことも必要です。

また、経営陣が自社の株式を買うことで、経営者個人と会社との利害相反が生まれる可能性があります。経営者個人が儲けのために、マネジメント・バイアウトをすると、結果として会社が損害を受ける結果になるのです。

エンプロイー・バイアウトのメリット・デメリット

エンプロイー・バイアウトのメリットは、親族内に後継者のいない企業が、後継者として従業員に事業継承させられることです。また、これまでの経営陣ではなく、従業員が事業継承して運営することで、企業の再編を行える機会になることがあります。

一方、デメリットとなるのは株式を取得する従業員の資金不足です。個人で株式取得をできるだけの資金がないことが多く、金融機関などから資金調達をしなくてはいけません。金融機関からの審査が厳しく借り入れが難しいこともあります。

レバレッジ・バイアウトのメリット・デメリット

レバレッジ・バイアウトのメリットは買収する企業が少ない投資で大きなリターンを得られることです。レバレッジ・バイアウトは買収される企業の資産や今後期待されるキャッシュフローを担保にして、金融機関や投資ファンドなどから資金を調達するからです。

また、買収に伴う利息の返済を損金換算できるため、節税対策にできるメリットもあります。

一方、バイアウトをしても企業の再建がうまくいか中った場合、買収した企業は投資額以上のリターンを得られません。また、借入の際の金利が高いことから、利息の支払いに多くの支払いが必要で、リスクが高いことからあまり実施されない手法です。

マネジメント・エンプロイー・バイアウトのメリット・デメリット

マネジメント・エンプロイー・バイアウトは経営者と従業員が自社株を持つため、モチベーションアップが図れると言うメリットがあります。企業の業績が上がれば、経営者、従業員共に金銭的なメリットが得られます。マネジメント・バイアウトと同様に、株主の意見に左右されることなく、経営立て直しができる点も魅力です。

一方、マネジメント・エンプロイー・バイアウトは従業員も自社株の買い取りをしないといけないため、従業員の資金調達の問題や自社株を購入したい従業員が少ないと成功しないのがデメリットです。そのため、実現が難しい手法でもあります。

バイアウトを成功させるコツ

バイアウトを成功させるためには、専門的な知識を持った専門家に意見を求め、自社の企業価値を適切に知っておくことが大切です。ここでは、バイアウトを成功させるコツについて解説します。バイアウトを成功させるための参考にしてください。

専門家に相談する

バイアウトを成功させるためには、多くの専門的な知識が必要なため、第三者であるバイアウトファンドやM&A仲介業者など、専門家に相談しましょう。

バイアウトファンドは、投資家から資金を調達し、経営不振の企業に投資をして、経営立て直しの投資で得られた利益を投資家に還元します。

M&A仲介業者は、買い手企業と売り手企業の間に入り、相談を受けたり助言をして機能する専門業者です。バイアウトで重要となる企業価値の把握や買収価格を上げる方法などを、専門的な視点からアドバイスしてくれます。

自社の企業価値を知っておく

バイアウトにより自社に不利益となることがないよう、自社の企業価値を知っておくことが大切です。企業価値の評価により、バイアウトと株式買収額は大きく変わります。

客観的に自社の企業価値を評価するのは難しいため、専門家の目線であらゆる角度から評価してもらうのがオススメです。企業価値の評価方法は数多くあるため、バイアウト時に相応しい評価方法を選択しましょう。

バイアウトの注意点

株式の買収であるバイアウトは、社内の待遇や株主としての地位が変化することがあります。また、必ずしも希望通りの金額でバイアウトが実施できるとは限りません。ここからは、バイアウトの注意点について解説します。

役員や従業員の待遇が変わることもある

バイアウトにより、必ずしも人員削減や雇用契約の変更が行われるとは限りませんが、バイアウト後の役員や従業員の待遇については注意しておきましょう。

買い手企業から取締役が派遣されたり、従業員が買い手企業に出向になるケースもあります。売り手企業は従業員がこれまでと同じ条件で働けるよう、買い手企業と交渉をする必要があります。労働条件の変更や出向がある場合には、従業員に丁寧な説明をして理解を得るよう努めましょう。

役員は雇用契約がないため、買い手企業の判断により処遇の変更や解雇になる場合もあります。

株主としての地位がなくなる場合がある

バイアウトは株式の買収となるため、株式の保有者が誰なのかを明確にしましょう。バイアウトを行うと、現経営者の保有する株式は買い手企業に譲渡します。

すべての株式を譲渡して子会社となるケースが多く、株主としての地位がなくなる場合があるのです。

しかし、買い手企業との取り決め次第では、一部の株式を現経営者に残す場合もあります。買い手企業の意向が優先されますが、希望がある場合には交渉をして株式の保有について明確にすると良いでしょう。

希望金額より安く買われる可能性がある

バイアウトを行う際は、買い手企業からさまざまな要求や要望が提示され、希望金額より安く買われる可能性もあります。経営者が変わり、多額の金銭をやり取りするため、買い手からの要求があるのは当然です。

事前に買い手企業からどのような条件が提示されるかを想定し、買い手企業との話し合いをしっかりすることで希望金額での売却に近づけるようにしましょう。

自社に合うバイアウトで経営改善を

メリットとデメリットをよく熟慮し、自社に合うバイアウトの選択やタイミングをしっかり見極めましょう。また、従業員や取引先企業には丁寧な説明をし、バイアウトによる混乱を避けることも大切です。

初心者が安易に判断すると、逆効果となることもあります。バイアウトをする際は、専門家に相談し、適切なアドバイスをもらい経営改善をするようにしましょう。

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