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IRとは何の略?PRとの違いや目的・必要性を解説

シンカキャリア編集部

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更新日:2025/03/21

「IRって具体的にどういう内容のこと?」「IR担当になったけど、実際に取り組む業務は何?」。上場企業やスタートアップの広報では、PRとともに、IRという業務を担当することもあります。本記事では、IRの意味や業務内容と、PR業務との違いについてなどを説明していきます。

目次

「IRって具体的にどういう内容のこと?」「IR担当になったけど、実際に取り組む業務は何?」。上場企業やスタートアップの広報では、PRとともに、IRという業務を担当することもあります。本記事では、IRの意味や業務内容と、PR業務との違いについてなどを説明していきます。

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IRとは何の略?

IRという言葉は、何の略なのでしょうか。1990年代あたりから、株式会社の情報公開が重要になってきましたが、IRは、その頃から、外部向けのディスクロージャーを指す言葉としてよく聞くようになりました。ではIRについて説明しましょう。

IRはInvestor Relations(インベスター・リレーションズ)の略

IRは「Investor Relations」の略で、投資家向けの広報活動全般を指します。業務内容は、財務状況や事業の計画、経営戦略など、投資家や株主の投資判断に必要な情報を開示することです。最近では、投資家だけでなく、顧客や社会に対し、経営方針や事業の成果などを発表する活動もIRの一環と捉える向きがあります。

IRの役割は、単に情報を発信するだけでなく、株主や顧客などからの指摘や意見を聞き、話し合う場を創造することです。活発なIR活動により、会社とステークホルダーの間に信頼関係を作ることで、会社経営をより良い方向に進めることができます。

混合されやすい「IR」という略語

「IR」という略字は、ニュースなどに頻出するものになっており、実は、同じ略語にいくつか別の概念を示しています。ここで、IRの概念を混同しないように一度整理しておきましょう。

日本で使われる「IR」には、以下の3つがあります。

  1. Investor Relations(投資家向け広報活動)
  2. Integrated Resort (統合型リゾート)
  3. Institutional Research (大学におけるIR)

1.については、この記事で説明していきますので、2.と3.について説明します。

2.の統合型リゾートは、概念としては「カジノを含む統合型リゾート」です。高級ホテル、カジノ施設、MICE(国際会議、展示)施設、劇場などを統合した計画で、日本初のカジノが話題になっています。

3.の大学におけるIRは、 「教育、研究、財務等に関する大学の活動についてのデータを収集・分析し、大学の意思決定を支援するための調査研究を指す」と定義されるものです。「学修成果の可視化」をはじめ大学の多様な成果や課題を可視化し、分析するための機能です。

IRとは具体的にどんなことをするの?

それでは、企業のIRとは具体的にどんなことをするのでしょうか。企業活動には、多くのステークホルダーがいます。株主、投資家、ファンド、金融機関と資金に関係しているところから、国税、クライアント、監督官庁、消費者など企業経営の透明性を求める者たちまで、さまざまです。

特に、投資家に対し、投資を判断する際に必要な情報を公平に公表することが必要です。経営状態や財務状況はもちろん、企業の実績、将来の見通しなども含みます。また、企業の社会的責任として、社会課題への取り組みなど財務以外の情報を公開するケースもあります。

IRは、法で求められるものではなく、自主的に行うものですので、IRを積極的に行う会社ほどクリーンで健全なイメージを持たれます。現在は、ほとんどの企業が、WEBサイトやプレスリリースの形でIRを実施しています。

IRとPRの違いとは?

企業の広報活動には、IRのほかにPRもあります。IRが投資家などのステークホルダーを対象に企業の情報公開をするのに対し、PRはPublic Relationsの略で、Publicすなわち社会・世間一般に対し企業情報を公開するものです。

PRは、新商品の情報、企業の取り組み、組織改変から経営陣の交代などのトピックスを扱います。また、独自の調査結果をリリースすることで、自社商品をとりまく市場に新しいニーズを生み出す戦略PRなども行います。

IRは、PRの中の一つの分野であると考えることができます。社会への情報公開であるPRの中で、投資判断や企業価値の算定に必要な情報を扱うのがIRです。中小企業の場合、広報部が、PR業務の一環としてIRを担当するケースも見られます。

IRを行う目的と必要性

IRの意味と内容が理解できたところで、IRを行う目的と必要性を説明します。IRは行わなければならないという決まりがあるわけではありません。しかし、企業が投資家からの信用と評価を獲得し、投資しようという判断を受けるために、必要となります。

情報の公平性

IRの目的としては、まず、投資判断に必要な情報の公平性が挙げられます。

投資家は、法定開示書類である、財務三表などの決算書類を元に企業の実績を判断しますが、その数字だけでは判断できない経営状況もあります。決算はあくまで終了した決算期のものであり、中長期的な将来の成長を表すものではないからです。

企業活動は、刻々と変化しており、新規事業の立ち上げや事業計画の見直し、役員や執行役に外部の優秀な人材を起用したりと、株価評価に関わる事案が多々生じます。そのような際に、株主や投資家の情報格差をなくすためには、事案ごとに即座に情報発信をする必要があります。

IRを適切に行うということは、情報の公平性を担保することでもあるのです。

情報の公開

上場企業の場合、経営側は公開している株式に対する動きや、TOBなどを仕掛けてくる動きを素早く察知し、手を打つ必要があります。万が一、自社が買収やTOBの対象になった際に備えて、情報開示を迅速に行う体制を整えておくことは、上場企業のリスクマネジメントとして重要です。

また、世界情勢の変化など環境要因の激変や、業界構造を変化させる大きな出来事の影響など、自社を取り巻く変化がもたらす実績への影響などについても、包み隠さず情報公開していくことが求められます。

投資家を含む社会全体が、企業に誠実性を求めており、不始末や隠し事が発覚すると著しく信用を失い大量の資金が引き上げられることに直結します。そのため、企業が迅速に経営・財務・実績の情報を発信するIRが求められるのです。

上場企業としての義務

上場企業には、金融取引法や会社法などの法令に基づき、財務内容や事業・営業の概要を記した「有価証券報告書」などを各地財務局に提出することが義務付けられてます。

そのため、上場企業は、IR担当が、経営戦略、経理財務、法務と連携しながら法定開示と適宜開示を行います。適宜開示は証券取引書が定めたルールで、企業は、株価に影響を与える経営上の重要な情報を迅速に正確に開示しなければなりません。

株主や投資家が求めた場合、面談によって詳細を説明するという態度も、上場企業である以上、必要になります。

IRの具体的な方法

投資家・株主への情報公開であるIR。IRは、迅速性が求められ情報を求めている人にすぐに到達する必要があります。IRはどのような方法で行われるのでしょうか。

会社説明会や決算説明会

決算と同時に行われる情報開示では、決算説明会や経営説明会の機会を設ける企業が多いです。

決算説明会は、四半期ごとの決算発表に合わせ、法定開示書類を開示したあとに行われます。発表した試算書や決算書の内容を詳しく説明し、質問に回答する形で対話をします。

株主・投資家の批判も含む意見を聞き、経営側の考えを根気強く伝えることが重要です。IRは単なる情報公開ではなく、投資家との対話の機会を創出することでもあるのです。

IRツールの制作

取引所が運用している「適時開示情報閲覧サービス(※1)」やプレスリリース配信サービス、第三者が運営するIR情報サービスなどは、開示情報を投資家・株主に迅速に伝える方法として有効に使われています。

また、株主向けのメールニュースや、アニュアルレポート(年次報告書)などIRツールを独自で発行している企業も多くあります。

いずれも、義務付けられていないものの、企業の信頼を獲得するには重要なものですので、積極的に活用する企業がほとんどです。

(※1)参考:日本取引所グループ「適時開示情報閲覧サービス」

IRサイトの運営

企業のコーポレートサイトやIRサイトは、株主や投資家にとって、最も正確で最新の情報を獲得できる場として認識されています。

サイト上で開示するには、間違いのないように確認をすることが重要です。また、ダウンロードできる資料や印刷機能など、活用しやすくすることも大事です。何事も、投資家目線で投資家の身になって開示する姿勢が評価されます。

コーポレートサイトでは目立つ部分に、IR情報を配置すると、投資家や株主に誠実な企業であるという印象を与えることが可能でしょう。

施設見学会や商品説明会

自社製品を持ち、商品の価値が実績に反映されるのが製造業です。画期的な製品を開発した場合などは、投資家向けの商品説明会を行うのも、IRとして効果的です。

投資家向けの発表会、説明会の実施により、投資家は直接その商品を体験することで投資する価値があるかどうかを判断することができます。

また、生産性を向上させる技術を導入した施設を見学する会を実施し、その際に投資家と対話する機会を設けるのも効果的です。

IRを行う際に気を付けたいポイント

IRは、投資家や株主の投資判断のために重要なものですが、実施する上で気をつけたいポイントがあります。どのような点に注意すべきでしょうか。

情報の取捨選択

IRには、企業を取り巻く数多くの情報から投資家の利益に関わるものを取捨選択し、十分な内容を発信することが求められます。

企業に日常的に発生するさまざまなトピックには、必ずしも投資家や株主の利益に繋がらないものもあります。IRで気をつけたいのは、どんな情報も単に発信していくことではなく、投資家の投資判断に役立つ情報に絞り、十分に内容を詰めたリリースを行うことです。会社分割や子会社設立、新株予約権発行など、株主の利益に直接関わる情報から、抱えている訴訟の経過などは、注目を浴びる情報となるでしょう。

基準がわからないときは、「適時開示情報閲覧サービス」など、IRサイトで発表されている内容を参考にするのも良いでしょう。

潜在株主へのアプローチ

IRは、潜在的な株主へのアプローチでもあります。企業経営には、一定のファン層を抱えることも重要で、PRの内容と連携しながら、経営計画や経営思想に共感を得られるような情報を提供することも大事です。

現在の投資家は、長期から短期、デイトレードまでさまざまな形態で取引を行っています。そのような局面では、自社の魅力や将来性、社会的な活動などを伝え、ファンを作ることも会社の成長や時価総額の拡大に大きく影響します。IRを戦略的に行うことが、会社の成長を支えることになるのです。

IRの目的や必要性をよく理解しよう

広報の業務でも重要なIR。その目的と必要性を理解することで、経営の意思を正確に伝えることができるようになります。経営企画や財務、法務との連携をしながら、社会的意義やトレンドを掴みながら、企業のファン層を獲得できるようなIRを行いましょう。

広報は、企業と社会とをつなぐ重要な役割です。バックオフィスのなかでも、積極的に外部に出て、メディアやテークホルダーとのコミュニケーションを円滑に正確に進めながら、戦略的に企業価値を高める職種です。

バックオフィス専門の転職サービス・SYNCAには、広報やIRの求人も多数掲載しています。求人情報に書かれた企業の思いや実現したいことを理解しながら、広報部署への転職を考えてはいかがでしょうか。

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