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「年間休日120日とは実際どの程度休めるのだろう」「プライベートを充実させるには、年間休日はどのくらい必要なのだろう」
転職情報を見る際に気になるのは、やはり休日。年間休日と言われても、実際にどういう感じで休めるのかイメージしづらいと思います。ワークライフバランスを大事にしたい人や、企業の休日制度の仕組みを知りたい人のために、この記事では、年間休日について説明していきます。
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年間休日とは
年間休日とは、企業が定めた1年間の休日数の合計のことです。各社、労働基準法32条に定められた労働時間の上限である「週40時間」という決まりを元に休日数を決めています。
週40時間労働の場合、フルタイム8時間で働ける1週間で勤務できる日数は5日間。1年間は52週ですので週5日間勤務の場合、1年間の労働日数の限度は260日になります。1年365日から260日を差し引いた105日が、32条を元にし計算した最低必要な休日になります。
年間休日は、すべての従業員に与えられるもので、タイミングや日数が個人によって違うものは含まれません。ですので有給休暇などは、年間休日には含まれません。
一方、労働基準法第35条では「使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回、または4週間に4回の法定休日を与えなければならない」と記されています。そのため、企業は週休制をとる必要があります。
平均の年間休日の日数
企業全体の年間休日数の平均は、令和3年で107.0日です。令和2年の110.5日より大きく減少しています。
厚生労働省の令和4年調査(令和3年実績)(※1)によると、令和3年1年間の年間休日総数の1企業平均は107.0日(令和3年調査(令和2年実績) 110.5日)、労働者1人平均は115.3日(同 116.1日)となっています。
企業規模別にみると、「1,000人以上」が115.5日、「300〜999人」が114.1日、「100〜299人」が109.2日、「30〜99人」が105.3日と、企業規模が大きいほど年間休日数が多い傾向にあります。
(※1) 参考:厚生労働省「令和4年就労条件総合調査 結果の概況」
休日・休暇・休業の違い
休日というのは、法定の休日と企業が制度で決めた休日ですので、労働の義務のない日のことです。いわゆる会社の「公休日」ということになります。
休暇というのは、公休日以外の日に、企業側が、従業員の労働義務を免除した日のことです。休暇には、法令により条件を満たした場合に与えなくてはならないと定められた法定休暇と、会社が福利厚生の一環で任意に定めている特別休暇があります。
法定休暇には、有給休暇・育児休暇・介護休暇・看護休暇・生理休暇・子の看護休暇などがあり、特別休暇には、夏季休暇・年末年始休暇・慶弔休暇などがあります。
休業というのは、休暇と同じで、公休日以外で会社が従業員の労働義務を免除した日のことです。休業のほうが、休暇よりまとまった休みという印象がありますが、用語としての規定はありません。
年間休日120日のメリット
年間休日120日のメリットは、平均的な会社より約13日も休日が多いということです。完全週休2日と国民の休日をすべて休むことができます。完全週休2日の場合、1年間は52週ですので掛け算すると104日の休日になります。それに、国民の祝日16日を足すと、ちょうど年間休日120日になります。
年間休日120日のメリットを従業員の企業、双方の立場から見ていきましょう。
従業員にとってのメリット
従業員は、やはり休日は多いほうが働きやすいでしょう。年間休日120日は、平均値より13日も多いです。休みの多い会社になりますので、プライベートを大事にした生活が可能になります。
ワークライフバランスの向上
従業員のメリットとしては、まず、ワークライフバランスの向上が挙げられます。休日が毎週最低でも2日間取れますので、家族やパートナーと過ごす時間や、趣味や学習などに使う時間を十分にとることができます。旅行や買い物、子どもたちの学校の行事などにも出席できます。また、夏季休暇や年末年始、ゴールデンウィークなども休めますので、自由な時間が増えます。
健康状態の改善
週休2日がベースになりますので、日常業務で溜まった仕事の疲れをとることができ、ストレスも解消する時間がとれます。休みをしっかりとることにより、心身の健康状態を保つことができます。休日が120日あることで、慢性的な疲労を解消するために、体をケアしたり、ゆっくりと睡眠をとることもできます。
十分な休みは、日々の業務に集中し、効率的に進める状態をキープするのにも大事です。
企業にとってのメリット
企業は、年間休日120日を規定することにより、優秀な人材を集めやすくなります。また、従業員の集中力や業務に対する意欲を維持することもできますので、企業全体の生産性向上にもつながります。
社員の生産性向上
長時間労働や休日なしの労働は、従業員の生産性を著しく低下させてしまいます。適度な休日をとることで、従業員は、十分にリフレッシュし、心身の健康を保つことができますので、休日を開けての勤務では高い生産性を発揮することが多いです。
疲労から解放されることにより、集中力や注意力が戻りますので、効率的に働くことができるようになります。
企業イメージの向上
年間休日120日とれる企業は、平均より13日も休日が多いので、従業員への待遇が良いと判断され、求職者にとって魅力的な会社になります。福利厚生や待遇が良いかどうかは、企業のイメージを大きく左右します。忙しくて休みがなかなか取れない会社がある現状で、休日の多い会社は、従業員のことを考えている企業だと評価され、採用でも有利になります。
年間休日120日のデメリット
年間休日120日は、全企業の平均より、多く休める会社ですので、求職者が集まりやすくなるなど多くのメリットがあります。一方で、年間休日120日の会社は増えてきていますので、業種・業態によってあまり差別化にならないのも事実です。
さらに、120日の休日を強調することでのデメリットもありますので、求人の際などには注意する必要があります。
もっと休める会社があるかもしれない
現在は、週休3日制を導入する企業や、リモートワークにより出社日数が絞られている企業もあります。家庭や趣味の時間と仕事とを両立するワークライフバランスの視点では、より魅力的な企業が今後増えてくることも見込めます。
年間休日120日は、完全週休2日制+国民の祝日16日がすべて休めるということですので、体感では平均的な休日数です。
大手企業などでは、この120日にプラスして、年末年始に5日、夏休み時期に5日などをせ亭しているところもあります。その場合、年間休日130日以上になり、120日よりも魅力的で素晴らしいと判断されるでしょう。
120日を掲げて、休日が多いことを会社のイメージとして打ち出したとしても、それ以上の会社が存在しますので、もっと休める会社に優秀な人材が流れてしまう可能性もあります。
長時間労働の場合もある
1日8時間、週40時間という規定とは別に、一定の残業時間を課すことができるようになる「36協定」があります。その場合、休日は120日取れても、1日の労働時間は8時間よりも多くなることがあります。
「36協定」は、届出をすることにより、原則月45時間、年360時間までの残業時間を認める制度です。
また、固定残業代制度により、給与を割り増しすることで月20時間、月40時間などの残業時間を含むことにするということになっている企業もあります。その場合は、残業が少なければ従業員が得しますが、ギリギリまで残業すると労働時間が多くなってしまいます。
サービス残業は違法行為ですので問題外ですが、固定残業制度と「36協定」の組み合わせによる給与制度を導入している場合、長時間労働が常態化する可能性もあります。
年間休日125日・120日・110日・105日はどれくらい休めるか
採用情報には、休日の制度や、年間休日が掲載されています。実際に体感としてどの程度休むことができるかイメージしづらいと思います。ここでは、それぞれの休日数で具体的にイメージしやすく説明していくことにしましょう。
年間休日125日・120日の場合
年間休日120日は、完全週休2日制(毎週2日の休日がある)と国民の祝日16日がすべて休めるという計算です。土日の完全2日制ならば、カレンダー通りの休日となります。夏休みは「海の日」が土日に隣接していれば3日間の休日、ゴールデンウィークや年末年始も有給休暇と合わせることで1週間程度連続で休むことができます。125日は、それにプラスして5日休むことができます。会社によって任意に休日は設定されますが、年末年始やゴールデンウィーク、夏休みなどに充てる企業が多いようです。
年間休日110日・105日の場合
年間休日105日というのは、労働基準法32条に則った最低の休日数です。「1週間に40時間まで」「1日8時間まで」という労働時間を最大限にとった場合の休日数です。平準化すると週に2日休める計算ですが、国民の祝日を休日にすることを考えると、完全週休2日制ではなく、隔週の週休2日や、月2回または3回の週休2日などで勤務することになるでしょう。110日の場合は、最低の休日数より5日間多くなりますので、105日よりは余裕のある生活ができますが、休みの少ない企業というイメージは拭えないでしょう。
体感としては、完全週休2日で休みが少ないと感じてしまうでしょう。好きな仕事やライフワーク的な仕事でないと、継続しないかもしれません。また、販売や飲食など国民の祝日が休日とは限らない業種では、祝日の出勤も考えられます。
年間休日120日以上の可能性が高い仕事
年間休日120日以上は、厚生労働省の指導や政府方針を反映する必要がある大企業や、行政、政府系金融機関などが率先して取り入れています。そのため企業の規模に左右されるところが大きいです。また、職種によっても休みが多くなりやすいものがあります。
会社の規模:大企業
大企業の場合、福利厚生や休日・休暇の点で、政府や省庁などの意向を反映することが求められます。そのため、ワークライフバランスの改善や働き方改革の方針に従い、率先して休日を多くする企業が多いです。また、従業員数が多いため休日を増やす余裕もあります。
企業としても、休日を多くすることで、従業員の生産性を向上しモチベーションを上げることを期待できますので、120日以上の年間休日を設けることはメリットにもなります。
また、リクルーティングでは、福利厚生や待遇を重視する人が増えてきていますので、優秀な人材を多く採用するために、休日を増やす大企業も多いです。
業種:メーカー
製造業の場合、工場に勤務する従業員を多く採用することが必要になります。人手不足といわれる現在、工場の従業員を確保するためには、福利厚生と待遇は、重要なポイントです。
また、工場は生産ラインを止めないところもありますので、基本的にシフト制により勤務が決まります。従業員の心身の健康状態を維持するために、「3勤1休」「4勤2休」などのシステムになっていて、通常の週休2日よりも多く休めることもあります。
メーカーは、営業や企画、バックオフィス業務すべての部門が、工場の従業員の勤務条件と合わせてているケースが多いので、全社的に休日は多くなっています。
職種:法人営業
法人営業は、取引先が稼働していないと仕事になりませんので、毎週土日と国民の祝日が休みの場合が多いです。
営業職はクライアントを回ることが仕事ですので、顧客の就業時間に合わせた動きをします。打ち合わせや、見積書の提出、納品管理などは現在オンラインでも行われますので、書類仕事の合間に設定することも可能になりました。そのため、書類仕事で大幅な残業時間が必要になることも減りつつあります。また、基本的に顧客は個人で管理していますので、自分の都合に合わせて業務の時間を設定できます。
しかし、業種によっては、法人営業がプロジェクト全体を牽引したり、トラブルを解決したりする会社もありますので、その場合は、労働時間が長くなり、休日を取れないケースもあります。
年間休日120日以下の可能性が高い仕事
カレンダー通りの休日を取れる企業に対して、一般的な会社員が休日のときに忙しい企業や、エッセンシャルワークとして暮らしを支える仕事などは、休日が少なくなってしまう傾向があります。どういう仕事か見ていきましょう。
業種:サービス業
土日・休日でも関係なく、顧客が必要としているときに稼働していなければならない仕事といえば、サービス業です。一般消費者が休日に利用することが多い小売業や飲食業、宿泊施設、エンターテインメント施設などは、一般的な休日には休めないです。また、美容業界なども休業日が週に一度程度ですので、なかなか休みがとれない業界です。
サービス業でも年間休日数を充実させている企業も増えてきています。人材不足のため人材確保が難しくなるなか、ワークライフバランスや福利厚生を重視せざるを得なくなってきているからです。
しかし、飲食業や宿泊業などは、人材確保も難しいため、休みが取りにくい傾向が続いています。
職種:介護、看護
エッセンシャルワークを生業としている職種も、年間休日数が少なくなりがちです。介護職は、待遇もあまり良くなく、人手不足の状況が続いています。また、会社や施設によっては24時間365日のケアが必要とされます。そのため、シフト制を組んでいる会社も多いですが、十分な休日を設定するには至っていないことが多いです。
労働基準法に基づく労働時間は、1週間に40日ですので、年間休日105日になりますが、それも難しい会社もあります。
看護師も同様に社会の基盤を支えるエッセンシャルワーカーです。クリニック勤務ならば診療時間が決まったり病床数が少なかったりと、比較的休みやすい医院もありますが、病院勤務では24時間365日の対応が求められます。看護師の仕事がキツいといわれる所以で、改善が求められるところでもあります。
年間休日も転職軸の大切な要素
年間休日120日は一つの目安であり、完全週休2日制で、国民の祝日が休めるカレンダー通りの休日数を確保できるものです。120日に満たない会社もありますし、120日より多い会社もありますので、転職活動の際には、自分がどれだけ休みたいかをよく考えて比較検討するのも良いでしょう。
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